ネーミングによるブランディング戦略

オーバルリンクのロゴ

今日はネーミングと商標によるブランド戦略についてお話しします。
例によって広告マン時代から今日に至るまで綿々と続いている活動です。
この話、販促部の方や宣伝部、営業企画部や独立起業した方にもばっちりためになるのでよく聞いてくださいね。(^^)

1.広告マン時代のネーミング戦略

今は小売店やメーカーを含めた流通業社をクライアントとしているオーバルリンクなんですが、広告マン時代はメーカーが主なクライアントでした。
静岡支店時代だったので、お茶メーカーや釣り具メーカーなど静岡ならではの商品のネーミングが多かったです。

ネーミング自体を依頼されたことはまったくなく、「どうしたら売れるのか」「どうしたら名前を消費者に覚えてもらえるのか」などを考える上で、浮かび上がったアイデアのひとつです。
それとは逆に、「こんな商品があったらいいな」という過程で浮かび上がった商品自主プレのネーミングもありました。

当時の私の広告スタイルはAE。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)といい、広告だけでなく商品開発から販促企画までブランディングをトータルに行っていたため、商品の名前は重要でした。
主なものを紹介していきましょう。

A.釣り具パーツ

オモリやフックなど釣りにパーツは欠かせません。
パーツ商品のパッケージデザインを任されました。
釣具店の売場にはいろいろなメーカーのスイベルやオモリが並んでいました。

しかし、どのメーカーも似たような袋のパッケージ。
品番とアイテム名のみ、例えば「No154-5 スイベル」とか「No874-8 スピナー」という商品名でした。
これではどの商品を選んでいいかわかりません。

そこで、依頼されたメーカーの商品にあだ名を付けることにしました。

スピナーを「ピカイチスピナー」
スイベルを「サイクロンスイベル」
スナップを「イキイキスイベル」
リングを「手錠リング」・・・

そしてあだ名の横に1.2行の下記のようにキャッチコピーを入れました。

「ピカイチスピナー」
→「輝きが違う、回転が違う!キラメキバツグンだから遠くのバスにもアピールできる。

「イキイキスイベル」
→バスが追ってくる!ルアーをイキイキアクションさせるにはこのスイベルしかない!

あだ名とキャッチコピーを目立つようにパッケージにレイアウトしました。
黄色と青の目立つロックみたいなパッケージデザインは売場ですごく目立ちました。
思えば、このころからVMDを意識してパッケージ開発していたんです。

メーカーは最初、「卸からの注文が品番でなくてあだ名から入ってくるからわかりづらい」と言っていましたが、それでいいんです。

品番よりも名前を覚えてもらう。

それが何よりも広告効果だと思いました。

B.新茶物語

静岡では新茶の時期になると販売が活発になります。
いつも若い人向けに何かおもしろい商品が出来ないかなと思っていました。

新婚ほやほやだったわたくしは、新築の家に住み洋風リビングでお茶を飲んでいました。
リビングに置いたお茶缶はいかにも和風デザインで、板の間のリビングには合いませんでした。
かねがね、「新茶は季節の便りとして人に贈るもの」という意識あった私は「新茶はメディア」というコンセプトを考え、「新茶物語」というモダンな商品をお茶メーカーに提案してみました。

提案の直接のきっかけは下記でした。

橋本環奈似のモデルが和服を着てウォークマンを聞いているお茶カタログの表紙。
それは東京のデザイナーに依頼してつくってもらったカタログデザインでしたが、とても気に入りました。
それをヒントにストーリーを考えてみました。
ニューヨークに滞在している父に静岡にいる大学生の娘が新茶を送るという物語。

若い女の子だったらこういうお茶を送るんだろうな、というイメージでステンレスの丸い弁当箱のような缶にお茶を入れ、金平糖を白磁の皿に入れて箱にセットでつくってクライアントに提案しました。
名前は「新茶物語」
顧客が新茶を贈答する際はオリジナルの手紙を中に入れられる仕組みにしました。

娘の名前はみどりとし、書道五段の私が女の子っぽい手書きで広告用の手書きを書きました。
小売店にとっては代筆して先様に送るというかなり面倒くさい商品でしたが、話題性とクリエイティビティは確保できました。

C.新世紀

2000年を迎えようとししている時。
社内会議で「2000年という節目は広告チャンスだ。それをネタにみんなで企画を出し合おう」ということになりました。
そこで、私は「新世紀を商標登録してそれで商品づくりを企業に提案しよう」という案を出しました。

「新世紀」は梨で有名です。
ただ、梨は果物の部類に入っているため、他の部類の商標はされていませんでした。
これはチャンスです。
食品メーカーに持ち込めるように、砂糖・お茶・米などの部類で会社名義で商標登録しました。

先願権がないの弁理士に確認してもらい、いろいろな企業に企画を持ち込みました。
決まったのはやはりお茶店で、新世紀の祝いのお茶を出そうということになりました。
神社にお祓いしてもらったお茶を「新世紀」として通販で売り出すことになりました。
結果まずまずの売上と話題作りができました。

しかしこれ、落ちがあります。
後日、他のお茶店が商標を持っているのが判明し、販売の続きはできないという羽目になりました。
特許庁が間違えてダブル承認してしまったということでしたが、今でも腑に落ちません。

そのほかにも会社員時代には、

・マナ坊
・ラジオインターネットマニア
・アースデザイン・マインド・ミュージック
・よりどり緑
・オーシャン・リー

などいろいろなネーミングを考えて企画提案・実施しました。
こんな感じで、商品名はマーケティング、ひいてはブランディングの一環で、広告・販促を営む人なら誰でも必要なものでした。

さて、ここらでオーバルリンク時代のネーミングに移りたいと思います。

2.オーバルリンクの商標戦略

広告代理店を辞めてVMDの専門会社をつくってからも、VMDをどうやって商品化するか考えていました。
とはいえ当社はコンサル会社なので、商品は無形商品です。
サービス名というのが正しいです。

しかし、ネーミングの考え方は商品でもサービスでもテレビ番組でもタレント名でも、まったく同じなんです。

ましてや創業したての会社が「VMDいかがですか?」と企業に売り込んでも、相手はまったくわかりません。
実際のところ創業当時は、VMDという言葉も知らない企業がほとんどでした。
電機メーカーのクライアントが多かった私は、やっぱりVMDを分かりやすく企業に知ってもらうには、ネーミングが肝だと思いました。

・売場UP2サポート
・売場ドッと混む
・リモデルプラス
・ユニットVMD ・・・

など、いろいろ考えて提案・実施してきました。
VMDのコンサルが多くなり市場が大きくなった今、商品名を考えるのは差別化として不可欠になりました。

ここで、当社のメイン商品として商標登録し今でも続けているサービス、それらをいくつか紹介します。

「売場塾」

VMDの学校 売場塾ロゴ

VMDセミナーサービスをつくるにあたって、何かよい名前がないかなと思っていました。
「VMD大学」、「VMD道場」、「VMDスクール」などが考えられますが、どれもありきたり。
少人数の上、ビルの地下でセミナーをやっていたことから、塾という名前がしっくりきました。
うちの社員にデザインの原案を渡し、上記のようなロゴにしました。

リリース直前、私が少し横長文字に改良しました。
VMDという言葉が入っているのがとても気に入っています。
(気がつく人は少ないですが・・・)

次いでサブネームも考えました。

出張売場塾 →クライアント先で行う売場塾
オーダーメイド売場塾 →クライアントの業種・業態・取扱商品にカスタマイズする売場塾
オンライン売場塾 →オンライン講座

など。

地下で始まった売場塾

これは売場塾の初期の様子。
地下室で始めたので、やっぱり学校というより塾ですね。(^^)
売場塾の生い立ち、詳しくは下記をクリックしてください。

・売場塾アーカイブ

以後、どんなセミナー関係でもほぼ「売場塾」のロゴを入れています。
単なるVMDセミナーというよりも、売場塾という学校のベースがあり、その理論や教材を使ってセミナーをする、という特色が出るため、法人セミナーでもロゴを入れています。
by 売場塾 という感じですね。
インテル入っている、という使い方です。

「月刊VMD」

月刊vmdロゴ

これは最近開発した商標です。
普通に読んでみると「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」です。
VMDに関する雑誌ブランドと思ってください。

現在、VMD専門の雑誌は存在しません。
かといって当社が月刊誌を本屋で売る流通誌として出すとかなり労力がかかります。

時間も人材もない当社ができることは、まず月ごと送っているメルマガやブログに名前をつけるということでした。
そこでつけたのが、「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」。

響きがいいんです。(^^)
これもネーミングの大事な要素。
すぐに覚えてもらえるんです。

かといって、それをすぐに販売して利益にするのは難しいので、しばらくホワイトペーパーの名前にしていました。
ホワイトペーパーとは広報用の雑誌みたいな意味で、MA(マーケティング・オートメーション)やっている会社がよくやっている販促ツールです。

もともと当社はビジネス誌や書籍にたくさんの論文を書いています。
それらをマッシュアップして記事化し、当社のVMD理論やレポートとして無料で配付していました。
毎月新しい情報を必ず2つは流しているので、ホワイトペーパーも「月刊VMD」と問う名前にしてクライアント等にお送りすることにしました。

その後、オンライン「センスアップセミナー」のテキストにもすることにしました。
2021年の9月から今でも続いています。

・センスアップセミナー

今年春からは「月刊VMDムック」として書籍発売もすることにしました。
ムック購入したい方は下記からお申込みください。
1冊から買うことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」

またキンドルのサブスク入っている方は無料で読むことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」キンドル版

今年、月刊VMDをファミリーブランド化し、月刊VMDブログ、月刊VMDメルマガ、月刊VMDムック、月刊VMDレポートなどと、でサイン統一しました。

vmdメディアブランド戦略図

今まで述べて来たことを図にしたのが上記。
広報メディアもブランド化できることが分かったと思います。

「商空間スタイリスト」

商空間スタイリスト

VMDインストラクターがVMDの資格として確固たる地位を確立したころ、ディスプレイの資格は考えられないだろうか、考えていました。
そこで上記のような名前を考えました。

「商空間スタイリスト」を商標化したのは2017年ころ。
このディスプレイ資格の特徴を如実に図案化しました。

・陳列スタイリスト
・展示スタイリスト
・プロップPOPスタイリスト

「商空間スタイリスト」は上記3段階を経て取得する資格のため、このようなロゴになりました。

ロゴのしくみとして、上記3段階を入れた4段階の資格の色を決めています。

・陳列 →オレンジ
・展示 →パープル
・プロップPOP →グリーン
・商空間スタイリスト → スミ

色をベースにテキスト、認定証、案内書、広告に至るまでVIを決めてデザインしています。
四角いキラッとしているスクエアはシャイニングスクエアといい、デザイン要素のひとつです。
また、カードはSのイニシャルを透かしで入れています。
英名、Shop Space Stylistの頭文字ですが、私はスーパーマンのイニシャルと呼んでいます。

商空間スタイリストを取得した方、ぜひディスプレイ制作のスーパーマンになってほしいです。(^^)

「VMDインストラクター」

これはもう言わずもがなですね。
当社のビジネスモデルそのものです。

ただ、なんでインストラクターという言葉をつけたのか?というと、文字通りVMDのリーダーを育てたいという当社の方針があったからです。

売場塾を始めた2006年はVMDコンサルタントが市場にあまりいませんでした。
日本にVMDを広めたいと思って創業した当社なので、早くVMDを国内に広げるにはどうすればいいか、考えました。

そこで、私のようなVMDの先生を日本にたくさんつくると早くVMDを広められるのではないか?と思いつきました。

VMDを広める人をVMDインストラクターと名付け、日本の新しい職業にしようと考えたんです。
VMDインストラクターは、ただディスプレイがうまい人ではありません。

・ショップデザイン
・品揃えと展開
・ディスプレイ
・体験販促

この4分野のスキルを持つ人でないとVMDとは言えないと思い、VMDインストラクターを考案、商標化しました。
ヨガが広まった時にヨガインスタラクターがたくさん輩出したのと同じように、VMDもインストラクターが必要だったんです。

そしてVMDインストラクターの資格取得者は企業本部の方が多いという特徴を持っています。
チェーン店である小売店本部のVMD担当はチェーン店を指導しなければいけません。
メーカーや卸の本部の販促担当も、営業所やお得意先である小売店に提案活動、ミニコンサル活動をしなければいけません。
またVMDとして起業したい方は、VMDインストラクターそのものが仕事にならなければいけません。
つまりVMDの先生として収益を得るんです。

そういう意味で売場塾では、単にディスプレイがうまい人というよりは売場づくりを総合的に指南できる人材を育成していったのです。

詳しくは、VMDインストラクター協会のホームページをどうぞ。(^^)

・VMDインストラクター協会

この認定カードも社内で考えたシンプルなデザイン。
2006年はiPhoneが流行っていたので、iを用いた図案にしました。
すちなわちvmd-iです。

iPhoneのようにシンプルなデザイン、気に入っています。
シニアは下写真のように格調高い紫色にしています。

VMDインストラクターはただいま922名なのですが、シニアはまだ22名しかおらず非常に貴重な資格になっています。
シニアは実技試験があり、合格率もVMDインストラクターより低いです。
シニアは「VMDをコンサルサービスとして収益を上げられる人」が認定基準となっています。
そのため、シニアを取った方の半分以上が独立起業しています。
中にはVMDコンサル事務所として株式会社を立ち上げる方もいます。

VMDプロの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクター目指して頑張ってくださいね。(^^)

3.社会意義的な商標

当社は上記の他にもたくさんの商標を持っています。
商標は当社のブランディングの一環として捉えています。

例えば「快場」はいろいろな企業が使っている、もう流通業界では馴染みの言葉なんですが、実はオーバルリンクの商標なんです。
快場のコンセプトは下記を参照ください。

・快場とは

フットマーク株式会社が「介護」という言葉を考えて商標登録したのと似ています。
フットマークの社長は、看護と介助という字を組み合わせて「介護」という文字にしました。
商標の権利は今でも保持しているんですが、みんなが知らずにフツーに使っています。
子供を守る学校の水泳帽は今では当たり前なんですが、これもフットマークが昭和時代に考案したもの。
以前社長の講演を聞きに行ったんですが、こうした活動はすばらしいと思いました。

「快場」も「介護」なみにフツーの言葉になりつつあります。
いや、コロナ禍後の売場づくりはますます「快場」が意識されています。
それは「リアルな売場は楽しい買い物体験を提供する場にしなければいけない」という機運が高まっているからです。

4.商標は戦略にする

最後に大事なことをひとつ。
ネーミングや商標は「おもしろい名前思いついたから、とりあえず登録する」だけじゃダメなんです。

あなたの商品、あなたのサービス、あなたの会社の戦略にしなければいけません。
名前を決めるきっかけは二つ。
●今ある商品やサービスに名前をつける ●名前から発想して新商品やサービスをつくる があります。

広告代理店時代は前者が多かったんですが、会社をつくった今は後者も多くなりました。
前者も後者も戦略が必要です。特に後者は入念に行っています。
私はいつも企画書を書いて、戦略の道筋を整理しています。
登録する商標の2.3年後、長いときは5年後の姿を描いています。

例えば、「商空間スタイリスト」という名前を考えたのは2014年6月。
パワポの企画書は24ページ。書き直し3回。
そして実際にスタートしたのは2017年12月。
今なお、企画書を更新しているんです。

「VMDインストラクター拡張戦略」を書いたのは2014年11月。
企画書ページ数は23ページ。
2016年10月で企画書更新6回目になっています。

そんなわけで、デスクトップの事業戦略ホルダーは、いろんな企画書でいっぱいなんです。
あたためているネーミング、たくさんありますよ。(^^)
商品やサービスの未来を考えるってなんだかワクワクします。

ということで、いいネーミング思いついたからと言って、安易に商標登録しないでくださいね。
どのように収益化するか練りに練ってから商標登録しましょう。

販促部の皆さん、VMDプロの皆さん、お店や会社、商品のブランド確立、ともにがんばりましょう~。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

セルフブランディングしよう

今回はセルフブランディングについて話します。
独立起業する方だけでなく、会社員の方にも役に立ちます。
それでははじまり、はじまり~。

1.サラリーマンとは

それは大学生のころでした。
東京の葛西に下宿していた私は、毎朝ぎゅうぎゅうの東西線に押し込まれるネクタイ姿のサラリーマンを見て「サラリーマンにはなりたくないな」と友達と言い合っていました。
同じようなグレーの背広にネクタイをしている会社員がなんだかむなしく思えたんです。
昭和かれすすきというか・・・。

それから4年、私は広告マンというサラリーマンになっていました。(^^;)
どちらかというと背広着なくていいCMクリエイターになりたかったんですが、昭和の超氷河の就職時代には営業という背広の似合う(!)会社員になってしまいました。

上写真の左の写真は新入社員当時の顔。
よく黎紅堂(れいこうどう)に通ってフュージョンを借りていました。

最初に入った地元ローカルの広告会社は老舗だったんですが、求人広告に力を入れている会社でした。
テレビ課に入ったのに1日100軒求人広告を取るために電話追い込みや飛び込みの日々が続きます。
昭和当時はスライドCMというのがあって動画じゃない動かないCMがありました。
2年で100本は作ったと思います。

2年後、バブルの時代になりヘッドハンティングされて大手広告会社に移りました。
それで知ったのはプレゼンのやり方でした。

2.デザインはきちんとする

新規開拓用プレゼン企画書を書く日々は徹底的に上司から書き方やプレゼントーク、資料のまとめ方を教えてもらいました。
山あり谷ありだった累計5年。特に最初の2.3年は徹底的に二人の上司に鍛えられました。
転職最初から他者からの引継ぎはまったくなく、100%新規クライアントが取れたのはプレゼンの賜物といって過言ではありません。

独立している今でも、何か打合せや提案事があると企画書をつくります。
売場塾でPOP指導講座をやっているせいもあり、書面には十分気を使います。

  • ヘッダーやキャッチの色はクライアントのコーポレートカラーを使う。
  • フォントやカラーは統一する
  • 行替えや段落替えをして読みやすくする。
  • 文章はツラ合わせをする。

そして企画フローは

  • 起承転結や序破急などリズムを付ける。
  • 章を設けて最後にまとめる。
  • 無駄は省いてシンプルにつくる。
  • 予算を最後に付ける。

などをしています。
企画書やメールの文面はその人を表す鏡みたいなもの。
会社員時代でも独立してもキチッとさは忘れないようにしています。

特に独立起業する人が気をつけた方がいいのは企画書だけではありません。

・メールの最後にフッダーがいつもついていない。
・クライアントの商品や会社名のマエカブ・アトカブを間違える。
・名刺のデザインがいつも違う。
・屋号のロゴが媒体ごとに違う。
・てにおはがなんかヘン。

研修スライドに関しても

・スライドごとにフォントが違う
・ヘッダーのあるなしがある
・箇条書きだが行替えがバラバラ
・ネットでひろった画像をそのまま使っている

などが目立っています。

まあ、私も聖人君子ではないので上記のことをさぼる時もあるかもしれないのですが、心がけとしては、零細企業でも大手ブランド並みのきちっとした体裁は心がけたいものです。
逆に言うと、大手ブランドに属している人でも独立起業すると上記のレベルになってしまう人もいるので注意しましょう。

3.何ができるのかを明確にする

今まで100名は下らないと思いますが、当社に自分を売り込んできたたくさんの方がいます。
ただ、企画書を付けてくる人はあまりいないんですよね。
ほとんどの人が、「こんな仕事をやっていました」と言ってディスプレイや店舗デザインの写真を見せます。

すばらしいディスプレイの写真やグラフィックはわかるんですが、伝わってこないんです。
私が知りたいのは「何ができるのか?」であって、「何をしました」というだけでは不足なんです。

1人だけ「私は空中ものが得意です」と言って、宙に浮いているディスプレイを提案してくれました。
ピアノ線やテグスでディスプレイ用品を吊るして立体的に商品を見せていました。
彼女は、3次元のディスプレイこうしたを4次元に変えるとどのくらい目立って集客できるかを事例と共に話してくれました。

企画書のデザインは大したことなかったです。(スミマセン)
が、彼女のプレゼンは非常に心に残り、その後本当に空中ものディスプレイを私のクライアント店舗でつくってくれました。

こんな感じで「自分は何ができるのか」を明確にするといいです。

SNSで発信する時もそう。
「こんなんやりました」とディスプレイをアップするだけでなく、

  • こんなところを工夫しました。
  • こんな効果がありました。
  • こういうノウハウが生きているんです。

などを付け加えると、投稿が生きてくると思います。

特にウインドウディスプレイなどは、

・ディスプレイプラン
・商品構成と調達
・プレゼン用デザイン
・グラフィックデザイン
・デコレーション

と分業されているケースが多いので、どこの部分を当人が担ったか私は知りたいです。
その上でこの人は、企画力があるのか、ディスプレイの構成スキルがうまいのか、造作物が得意なのか、知ることができます。
もちろん、総合的に企画から制作まで1人でやった方もいるとは思いますが、
「こんなんやりました」だけで作品集を出されてもピンとこないんです。

4.自分のオリジナルを持つ

サラリーマン時代はIP(パーソナル・アイデンティティ)を意識していました。
いまでいうセルフブランディングですね。
単なる広告マンではなく、「タレント職人」というコンセプトで仕事をしていました。

テレビや映画のタレントみたいに、「その人でないとできない!」というやつですね。
私は営業マンだったので、同業の営業たちと会うと

・いくら売上ている
・どこそこのクライアントをやっている

というのが話ネタになってしまう。
それだけだとつまらないなと思っていました。

根っからの企画好きだったので、誰もやらない企画を作り実行する。
そのほうが面白いと思っていました。

で、ほとんどの企画は自分の好きなことをしました。

  • バードウオッチングとジャズが好きなので、それらをリミックスする環境音楽番組をつくる
  • 英会話の勉強をしていので、英会話学校他スクールを集めたイベントをする
  • 釣りが好きなので、釣り具メーカーの広告や商品ブランディングを仕事にする

などなど片っ端からやってきました。
ほとんど全てが飛び込みからでした。
もちろん、営業なのでふだんの売上ノルマはあります。
それらをクリアした上でのことですが。

上記と同じように、自分が会社員としてどこかのブランドVMDでも、会社を辞めたら通用しなくなります。
在籍していた会社のブランド名や売上額ではなく、「何ができるのか」「その人でないとできないのは何なのか」が起業独立したら問われます。

実はそれが私が広告会社を辞めてVMDの会社をつくってもすぐに売上が上がらなかった理由です。
その期間、なんと10カ月!そう、10カ月1円たりとも仕事がなかったんです。
仕方がありません。
マス広告の実績が中心だったので、VMDの実績はほとんどなかったからです。

しかしその10カ月の間、オリジナル企画をつくって売上を上げ始めました。

・売場UP2サポート
売場ドッと混む
リモデルプラス
店舗診断
・ユニットVMD
・VMDサポーター

など、これは開業2年間で私がつくったVMDのパッケージサービスですが、今でも売場ドッと混むと店舗診断は独自のサービスにしています。
試しに上の「売場ドッと混む」と「店舗診断」をクリックして見てください。

要は、サラリーマンの延長でそのまま独立しても仕事はないということ。
前の会社の輝かしい実績は置いといて、自分に何ができるか開発しないといけないということです。

5.何が幸福か考える

広告代理店東京本社に来た時は毎日2.3時間睡眠、静岡時代でも最初の2年は布団に寝る事が少なかった時もありました。
こたつでそのまま寝ることが多かったです。

そんな昭和サラリーマンの私でも、さすが今は徹夜はしないです。
仕事より健康を優先にする、が今はモットーです。
毎日7時間は寝るようにして毎日ストレッチ、週一でランニングや筋トレをしています。
その中でできる範囲で仕事をして会社を存続させています

私の周りにいつも4.5時間睡眠しかとれず週末も忙しい人がいますが、健康には留意してほしいと思います。
仕事をあふれるようにやっているといつか限界が来ます。

私も広告会社の2.3時間睡眠時代は、徹夜で作った見積書の数字が大きく間違っていて会社に損害を与え、クライアント交代され、左遷の憂き目に会いました。
リゲインのCM「24時間働けますか」はもう死語なんです。

特に会社員の方はいつでも代替わりがいるので、プライベートな時間を削ってまで
仕事をする必要はないでしょう。
まあ、仕事好きすぎて休日も仕事はOK、という人は別ですが。

オーバルリンクの仕事ガイドラインで、「夜7時以降はメール禁止」というのがあります。
広告代理店やコンサルの方でも夜の12時以降にメールを送ってくる人がいますが、「こんなに一生懸命仕事しているなんてすばらしい」と思って受け取る人はいないでしょう。
むしろ「大変だな」と思うくらいです。

なので、私はどんなに忙しくても会社員時代は夜9時に会社を退社していました。
(それでも遅いですけどね)
その代わり、朝7時に出社していました。

東京本社に転勤した後も夜9時退社はなるべく守っていました。
ところが朝6時に出社する毎日になりました。。。。
それだけ当時は過酷でした。
働き方改革があの頃あったら、と思う今日この頃です。

6.まとめ

この間、売場塾の卒業生で今は大手会社の社長をしている方にビジネス誌の取材をしてきました。
彼女、転職した5年目で社長になったんですが、インタビューの中で心に残ることがありました。

・企画するのが好きでそれを実行することによって会社をV字にしてきた。
・夜10時に寝て朝6時に起きる。
・この業界に携われるのが好きだ。

企画するのは好きでも実行しないと始まらないということ、同感です。
当社も最近11月・12月と週休半ドンと2日制にしてうまく行きました。
来年は週休3日制にチャレンジします。

みなさーん、健康に留意して来年もがんばりましょう~。

なお、上記の話の続きを聞きたい方はお気軽に
「VMDインストラクターで起業、副業相談会」にお越しください。
お待ちしております~。(^^)
●VMDインストラクターで起業、副業相談

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)