
AI時代のデザイナーはどうあるべきか? PART2です。
まだ、PART1を読んでいない方は、下記をクリックしてください。
1.タレント職人になろう
「タレント職人」とは、私が広告代理店にいたときに使っていた概念です。
「広告デザインの表現は、デザイナーによるところ大だろう」
と思う人は多いと思います。
テレビCMプランナーにしろ、コピーライターにしろ、グラフィックデザイナーにしろ、広告代理店内にはさまざまなクリエイターがいますが、クライアントから直接デザイナーに声がかかるわけではなく、その間に営業がいます。
営業がクライアントから日々オリエンを受けて、社内デザイナーあるいは社外デザイナーに発注します。
しかし広告会社の営業は、単なる御用聞きではありません。
クライアントと打合せし、課題を見出し課題解決を考え、自分なりに咀嚼してクリエイターを選定、発注します。
映画や音楽だったらプロデューサーのようなものです。
プロデューサーによって成功した作品は快挙のいとまがありません。
ジブリの鈴木敏夫しかり、「将軍」の真田広之しかりです。
ジャズでいうと、キースジャレットのアルバム「ケルンコンサート」をプロデュースしたマンフレッド・アイヒャーしかりです。
※ちなみに私がプロデュースした広告作品やテレビ・ラジオ番組は下記を参考にしてください。
●好きなことを仕事にするには
このように、映画や音楽、そして広告を含めたアートデザイン自体はアウトプットの産物なので、インプットが違うとだいぶアウトプットである広告表現が変わってしまいます。
つまりデザインを発注する営業は、インプットをするプロデューサーであることを自覚しなければいけません。
ビジネス本によくある、「デザインはデザイナーに任せた方がいい」というのは間違いで、プロデューサーである営業がしっかりと方向性を伝えなくては課題解決型デザインは生まれません。
そのペースとなるのがコンセプトです。
※コンセプトについて知りたい方は下記をクリックしてください。
●ショップコンセプトがお店の品揃えを決定する
私は広告代理店から現在の会社に至るまで、外部のデザイナーに発注するときはほとんど企画シートを添付していました。
そこには広告コンセプト・空間コンセプトが詳しく書かれています。
分かりやすく、絵や写真、ストーリー的に書くこともありました。
なんで、クライアントから言われたことをそのまま伝えないのか?
そこがプロデューサーというもので、「このようにしたい」「このようなアウトプットをしてほしい」という課題解決の方向性をデザイナーに伝えなければいけなかったからです。
しかも、私のプロデュースでなければ、独創性のあるアウトプットにならないからです。
独創性こそが他社に勝ち、ベネフィットを消費者に伝え、売上を上げる源泉になるものと信じています。
例えば下記をクリックしてください。
私がVMDの本を出版する時の企画書です。
これを見ると、プロデュースがどんなものかわかるでしょう。
そして、数々のクライアントの商品デザインをプロデュースした内容は下記ブログをご覧ください。
なんか自分の宣伝ばかりですみません。
他人の例を話すのもいいのですが、自分のストーリーを話した方が端的に伝わると思いました。
さて話を戻しましょう。
一番上のチャートを見てください。
「タレント職人」とは、デザイナーはタレントにならなければいけないということです。
デザイナーであるあなたは、受動的に仕事していませんか?
流れ作業で仕事していませんか?
自社やクライアントの課題解決に自分なりの独創性で仕事していますか?
それではいけないと思います。

今度は店舗デザインの実例を話しましょう。
ある時、お茶店の店舗デザインをする機会がありました。
当時、私はまだ設計スキルは持っていなかったので、設計士に外注することになり、間接的に知り合いから設計士を紹介してもらいました。
店舗デザイン打ち合わせの時、設計士はこう言いました。
「お茶店だったら、茶畑に富士山の写真をどーんと店内にデザインしましょう」。
どうやらその設計士は「お茶店なら、茶畑と富士山」で決まりのようでした。
翌日、丁寧にお断りして、他の設計士と打合せしました。
すると、その設計士は「クライアントを取材しよう」「お茶の工場見学しよう」と言い出しました。
どんなお茶店か実際に見てみたいということです。
その上で、店舗デザインを考え提案しようということになりました。
その通り私たちは実行しクライアントと何度か接していくうちに、私は「重快感」というデザインコンセプトを考え、それを参考に設計してほしいと設計士に依頼しました。
出来上がった店の一例はこれです。
●株式会社小山園茶舗様
2回目に出会った設計士は「タレント職人」だったのです。
「タレント」とは才能の意味で、「職人」とはこだわりある専門家というような意味を持ちます。
才能ある専門職人、みたいなイメージだと思ってください。
営業にしろ、デザイナーにしろ、「タレント職人」が重要な世の中になったと思います。
端的に言うと、「その人らしい」プロの人、ということです。
タレント職人は、
「その人らしい」店舗デザイン
「その人らしい」VMD
「その人らしい」商品デザイン
「その人らしい」広告デザイン
をつくってくれます。
目立ったものをつくればいいということではなく、その人らしい考え方でデザインを解決に導いていく、ということです。
そのためには、いい仲間とチームを組み、「その人らしい」から「そのチームらしい」ひいては「その会社らしい」デザインに昇華していかなければなりません。
よく、「あんなデザイン、誰でもできる」という人がいます。
それは間違いで、錬りに錬ったデザインが例えありきたりに見えても、そのコンセプトや戦略がしっか加味されていれば、それは成功したデザインなのです。
クルミッ子のリスがヘタウマと評する人がいるかもしれません。
しかし、クルミッ子をブランドにさせた「鎌倉紅谷らしい」デザインなんです。
2.AI時代のデザイナーとは
AIで簡単にデザインができる時代になりました。
- ディスプレイ指示書のイラスト
- 店舗デザインの企画書
- POPデザイン
- 商品パッケージデザイン
- 棚割り図
これらはすでに稼働しています。
この間、動画でディスプレイ指示書をつくった売場塾卒業生がいて驚きました。
単なるディスプレイのスケッチでなく、実在する店舗に置かれたバーチャルな店内写真で、その中をお客様が歩き、ディスプレイ前で立ち止まり商品を眺めます。
こんな表現は当たり前になり、デザイナーでない人でもデザインできる時代は既に来ています。
デザイナーは、今度はAIと戦わなければいけないのでしょうか。
それはノンです。
デザイナーはプロデューサーになりAIに指示を出せばいいんです。
前述したような、私がデザイナーに与える企画シートみたいな指示だと思ってください。
AIに指示を出すということは、プロンプトに書くということです。
プロンプトに、あなたらしい指示を与えればよいのです。
そのためには、感性を言葉で伝えなければいけません。
単に「かわいくつくって」という指示ではダメということです。
どんな「かわいい」なのか、具体的に文字や絵を使って指示を出さなければいけないのです。
そして、出てきたアウトプットが、狙った「私らしさ」「その店らしさ」「その商品らしさ」でなければ、その味が出てくるまでなんどもやり直さなければいけません。
これが前述の「タレント職人」のあり方で、あなたでなければいけないプロデュースをしなければいけないのです。
3.デザインチームはJAZZバンドそのもの
広告代理店時代、私はよく広告賞を取っていました。
しかしこんなことをいうクライアントがいました。
「この広告賞、あなたより本当はデザイナーにやるべきだよね」。
愕然としました。
確かに広告デザインの仕上がりといい表現と言いバツグンにいいのですが、クライアントは私というプロデューサーの効力を忘れていました。
仕方がありません。
この広告を見ると「描いた人がすごい」ということになってしまい、営業というプロデューサーの企画するコンセプトや戦略などは見えていないからです。
「アイデアや切り口を見つけベースをつくったのは私なのに」という思いもむなしかったです。
それでは私の方が偉いのか?
いいえ確かにデザイナーの役割も大きいです。
インプットは私がしますが、アウトプットに優れたデザイナーでなければ独創的なものはできないからです。
「私らしさ」「彼らしさ」「彼女らしさ」の結集でひとつのクリエイティブが出来上がるからです。
タレント職人と定義される人は、営業やデザイナーだけではなく、コピーライター、カメラマン、脚本家、キャスター・・・とすべてタレント職人で、デザイン成果はその人たちのチームの成果でなければいけません。
これはジャズバンドに非常に似ていると思います。
即興演奏が主体であるジャズは、ピアノ、ベース、ギター、サックスなど各々のタレントとバンドを組み演奏します。
音楽を奏でる「私らしさ」「彼らしさ」「彼女らしさ」の結集でないと、コンサートはうまくいかないし、優れたアルバムも出せません。
例えば、ジャズバンド「ウエザーリポート」も、ジョーザビヌルやウエインショーターのようなミュージシャンは個々に独創性をもっていますが、ウエーザーリポートというバンド全体でも個性を発揮しなければいけません。
ジャズバンドが何度もメンバーを入れ替えるのは、常に新しい自分たち、新しい音楽を追及しているからに他なりません。
音楽が陳腐化したら、バンドメンバーを入れ替えなければいけません。
会社組織だと、そんな風にメンバー入れ替えはできないと思いますが、そこはプロデューサーの役目。
うまくチームを活気づけて、個々を励まし奮い立たせ、「そのデザインチームらしさ」を引き出して、成功に導かなければいけません。

さて、ジャズにインタープレイというものがあります。
これはお互いの奏者が呼応しながら曲を進めていくものです。
ピアノがある音を奏でたら、それにサックスが短い音で反応する。
そしてサックスに反応してピアノがまた返す。
会話するような音楽のことです。
デザインもインタープレイと同じで、プロデューサーが言ったら、デザイナーがアイデアを入れてこう返す。
するといっしょにいたプランナーがこう返す。
お互いやりとりしながら理想のデザインに近づけていく。
まさに、デザインチームもインタープレイしながらいいデザインを創出しないといけません。
(VMDコンサルタント 深沢泰秀)






















































