あなたは資格にいくら投資する?

1.資格を取る動機

今回は「役に立つ資格とは」についてお話します。

皆さんは何のために資格を取るんでしょうか。
ざっと書くと、

  • 生活に役立てたい
  • 自分に専門分野が欲しい
  • もっと稼ぎたい
  • 昇進したい
  • 起業したい
  • 趣味を持ちたい
  • 趣味を生かしたい
  • 友達がほしい

などの動機があると思います。
それが自らの意思の場合もあるし、半強制的な場合もあります。

  • TOEIC650以上じゃないと社内で昇進できない
  • 親から英会話教室に行かされている
  • 会社からマウスの資格とるように言われている

もちろん、税理士や宅建、社労士などの国家資格は、それがなければ業務ができないので、必ず取得しなければいけません。

しかし法的な義務がない資格の場合は取るのが自由だし、取ってとても役に立ったこともあれば、何の役にも立たなかったというものもあるでしょう。
果たしてどんな資格が自分の役に立つのか?
それを振り返ってみたいと思います。

2.資格はどう人生に影響するか

それでは、私を振り返って過去資格を取って人生がどうなったかお話しします。
これ、オーバーな言い方なので、人生じゃなくて「ライフコース」くらいにしておきますか。
赤裸々に資格と私のライフコースの関係について話します。
資格を取りたい人の参考にしてください。

●書道

保育園のころから書道教室に「行かされて」いました。
習字はまったく興味がなく、あの墨が手や服についてしまうのも嫌でした。
しかし私も含め3兄弟、両親から「行かされて」いました。

10年後最後の5段まで行って高校入学と同時に書道塾通いは終わりました。
具体的には、毛筆5段、硬筆特級になりました。
それがどのようにライフコースに影響したかというと、どうなのかなという感じです。
だいたい下記くらいが影響あったことです。

・友達からラブレターの代筆を1回頼まれる
・知り合いの新店のあて名書きを1回頼まれる
・お歳暮のあて名書きを1回頼まれる
・ゴルフの景品の目録一覧を1回頼まれる

ほとんど無償なのでお金を儲けたことは一円もありません。
この資格、
電通の面接時に「書道5段持っているの?すごいね」
と言われて「そうなんだ」と気づきました。
知り合いの新店のあて名書きしてコーヒーおごってもらったと言うと、「安すぎる」と言っていました。(笑)

ちなみに売場塾で白板に書いている文字はどヘタで見る影もありません。
日常生活ではほとんどパソコンで書いているので、役に立っているということは皆無です。

で月謝いくらくらいだったのは定かではありません。
もちろん親に出してもらっていました。

今後の活用については、直筆のあて名書きがダイレクトメールで最近流行っているので、そのうちに自社の販促的に使おうと思っています。

●TOEIC

意外だったのが、英語を話せる人って社内に少ないということ。
もといた会社のフロアに200人以上はいると思いましたが、あんまり英語できる人っていないんですね。
かくういう私は今も勉強中でペラペラには程遠く、英語の勉強をするごとに絶望感を味わっています。
ただ会社在籍中になんとか750は取りました。
そこまでに至る経費はざっと100万くらい。
英会話学校はLADOとNOVAに行きましたがやっぱ時間も必要もかかります。

元いた会社ではTOEIC上記の人には月々5,000円補助金が出ていて、これは実感として儲けた気がしていました。
給料ベースアップしたような感じ。

TOEICが役に立ったのは2度くらい。
イギリスと韓国のクライアントのプレゼンに立ち会ったのと、アメリカの釣り具メーカーのデモンストレーションの通訳に立ち会ったくらい。
役に立ったのは私で、クライアントの役には立たなかったです。
私は英語の勉強として役に立ちました。

もうひとつ付け加えると、「フィリピン人の彼女に別れを英語で告げてほしい」という知り合いの依頼があり、パブに行った覚えがあります・・・・。

役に立つといえば、最近外国語の本やVMDセミナーをYou tubeで見ています。
世界のVMDを探るにはいい機会と思っています。

●マッキントッシュ

これはパソコン元年に大枚をはたいて買ったもので資格ではないのですが、新しものの私はまず家族に内緒で買いました。
けっこういい感じの値段でした。
その後も周辺機器やソフトを含めて、車1台軽く買える金額を投入。
デザイン会社はみなマックを使いだしていましたが、営業職でマックを使っている人は周りにいませんでした。

パソコンの使い方教室に通い、テキストと表計算位はできるようになりました。
正直最初の半年はワープロより使いづらかったので、かなり苦戦していて一時パソコンのおかけで仕事の生産性が落ちました。
企画書やレポート、見積もりもすべてマックで作っていたので時間がかかったんです。
年賀状もマックで作ったものの、できたイラストは小学生なみでした。

役に立ったのは、インターネットにいち早く着目できたことです。
当時は静岡にいて東京のインターネット関係者と通じることができたのはよかったです。
インターネットを使ったラジオ番組や雑誌制作の企画をつくって、パソコン店やパソコン専門学校の新規開拓ができました。

ただ、数年経つとウインドウズが世の中を席巻して、マックを使っているのは制作会社と医者くらいになりました。
マックは持っていてもクライアントや社内で互換性のないデバイスになってしまいました。
東京転勤の機会もあり、以後ウインドウズに転じました。

●商業施設士

これはオーバルリンクを設立してから取った資格。
今でこそ、コンサルの仕事がメインですが開業当時は内装や看板の仕事が多かったです。
とりあえず仕事を取らなければいけない私は何でも引き受け、設計会社や施工会社に外注していました。

すると利益はほとんどありません。
しかも内装後に修理あった場合はこちらが余分な経費を持たなければいけません。

そこで、企画設計とCADくらいはできるようになった方がいいと思い、この資格を取りました。
商業施設士は図面が描けるようになる資格です。
実技も図面です。

以後、設計図制作、パースデザインは社内でできるようになりました。
施工も分別発注形式にしたので、利益はほぼ100%になりました。

図面を自分で書きたい人には手っ取り早い資格だと思います。
受験料も22,000円と安いです。
それにプレセミナーとテキスト代などを入れて50,000円位でしょうか。

ただし、資格を取った後も年間の会費がかかります。

●照明士

これも上記のごとく内装で照明の知識がいたので、取った資格。
どんな意匠のライトを使って室内やディスプレイを演出したらいいのか、改装の時に必要だったからです。

照明設計も設計士や施工会社に外注していたのですが、やはりトントンでしたので自分でできるようにしました。
改装や新装の図面を書く時に役に立ちました。

ただし、施工会社とやりとりするのではなく、直接照明メーカーに照明率表や部屋指数を聞かないと照度計算ができないことがわかりました。
この計算ができないと照明器具が選べないからです。

一度計算しないで器具を選定したことがありました。
すると、ディスプレイに当たるライトが拡散してしまいました。
「うーん、ミステリアスな演出ができない」ということで、その後は照度計算するようになりました。
当時はカタログに記載されていないこともあって問い合わせ等面倒でしたが、今はネットで照明率を見ることができるのでラクではないでしょうか。

役に立ったことはもうひとつ。
VMDセミナーに照明を入れることができました。
特に商業施設のテナントは照度が暗くお化け屋敷になっている店があるので、こうした店の照明を改善することができます。

価格は通信講座受講料が37,400円。
テストと込みになっていますが初年度会費がかかります。

●色彩検定

これは私ではなく社員に1級を取ってもらいました。
カラー部分の理論づけをしっかりつけられたことと、服をコーデネートしたときの微妙な判定に役立っています。

微妙な判定というのは、

・対照色相で対照トーン同士の服のセットアップ
・類似色相で対照トーン同士の服のセットアップ
・クロスコーディネーションの判定

など彩度や明度が微妙な組み合わせの場合です。
これらの判定の理由付けが必要だったからです。
ワークショップでは、講師が理由を言いながら直すことが必要です。
たくさんの色がある売場の担当者は、この資格を持っていた方がいいと思います。

実際、売場塾に来る方はカラーの資格を持っている人が多いです。
カラー資格プラスαということで、VMDインストラクターになる人が多いです。

費用はどのくらいかというと、社員に任せたのでわかりません。
ネットだと1級で15,000円の検定料ですが、その前に2,3級を取るのと、参考図書などが必要なので数万円はかかっていると推測されます。

3.資格はどのように選ぶか

ということで、資格がどのように役に立つかを自分たちの経験に踏まえて話してきました。
資格は国家資格からカルチャーまで千差万別です。
そんな資格を選んで取るにはどうすればいいかを述べます。

それては、ある程度はこうなりたいという目的を設定することです。
そして、この程度にはなりたい、という目標が必要です。

英語にしても、海外旅行時に役立つ程度なのか、海外に出て仕事として話せるようになりたいのか、目的と目標が違います。
筋トレにしても、きんに君くらいになりたいのか、腹をひっこめる程度でいいのかで目的と目標が変わります。

私の場合は、書道は親からの指示、英語は教養程度ですが、他の資格は仕事や会社の足りないところを埋めるようにして取得しました。
今でも、足りないところは各種セミナーに参加するなどして補い、必要とあらば資格取得を考えています。

ほとんどの学校は資料請求、説明会、セミナーなど開いているのでそれを利用するといいでしょう。
そうしてある程度、よさそうだなと思ったら資格を受験したり、講座に通うといいです。
それには時間とお金がかかるので、やっぱり「資格を取ったらこうなりたい」という目的と目標をは持つことでしょう。

売場塾生徒でもMBAや中小企業診断士など難しい資格を取る方がいます。
そういう資格は数年かかりますので、さらに身構えは必要になります。
資格を習得した中には、大学教授になった人、大手会社の社長になった人、独立起業して数千万円稼いでいる人もいます。

まずは目的と目標を設定して見てください。
そして、目標に達するにはどうすればいいのか紙に書くとよいでしょう。
そのスケジュールの作り方は下記を参考にしてください。

●君たちはどう生かすか

4.VMDインストラクターはどんな資格か

ディスプレイうまくなりたい、という人よりも名前の通り、VMDの指導者になりたい、先生になりたいという目的の人の資格です。

・VMDの集合研修ができる
・VMDの現場研修ができる
・VMDのガイドラインをつくることができる

この3つができるようにする資格です。
確かに、ディスプレイの授業はあるけれど、それは基本講座では全体の1/3の時間のみ。
残りの2/3はショップデザイン、MDと展開、体験販促です。

基本コースはVMD基本講座・アパレル基本講座という名の通り、基本を学ぶためのコースですが、指導コースはその名の通り、指導者になりたい人のコースです。
このネーミング、応用コースとかプロコースでもよかったんですけどね。
目的を明確にするためにあえて「指導コース」にしました。

目的が明快だけあって、入塾する人の8割は本部のVMD担当かリーダーです。
13%は独立起業してVMDで食べていく目的で入塾しています。

とはいえ、「VMD初心者」「VMDを習ったこともない」という人でも対応していますので、ご安心ください。
詳しくは説明会や資料請求、セミナーなどにお越しください。(^^)
資格の活かし方、お教えします。

●売場塾&VMDインストラクター説明会・セミナー
●売場塾資料請求

最後はやっぱり広告でした。~
ご清聴ありがとうございました。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ネーミングによるブランディング戦略

オーバルリンクのロゴ

今日はネーミングと商標によるブランド戦略についてお話しします。
例によって広告マン時代から今日に至るまで綿々と続いている活動です。
この話、販促部の方や宣伝部、営業企画部や独立起業した方にもばっちりためになるのでよく聞いてくださいね。(^^)

1.広告マン時代のネーミング戦略

今は小売店やメーカーを含めた流通業社をクライアントとしているオーバルリンクなんですが、広告マン時代はメーカーが主なクライアントでした。
静岡支店時代だったので、お茶メーカーや釣り具メーカーなど静岡ならではの商品のネーミングが多かったです。

ネーミング自体を依頼されたことはまったくなく、「どうしたら売れるのか」「どうしたら名前を消費者に覚えてもらえるのか」などを考える上で、浮かび上がったアイデアのひとつです。
それとは逆に、「こんな商品があったらいいな」という過程で浮かび上がった商品自主プレのネーミングもありました。

当時の私の広告スタイルはAE。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)といい、広告だけでなく商品開発から販促企画までブランディングをトータルに行っていたため、商品の名前は重要でした。
主なものを紹介していきましょう。

A.釣り具パーツ

オモリやフックなど釣りにパーツは欠かせません。
パーツ商品のパッケージデザインを任されました。
釣具店の売場にはいろいろなメーカーのスイベルやオモリが並んでいました。

しかし、どのメーカーも似たような袋のパッケージ。
品番とアイテム名のみ、例えば「No154-5 スイベル」とか「No874-8 スピナー」という商品名でした。
これではどの商品を選んでいいかわかりません。

そこで、依頼されたメーカーの商品にあだ名を付けることにしました。

スピナーを「ピカイチスピナー」
スイベルを「サイクロンスイベル」
スナップを「イキイキスイベル」
リングを「手錠リング」・・・

そしてあだ名の横に1.2行の下記のようにキャッチコピーを入れました。

「ピカイチスピナー」
→「輝きが違う、回転が違う!キラメキバツグンだから遠くのバスにもアピールできる。

「イキイキスイベル」
→バスが追ってくる!ルアーをイキイキアクションさせるにはこのスイベルしかない!

あだ名とキャッチコピーを目立つようにパッケージにレイアウトしました。
黄色と青の目立つロックみたいなパッケージデザインは売場ですごく目立ちました。
思えば、このころからVMDを意識してパッケージ開発していたんです。

メーカーは最初、「卸からの注文が品番でなくてあだ名から入ってくるからわかりづらい」と言っていましたが、それでいいんです。

品番よりも名前を覚えてもらう。

それが何よりも広告効果だと思いました。

B.新茶物語

静岡では新茶の時期になると販売が活発になります。
いつも若い人向けに何かおもしろい商品が出来ないかなと思っていました。

新婚ほやほやだったわたくしは、新築の家に住み洋風リビングでお茶を飲んでいました。
リビングに置いたお茶缶はいかにも和風デザインで、板の間のリビングには合いませんでした。
かねがね、「新茶は季節の便りとして人に贈るもの」という意識あった私は「新茶はメディア」というコンセプトを考え、「新茶物語」というモダンな商品をお茶メーカーに提案してみました。

提案の直接のきっかけは下記でした。

橋本環奈似のモデルが和服を着てウォークマンを聞いているお茶カタログの表紙。
それは東京のデザイナーに依頼してつくってもらったカタログデザインでしたが、とても気に入りました。
それをヒントにストーリーを考えてみました。
ニューヨークに滞在している父に静岡にいる大学生の娘が新茶を送るという物語。

若い女の子だったらこういうお茶を送るんだろうな、というイメージでステンレスの丸い弁当箱のような缶にお茶を入れ、金平糖を白磁の皿に入れて箱にセットでつくってクライアントに提案しました。
名前は「新茶物語」
顧客が新茶を贈答する際はオリジナルの手紙を中に入れられる仕組みにしました。

娘の名前はみどりとし、書道五段の私が女の子っぽい手書きで広告用の手書きを書きました。
小売店にとっては代筆して先様に送るというかなり面倒くさい商品でしたが、話題性とクリエイティビティは確保できました。

C.新世紀

2000年を迎えようとししている時。
社内会議で「2000年という節目は広告チャンスだ。それをネタにみんなで企画を出し合おう」ということになりました。
そこで、私は「新世紀を商標登録してそれで商品づくりを企業に提案しよう」という案を出しました。

「新世紀」は梨で有名です。
ただ、梨は果物の部類に入っているため、他の部類の商標はされていませんでした。
これはチャンスです。
食品メーカーに持ち込めるように、砂糖・お茶・米などの部類で会社名義で商標登録しました。

先願権がないの弁理士に確認してもらい、いろいろな企業に企画を持ち込みました。
決まったのはやはりお茶店で、新世紀の祝いのお茶を出そうということになりました。
神社にお祓いしてもらったお茶を「新世紀」として通販で売り出すことになりました。
結果まずまずの売上と話題作りができました。

しかしこれ、落ちがあります。
後日、他のお茶店が商標を持っているのが判明し、販売の続きはできないという羽目になりました。
特許庁が間違えてダブル承認してしまったということでしたが、今でも腑に落ちません。

そのほかにも会社員時代には、

・マナ坊
・ラジオインターネットマニア
・アースデザイン・マインド・ミュージック
・よりどり緑
・オーシャン・リー

などいろいろなネーミングを考えて企画提案・実施しました。
こんな感じで、商品名はマーケティング、ひいてはブランディングの一環で、広告・販促を営む人なら誰でも必要なものでした。

さて、ここらでオーバルリンク時代のネーミングに移りたいと思います。

2.オーバルリンクの商標戦略

広告代理店を辞めてVMDの専門会社をつくってからも、VMDをどうやって商品化するか考えていました。
とはいえ当社はコンサル会社なので、商品は無形商品です。
サービス名というのが正しいです。

しかし、ネーミングの考え方は商品でもサービスでもテレビ番組でもタレント名でも、まったく同じなんです。

ましてや創業したての会社が「VMDいかがですか?」と企業に売り込んでも、相手はまったくわかりません。
実際のところ創業当時は、VMDという言葉も知らない企業がほとんどでした。
電機メーカーのクライアントが多かった私は、やっぱりVMDを分かりやすく企業に知ってもらうには、ネーミングが肝だと思いました。

・売場UP2サポート
・売場ドッと混む
・リモデルプラス
・ユニットVMD ・・・

など、いろいろ考えて提案・実施してきました。
VMDのコンサルが多くなり市場が大きくなった今、商品名を考えるのは差別化として不可欠になりました。

ここで、当社のメイン商品として商標登録し今でも続けているサービス、それらをいくつか紹介します。

「売場塾」

VMDの学校 売場塾ロゴ

VMDセミナーサービスをつくるにあたって、何かよい名前がないかなと思っていました。
「VMD大学」、「VMD道場」、「VMDスクール」などが考えられますが、どれもありきたり。
少人数の上、ビルの地下でセミナーをやっていたことから、塾という名前がしっくりきました。
うちの社員にデザインの原案を渡し、上記のようなロゴにしました。

リリース直前、私が少し横長文字に改良しました。
VMDという言葉が入っているのがとても気に入っています。
(気がつく人は少ないですが・・・)

次いでサブネームも考えました。

出張売場塾 →クライアント先で行う売場塾
オーダーメイド売場塾 →クライアントの業種・業態・取扱商品にカスタマイズする売場塾
オンライン売場塾 →オンライン講座

など。

地下で始まった売場塾

これは売場塾の初期の様子。
地下室で始めたので、やっぱり学校というより塾ですね。(^^)
売場塾の生い立ち、詳しくは下記をクリックしてください。

・売場塾アーカイブ

以後、どんなセミナー関係でもほぼ「売場塾」のロゴを入れています。
単なるVMDセミナーというよりも、売場塾という学校のベースがあり、その理論や教材を使ってセミナーをする、という特色が出るため、法人セミナーでもロゴを入れています。
by 売場塾 という感じですね。
インテル入っている、という使い方です。

「月刊VMD」

月刊vmdロゴ

これは最近開発した商標です。
普通に読んでみると「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」です。
VMDに関する雑誌ブランドと思ってください。

現在、VMD専門の雑誌は存在しません。
かといって当社が月刊誌を本屋で売る流通誌として出すとかなり労力がかかります。

時間も人材もない当社ができることは、まず月ごと送っているメルマガやブログに名前をつけるということでした。
そこでつけたのが、「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」。

響きがいいんです。(^^)
これもネーミングの大事な要素。
すぐに覚えてもらえるんです。

かといって、それをすぐに販売して利益にするのは難しいので、しばらくホワイトペーパーの名前にしていました。
ホワイトペーパーとは広報用の雑誌みたいな意味で、MA(マーケティング・オートメーション)やっている会社がよくやっている販促ツールです。

もともと当社はビジネス誌や書籍にたくさんの論文を書いています。
それらをマッシュアップして記事化し、当社のVMD理論やレポートとして無料で配付していました。
毎月新しい情報を必ず2つは流しているので、ホワイトペーパーも「月刊VMD」と問う名前にしてクライアント等にお送りすることにしました。

その後、オンライン「センスアップセミナー」のテキストにもすることにしました。
2021年の9月から今でも続いています。

・センスアップセミナー

今年春からは「月刊VMDムック」として書籍発売もすることにしました。
ムック購入したい方は下記からお申込みください。
1冊から買うことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」

またキンドルのサブスク入っている方は無料で読むことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」キンドル版

今年、月刊VMDをファミリーブランド化し、月刊VMDブログ、月刊VMDメルマガ、月刊VMDムック、月刊VMDレポートなどと、でサイン統一しました。

vmdメディアブランド戦略図

今まで述べて来たことを図にしたのが上記。
広報メディアもブランド化できることが分かったと思います。

「商空間スタイリスト」

商空間スタイリスト

VMDインストラクターがVMDの資格として確固たる地位を確立したころ、ディスプレイの資格は考えられないだろうか、考えていました。
そこで上記のような名前を考えました。

「商空間スタイリスト」を商標化したのは2017年ころ。
このディスプレイ資格の特徴を如実に図案化しました。

・陳列スタイリスト
・展示スタイリスト
・プロップPOPスタイリスト

「商空間スタイリスト」は上記3段階を経て取得する資格のため、このようなロゴになりました。

ロゴのしくみとして、上記3段階を入れた4段階の資格の色を決めています。

・陳列 →オレンジ
・展示 →パープル
・プロップPOP →グリーン
・商空間スタイリスト → スミ

色をベースにテキスト、認定証、案内書、広告に至るまでVIを決めてデザインしています。
四角いキラッとしているスクエアはシャイニングスクエアといい、デザイン要素のひとつです。
また、カードはSのイニシャルを透かしで入れています。
英名、Shop Space Stylistの頭文字ですが、私はスーパーマンのイニシャルと呼んでいます。

商空間スタイリストを取得した方、ぜひディスプレイ制作のスーパーマンになってほしいです。(^^)

「VMDインストラクター」

これはもう言わずもがなですね。
当社のビジネスモデルそのものです。

ただ、なんでインストラクターという言葉をつけたのか?というと、文字通りVMDのリーダーを育てたいという当社の方針があったからです。

売場塾を始めた2006年はVMDコンサルタントが市場にあまりいませんでした。
日本にVMDを広めたいと思って創業した当社なので、早くVMDを国内に広げるにはどうすればいいか、考えました。

そこで、私のようなVMDの先生を日本にたくさんつくると早くVMDを広められるのではないか?と思いつきました。

VMDを広める人をVMDインストラクターと名付け、日本の新しい職業にしようと考えたんです。
VMDインストラクターは、ただディスプレイがうまい人ではありません。

・ショップデザイン
・品揃えと展開
・ディスプレイ
・体験販促

この4分野のスキルを持つ人でないとVMDとは言えないと思い、VMDインストラクターを考案、商標化しました。
ヨガが広まった時にヨガインスタラクターがたくさん輩出したのと同じように、VMDもインストラクターが必要だったんです。

そしてVMDインストラクターの資格取得者は企業本部の方が多いという特徴を持っています。
チェーン店である小売店本部のVMD担当はチェーン店を指導しなければいけません。
メーカーや卸の本部の販促担当も、営業所やお得意先である小売店に提案活動、ミニコンサル活動をしなければいけません。
またVMDとして起業したい方は、VMDインストラクターそのものが仕事にならなければいけません。
つまりVMDの先生として収益を得るんです。

そういう意味で売場塾では、単にディスプレイがうまい人というよりは売場づくりを総合的に指南できる人材を育成していったのです。

詳しくは、VMDインストラクター協会のホームページをどうぞ。(^^)

・VMDインストラクター協会

この認定カードも社内で考えたシンプルなデザイン。
2006年はiPhoneが流行っていたので、iを用いた図案にしました。
すちなわちvmd-iです。

iPhoneのようにシンプルなデザイン、気に入っています。
シニアは下写真のように格調高い紫色にしています。

VMDインストラクターはただいま922名なのですが、シニアはまだ22名しかおらず非常に貴重な資格になっています。
シニアは実技試験があり、合格率もVMDインストラクターより低いです。
シニアは「VMDをコンサルサービスとして収益を上げられる人」が認定基準となっています。
そのため、シニアを取った方の半分以上が独立起業しています。
中にはVMDコンサル事務所として株式会社を立ち上げる方もいます。

VMDプロの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクター目指して頑張ってくださいね。(^^)

3.社会意義的な商標

当社は上記の他にもたくさんの商標を持っています。
商標は当社のブランディングの一環として捉えています。

例えば「快場」はいろいろな企業が使っている、もう流通業界では馴染みの言葉なんですが、実はオーバルリンクの商標なんです。
快場のコンセプトは下記を参照ください。

・快場とは

フットマーク株式会社が「介護」という言葉を考えて商標登録したのと似ています。
フットマークの社長は、看護と介助という字を組み合わせて「介護」という文字にしました。
商標の権利は今でも保持しているんですが、みんなが知らずにフツーに使っています。
子供を守る学校の水泳帽は今では当たり前なんですが、これもフットマークが昭和時代に考案したもの。
以前社長の講演を聞きに行ったんですが、こうした活動はすばらしいと思いました。

「快場」も「介護」なみにフツーの言葉になりつつあります。
いや、コロナ禍後の売場づくりはますます「快場」が意識されています。
それは「リアルな売場は楽しい買い物体験を提供する場にしなければいけない」という機運が高まっているからです。

4.商標は戦略にする

最後に大事なことをひとつ。
ネーミングや商標は「おもしろい名前思いついたから、とりあえず登録する」だけじゃダメなんです。

あなたの商品、あなたのサービス、あなたの会社の戦略にしなければいけません。
名前を決めるきっかけは二つ。
●今ある商品やサービスに名前をつける ●名前から発想して新商品やサービスをつくる があります。

広告代理店時代は前者が多かったんですが、会社をつくった今は後者も多くなりました。
前者も後者も戦略が必要です。特に後者は入念に行っています。
私はいつも企画書を書いて、戦略の道筋を整理しています。
登録する商標の2.3年後、長いときは5年後の姿を描いています。

例えば、「商空間スタイリスト」という名前を考えたのは2014年6月。
パワポの企画書は24ページ。書き直し3回。
そして実際にスタートしたのは2017年12月。
今なお、企画書を更新しているんです。

「VMDインストラクター拡張戦略」を書いたのは2014年11月。
企画書ページ数は23ページ。
2016年10月で企画書更新6回目になっています。

そんなわけで、デスクトップの事業戦略ホルダーは、いろんな企画書でいっぱいなんです。
あたためているネーミング、たくさんありますよ。(^^)
商品やサービスの未来を考えるってなんだかワクワクします。

ということで、いいネーミング思いついたからと言って、安易に商標登録しないでくださいね。
どのように収益化するか練りに練ってから商標登録しましょう。

販促部の皆さん、VMDプロの皆さん、お店や会社、商品のブランド確立、ともにがんばりましょう~。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場塾生が1,000名になりました

0.地下室から始まった売場塾

売場塾の生徒もこの秋で1,000人になりました。

売場塾はいつからどこでやっているのか。
それは2006年4月春期からです。
そして場所は東京三田なのですが地下室から始まったということです。

このブログでは、社会人の皆さんに参考になる、ノウハウの生かし方についてお話しします。
すなわち「君たちはどう生かすか PART2」です。
PART1は下記をお読みください。

●君たちはどう生かすか

さて、VMDの会社を21年続けていて山あり谷ありだったエピソードに加え、私がサラリーマンだった20年間も振り返ってみたいと思います。

それは下記ではないでしょうか。

  1. 仮説を立てて行程表をつくる
  2. コツコツ続けて工夫を重ねていく
  3. 自分を貫く
  4. 他人と違っても気にしない

ひとつひとつお話しします。

1.仮説を立てて工程表をつくる

「これをやりたい」
「あれをやりたい」

なんて誰でもありますよね。
仕事では

「バリバリ新規開拓したい」
「VMDをうまくなりたい」
「プレゼンスキルを上達させたい」

でも、殆どの人はそう言っているだけでなかなか実行に移しません。
仕事が忙しいことを言い訳にしているからです。

本当に希望をかなえたいなら、まず何をやるかまとめ、時間をつくること。
そして、とりあえずのゴールを決めるといいです。

「バリバリ新規開拓したい」なら、ゴールは下記のように定めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」
「1年以内に1千万級のクライアントを1社とる」
「新聞広告のクライアントを毎期獲得する」

など、おぼろげでいいので決めます。
ノートにメモりましょう。書くと気持ちも整理できます。

次に工程を決めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」

だったら、

「1日5軒は学校関係の企業に飛び込み営業する」
「釣り具業界の有名な会社にプレゼンする」
「テレビ番組をつくってスポンサーを募る」

みたいに、どうやってクライアントを5本開拓するか方法を決め、動き出します。

上記は私が広告代理店のサラリーマンだった時、本当に行ったことです。
そして実際に新規開拓だけで3年でクライアントを獲得でき年計2億になりました。

2.コツコツ続けて工夫を重ねていく

私が大学卒業して入った広告会社は、1年以内に8割方の新人が辞めていくという過酷な会社でした。

飛び込みセールスで新規を取っていくというまさに昭和時代のスタイルでした。
ほとんどの人が喫茶店でコーヒーを飲んで一日をしのぎ、やがて辞めていきます。

「単純に飛び込みしても仕事は得られないだろうな」

大学出たばかりの私は、A,B,C,Dという静岡市内の営業ルートを考え、そのルート上にあるよさそうな広告主に月2回の頻度で飛び込みました。
「断られても4~5周回ればなんとかなるだろう」と思いました。

1週目は門前払いです。
2週目も門前払いです。

3週目は、広告主なら誰もが興味を持つ資料を自分で作り、持ち込みました。
すると話を聞いてくれる広告主ができました。
4週目に入ると、ひとつの広告主が「実はこんな悩みがある」などいう相談がきました。
5週目に入ると、わずかばかりの広告をいただけました。

こんな風に工夫に重ねていくとよいです。

あとは持続力です。
他の人は2週目に門前払いされたところで、もう3週目は行かないでしょう。
そこが普通の人なんですが、諦めずにコツコツ地道に実行するようにした人に門は開いて行くんです。

2006年に始め売場塾も山あり谷ありだったんですが、工夫を重ねてここまで来ました。
時間帯を工夫したりテキストやワークショップを変えたりと、コツコツ工夫を重ねているからこそ継続でき、今があるんです。

実際、起業した人で公開セミナーや学校を始める人は多いのですが、途中でやめてしまう人がほとんどです。
最初はよくても、そのうちに集まらなくなってくるからです。
もう少し頑張って工夫して継続していく努力をした方がいいと思います。

3.自分を貫く

時代はインターネット創世記になりました。

その時、インターネットの中から面白い音を見つけて、それと音楽をリミックスするという番組を思いつき、社内プレゼンしてみました。
しかし、誰からもあまり協力してもらえません。
それでも、出版社と音楽制作会社に掛け合って、自分でスポンサーを見つけて半年ラジオ番組としてオンエアしました。

何か新しいことをやろうとすると、周りから反対されたり、賛同が得られなかったりすることが多いと思います。

「やめた方がいい」
「そんなことやってどうなる」
「・・・(無関心)」

こんな感じで周りに冷たくあしらわれたら、あなたは辞めますか?
サラリーマン時代、私は自分がやりたいことはトコトンやりました。
よくいうセリフは下記でした。

「これでスポンサー集まらなかったらどうする?」
「責任を取ります」

今でも新規事業はしょっちゅう社員に反対されます。(笑)
しかし、やると決めたからにはある程度までやってみることが大事です。
事業というのは人の顔色伺いながらやるものではありません。

というか、広告代理店時代は、番組枠をテレビ局やラジオ局から事前に買うので、何が何でもスポンサーを見つけて実施しないといけません。
やるからにはリスクと覚悟が必要です。
会社もそうで、作ったからには何年も長続きさせないといけません。
創業後会社が20年続く確率はたったの0.4%なんです。

単に「おもしろそうだから」と思ってやるだけのあなたは長続きしないでしょう。

4.他人と違っても気にしない

東京本社に転勤したとき、ケータイキャリアの担当になり、店頭プロモーションやVMDの仕事をしていました。

VMDはケータイショップの売場づくりのコンサルでしたが、これ以外にもたくさん仕事はありました。
睡眠時間は毎日2~3時間。それが1年続いていました。

「死にますよ」

よく同僚に言われていました。
しかし、将来のためのノウハウを得るために睡眠は犠牲になりました。
浅草橋から隅田川を眺めながら、早く週末になることを願っていました。
しかし今だと、これ問題になりますね。。。。

前の会社はテレビや新聞などマス広告中心の会社です。
社内では店頭プロモーションやVMDなどはもう論外で、「どぶさらいみたいなことやっている」と、他の方から言われていました。
マス広告やっているとカッコいいのだろうか?
私も過去CM賞や新聞賞取りましたが、テレビも店頭も同じだと考えていました。

「ビジュアル・マーチャンダイジングってなんかかっこいい!!」

実は、この道に進んだのは名前からでした。(笑)

そして意外と売場づくりに困っているクライアントがたくさんいることも、この業務で知りました。

「売場づくりに特化した広告代理店なんてないだろうな」

こうしてVMDに特化した広告代理店「オーバルリンク」が誕生しました。
みなさーん、どんどん異端児になりましょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

サブテーマでディスプレイをわかりやすくする

1.サブテーマってなに?

今回はサブテーマの設定の仕方をお話しします。
VMDでよく出る用語として、下記があります。

  • テーマ
  • コンセプト
  • トーンアンドマナー
  • テイスト
  • ルック

これらはみんな混同しがちなので、まずは十分用語を理解してください。
用語忘れた方は、下記のサイトで復習しましょう~。

●コンセプト、テイスト、トーン&マナー

●テーマ

●ルック

さて、本題「サブテーマ」に戻ります。

サブテーマとは何かというと、テーマのサブのこと。
副題、補助テーマ、第2テーマ・第3テーマ・・・のことです。

テーマがあってサブテーマがあるってどういうこと?
と疑問に思うかもしれませんが、これディスプレイや小分類位の売場の商品決めに役に立つんです。

テーマって何のためにあるのか?考えてください。
ズバリ、商品を絞り込むためにあるんです。

上図を見てください。
これをサブテーマのファネルと言います。
ファネルとはじょうごのこと。何かをろ過するために使いますよね。
このじょうごで、テーマをろ過するんです

インテリアショップVMD担当のあなたが、ディスプレイをつくるとします。
テーマは「リビングの小物」です。
「できた~」と言って、あなたはこんな感じのディスプレイをつくります。

三角構成になっているし、バランスもいい。満足~。

でも待てよ。
これ、色も形もバラバラだからもう少し整理するしようかな。
そう思ってサブテーマを先ほどの図の様に設定しました。

  • サブテーマは「青」
  • サブサブテーマは「丸い部分があるもの」
  • サブサブサブテーマは「フチのあるもの」

そうして、サブテーマのファネルを通して商品を集め、下記のディスプレイをつくりました。

どうですか?
改めてサブテーマありなしを比べてみましょう。

明らかに右の方がまとまっていますよね。
サブテーマで、色や形、デザインを絞り込んだから、まとまってきたんです。

2.サブテーマがないディスプレイとは

上の写真は空港で見たディスプレイです。
テーマは、「ハワイ州推薦のお土産」。
上の方にポスターがあり、「このマークはハワイ州推薦のおみやげ品」とあります。

しかし英語が読めない日本人は、これなんだろう?としか思いません。
缶詰やら瓶やら袋やらが、たくさん集積されているからです。

※この写真は「顧客目線でパラダイムシフトしよう」でも紹介されています。

かろうじて、テーマは「ハワイのお土産」と分かっても、それ以上はわかりません。
かろうじてわかるのは、右側のバナナポテトチップス。
それ以外は、じっくりみないと、はちみつなのか珈琲なのかわかりにくいです。

そこで、ホノルル空港VMD担当であるあなたはサブテーマを設定します。

  • サブテーマ ・・・旅行者に人気の商品トップ20以内の商品
  • サブサブテーマ ・・・コミック本サイズ以上の大きなパッケージのお土産品
  • サブサブサブテーマ ・・・中身がきちんとわかるパッケージのお土産品

と絞り込み、さらに下記の様にフェイシングのレギュレーションを決めます

  • フェイスは3個以上並べる
  • 皿やカップに盛り付けられる中身は、盛り付け例も入れる
  • コントラスト配色になるように展示する

●コントラスト配色とは
※上記ページの中の項目「カラー商品展開」をご覧ください。

こうすると、写真の展示はかなりわかりやすくなると思います。
誰もが「ハワイのお土産だ~」と思うに違いありません。

3.サブテーマ設定事例

さて、実戦編です。上記写真を見てください。
あるお店のガラスケース内。

・MDテーマは「ガラス食器」

確かに~。
しかしこれで満足してはいけません。

VMDインストラクターにサブテーマをつけてリバイスしてもらいました。
下の写真を見てください。

  • MDテーマは「ガラス食器」
  • サブテーマは、上棚が飲み物用、下棚がおかず用

どうですか。
Beforeは、飲み物も小鉢も皿も一緒くたになっていましたが、サブテーマですっきりとしたディスプレイになりましたね。
フェイシングのレギュレーションは下記にしたので、さらにバランスがよいディスプレイになっています。

・ツインシンメトリーに置く

今度は、売場塾のワークショップ生徒作品例を見てみましょう。
テーブルディスプレイです。

  • テーマ「会社のビルで屋上バーベQ」
  • サブテーマ「アーバンマリン」
  • サブサブテーマ「ボーダーときれいめボトムス」
  • サブサブサブテーマ「コントラスト・コーデ」

テーマ、面白いですね。
サブテーマで色や柄もまとまっています。

ディスプレイのレギュレーションは下記です。

  • IPとPP
  • シンメトリー
  • コーディネート

こんな感じで、アパレルディスプレイにとても役立つサブテーマです。

4.家のディスプレイにも使えるサブテーマ

最後におまけです。
きのう、書斎の壁面にフレームを入れました。
写真はすべて私の撮ったもので、キヤノンのカメラで撮りました。

上の壁面フレームは下記がテーマ。

  • テーマ「ハワイ」
  • サブテーマ「ホテルライフ」

下の壁面フレームは下記がテーマ。

  • テーマ「ハワイ」
  • サブテーマ「自然」

どうですか。
壁に貼るフレームでも、テーマとサブテーマを設定すればまとまるのがわかったと思います。
お店でも家でもどこにつくっても、サブテーマはツカエルディスプレイテクなんです。

VMDインストラクターのみなさん~、
売場づくりやディスプレイ制作にぜひサブテーマ活用してくださいね。
サブテーマで商品を絞り込んで、見る人に何のテーマかわかりやすくしましょう。

ディスプレイテーマ設定に関しては、オンラインセミナー「センスアップセミナー」で詳しく教えています。
●センスアップセミナー「商品展示」

興味ある方は、ぜひご参加ください。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

スターバックスはマネできない

スターバックスがロシアから撤退後、ロシアは新しいコーヒー店をオープンさせました。
その名はスターコーヒー。
マークもやたら似ています。

●スターコーヒー

従業員はそのまま正規雇用となり、同じようなメニューを顧客に提供しスタバだった店舗を「スターコーヒー」として運用していくようです。
新オープンにはたくさんの客が並んだそう。

お店づくりという点に関しては、他店をマネするということはよくあること。
ただこの場合、商標が酷似しているのでほぼ違法でしょう。
スタバも静観を保っています。

クリティカルコアという言葉があります。
これは、「他社がマネできないほど非合理な核心」という意味です。

スターコーヒーがいくら店の外観・内観をまね、商品をまねても所詮はスターバックスになることはできないということです。
果たして、下記のスタバのクリティカルコアをまねできるでしょうか。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回せるのでしょうか。
  2. 顧客のメニューにない注文をスタッフがわざわざ受け入れてくれるでしょうか。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さずに運営していけるでしょうか。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくって展開できるのでしょうか。
  5. 従業員に自社株を持たせるというモチベーション維持はできるんでしょうか。
  6. タバコを吸う人を一切入れないという決まりを維持できるでしょうか。

上記を遂行するのはかなり難しいのではないでしょうか。
これがスターバックスの持つクリティカルコアだからです。
これをマネしても、あまりに不利なことが続いてしまいます。

普通のコーヒー店の経営者だったら以下のことを考えてしまいます。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回すなんてもったいない。
    利益を出すために、半年はコーヒーは在庫として使うべきだ。
    お客は2週間の味でも1年の味でもわからないから大丈夫だ。
  2. 顧客のメニューにない注文をわざわざ受け入れるだと? 入れる氷の量を調整する? ホイップをコーヒー味にする? ココアパウダーを振りかける?
    そんな面倒なことはしたくない。今あるメニュー以外は提供なしだ。スタッフの効率化を考えればいい。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さないだと? ゆったりコーヒーを飲める空間を保つのも理解できるが、うちは利益重視だ。
    ランチやディナーのメニューもたくさん出して客単価を上げないと。
    多少ワイガヤするけど、その方がにぎやかな空間になって逆にいいだろう。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくる?
    そんな非効率的なことはしたくない。絵画はそれらへんで売っているポスターでも貼っておけ!
    BGMは有線(ロシアにあるはわからないですが)を使え。それで十分だ。
  5. 従業員に自社株を持たせるだと。会社が儲けた利益は我々経営者のものだ。
    スタッフはバイトでいい。一番安い時給でいいぞ。
  6. タバコを吸う人を一切入れないだと。ロシア人は喫煙率が高いんだ。
    ロシアは喫煙者は男性6割の女性2割の、世界トップレベルの喫煙大国なんだぞ。
    最低でも喫煙ルームは確保しろ。

とまあ、こんな調子を続けると、うわべだけマネしても中身は全然スタバでなくなるでしょう。
そのうち、ウオッカも出して、フツーのコーヒー屋である上に居酒屋と化すでしょう。

これがクリティカルコアの「ライバルのうわべだけマネしても決して追いつくことはできない」理由なんです。
店が長く続き、お送りのファンを抱えているブランドにはクリティカルコアがあるんです。

2.日本の小売店のクリティカルコア

今までVMDの会社20年やってきましたが、よくあるのが、
「ユニクロのような店舗にしたい」
「ドン・キホーテのようにしたい」
「イケアみたいな家具屋にしたい」
と、うまくいっているブランドの売場をまねたい経営者の言葉です。

売場を詳しく分析すればある程度まねることはできと思います。
床・壁・天井・什器・照明などの構造や素材・意匠、ディスプレイの仕方、POPの作り方などを解析し、似せることはできるでしょう。

しかし、そこまでです。うわべは似ていても中身はマネすることはできないのです。
逆にマネをしてしまうと、ライバルである同店に客はどんどん流れてしまい、まねた自店は自滅の道をたどることになるでしょう。

ロシアみたいにスタバがなくなったので、仕方なくスターコーヒーに行く、という客は残るでしょうが、日本からユニクロやドン・キホーテの店がなくなるということは考えられません。

あるとき、「もちクリーム」という和菓子ブランドが話題になったことがありました。
デパ地下に出店すると週に数百万を売るブランドで、全国の百貨店で引く手あまた。
たちまち直営店も増えていきました。

ウインドウには色とりどりのおいしそうな大福が並んでいて、中身はあんこだけでなく、メロンやイチゴ、チョコなどいろいろなフレーバーのクリームがきっしり入った、大福のようなお菓子です。

数か月たち、従来の和菓子店の中で、似たような商品を出す店が出てきました。
デパ地下のその店のガラスケースには、もちクリームのような大福のサンプルが並びました。
しかし、その店は程なくして、もとの姿に戻りました。

もちクリームのクリティカルコアは、下記です。

  • それだけ販売している単商品のみの店である
  • 冷凍して販売し解凍して食べる商品である
  • 冷凍しても風味が変わらない独自のソースを自社工場で開発している
  • フランチャイズではなく直営店のみを出している
  • 短周期で新フレーバーを出し続けていく持続性がある

まだあるかもしれないですが、少なくても上記は決して一介の和菓子メーカーはマネをすることはできないでしょう。

冷凍でも風味を閉じ込める特許技術が必要な上に、単品売りだけで商品を売り続けていくというむずかしさ。大福を凍らせるだけでは餅と中身の風味が落ちしまう。
だいふくをイチゴの色をつけてピンクにしたとしても、その鮮度や風味はけた違いに違うものになるはずです。

しかも、冷凍庫をガラスケース下に設置しなければならない手間とコストがかかります。
餅クリームをGケースに置いた分、他の商品は置けなくなりますからリスクも半端ないでしょう。

次第に店の売上が下がっていき、耐えきれなくてもとに戻したのだと思います。
このような事例はよくあることだと思います。

クリティカルコアを持つことは、他店の追随を許さないどころか、模倣した他店を大きく引き離すことができます。

3.話題のものがうまくいっているとは限らない

24時間、世界中のあらゆる情報が自由に手に入るようになった今、表面的な判断でものごとを決めないほうがいいと思います。
特には、店舗DXですね。

コロナ禍の今、流通企業のすべてがDXを導入しています。
無人レジ、売らない店、ライブコマース、VR店舗、スマートショッピングカートなどなど、話題は事欠きません。
テレビCMもコロナ前よりIT会社の放映が多くなったような気がします。

しかし、DXの話題すべてがうまく行っているいるわけではありません。
例を見ていきましょう。

  • アメリカのb8ta(ベータ)が日本上陸し、売らない店として店舗を拡大
  • アマゾンがECサイトと連動したリアル書店をチェーン化推進
  • セブン&アイがセブンペイをリリース、オムニチャンネル加速

など、近年始まった華々しい話題も下記のようになりました。

  • コロナで来店客が伸びなくなり、b8taは全米すべての店舗を撤退
  • アマゾンは今年、英国と米国で始めたリアル書店68店をすべて閉鎖すると発表
  • セブンペイの撤退は一昨年ありました。みんなよく知っているから話すこともないでしょう

b8taは日本事業はうまくいっているようなので、日本は問題ないです。
日本は丸井がb8taに出資していて、丸井だけでなくSCにも出店しているのですが、これはまだ成功しているかどうかはわかりません。
なのに、この「売らない店」を救世主とばかりにわが店舗に導入しても、うまくいくかはわかりません。

このように、マスコミで話題に載っていることがすべてうまくいくとは限らないことに注意しましょう。
「他店がDX化しているのでヤバい!!乗り遅れないようにわが社も導入しよう」と決める前に、本当にその方向がよいのかPLANする必要があります。

新規の話題は多いものの、その後の経過についてはあまり話題に上がらないので注意しましょう。
または、企業が広告をたくさん打っているからといって、その商品やサービスが売れているとは限らないのです。

4.オリジナルVMDを開発しよう

そもそもVMDには4つの分野があり、これを相関させながらオリジナルなノウハウにしないと、店舗ブランド(メーカーの場合は売場ブランド)としてやっていけないと思います。

4つの分野とは

  • 品ぞろえと展開
  • ショップデザイン
  • ディスプレイ
  • 体験販促

です。

●VMD4つの分野とは

こんな話が昔ありました。お茶店の改装をすることになり、設計士を呼んで打合せしました。
すると設計士は「お茶店だから{「富士山と茶畑」の写真をどかんと壁に設置しますか」と言いました。
その後、設計士は交代、他の設計士によい店舗を作ってもらいました。

新しい設計士と茶店とお茶工場をつぶさに見学、歴史や社員の人柄などいろいろヒヤリングしながら、コンセプトを作り出しました。品ぞろえも変え、店舗も変え、2階で体験ができるように工夫し、ディスプレイも美術館と提携してその店でしかできないものをつくりました。

こういうのがオリジナルと言えるでしょう。そう、ブランドは他社にない独自のVMDを開発すべきだと思います。

店舗や売場にVMDを導入するとき、どこそこの店のVMDを研究するのはいいとして、そっくりそのまま導入しても、所詮二番煎じ、顧客は定着しないでしょう。
または衰退の一途をたどるかもしれません。
VMDのオリジナリティがないからです。

VMDをクリティカルコアまで昇華する必要はないけれど、やっぱりマネだとお客様はすぐにわかってしまいます。
ぜひ、あなたの店ならではのオリジナルVMDをつくってください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場編集とはVMDインストラクターの仕事


1. 売場づくりにはいろいろなタイプがある

今回は、売場編集というVMD用語について触れます。

上記黒板を見てください。
売場づくりっていろいろな言葉があるんです。

売場づくりといっても「いろいろな売場づくり」があるんです。
売場づくりにエントリーしている人、専門家を例にとって、「売場をつくる」という動詞がどう変わるのか、お話ししましょう。

●動詞 → 専門家
という書き方にしています。
「売場」は「店」に置き換えてもOKです。

●売場を装飾する →デコレーター
百貨店や専門店等のウインドウのディスプレイをつくる人のこと。
プロップスというディスプレイ用品を使うのが特徴。
クリスマスやハロウインなどモチベーション期間に店内装飾をすることも多い。
造作と言って、クリスマスツリーや人形のオブジェを手作りすることもある。

●売場を施工する →施工会社
施工は、店の新装・改装をするときに使う言葉。
床・壁・天井・什器・照明等大道具の取り付け工事することを言う。
多くは施工会社が設計をし、什器メーカーが製作、大工・左官・板金・看板といった職人が取り付ける。

●売場を設計する →設計士
売場や店の設計図を書く人。企画設計と実施設計があり、企画設計は店主に見せる店舗の概略設計図。
実施設計は企画設計に材料の仕様など細部を書き込んだ設計図。

売場を制作する →SP会社
売場を制作するとは、デザインをするに近しい言葉。
SPとはセールスプロモーションの略で、販売促進という意味。
SP会社はデザイン会社、または社内デザイン部と連携して、什器・POP・電飾など販促物を制作する。
小売店の店頭をSP用スペースとして、そこで商品の体験キャンペーンなどを打つ。

●売場を製作する →什器メーカー
売場を製作するとは、機械や部品を使って売場の調度品をつくることを指す。
製作はオブジェの他、什器製作・家具製作が多い。
したがって、什器メーカーや家具メーカーがその役割を果たす。

●売場をデザインする →店舗デザイナー
店舗デザイナーという言葉は設計士とニュアンスが違う。
設計士は図面を書くことが主なのに対して、店舗デザイナーはパースで勝負する。
店舗や売場のイメージをわかりやすく店主に提案する人だ。

●売場を編集する →VMDインストラクター
売場を改善したり、商品の入れ替え等で売場を変更することを編集という。
売場編集はMDプラン、つまり売り物が主体になっている。
雑誌や新聞のように、打ち出し商品によってレイアウトを変えたり、ディスプレイや販促物を変えたりする。
売場の編集者とはVMDインストラクターなのである。

2. 売場編集の特徴

わかりましたでしょうか。
売場づくりとひとことで言っても、いろいろな売場づくりがあり、専門性で多方面の職業人がいるというわけです。
私がVMDインストラクターという職業を提唱するのは、「売場を編集する」という行為を広めたかったためです。
それは、店舗デザインをするのではなく、売場を装飾するのではなく、施工工事をするのでもありません。

専門店、百貨店、スーパー、ホームセンターなどほとんどの業態の売場は1年52週で動いています。
週ごとに打ち出し商品も違いますし、新商品も入ってきます。
さらに催事、キャンペーン、セールなどの機会もあります。
毎週変わる売場は、そのたびに施工したり、店舗デザインを変えたり、什器をつくるわけではないのは明らかです。

売場編集は他の売場づくりと比べて、コストがかからないという特徴があります。

ハードのコストは不要
施工や製作がなく、什器レイアウトや陳列・展示の変更、販促物の設置といった作業がメインになりますので、ほとんどハードのコストはかからない。

●人的販売からセルフ販売へ
店舗人員をプロ化したり、キャンペーン係を配置するなどの接客強化と違い、商品そのものの見え方を変えて売りやすくするのが、売場編集です。
打ち出し商品が明確になり、売場が魅力的に見えるので、接客は不要。
人件費もかからない。

POPなど販促物変更だけでOK
セルフが主体なので、説明POPや演出POPなどのPOPツール、ライザーやかごなどの商品陳列や展示をする道具のみで、売場を劇的に変身できる。

3. 売場編集の具体的な項目

編集は具体的には、下記の様な作業になります。

  • MD分類
  • VMD分類
  • ゾーニング
  • 什器レイアウト
  • 導線変更
  • リレーション
  • 色の絞り込み
  • MDテーマ設定
  • ディスプレイテーマ設定
  • VP・PP・IP
  • POP編集 etc

売場を編集する、とはどういうことかわかったと思います。
VMDインストラクターとは、売場を編集できる職業人。
売場の編集長と言ってもよいでしょう。
そして、実際に売場を編集する作業は店舗スタッフになります。
VMDインストラクターが店舗スタッフに売場の編集を教え、売場づくりを指揮することによって毎週、売場はいつも目新しいものになるのです。

売場の再編集「リバイス」についてはこちら。
売上を上げるには完全リバイス!

売場の再編集「リバイス」サービスについてはこちら。
リバイス

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)


改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスする

VMDインストラクターであるあなたは、自社の売場、またはクライアントの売場に赴いて売場改善アドバイスをされていると思います。
売場改善アドバイス、的確にされていますか。
的確にアドバイスしていないと、店やクライアントがVMDの本質を理解する機会を逸してしまいます。

では、的確なアドバイスとはなんでしょうか?クイズを出します。
下記のアドバイスはいいのでしょうか。それともダメでしょうか?
メガネ店に現場アドバイスすると仮定します。

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイ・ヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。
●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。
●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。
●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にすると、サングラス売場ぽくていいです。


答えを言います。上記のアドバイスは全部ダメでした。~
どこがダメかというと、ダメなタイプ、4つに分けられると思います。

1.単なるアイデア出しになっている
2.本部と協議しなければならないような課題を言っている
3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている
4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている



上記9つの間違ったアドバイスを、1から4に振り分けてみます。


1.単なるアイデア出しになっている

●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。


5.自分の好みを正当化している

●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。



当社は、売場塾で行っているVMDインストラクターの試験の他に、いろいろな企業のVMD社内資格と試験をつくっています。
VMDコーディネーター、VMDアドバイザーなど、すでに1,100名以上のVMDの試験問題をつくってきました。

記述式試験では、上記1~4の間違った解答が実に多いんです。
VMDを初めて習うので仕方がないと思いますが、にわかVMDコンサルタントとしての解答が多いんです。(^^)


アドバイス、どこがどのように悪いのか詳しく解説しましょう。
1から解説していきます。


1.単なるアイデア出しになっている

一番上の図を見てください。
私たちVMDインストラクターは店舗のどこが悪くてどう直せばいいのか、店舗関係者に話をします。
その時に、アイデアを盛り込んでしまうと、「本来あるべき店舗の姿」がぼやけてしまいます。

現在の店舗の状況が悪いのはマイナス部分があるということです。
VMDコンサルは、マイナスをどう直してゼロにするかをまず初めにアドバイスします。
「本来はこうあるべきだけど、ここがマイナスですね」と話します。

その時、それを飛び越えてアイデア部分、つまり「こうあるともっといいですね」を言ってしまうと、「本来あるべき姿」が相手に伝わらなくなります。

アイデアマンであること自体はとてもいいことなのですが、それは二の次。
まずは「あるべき姿」を伝えて、ゼロの状態に直してから、プラスのアドバイス提案をします。
図のように、VMDコンサルは二段階方式で行います。
単なるアイデア出しでは、何がよくて何が悪いのかがはっきりしません。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

コンセプトという言葉が独り歩きしているせいか、この言葉、みんな使いたがります。
コンセプトは、商品コンセプトとか企業コンセプト、ブランドコンセプトなどいろいろありますが、これはもう本部案件。
その場で考えるようなものではありません。
市場調査をして顧客像を決めて、競合とのポジショニングを決めて、社内で稟議をとって・・・などと慎重に決めるような案件です。
現場アドバイスでは、コンセプトという言葉はなくて、テーマとかテイストとかトーンアンドマナーとか、その場で対応できる言葉を使います。

また、PCグラスが流行っているからと言って、品ぞろえまで決めつけてしまうのもナンセンス。
これも本部の商品部や店長に確認、協議してから決めるようなことです。
なので、「流行りとしてPCグラスを置いている店舗が多いです」くらいにとどめておきましょう。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

教科書でPPを習ったからといって、「IPにはPPを入れなければいけない」というのは単なる決めつけです。
教科書とはオムニバスなものです。
つまり、いろいろな業種・業態・取扱商品、ブランドに対応すべくつくったものなので、教科書に書いてあることをそのまま鵜呑みにするのはナンセンス。

コンビニやドラッグストアに「PPがないとダメ」とアドバイスしても始まりません。
その業種・業態・取扱商品、ブランドに対応できそうなフレームワークを選択するか、加工しましょう。

また、「展開商品は少ない方がカッコよく売場が見える」というのも間違い。
2,000円のメガネフレームの展開数量を半分にすれば、高級そうに売場が見える・・・というのは、「定量」を間違って理解している影響からでしょう。
棚の商品点数を少なくすることが「定量」ではありません。
用語の本質を理解してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

「手書きPOPは恰好悪いからダメ」というアドバイスも多いです。
手書きPOPにする理由を相手に訊かずに、一方的にダメと決めつけるのはやめましょう。
手書きPOPにしている理由があるはずです。
まずそれを店やクライアントに訊いてください。

●手書きPOPにしている理由

訊いてみたら、「なんとなく」「流行りだから」などというあいまいな返答があったら、手書きPOPにするべき上記の理由を説いてから、パソコン文字にすることをお勧めするとよいです。


5.自分の好みを正当化している

これはもう論外。
ルイ・ヴィトンが好きなのはわかりますが、好みを押し付けてもお客様は納得しないでしょう。
たとえ、ルイ・ヴィトンで新しい什器を入れて成功した事例があっても、それは什器のデザインがよかったかどうかわかりません。
ましてやそれが貴社に充てはまるとは到底考えられません。
成功事例の本質が理解できていないと、いくらルイヴィトンみたいな什器デザインを提案してもそれは押し付け以外の何物でもありません。


全国のVMDインストラクター、VMDコンサルタントのみなさん、的確なアドバイスとは何か、わかりましたでしょうか。
改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスしてくださいね。
でないと、店舗側やクライアントはますますVMDの本質を理解できなくなります。


(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

センスってどうやれば高められるの?

ゴジラ

私ってセンスない~と嘆いているあなた、センスアップするコツを伝授します。
センスがないということは、あなたの中に基準というものがないということだと思ってください。

基準を0ゼロと仮定すると、プラスはいい方向、マイナスは悪い方向になります。
当然、センスはいいというのはプラス、センスは悪いというのはマイナスです。

だから歌のセンスがないというのは、歌を歌う基準に到達していない。
少なくともマイナスということになります。
料理のセンスがないというのは、料理をおいしく作る基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

だから、「ディスプレイのセンスがない」というのは、うまいディスプレイをつくる基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

ちょっとこのディスプレイを見てください。
網にかかったゴジラです。

罠にはまったゴジラ1

ディスプレイテーマは「罠にはまったゴジラ」です。(^^)
軍艦みたいなコーヒーカップがゴジラを包囲しています。

で、このテーブルディスプレイは「センスがあるなー」と感じるところは2つあります。

●ひとつは、ゴジラを中心にテーブルが3つに割れているという点
●二つ目は、すべての「軍艦」が放射状にゴジラに向かっている点

つまりこのディスプレイをつくった人は、少なくとも「うまいディスプレイ」の基準を二つ知っているということになります。
その基準とは下記です。

●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っている
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構図を知っている
→だから、「軍艦」を放射状にゴジラに向けた

なーるほど、そうなっていますね。

罠にはまったゴジラ1-2

今度はこの基準以下の「罠にはまったゴジラ」を見てみましょう。

罠にはまったゴジラ2

ただゴジラが網にかかっているだけですよね。
言われてみれば、確かに「罠にはまったゴジラ」にはなっているけど、センスはないなあ・・・ということになります。

今度は「罠にはまったゴジラを一斉砲撃」というテーマでつくってみましょう。
例えば、あなたの子供にディスプレイ材料を渡して「「罠にはまったゴジラを一斉砲撃」という感じでディスプレイをつくってごらん」と指示してみます。

男の子は喜んでディスプレイをつくるでしょう。
でも出来上がったディスプレイはこんな感じ。
うーーん。センスがいいとは言えないかな・・・。

罠にはまったゴジラ一斉砲撃1

センスのいい子供なら、「できた!!」と言ってこんな感じに作ります。

罠にはまったゴジラ一斉砲撃2

コーヒーカップ軍艦から、一斉砲撃している感じはしますよね。
そう、この子供はセンスがあるんです。

改めてセンスある「ゴジラを一斉砲撃」とセンスない「ゴジラを一斉砲撃」を見てみましょう。

罠にかかったゴジラ対比

一目瞭然です。
センスのあるなしは、今回も下記になります。


●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っている
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構図を知っている
→だから、「軍艦」を放射状にゴジラに向けた

ゴジラさん、実験お疲れさまでした。(^^)

だいたいわかりましたか。
センスがある人は、基準を知っている人です。

基準はどこにでもあります。
料理をつくる基準、ヨガをする基準、歩く基準、プレゼンをする基準・・・。

で、「基準を掴むにはどうすればよいのか」なんですが、答えは簡単。
「型」を学べばいいんです。
料理の型、ヨガをする型、歩く型、プレゼンをする型・・・。

例えば、歩く型をあなたが学ぶとします。
「今までウォーキングしてきたけど、なんか歩き方センスないなあ」というあなたは、本読んでもいいし、ウォーキングの先生についてもいいし、とにかく歩く型を学ぶことが先決です。

型がわかって、毎日型に沿った歩き方をまじめに重ねていくと・・・・3か月たてば上手に歩くことができるんです。
そこで、他人からも「なんか最近カッコよくなったね、スタイルもよくなったよ」と言われます。

あなたは、歩く型を身に着けることで、歩きのセンス以上のものを得たのです

もうわかりますよね。
そう、ディスプレイのセンスを磨くには、ディスプレイの型を学ぶことです。


売場塾が伝授しているディスプレイの方はなんと、107あるんです。
107覚えれば、もう鬼に金棒。
ディスプレイのセンスある人になって、VMDインストラクターになって他の人もプラスにすることができます。
最後は売場塾の宣伝でした~。(笑)

●売場塾の講座

宣伝次いでですが、ディスプレイの型を少しでも知りたい方は、5/20のディスプレイセミナーに気軽に来てください。
お待ちしております。(^^)

●ディスプレイセミナー

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)