量販的なIPとセレクト的なIP

最近、あんまり量販店に行くことが少なくなってきました。
いま買い物はほとんどセレクトショップか百貨店です。

GAPやH&Sもいいんですが、どうしても同一型に対する
FKUが多いので、「みんなも着ている服」に見えてしまいます。
例えば、これらの店はひとつのデザインでサイズが3つ、
色数が3つくらいでも同一色で6枚以上はパイプに
ハンギングしています。
つまり、視覚的に同じ服が「大量に陳列されている」状態に
見えてしまいます。
VMDに長けているバナリパでも同一型で5.6枚リピート陳列かな。
「他人と違うものを着たい」と思っている人には、不向きの
陳列かもしれません。

まあ、ファストファッションやGMSの売場は、価格が安いので
大量に買ってくれなくては困る業態だし、ZARAに至っては
大量に陳列してあるように見えても、少数ロットで回しているので
3週間ですべての商品ががらりと入れ替わります。

問題は、「見え方の量販店化」なんですよね。
これを解決するためには、アローズB&Yやビームスのように
1型せいぜい3枚くらいの定量が、少量多品種ぽく見えるので
「量販店」ぽく見えません。

ただ、その逆に「どんな服があるか探さないとわからなく」なります。
これがセレクトショップのいいところで、MDグループで売場のカタマリを
なんとなく見せる技と、展示を陳列に加味して、なんとなく置いてある
服が想像できるようにしているのですが、ファッションがあまり好きでない人は
やっぱり、1型同じ色で5.6枚~10枚ズラッとリピート陳列しているGAPのような
店が探しやすいのでしょう。
店内回遊に時間をかけずにさっさと買いたいんですもんね。

とすると、百貨店の様な接客型でひとつのブランドの売場面積も狭い店は
少量多品種展開にうってつけで、接客でFKUをコントロールできるし、
接客でなんとなく買う気にさせますので、1型あたりの展開数量は少なくて
済みます。
什器がすべて同じデザインでグリッドもあっているので
セレクトショップの様な変化はなく、物足りない気もするのですが、
それが百貨店のショップデザインのいいところでしょう。

とはいえ、百貨店のメンズフロアで買う人は男性ではなく、
購買の70%は女性ですので、男性で私のように売場の見え方を
気にする人はあまりいないかもしれません。
(ちなみにメンズ下着売場では80%以上が女性が買っています)

あの伊勢丹メンズ館でさえも、
購買の60%は女性という事実がありますので。(笑)

ただ、売場の佇まいを職業としているVMDインストラクターに
とっては、これは関心しないではいられません。
わがブランド売場を「量販的」に見せるか?
それとも限られた人だけの「セレクト」売場に見せるか?
大いに考えみましょう。

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