マッシュアップでVMDハウツーを組み立てよう

VMDインストラクターの皆さん、マッシュアップでVMDのハウツーをつくりましょう。
今日はそのやり方をお教えします。

マッシュアップとは、二つのものをミックスして新しいものにするという意味です。
音楽やビジネス用語として使われています。

VMDインストラクターの方は、日々リバイスに励んで新しい売り場づくりの法則をつくり、それをガイドラインやマニュアルに落とし込んでいると思います。

VMDのハウツーとは、VMDのベーシックな理論をベースにした自社独自の売場づくりのルールと言えます。
ハウツーは、単にVMDの本を丸写しにしただけでは、実践的なものにはなりません。
単なるコピペと同じで、オリジナリティがありません。
したがって、そんなガイドラインやマニュアルを読んでも、具体的にどうしたらいいのか現場スタッフは途方に暮れるでしょう。

では自社のハウツーを確立してツカエるVMDマニュアルをつくるにはどうすればいいのか。
それは日々の報告書をマッシュアップすればいいのです。

皆さんはリバイスをした後、報告書を書いていると思います。
写真や言葉で、本日はこんなリバイスをしました・・・という社内報告書を書いてますよね。

実はこの報告書、賢い使い方があって、ずっと机の中にしまい込まないで、3か月~半年ごとに見直すといいです。

写真や文字を読んでいき、大事なところをマーキングしてみてください。
「これは参考になるな」とか「これは売場づくりのヒントになりそうだ」「これは現場に必だな」という感触でよいです。
その部分をマーキングします。

マーキングしたら、その文章や写真をワードでもエクセルでもいいからコピペします。
3か月で30枚の報告書が上がっているとしたら、マーキングした文章は30くらいは上がると思います。
ここまでマークすると報告書は、実はVMDの参考書になることがわかります。

さて、ここからがマッシュアップです。
マーキングした文章で、似たような内容の文章をくくってください。
例えば、ゾーニングに関すること、色に関すること、フェイシングに関すること・・・などなど、売場塾のフレームワーク用語をベースにしてもよいので、似たような内容を集合させます。
エクセルでチャチャッとソートしてもいいでしょう。

中には、新発見もあります。
「テレビCMしているブランドイメージと店頭のイメージが合わない場合の対処法」とか、「店内で個々のお客様のプライバシーを守るための椅子の配置の仕方」など、既知のVMD理論では計り知れないハウツーも出現します。

ソートされた内容は、報告書の中でいったん解決しているか、未解決、または中途半端な解決になっているものなど結果はさまざま。
解決した場合は、どうやって解決したのか、自分なりに文章を書いてみます。
解決していない場合は、どうすれば解決できるのか、文章を書いてみます。
下記のような書き方の流れが理想的です。

●問題点 → ●解決するための考え方 →●実施の仕方 →●(予想できる)結果
つまり、文章の流れはPLAN DO SEEと考えてください。

論文を書くように気張ることはないです。
最初はメモ書きでOK。

次に日を置いて、今度はそのメモ書きをきちんとした文章に組み立てます。
誰が見ても納得するような理屈にするように組み立ててみてください。

そして最後にきちんと理論化できたら、自社だけのオリジナル・ハウツーができあがりです。

このハウツーをVMD課目あるいは細則として、自社のガイドラインやマニュアルに載せればよいのです。

報告書のマッシュアップは、3か月に一度、半年に一度くらいのペースで続けていくと、1年経てば貴社オリジナルのツカエルVMDガイドラインが出来上がります。

このマッシュアップ、手段としてSNSツールを使うことをおススメします。
下記のようにしてみてください。

●社内SNSで、つぶやいてみる
LINEやツイッターの社内版を活用して、自社のVMDハウツーについてつぶやいてみてください。
「むずかしい商品は箱から取り出して商品見本をつくった方がいいな」
「季節が到来したら、その季節を感じる色を優先的にマネキンに着せ付けたほうがいいな」
「フェアなどのPOPは同一デザインで3回以上、等間隔・同一の高さに揃えたほうが効果的だな」
などなど。
つぶやきはVMDチーム同士で行うとよいです。

●社内ブログに書いてみる
つぶやきがたくさん集まると、ヒントがちりばめられますので、それを元に社内ブログに上記の例をタイトルし、理論化してみます。
例えば、「むずかしい商品は箱から取り出して商品見本をつくった方がいいな」でしたら、下記のように文章をまとめてみます。
●箱出しフェイシング

●マニュアルに掲載する
VMDチームメイト同士でこうした荒いハウツーを確認し、よくできた理論と認定したら、それをマニュアルの文体に書き直して、マニュアまたはガイドラインに掲載します。
マニュアルのひとつの課題、または細則にするのです。

このようにすれば、いつでもマニュアルは更新でき、実戦的で使いやすいハウツーが蓄積していくわけです。

マッシュアップのしくみ、だいたいわかりましたでしょうか。
ソフトバンクさんやセガトイズさんなど、多くの企業では、社内SNSを使用した商品開発やマーケティングが当たり前になっています。
ビジュアル・マーチャンダイジングで、これらを使わない手はないでしょう。

私はVMDの学校「売場塾」のテキストを常に更新しているんですが、マッシュアップを活用してつくっています。
日々のクライアント活動から実際に成功した売場づくりをハウツーに転換して、誰でもツカエルVMD理論に組み立てているんです。
だから、売場塾のテキストは説得力あるんですよ。(^^)

VMDインストラクターの皆さん、報告書のマッシュアップでぜひ独自のVMD理論を組み立ててくださいね。
VMD本をコピペするだけでは、役に立つガイドラインはできないです。

ちなみに報告書からマッシュアップしてガイドラインに落とし込む方法は、売場塾のVMD教育指導講座で詳しくお教えしています。
●VMD教育指導講座

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)