働き方改革で週休3日制にしてみたら

バリ島のネコの休日

こんにちは。
みなさんお盆休み中だと思います。
地震の影響で旅行中止にした人も多いとか。

私はのんびり家で過ごしています。

休みついでにお話しすると、当社は今年から週休3日制を敷いています。
もう7か月経ちました。
今日は、週休3日にするとどうなるか、働き方改革の観点から、会社経営の観点からお話しします。

1.どうやって週休3日制を維持しているか

今年1月から始めた週休3日制、もう7か月経ちますが1度も休みを削ったことはありません。
思ったよりスムーズに行っています。

実は昨年10月から試しに週休2日と半ドンにしていました
難なく維持できたので、今年から週休3日制にしました。

会社経営しているのに大丈夫か?という向きもあるかもしれないのですが、まったく大丈夫です。
現に会社は元気に回っています。

忙しく働かなければ売上は上がらない。
忙しく働かなければ、会社に貢献しているとは言えない。
他の方が休みを取らないから自分も休みを取らない。取れない。

などと思っている人がいると思います。

私も広告マン時代はその一人でした。
20年連続勤務した人は、無条件で2週間休みが取れるという制度が当時勤めていた会社にありましたが、だれも申告する人はいませんでした。
そんな雰囲気なので、私も申告せず20年勤務の記念のペンをただもらっただけでした。

話を元に戻します。
今の週休3日制の決め方はこうです。

  • いつ休むかその都度、週の初めに社員と話し合って決める
  • 売場塾が(土)にあった時は、その分を週中に振り替える。つまり、週中2日と日曜を休む
  • 急にクライアントの打合せが入った時は休みをズラす
  • 祝日が平日に入った時は、週休2日制にする
  • 年末年始・GW・お盆休みは連続で1週間~10日休む

この法則をつくったおかげで難なく週休3日を維持できています。
ただ、これは当社のしくみによるところ大だと思います。
当社が仕事をパッケージ化しているからこそ、週休3日制が維持できていると思います。

2.仕事のパッケージ化

当社は数人でやっている会社なので、ほぼ自営に近いです。
自営というイメージは、クライアントの下請けとして毎日が忙しく、急な仕事も入るため休みもななまらない。
徹夜も多く、心身共に疲れている・・・。
というイメージがあると思います。

それに私のように株主がいる株式会社の場合、のほほんと会社運営するわけにはいきません。
収支報告もするし、配当もしなければいけません。
ではどうやって休みを増やしても仕事が回り、収益を維持できるようにするか?

それは仕事をパッケージ化するということです。
旅行代理店のようにパッケージ商品をつくるということです。
顧客に合わせてメニューをつくるというよりも、顧客に3つのパッケージ商品の中から選んでいただく、ということです。

「ハワイ旅行は3つのコースがあります。どれにしますか?」
というような感じです。

コースが決まったら、後はトッピングするだけ。
ワイキキコースに、イルカ体験ツアーとポリネシアン文化村ツアーを加えればよいのと同じです。

パッケージ商品は定価があるので、トッピング分をオプション追加すればよいのです。

当社のパッケージ商品はズバリ次の3つです。

  • 売場塾
  • リバイス
  • 店舗診断

当社のサービスはたったこれだけ。
これをベースにトッピングして、ディスプレイコンテストを加えたり、プランニングを加えたりして7つ位のバリエーションメニューにしています。

じゃあ、パッケージと全く別の仕事が来たらどうするの?
ということですが、それは売場塾生に回しています。

例えば、デコレーターのような仕事。
確かに装飾関係も当社はしていますが、それはコンサルタントとして。
プロップスを購入して店内をクリスマスに飾り付けし対価をいただく、という仕事に関してはデコレーターにバトンタッチ。
売場塾には多くのデコレーターが来ていますので、彼女たちにお任せしています。

そもそも「仕入れがある仕事は一切しない」という鉄則が当社にはあるので、クリスマスツリーを買ったり、キラキラを仕入れて天井に飾るということはしていないんです。

やるとしても、「クリスマスのインスタレーションを教える」というコンサル業務ならばOK。
クライアントにクリスマスのインスタレーションマニュアルを納品して、それで対価を得ています。
企業は全国展開しているチェーン店が多いので、マニュアルを配布して店員さんにつくっていただく。その方が効率的というわけです。
マニュアルの中にどこでどんなプロップスを仕入れるかが一覧表で書いてあります。

そんなワケでサービスがパッケージになっているので、問い合わせ→資料送付→説明→実績サンプルなども定型化してあり、クライアントに合わせてその都度つくる・・・という業務もなくなります。

サービスのプレゼンツールは問い合わせ先の業種・業態・取扱商品に合わせてバリエーションが用意してあります。
私の公にしている論文は100以上の事例があり、アパレル、雑貨、化粧品、自動車など数々のビジネス誌に公開している論文があり、それを「月刊VMD」という広報誌にしてクライアントに提供したりなどしています。

後は、サービスを定価で販売するということ。
「いくらでもいいです」というフリーランスもいますが、私はあまり好みません。
あくまでも定価で販売し、予算が足りない時はパッケージのうちのこれとこれを省く・・・というようなスタイルにしています。
つまりパッケージサービスを小分けにモジュール化しているということ。
そうすると、余分な労力を得ず、拘束時間に合った対価を受け取ることができます。

小さな会社は業務を絞り込み、パッケージ化し営業も自動化する、これに尽きると思います。

3.その他の工夫

その他の工夫として、当社が昔からやっている慣行を紹介します。

●営業はほぼ100%ネット

ここ10年くらいの新規クライアントの獲得状況を振り返ったことがあります。
新規はどこから獲得しているか?
それはインターネットでした。
ほぼ100%のお客様がインターネット経由で来ています。

これも、無駄な飛び込みや電話営業の時間を回避できる秘訣の一つです。

さらに、コロナ禍の時から資料請求はすべて郵送せず、PDFをダウンロードするす添付してお客様に送信するようになりました。
なので、パンフレットを製本する、郵送する作業はなくなりました。
請求書や見積書、契約書で郵送することもなくなりました。
契約書に関してはアクロバットのサインシステムを活用しています。

●テレワーク

これもコロナ禍からやっていますが、会社に来ていただき打合せをすることは少なくなりました。
売場塾にしても、授業や説明会、セミナーもネット併用にしたり、自室をキープせずに東京都の会議室を借り、銀座に教材用の倉庫を設けるなど、固定化を避け流動的にしました。
通勤の手間、教室のメンテナンスが省けることも時間節約の大きな利点です。

4.週休3日になって生活はどう変わったか?

さて、週休3日になって、私の生活はどう変わったか?について言及します。
だいたい以下2つのことが多くなりました。

  • 本をたくさん読むようになった
  • 英語の勉強時間が増えた

本はもともと好きでビジネス本中心に読んでいますが、加えて下記の本が多くなりました。

・小説
・エッセー
・美術本
・英語本

月に3冊のペース。
そのおかげで長期休暇のたびにBOOK OFFの集配便にご厄介になっています。

特に美術本はディスプレイとの関りが大きいので、最近注目しています。
英語本は、英語を習っているからでキンドル本を読んでいます。

英語に関しては、ここ10年はほぼ毎日勉強していましたが、今年からは1日2時間はやるようになりました。
レアジョブに加え、パタプラも並行することに。

この英語学習、最近気づいたことですが、勉強時間を増やせばペラペラになるかというとそうでもないのがわかりました。(笑)
いま新しい勉強法を探っています。

睡眠時間はというと、きちんと7時間半はキープしています。
これは以前と変わらないです。

広告マン時代は2.3時間睡眠が続いていた時代がありましたが、睡眠時間を削れば成績が上がるかというとそうではなく、逆にマイナスになって降格・転勤の憂き目に会いました。
この会社員時代の辛いストーリーは下記をお読みください。

●君たちはどう生かすか

休みが増えたので、空いた時間に仕事をする。
こんな選択肢もありますが、それだと今までとあまり変わらないかな、と思います。

私はアイドリングタイムと言って、空いた時間に仕事以外のことをするのがいいと思います。
つまり日常の仕事の延長ではなく、未来への投資として有効に時間を活用するというやり方です。

売場塾卒業生は実に勤勉な方が多くて、アイドリングタイムを利用して資格の勉強をしたり、本を書いたり、コンサートをしたり、旅行をしたりという方が多いです。
そのおかげで個性が磨かれ、人間性が厚くなりユニークな存在になっている方がいます。

もちろん副業も流行っている人もいますが、それはいつもの仕事ではなく自分の才能を試すという体験のようなもので、これも未来への投資だと思います。

5.一日の生活時間はどう変わったか

最後に一日の労働時間はどう変わったか?について話します。

ズバリ、1日8時間の労働時間になりました。
実はこれ自体はあまり変わりません。

「えー、会社やっているのに1日8時間しか働いていないの?」
と皆さんは驚くかもしれないのですが、そうです。

主な日課は下記の通りです。

  • 09:00 起床
  • 10:00 仕事開始 (テレワーク)
  • 12:00 昼休憩
  • 13:00 仕事再開
  • 18:00 夕食
  • 18:30 英語
  • 21:00 風呂
  • 23:00 仕事
  • 01:30 就寝

というような感じ。
なんだか雑誌社のような勤務時間です。

これをここ2週間下記に改めました。
実験的に早く寝る朝型にしました。

  • 08:00 起床
  • 09:00 仕事開始 (テレワーク)
  • 12:00 昼休憩
  • 13:00 仕事再開
  • 18:00 夕食
  • 18:30 英語
  • 21:00 風呂
  • 24:00 就寝

この生活の利点はというと、風呂に入ったらあとは寝るだけ。
たまたま風呂上りはオリンピックやっていたからかもしれませんが、いい生活していると思いました。(笑)

ただ、毎週筋トレやジョギングを仕事時間内にやっているので、その日は実質7時間から6.5時間しか働いていません。

もちろん、これはクライアントとの打ち合わせや研修・セミナーがない日の日課です。
ほとんどテレワークしていて銀座のオフィスに行っている回数は少ないです。

ちなみにどんな忙しい日でもここ数年は睡眠時間7時間を切ったことはないです。
必死に夜も寝ないで働く、というのは時代に合わなくなっていると思います。

私の座右の銘は昔から「仕事より健康」優先です。
体を壊すまで仕事しないのが現代人の務めだと思います。

とまあ、ここまで書いて最後にオチです。
最近胃を壊し、アルコールやお菓子を控えています。
はっきり言って食べ過ぎ・飲みすぎでした。。。。
休日が増えたおかげで、量が増えてしまいました。

みなさん、時間に余裕があるからと言って飲み過ぎに注意してくださいね。
テレワークの方は特に注意しましょう~。

また、働き方改革のことは、毎月開催している「VMDインストラクターで起業・副業相談会」でも相談できます
VMDの仕事しているけど、なんか空回りしていると思う方、VMDで効率的に仕事したい方など、ぜひ相談に来てくださいね。
オンラインでもやっています。無料です。(^^)

●VMDインストラクターで起業・副業相談会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

医者の健康診断をベースにした店舗診断

店舗診断している風景

1.店舗診断無料時代

今日は、オーバルリンクの「店舗診断」のなり立ちからお話しします。
●店舗診断とは

私はオーバルリンクを設立してから、1年くらい無料店舗診断をしていました。
お客様の店舗の写真を撮ってどこが悪くてどう改善したらいいのか、無料でアドバイスしていました。
会社を立ち上げたものの、VMDの実績は少なかったので、まずは実績をつくることから始めたんです。

著名な店舗に電話をかけまくって、店舗診断していました。
20年前は今と違って、店舗診断断るところは少なかったです。
どんな小売店も自店の売場の出来栄えには不安で、売場づくりはこれでいいのか悩んでいるところが多かったのです。

業界トップの企業でもVMD担当はもちろんいなく、売場づくりは現場任せという事実は驚きと共に、オーバルリンク行けるんじゃないか?という変な自信もついてきました。(笑)

ということで、会社を軌道に乗せるためにタダでいいから成功事例をたくさんつくってそれを理論に組み立てていき、自社オリジナルのサービスをつくっていくという、ゼロからの会社経営だったんです。

同時に、普段生活していく中で気になった売場をどんどん撮影して、どこが悪いのか、またはどこがいいのか、を振り返る癖をつけていきました。
それがスーパーだろうが、薬局だろうがお構いなしです。

最初は「なんとなくこの売場はいい」「なんとなくこの売場は悪い」といしう感覚で撮影していました。
そして、パソコンで写真をじっくり振り返ると「ここをこうすれば良くなるかもしれない」と心の中で直し方をシミュレーションしていました

2.売場のケーススタディを想起する

ただ、無料店舗診断でも、店舗診断シートをお客様に渡すときに、改善点を説明しなければいけません。
その説明が「なんとなく悪い」みたいな説明だと、お客様は「本当にそうなのかな」といぶかしがります。
そこはコンサルらしく「ここがダメだからこう」ときっぱりベテランのように言わなければいけません。

にわかコンサルタントの当時の私は、半信半疑だが、とにかくプレゼンはコンサルらしくふるまっていました。
こんな日々が過ぎていきました。

創業から10カ月くらい経ちましたでしょうか。
売上は以前としてゼロです。
びた1文も入ってきません。

それでも、「その通り改善したら売場がよくなった」「売上が上がった」などという声がちらほら聞かれ始めました。

「VMD導入で確かに売上は上がるんだ」
とのんきな私は、だんだんVMDの効果を確信してきました。
当時は「VMDを導入しよう」と合言葉のように言っていました。
「導入」というと、MAとかSFAのようなアプリケーションソフトをインストールするみたいな感じがしますが、まさにその通り。
ソフトを会社のシステムに組み込むように企業に働きかけていました。

そのうち、改善成功事例がたくさん蓄積してきて、写真を撮っては売場改善シートを書いているときに、他の売場のケーススタディがよみがえるようになったのです。

そう、何千枚と売場の写真を撮ってきて、じっくり写真を見ているので、アタマの中にケーススタディが写真の画像と共に蓄積していったんです。

なので、店舗に改善点を指摘するときに「これはあの紅茶店のケースに当てはまるな」とか「これはあの家電売り場のケースに当てはまるな」という過去事例が自然に写真と共によみがえるようになってきました。

これを心理学的に「想起」といいます。
「想起」とは、何かをするときに過去の事を思い出すということです。
例えば、昨日は防災の日でしたが、ニュースの関東大震災の写真を見たときに「そういえば、うちの食料の備蓄はどのくらいあったけ?」と我が家の防災を想起するようなことです。

それほど人間というものは「想起」する生き物なんです。
「想起」は「習慣」と違って、時々起こるものです。
朝起きて、洗面台を見たら「そうだ、朝は歯磨きするんだったけ」というものではありません。
歯磨きは習慣なんです。

そんなことで、1年経ってやっと仕事がぼちぼち入りだしてきました。
ただし、コンサル純粋、店舗診断純粋のフィーではなくてほとんど店舗改装の仕事です。
こんなわけで最初の1.2年は改装業務でなんとか会社をやっているようなものでした。
ただし施工会社ではありませんので、店舗診断シートをつけて、それから改装プランを練っていました。
VMDを取り入れた改装プランだったんです。

VMDを取り入れた改装プランは「リモデル」といって、設計会社や施工会社の業務と根本的に違います。
今回はリモデル、詳しく説明しないので興味ある方はこちらをクリックしてください。
●リモデルとは

3.VMD用語を取り入れる

店舗診断の話に戻りましょう。
売場改善のケーススタディがだんだんアタマの中に蓄積されていきます。

ただし、それらを「想起」する場面は画像が多かったです。
例えばドラッグストアの改善すべき写真を見たときに、ふわーんと過去の家電店の改善写真が浮かぶんです。

ドラグストアだからドラッグストアの改善想起ではなくて、まったく関係ない業種・業態から想起されました。

カーディーラーの改善点はお茶店の改善想起、
本屋の改善点はキャンディショップの改善想起、
家具店の改善点はケータイショップの想起・・・

など売場を直すのに、業種・業態・取扱商品は関係ありませんでした。

ただ、問題はひとつありました。
ケーススタディを想起するのはいいけれど、写真が思い浮かぶだけでは、クライアントに説明できません。
ドラッグストアに紅茶店の写真を見せて、「この通りに直してくれ」だと相手はどう直していいのか分からないからです。

そこで、写真に言葉を付けることにしました。
これはこういう改善点があるから、このように直した方がいいんですよ、という具合に。

つまり、医者が患者に対して

「これは風邪だ」
「これは胃潰瘍だ」
「これはハウスダストだ」

など、病名を告げるように、店舗の悪いところの病名を付けるようにしたんです。

その時すでにVMDには便利な専門用語がありました。

・VP,PP,IPはディスプレイのこと。
・VMD分類、MD分類は分類のこと。
・定数・定量は什器や商品の数量のこと。

ただ、私にとっては当時のVMD用語はすごく限られた言葉でした。
あまりにも少なすぎました。
VP,PP,IPという言葉を知っていても、それだけでは売場を直すことは出来なかったのです。

そこで、私は独自のVMD言葉をつくっていきました。

  • オーケストレーション = 壁面の集合ディスプレイのこと
  • くくり = 棚の商品のカタマリ具合
  • サブテーマ = ディスプレイテーマを補助するテーマ
  • ハーモニゼーション = 棚の陳列の状態

などなど。
その数は100は下らないでしょう。

こうして、私は店舗診断するときに、売場の医者として「売場の病名」を告げて、それを基準に売場の直し方を説明するようにしました。

しばらくすると、過去事例を想起するときに画像だけではなくて文字も出てくるようになりました。
これこそがプロの使う「想起法」のスキルそのものなのでした。

私がつくったVMD用語も含めた「VMD用語辞典」、時間ある時に見てください。
●VMD用語辞典

4.医者の処方箋とVMDの処方箋

図を見てください。
最終的に、これが私が確立した店舗診断のしくみです。

医者が処方箋を患者に渡すように、いま私は「健診表」という処方箋をお店に渡しているんです。

この図を作るために、医者の診断に関する書物も読みました。
わかったことは、店舗を診断する順番は、私が思った通り医者の順番と同じということでした。

上図を右から説明しましょう。

医者は「鑑別診断基準項目」がアタマの中に入っています。
つまり、解剖学的な基準項目とは、

  • 「大腸がん」である基準
  • 「肺気腫」である基準
  • 「膀胱炎」である基準

であり、医者は患者に問診したりレントゲン写真を見たり、体に触れて見たりと
問診や検査をしながら病気を特定し、処方箋を出しています。

だから、医者は「これはたぶんガンだろうな~」と適当に患者に告げているわけじゃないんです。
基準となる根拠があってガンと特定しているんです。

同じように、私たちVMDプロも「たぶん商品のディスプレイが悪いんですよ」と適当に言うわけにはいかないんです。
「ディスプレイのどこが悪いのか」正確に言わないと、相手も不安になるし、VMDコンサル失格ということになりかねません。

私たち、VMDプロは医者のように店長に言います。

「これはフェイシングと商品視認性に問題がありますね」

「商品のフェイスが悪い。パッケージの特徴が分かりにくい角度で展示されているし、ラベルがPOPに隠れているので商品名を読むこともできない」

この

・「フェイシング」
・「商品視線性」

は私たちのアタマの中の引き出しに入っているので、写真を見たり売場を見たりすると5秒で出てくる言葉なんです。

医者が問診してみて、レントゲンを見て「あー、これは肺気腫だ」とすぐにわかるようなものです。
医者は病院を開業するときに、すでに大学で、大学病院で想起の訓練をしていいます。
だから、開業をしてたくさんの患者が押しよせてもすぐに病気を特定できるんです。

ところがVMDは医学と比べると非常に歴史の浅い学問なので、専門用語が豊富にありません。
だから専門用語はつくるしかないんです。
私が会社を創業してから専門用語をつくり続け、ビジネス誌でその論文を発表したり、公開セミナーでレクチャーしたりしているのは、専門用語を流布するのが目的の一つでもあります。

5.売場づくりの医者になろう

だいたいわかりましたか。

医者の診断に基準があるように、VMDには基準があるんです。
その基準からハズれているのが病気にかかっている売場ということになります。

VMDが広まってきた今、VMDコンサルはいろいろな方がいます。
どのVMDコンサルにしようかな~と悩んでいる小売店の方は多いと思います。

しかしA,B,Cというコンサルがいて、別々に店舗診断を頼むと、診断結果は各人で全く違ってしまう。
これではもう基準はないと同じですよね。

3人の医者に健康診断してもらい、
ある医者は「かぜですよ」といい、
ある医者は「気管支炎ですね」といい、
ある医者は「ガンです」といいます。
こんな三者三様の診断結果だと、誰も医者を信頼できないですよね。
本来、基準というものが備わっているプロなら、A,B,Cどんな医者でも「これは気管支炎です」というハズです。

そこが当社がVMDインストラクターを育てている所以です。
売場のお医者さんになるための基準を売場塾で教えている理由はそれなんです。

論より証拠、この健診表はどのVMDインストラクターに頼んでも、同じになるんです。
VMD指導コースが売場塾にはあって、これを受講した卒業生はVMD指導プロ、シニアVMDインスタラクターになっているので、シニアVMDインストラクターに頼んだら誰に頼んでも同じ健診表になります。

VMDインストラクターも売場づくりのプロだけど、シニアVMDインストラクターはさらに進んだVMDの開業医と言えるでしょう。
VMDで食べていけるだけの器量を備えることができます。

売場塾では、売場づくりの基準が55あります。
この55をVMD基本講座18時間で習得することによって、売場づくりの基準を知ることができます。
売場のお医者さんになるための「売場づくりの型」を学べます

そうすることによって、売場を見たときにどこが悪くてどこがよいのか、正しい言葉で患者である店長に教えることができます。
この「フレームワーキング」という考え方は、オーバルリンク独自のメソッドです。

フレームワーキング、知りたい方は下記をクリックしてください。

フレームワーキングとは

今日は、売場づくりの手法「フレームワーキング」のルーツをお話ししました。
ご清聴ありがとうございました。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

新年の言葉「時は流れない。それは積み重なる」

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

三が日、どう過ごしましてますか。

元旦は荒川沿いをジョギングしてきましたよ。
天気がよくて晴れ晴れ~とした感じでした。
元旦なので、野球やサッカーチームが試合していなくて、土手はすいていました。

さて、今年でオーバルリンクは創業21年を迎えます。
今日は私の好きな言葉を披露します。

Chapter1 「時は流れない。それは積み重なる」

これ、サントリー・クレストの、ショーンコネリーが出演したテレビCMのコピーです。
私がまだ平成初期、広告代理店にいたころのCMです。

●サントリー・クレストCM

このコピー、いいですね。
それまでは下記のコピーもスキでした。

As Time Goes By.

アズ・タイムゴーズ・バイという、映画「カサブランカ」の名シーンで流れるピアノ曲です。
邦題で「時は流れる」という意味です。

この曲はジャズの名曲にもなっていますが、サントリーのCMに出会うまでは時は、流れるものだと思っていました。
積み重なるという感覚は、この頃の私にはありませんでした。

で、もうひとつ。

Tomorrow Is Another Day.

これは私が好きな映画「風と共に去りぬ」のラストシーンで、スカーレット・オハラが言ったセリフの一部です。
和訳だと「明日は明日の風が吹く」というコピーです。

これは、時が積み重なるどころか、吹き飛んでいくという解釈です。
なんか、ひょうひょうとしていていいですね。
リラックスできます。

「GONE WITH THE WIND」自体も、風と共に文明は去っていくという意味で、「明日は明日の風が吹く」というコピーと変わらない気がします。
この言葉、小説の本文で1回だけ出て来た文節でした。

Chapter2 積み重なりは振り返りの連続

元旦のブログで、いきなり「振り返ろう」と言う話もなんだと思いました。
しかし、あえて言うと、積み重なりは振り返りの蓄積でもあります。

私のパソコンの中に「振り返り」というフォルダーがあります。
これは何かというと、会社をつくってから事あるごとに振り返っている、個々の仕事の反省文なんです。

フォルダーは5つに分かれています。

1.売場塾
2.セミナー
3.旅行
4.商空間スタイリスト
5.OJT,リバイス他

各々のフォルダーごとに個々の仕事の振り返のメモを積み重ねています。
さっき数えたら、825回振り返っていました。
この20年で825回振り返っていた!!
この事実は、「意外と少なかったな」という感想です。
もっと振り返ってもいいくらい。(^^)

Chapter3 「振り返っちゃだめだ。未来だけ見ろ」

これはウソだと思います。
過去を振り返ることによって、人間は反省する。これに尽きると思います。
そうして、「次回はもっといいものにしよう」と心新たになります。

だから、振り返りを積み重ねることによって、物事はカイゼンされていく。
もっといいものになっていく。

それは仕事だけではなくて、旅行や趣味、英会話、友達との付き合い方、なんでもいいと思います。

例えば先ほど紹介した私のフォルダーに「旅行」というものがあります。
ここ15年、ほとんどハワイか軽井沢にしか行っていない私にとって、2泊から10泊の旅行はかけがえのないものです。
「ハワイに行ってよかった」と言える毎回にしたいために、振り返りメモ2014年から書き始めました。

振り返りは、子供の頃、キライなもののひとつでした。
私の両親は厳しくて、友達とキャンプやサイクリングに行った後は、振り返りレポートを両親に提出しなければいけませんでした。
その時は仕方なくテキトウに書いていました。
美辞麗句を並べれば、両親は満足してくれるだろう、と。
しかし今は「まじめに書いておけばよかった」と反省しています。

Chapter4 ジャズのソロパート

ただただ流れに沿って生きる、のもひとつの路かもしれません。
ただ、やっぱり川のよどみに留まって振り返りをした方がいいと思います。

「立ち止まってはだめだ。前進あるのみ」

これは、大企業の社長でも、戦争中の国民でも言っている言葉ですが、一回立ち止まって振り返ってみるといいのでは?
すると、会社の落潮も戦争もなくなるかもしれません。

ジャズの演奏で「ソロパート」があります。
これは曲の間に、ソロのアドリブを入れることです。
ソニーロリンズの定番ともなっているソロパートは、とても長い。
とくにベースは音が小さいので、ベースのソロの時だけボリュームを大きくします。

ソロパートに売った時、ソロをしている以外の演奏者は振り返りをすることができます。
ソロ奏者の音を聞いて、次はどうする?といったような構えができます。
そしてトリオやカルテッド演奏に戻った時、もっといい調子になっていることも少なくないでしょう。

こんな感じでたまには、立ちどまって他人のしていることを外から眺めてみるのもいいと思います。
すると、自分はこうあるべき、とかこうすれば自分らしいかな、と振り返ることができます。

Chapter5 正月は振り返りにいい

正月三が日のただなかですが、休日があったらぼーっと振り返るのもよいですね。
そして思い立ったら何かに書いてみるといいかも。

書くことによって、記憶や考えが整理され、こんまりの整理整頓のように人生変わるかも。
私の人生日記も15巻になりましたよ。
35歳の時から書いています。
毎年9月の連休になると1日家に閉じこもって、あれやこれや私事と仕事のことを書いていました。
30代の時は書いたこと90%は実現していました。
それは転勤、CM作品、ドラマや音楽の番組、TOEICの点数、すべてです。
会社をつくってから怠るようになり、今は人生日記ならぬ会社の戦略・戦術日誌になっています。

ぜひ、今後のやりたいこと、なりたいこと書いてみてください。
そしてそれは「振り返り」が出発点になるのです。

それではよい年を。
新年の言葉でした。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDを伝えて20年。

来月で、株式会社オーバルリンクは創業20周年になります。

ここにあるのは、創業以来ずっと愛用している私のダイアリー。
出会った人、出会った会社、出会ったモノやコトが日々積み重なっています。

20年前に起業したとき、VMDを知っている人は少数でした。

それが今、

VMDを仕事にする人が増えました。
VMDを目指す人が増えました。
VMDは職業になりました。
VMDは会社のセクションになりました。

VMDはメーカーや小売店を活性化するだけではなく、
人を活性化するものになりました。

これからも日本中の売場を快場に変えていくスケジュールを
あなたといっしょにつくっていきたい。

20年目のオーバルリンクをこれからもよろしくお願いします。

               株式会社オーバルリンク 代表取締役 深沢泰秀

2022年 謹賀新年

あけましておめでとうございます。
オリンピックも過去のものとなり、2020年になってからあったという間に年が進んだように感じています。

新しい年になりました。
今年の7月、当社は創業20周年を迎えます。
こちらも光陰矢の如し、という感じです。

このことを株主に報告すると、株主は
「ベンチャー企業が20年たって生き残る確率は0.3%だよ、
すばらしいね」と言っていました。

「え、そうなの?」ときょとんとしましたが、改めてネットを検索すると、本当でした。
●日経の記事

思うに、当時ほぼ同時に起業した仲間は、実家に帰った方、すでに10年前に会社をやめた方、いろいろです。
なるほど~と思いました。

企業って思ったよりも続かないようです。
会社をつくる前は2つの会社のサラリーマンだったんですが、その2つの会社、今はありませんから。

この時代、どうしたら企業は生き残れるのか?
まだ20年くらいでは言える立場ではありませんが、下記3つではないでしょうか。

  1. リスクを排除する
  2. コストを排除する
  3. 舵を切るときはスピート決断



おっとこれは企業としたら当たり前のことですよね。
これをベースとしたら、あとは物事の継続性と計画性があればいいかな。

これだと思ったら、トコトンやり抜く。
つまり、PLAN DO SEE ではないでしょうか。

私は、何か思いついたら、必ず企画書をつくるようにしています。
思いつきで終わらないために、パワポ等に書いてみるんです。
もちろん、いくらクライアントが集まっていくら売り上げが上がりそうか?
1年後はどうなっているか?
2年後はどうなっているか?
予測を書いてみるんです。

そしていけると思ったら、とことんやり抜く。
もちろん、うまく行ったものもあれば、失敗もありました。

会社人数少ないのに、事業計画書やサービス企画書いろいろ書きましたよ。
そして今も書いています。
下記ながら、あれこれ整理できるんですね。
そして考えがまとまっていく。

PLAN DO SEE。
よくある言葉だけど、意外ときちんとやっている少ないような気がします。
少しやってあまり芳しくないと、そのサービスや事業、やめてしまう方が多いんです。
事業は継続性です

創業しようとしている方、少しやってダメでも粘り強く継続してくださいね。
私は創業して10カ月間売上0でしたよ。
論より証拠、私の創業当時のブログ見るとわかります。
株式会社創業日誌

それでは今年もよろしくお願いします。


(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

2021年こそ売場を快場に

VMDの学校 売場塾の今年の標語

明けましておめでとうございます。
今年のオーバルリンクのスローガンは引き続き、RO RAIN, NO RAINBOW
これはどう意味かというと、「雨が降った後には必ず虹が出る」という意味です。
これ、私の好きなハワイの方言なんです。

日本式に言うと、「災い転じて福となす」「雨降って地固まる」みたいな感じですが、もう一つ意味があります。
それは、「努力しないと道は開けない」ということです。
売場に人が来ないからと言って、待っているだけではだめということです。

昨年、化粧品メーカーの方から下記の言葉がありました。
「今のままでは売場はビニルで覆われ、理想の快場とだいぶ違う」。

確かに。
なるべく売場に行かない。
なるべく長く店に滞在しない。
なるべく人と接しない。

こんな世の中になっています。

でも、VMDの技術を駆使して、
なるべく売場に行く。
なるべく長く店に滞在する。
なるべく人と接する。

こともできるはず。

考え方を転換すれば、
お客様がわざわざ売場に来てくれる
ことは可能になるでしょう。

ビジュアル・マーチャンダイジングはまだまだ伸びしろがあるんです。

売場づくりに関っている皆さん、知恵を絞って、ぜひ今年はお客様を売場に呼び戻しましょう~。
今年もよろしくお願いします。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDの会社、創業18年目になりました!

明日から7月ですね。
当社は明日創業18年目に突入します。
クライアントの皆様、売場塾受講生の皆様、多大なるご支援誠にありがとうございます。
いまオーバルリンクがあるのも皆様のおかげと厚く御礼申し上げます。

VMDの専門会社として17年やってきました。
その核となったのはやっぱり「VMDインストラクター」です。

VMDインストラクターのビジネスモデルのいいところは何と言っても仕入れがないこと。
VMD会社を始めたころは、店やディスプレイを作ることが多く、仕入れがたくさんありました。
設計費、施工費、広告制作費などです。
このビジネスモデルはよくなかったです。(笑)

そこで3年後180度やり方を変えて、すべての仕事は仕入れなしにしました。
●店舗を作る時は、・設計会社に頼まずに、自らデザイン・設計をする。
クライアントに施工会社と当社とで分別発注してもらう。
当社は設計料、プランニング料のみいただく。
●ディスプレイ制作の際は、ディスプレイマニュアルとディスプレイ用品調達一覧をクライアントに渡して自ら購入していただく。

早い話が、プランニングとコンサルサービスに徹底したというわけです。
例えプロップスが100円かかるとしても、それもクライアントに購入いただいてます。
これは仕入れノウハウを教えるようなもので、
クライアントはどんな業社や店でディスプレイ用品を集めるのかわかるので、2回目からは自分たちでできるというわけです。

企画料やコンサル料だけで食べていけるの?
とお思いでしょうが問題ありません。

なんせ17年やってきて毎年きちっと収益を出し、ほぼ毎年株主に配当してきました。
借金は一切ありません。
VMDインストラクターという職業は仕入れなしでできるので、不況下でも強いです。
(とはいえ、今回のパンデミックは予想外でしたが・・・)

VMDインストラクターの皆さん、風雪に耐えて生き延びましょう~。
上記の写真は、今年のオーバルリンクのスローガンです。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

2020謹賀新年

明けましておめでとうございます。
今年はいよいよオリンピックが開催されますね。
外国人のインバウンドがますます加速している中、今年は来訪者がピークになります。
これはニッポンのVMD業界にとって、またとないチャンス!
日本のVMDを外国に訴求させるいい機会です。

先週、イギリスリテールの大手、マークスアンドスペンサーで長年VMD担当をされた方が当社に来られました。
イギリスのVMDのいろいろな話をお聞きしました。
その中で、同社はロンドンオリンピックの時にメイン競技場の前に大きなショッピングセンターを立ち上げ、外国の方にVMDを堪能いただいたそうです。
したがって、オリンピックを媒介に日本型VMDをもっと訴求すべきだと論じておられました。
もっともだと思います。

振り返ってみると、売場塾の外国人受講者比率は約5%。
この数値はここ2年の売場塾受講生の外国人の比率です。
日本橋本校をつくってから外国の方の利用が伸びています。
授業は日本語ですが、日本語に堪能な方が受講しています。
海外に拠点を置いている日本のリテールやメーカーの方も多いです。

ということで最近英語の必要性をひしひしと感じています。
VMD外国語本を出版している理由からか、台湾・中国からの問い合わせも増えています。
またラオス、韓国、フィリピン、マレーシアからも時々問い合わせがメールできます。

●中国語のVMD本

このVMD本、海外企業でドカッと買っていただく例もあり、うれしいです。
ぜひ日本の方で海外拠点のVMD担当におススメしてください~。

オーバルリンクは残念ながら、日本語でのコンサルしかしていないのですが、
問い合わせやお話は英語でしますので、英語ができる方、ぜひお問い合わせください。
下記が英語のホットラインです。
私のつたない英語で対応いたします!

●英語ホットライン
03-5284-7261 外国語係
●英語メルアド
navi@vmd-i.net

You foreigners can contact VMD SCHOOL ‘URIBAJUKU’ in Japan, easily.
We now equip English Hot Line.
Please call me, if you are foreigners speaking English.

●English call
03-5284-7261 English speaking counter
●English e-mail
navi@vmd-i.net

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

祝 令和

令和時代、明けましておめでとうございます。
新しい時代も快場で花を咲かせましょう。

今日のモーニングコーヒーテーブルは、令和を記念して「梅の花」
というテーマで作ってみました。
ディスプレイって楽しいですね。

VMDインストラクターの皆さん、快場の伝道師として
新時代もがんばりましょう~。(^^)