VMDマニュアルって更新するもの


VMDインストラクターのまずのゴール、それはVMDマニュアル。
いわゆるガイドラインというものですが、ガイドラインには落とし穴があります。

その落とし穴とは、「マニュアルはつくって終わり」と思っていること。
マニュアル自体を目的にしてはいけません。
マニュアルは更新することで使えるマニュアルになるのです。

もう5年も10年も触られていないマニュアルをたくさん見てきました。
マニュアルは更新しなければいけないのに、そのまま放置しているケースが多いです。
マニュアルが机の端、ブックレットに置いたまま何年も過ぎている・・・、
それはマニュアルではないのと同じです。

なぜVMDマニュアルは更新しなければいけないのか。
それは、更新することによって、現場の問題に次々対処できるからなんです。

VMDインストラクターが初めて作ったVMDマニュアル。
確かにうれしいです。
あなたが、独立起業しているVMDインストラクターなら、クライアントのマニュアルを納品して、「ゃった」と思っていることでしょう。

でも待ってください。
できたてほやほやのVMDマニュアルはまだテキストみたいなもんです。
つまり、「売場はこうあるべきだ」の始まりのテキストに過ぎないんです。
店に納品したテキストのようなマニュアルを見て、店舗VMDは必死にがんばります。

でも、待てよ。
個々に書いてあることって基本じゃん、この店はこういう地形になっているから、どうやってレイアウトすればいいのかしらん?
とマニュアルを見ても、わからないところ続出です。

そこで店舗VMDは本部VMDに「この場合はどうすればいいの?」と聞き返します。
「その場合は、してあーして」と、本部VMDは店舗VMDといっしょに考え、2人で問題を解決します。

そして。
その行動と結果を報告書にまとめます。
そこからが、マニュアル更新のスターンです。
違うパターンのレイアウトが報告書からきちんとしたマニュアルのページに生まれ変わるんです。

そう、マニュアルは日々の活動で変わっていくものなんです。
変わることによって、マニュアルは進化し、使い勝手の良いものになっていく。

そういう意味では、無印良品のマニュアルはよくできてます。
MUJIGRUMという店舗運営マニュアルで数巻あり、そのひとつがVMDマニュアルなんですが、これがよくできていて、いつでも更新できるようにバインダー形式になっています。
足したり、削除したりできるんですね。

マニュアルって更新するもの。
マニュアル納品して終わり!でなくて始まるものなのです。

会社にVMDを認めさせるには

売場塾の卒業生をみると、会社に所属しながら、VMD専任あるいは兼任として活躍してしている方はおおぜいいらっしゃいますが、VMDという職務を認められず、販促や営業としての一知識としてしか役立てていない方もたくさんいます。

VMDという仕事を会社に認められている方は、会社に申請して会社の費用で売場塾に来られている方は受講生の半分、残りの半分は自費で来られています。
私がそうだったのですが、何かを学ぶ際に会社が認めてくれれば、受講の費用を会社が負担してくれる、福利厚生があります。英会話学校の費用の半分を出していただき、TOEIC730を取ってから、月々英語奨励金を5000円いただいていました。
同じように、VMDの勉強を奨励している会社があり、アパレルを中心に売場塾が認定校になっているケースも多々あります。

ところが、アパレル以外はこの奨励金があまりないので、自費で来られているアパレル以外の方は多いです。
さて、この中で、自社にVMDの担当や部署を開きたいと懸命になっている人がいます。
上司や幹部にVMDの必要性を訴えて、なしのつぶてになっている方をよくみます。そんな時、売場塾としてどうアドバイスしたらいいのか。

答えは転職する、です。
VMDの温度が低く、社長を始め幹部がVMDは必要なく商品がよければいい、と思っているようなケースは残念ながら、がんばっても時間の無駄になるでしょう。
たまに上司が、オレがなんとかするから、とバックアップしてくれるかもしれませんが、上司が変わったら本の黙阿弥になってしまいます。

と、無情なことを言ってしまいましたが、もう一つ手があります。それは、組織を少しずつ動かしていく、ということです。
VMDが認められないからと言って諦めるのではなく、少しずつ活動をしていくのです。
例えば、メーカー営業をしながら、お得意先の小売店にVMDを教えていく方法。これをエデュケーショナル販促と呼んでいますが、メーカー営業にはこれが効きます。売場づくりを教えることにより、小売店とのパイプが太くなり、棚をたくさんもらい、売上があがり、営業成績もバツグンになります。
こうなってくると、上司や幹部もVMDを認めざるを得ません。
次第にVMDとしての発言力は高くなり、兼任担当になったり、部下をつけてくれたりします。
販売スタッフとしてはどうかというと、ディスプレイの技術を磨くのが一番。売場全体をわかりやすく選びやすく整え、毎回テーマを変えて来店客を楽しませる、、、こんな地道な努力が必要です。
上司であるスーパーバイザーもその様子をある程度は見ていてくれて、毎回売場の雰囲気が変わるのを目の当たりにします。

一番いいのがそれにつれて売り上げが上がること。
営業にしろ、販売スタッフにしろ、日々の売上を稼いでいる本人がVMDを実行し、その結果売り上げが上がれば、これほど上司にPRできることはないでしょう。

私自身も、サラリーマン時代からそうやってきました。
組織の中で新しいことをやるには結果をある程度出さないといけないし、それを認めてくれる仲間を周りに作り出していくことが大事です。その仲間とは、上司でも同僚でも部下でもクライアントでも個人のお客様でも外注先でもいいのです。
結果を出しつつ、味方をつくっていく。そうすることによって、組織を動かしていき、やがてVMD部、VMD課を築いていくのです。