長体・マージンなし

今日は、長体・マージンなし の話をします。
この恐ろしい話は何かというと、POPのことなんです。

あなたの近くのお店に行くと、ありますよ~。
「長体・マージンなし」のPOPが・・・。
あらあら!!

さて、単語の解説をしましょう。

長体とは、文字の形のことです。
長体とは、タテに細長い文字。
横体とは、ヨコに細長い文字。
正体とは、真四角の文字です。

いまあなたが見ているこのブログの文字は
正体です。

マージンとは、余白のこと。
POPの中の白い部分です。
特にPOPの四隅のふちのところの余白をマージンといいます。

お店のPOPを見ると、長体・マージンなし が
とても多い店があります。

特に商店街の店に多いですね。
または量販店の店内か。

POPを見てください。
縁が全くなくて、POPの四隅ぎりぎりまで
文字が書かれています。。。

そして文字は目いっぱい長体に!!
しかも、お店の屋号まで、長体!!

靴店にいくと、有名メーカーのスニーカーまでもが
「長体・マージンなし」なんてことも。
あれあれ、有名なブランドロゴもだらーーんと
長体かかっていますよ。

欧米の高級ブランドや確固としたVMDポリシーのある
ブランドの売場はそんなことにはなっていません。
それは、POPもディスプレイの一部という概念が
あるからです。

ちゃんとしたところは、
POPのトーンアンドマナーまでに気を抜かないんです。
ハーレーダビッドソンの店などはPOPの管理ものすごく
厳しいみたいですね。

あなたのお店のPOPを見てみましょう。
「長体・マージンなし」になっていませんか。

だとしたら、ブランドが瓦解する前に
正体、マージンあり でばっちりPOPを
作り直してくださいね。(^^)

期待しております。

PPとインテリアディスプレイ

PPとインテリアディスプレイの違いについてお話します。

PPとはポイントプレゼンテーションのことで、お客様を回遊させる
ディスプレイ、ということは以前お話ししました。

PPの効果として、
●遠くから目立ち、お客様の関心を引く
●何が置いてある売場かわかり、売場のサインとなる
●テーマ性があり、旬の情報を教えてくれる
●展示構成になっており、ディスプレイそのものか楽しめる
などがあり、多くのアパレル・雑貨店では
壁面1.7m上のPP固定棚に設置しています。

PPの目的は何と言っても、遠くのお客様をPPのある売場に
誘客することなので、その時、その対象客に興味を引いてもらえる
テーマで商品を展示しなければいけません。

衣料品店の場合は、52週MDという流れに沿って、
服という大きな商品をトルソーやマネキンに着せることができるので、
店内の遠くお客をPPに引きつけることができます。

ところが、服飾雑貨やインテリア雑貨、玩具、文具などは
商品が服ほど大きくありません。
そのままPPとして単品展示しても
遠くからは認識できにくいので、効果は服ほど期待できません。

そこで下記の様な、いくつかの特殊なPPを施しています。

①同品番商品を集合展示するマスディスプレイ

例えば、ジャムをたくさん積んでピラミッド型とし、
全体造形の妙で顧客を魅了する
cf.ディーンアンドデルーカやABCストア

②ビルボードディスプレイ

大きなPOPに商品写真を大きく引き伸ばして展示し、
そこに実物商品も展示する
cf.無印良品、ユニクロ

③サインディスプレイ

マスディスプレイほどではないが、ある程度の大きさの
商品を多角的に置くことにより、「何売場」かわかるようにする。
つまりサインの代わりになる
cf.ディズニーランド、キッチン21

④プロップスディスプレイ

商品が目立つのは二の次で、プロップスをメインに据えディスプレイ。
例えば、メガネは小さいので、ガラス花瓶にたくさんの花を活けて
そこにメガネを添える。
cf.丸井、大丸

この中で、②ビルボードディスプレイと③サインディスプレイは
本来あるべきPPの効果が期待できますが、①マスディスプレイと
④プロップスディスプレイは、本来のPPの役割を離れ、
インテリアデザインとしての役割に終始します。
つまり、遠くのお客様をPPでもって引きつけるというよりも、
商品をインテリアの一部とし売場の世界観を補完するという
役割です。

PP目的を、MDテーマ告知型PPとするか、インテリアディスプレイ
型PPとするかの違いがあるのです。

よく、PPと称して小さな商品の集積を壁面上で行う例があり、
トライアングル構成またはリピテーション構成にていかにも
ディスプレイしているというシーンを見受けます。

ただそれは、ディスプレイの輪郭の造形がよいだけで、
「どんな特徴がある商品があるのか」
「どんな生活提案をしてくれるのか」という
MDテーマ告知型PPとしてはまったくプレゼンされていません。
それは、インテリアディスプレイと言うのがふさわしいでしょう。

こうしたインテリアディスプレイは、いい意味では
VP→PP→IPという顧客行動操作としてのPPというよりも、
ショップデザインのPPとしての役割を担っていることになります。

ただ、VMD担当が、MD告知型PPとしてつくるのか、インテリアディスプレイ
型PPとしてつくるのか意識する必要はあります。

ホテルやレストランで行っているディスプレイは、インテリアディスプレイです。
これはディスプレイを空間の一要素として設計段階からそのスペースを
確保し、担当デコレーターまたはスタイリストが季節によって装飾を施すものです。
食事のサンプルやワインボトルなどもいっしょにディスプレイする場合は、
PPと言えますが、ほぼ装飾物としてのパートを成しています。
インテリアディスプレイ型PPはこのようなものなのです。

一方、ビルボードディスプレイは列記としたPPで、
遠くのお客様がビルボードを眺めて興味関心を抱き、近くに来て実物を
確認するという、PPの必勝パターンであると言えます。
これぞPPの本領発揮でしょう。

ビルボードは、商品を引き延ばして拡大するだけでなく、
商品特徴や使い方、効果・効能を文章や生活シーンの写真
という利器でお客様に伝えることができるのです。
そういう意味では、MUJIの店内ビルボードはよく考えられて
つくられています。

片や、キッチン21やディズニーランド、都内百貨店の雑貨部門の
PPはインテリアディスプレイに近いでしょう。
でも、それはそれで、ショップ空間の世界観を補佐している
役割を担っているからいいのです。
問題は、VMD担当者がそれを意識しているかどうかです。

わかりましたでしょうか。PPとインテリアディスプレイの違い。
棚の上にトライアングル構成のディスプレイをつくっても、
それが何の目的でつくるのかまずは決めないと、
PP、インテリアディスプレイ、
どちらにもならないので、気をつけましょう。