売り場作りに必要なディスプレイ、何が主役? 

今日は、ディスプレイ用品の中の装飾品の話をします。

装飾品はプロップスといい、次の3つに分けられます。
●オブジェ ・・・比較的大きな装飾品。置きモノ。
花瓶、人形、カップ、造形物など。
●オーナメント ・・・細かい装飾品。おもに散らすもの。
枯葉、ビー玉、貝殻、石など。
●マテリアル ・・・広い範囲で使うもの。敷き布。敷き紙、タペストリ。
板など。

これは何のために使うかというと、
●ディスプレイテーマをよりお客様にわからせる。
●商品イメージを高めるために使う。
●商品を引き立てるために使う。
です。

高級なサンダルだったら、近くにキレイなグリーンがあれば
気分は高まるし、リゾートぽいイメージが醸し出されます。
マテリアルを砂にして、ビーチイメージにするのもいいでしょう。

でもね、です。
プロップス使いすぎは禁物です。
売場塾でもよくいってますが、プロップスをあんまり使いすぎると
商品が死んでしまいます。
つまり、商品が主役のはずのディスプレイが、
プロップスが主役になってしまいます。

SCにいくと、「ここ何を売りたいのかな」と
いうディスプレイにすごく遭遇します。
プロップス数が多いんですね。
プロップスの間に商品が隠れています。
これでは本末転倒です。

VMDインストラクターの方は注意してくださいね。
ディスプレイレッスンをやるときは、プロップスをむしろ減らすくらいの
指導が多いのですが、生徒のウケを狙ってプロップスを多くすると、
商品が目立たなくなります。

よくあるのが、「どれどれ」とインストラクターが生徒のディスプレイを
直すのに、オブジェを多くして「ほら、春らしくなった」とかいうスタイル。
確かに、桜の花をディスプレイに添えるのはいいのですが、
商品であるビールのパッケージが見えなくなっています。
ひどいのになると、ビールの名前が桜に隠れています。
これでは本末転倒。
生徒が「先生、すごーーい」といっているあなたのディスプレイは商品が
主役になっておらず、桜が主役になってしまっています。

こういうパターンを今度の秋葉セミナーではお見せしますよ。(^^)

●秋葉VMD「ディスプレイセミナー」

プロップスを使いすぎずに、商品と少量のプロップスで、
テーマをわからせたり、商品特徴を理解させるディスプレイをつくるのが
プロでしょう。

全国のVMDインストラクターの皆さん、
ディスプレイレッスンがんばってくださいね。(^^)

売り場作りに必要なMDPシートの4適

この間のMDPシートの4適をおさらいしてみましょう。

●MDPシートの4適
最適な商品を ・・・マストアイテム
最適なトレンドと ・・・色・ディティール・コーディネート
最適なテーマと ・・・使うストーリー
最適なディスプレイ方法で ・・・フェイシング 

MDPシートとはなんぞや、ですが、
マーチャンダイズプレゼンテーションシートといいます。
これはディスプレイの指示書なんですが、各社により
表現方法はまちまちです。
お持ちな指示書は次の通り。

●写真
これ、多いです。本部のスタジオでディスプレイをつくり
写真で撮ります。
それを解説書つきで各店に送付。

●3D
これは、コンピュータグラフィックで行う指示書。
オーバルリンクもよく使います。
プレゼンに映えるんですね。この指示書は。
ただ、マネキンのモデリングできる人が限られていて
ほとんどデザイナーがつくります。

●スケッチ
絵心がなくても鉛筆スケッチ等でディスプレイは表現できます。
私もよくやります。
ただ、カッコつける場合は、鉛筆にトレーシングペーパーを
かざしてフェルトペンでなぞり、それをスキャンしてシート化しています。

●イラストレーター
これ使っている人多いではないですか。
イラレ使えないとダメなのですが、電化製品や化粧品みたいな
複雑な形態でもカバーできます。

さて、話は戻り、MDPシートの4適について話します。
上記の表現にこの4適を解説するわけなんです。
これをつけないと、ただの絵に描いた餅になってしまうからです。

スタッフにどうしてこのディスプレイを今つくるのかが明示され、
納得するからです。
写真を店舗に送りつけて、「この通りにして」では話にならないからです。

MDPの4適、ぜひチェックしてみましょう。

VMD部の組織内ポジション

先週の日経MJ見ると、
ロート製薬の売場づくりが大きく載っていました。
ロート製薬、カネボウや資生堂がジり貧なのに、
21期続けて売上高上がっているとは
スゴイです。
化粧品業界では、ロート、コーセー、メナードあたりが
躍進目覚ましいですね。

それはどこもVMDに力を入れているメーカーばかり!
最近は、売場塾受講生、化粧品業界の方、多いです。
これはハリウッド化粧品のVMD担当。

●ハリウッド

新聞によると、ロート製薬は商品開発部と販促部が合体し、
商品開発部が売場をベースにした
商品開発をしているからいい、と書かれていました。
私はそうは思えません。
なぜなら、その考え方は様々だからです。

確かに、商品パッケージや販促物を商品部のデザイナーが
いっしょに考えることはいいんですが、
問題は営業担当とリンクしていないところに問題があるでしょう。

化粧品の現場VMDを直接やっているのは、営業担当か美容部員です。
彼ら彼女らの売場づくりの意見も聞かないといけません。
商品と販促だけで行うと、現場に即した売場づくりが
成り立たないからです。

売場塾卒業生もメーカーの販促担当が多いのですが、
商品部寄りか、営業(販売)部寄りかで
意見がいろいろです。
商品部寄りのVMD担当は楽で、
商品生産から売場まで一貫してデザインできるので
都合がいいようです。

一方、営業寄りのVMD担当は、
現場からの意見が多くてまとめるのにたいへん!!
と言う声が聞かれます。
現場の方が売上を上げるという美容部員や店長さんが
強い組織だとそういう弊害ありますね。
どちらがいいんでしょうか。

結論。

どちらにもつかないのがいいんでしょう。
つまり販促部改め、営業企画室です。
これがいいと思います。

商品部よりのVMD部は、一見よさそうですが、
実は現場からクレームが来ることが多いんです。
POPが合わない、こんなSPツールほしいが作ってくれない、
こんなの役に立たない。うんぬん・・・。
かわいそうに、メーカー販促部が苦労して作ったPOPが
お店に貼られる率は半分以下なんです。
ほとんどゴミをつくっているようなもんでしょう。
まあ、20年広告会社をやってきてPOPをつくっていた私が
いうから間違いはないでしょう。(笑)
ほとんどのお店でメーカーの送ったPOPが使われていないんです。

それを解消するために、最近カルビーはカルネコという
POPシステムをつくって
POP破棄率がほぼ0%という偉業を達成しています。
すごいですね。

●カルネコ

これが、営業企画室といやつです。
それどころか、ここは最近事業部に昇格しています。
つまり会社みたいなもんです。
このカルネコがVMD部の理想ですね。~
VMD部は、商品部や営業部に属さずに、独立した室になる。
これです。
そしてこれこそがアメリカ企業が当たり前にやっていることなんです。

日本のメーカーのVMD担当の皆さん、
がんばってください。

決して「●●部」の下請けにならないでください。(^^)

プロダクツプレースメント

真央ちゃん、お帰り~。(^^)
先週、五輪日本選手団帰ってきましたね。
感動のフィギュア、YouTubeで何回も見ています。

真央ちゃん、本当にやめるのかな。
にわかファンですが、できれば続けてほしい。
葛西選手あたりが、「マオ、年取ってからでもメダル取れるんだぜ」
とか何とか言って説得してほしい。と思いました。

今日も真央ちゃんの帰国をニュースで見ていましたが、
出ていますね。エアウィーブ。

●選手団の帰国

金メダルの羽生選手が軽装で出で来たのですが、
真央ちゃんはすごくたくさんの荷物を押していました。
一番てっぺんにエアウィーブ。
これ、実は、プロダクツプレイスメントと
いう広告手法なんです。

真央ちゃんとこのエアウィーブの写真は、
先週のTVニュースや夕刊、明日の朝刊、
そしてネットニュースなどに大量に流れます。
エアウィーブが写真の中ですごく目立っていて、
これが広告になっています。

例えば、朝日新聞の全国版カラーの名刺大の写真は、
広告に換算すると800万くらいはしそうです。
テレビに15秒移りっぱなしでネットスポット、
しかもゴールデンだと、1本100万。
それが全6チャンネルで4回放映されると、ざっと2400万。
ネットや雑誌その他のメディアを合わせると、
成田空港だけで5000万以上はいったでしょう。

プロダクツプレースメントは、アパレルがよくやっていますね。
ドラマのタレントやお天気姉さんに
アパレルプランドが服を提供していますが、
私は、ドラマ提供より映画やこうしたスポーツの方が
うまいと思います。
ドラマの最後にアパレル各社のロゴが出ますが、
あれほとんど見ていないですよ。
テロップも早すぎて、
小さすぎて「協力スポンサー」多すぎてよくわかりません。

この間話した通り、ギャツビーの映画でシャネルが3億くらい、
プロダクツプレースメント出していますし、
ラルフローレンは、1970代に
同名のギャツビーで超有名プランドになりました。
ドラマの「協力」スポンサーはあまり効果があるとは言えません。

プレスは選択と集中ですね。
その点から行くと、ZARAは世界中の
ネットブロガーにZARAの服を無償提供して
宣伝をしてもらっている、これうまいです。

アパレルのプレス担当の方、がんばってください。
広告は選択と集中です。
エフウィーブ見習いましょう。(^^)

CMのうまい使い道

今日の「アッコにおまかせ」見ていたら、
タレントのCMギャラの
話がありました。

安室奈美恵で1本5000万、松子デラックスで3000万。
キャリーぱみゅばみゅで3000万。

もと広告代理店でCMをたくさん作ってきた私の感想では、
とても安くなりましたね。タレントのギャラは。

バブルのころは例えばサンマで1億。
山田邦子で8000万くらいでした。
今ではこんなに安くなっているんですね。オドロキです。

でも、これがもしかしたら標準価格かもですね。
バブルが異常でした。
あの時は、テレビCM入らなくて困っていましたよ。
テレビCMの枠は全放映時間の1/10までと決まっていたので
広告代理店の枠取り競争でした。

私の前いた広告会社では、超有名タレントを3000万で獲得した
といってその担当は社長賞もらっていましたよ。
これも異常でした。・・・・

スピルバーグにCM演出を1億で依頼すると、それが超安値という
時代でした。時代は変わりました。

アパレルでは、安室奈美恵をアンタイトルが使い、エビちゃんを
サマンサタバサが使っています。
お店に行くと、デカデカとポスターが貼っています。
アパレルでは、特にスポーツウエアや下着メーカーが派手にCMを
放映してますね。

CMを使うと、お客様が店にやってくるということで、サマンサさんなどは
とても効果があるようです。

特にユニクロさんは海外の一流タレントをも使用しているので
その効果は絶大です。
ただ、もと広告代理店のCMプロデューサーとして忠告したいのは
タレントの使い方とVMDとの関係です。

まず第一に、中途半端にCM流すのなら、CM辞めた方がいいです。
CMは1万GRP維持要は流さないと効果は出ないとは、私の経験則です。
みんなが帰宅しているゴールデン以外に1週間に数本打っても効果はありません。
辞めた方がいいです。

1万GRPとは、プレステやコカコーラ、サマンサやユニクロくらいの量です。
1定期間に打つ視聴率の総和です。
一般的な衣料品や日用品はこのくらい打たないと効果がないんですね。

なぜなら、1週間に1.2本ブランドのCMを見たくらいでは、1週間経つと
忘却の彼方だからです。

さて、CMとVMDの関係なんですが、これが連携していないブランド実は多いです。
高価なタレントを使っているのに、売場でその効果が出ていないショップは、
ほとんどタレントをPOPに起用していないからです。

せっかく、プランドのCMを大量に放映しているのに、売場はブランドサインが
設置されているだけで、そのタレントの肖像がありません。
これでは、CMを売っている効果がないのです。

例えば、エビちゃんを「オーバル」というアパレルプランドがCM打っているとします。
百貨店の平場に位置しているオーバルの売場を見てみると、エビちゃんの肖像がありません。
あるのはオーバルのロゴが売場のスミにちっちゃくあるだけです。
こんなブランドのCMとVMDのミスマッチが実はすごく多いんです。
先週もあるブランドに指摘しましたよ。
みんな納得いっていました。

CMを打っている宣伝部はなるほど、テレビ上でオーバルは有名になりましたが、
百貨店では目立たない。それはPOPにタレントを起用していないからです。
起用していても、B6くらいのPOPフレームを売場のスミに置いているだけ。
これではCMをやっている意味はないんです。
エビちゃんをばーーんと平場に置くとお客様は寄って来るでしょう。

このミスマッチの理由は、宣伝部とVMD部がかい離している典型的なミスです。
宣伝部はとにかくチマタで商品ブランドが有名になればいいだけで、
売場への誘導を怠っています。

また、VMD担当はマス広告は関係ないと思っているから、
売場のコーディネートばかり気にします。

これは、アパレルだけではなくて、実はケータイや家電製品、化粧品にも
言えるんです。
「オーバル」というブランドロゴよりも「エビちゃん」というアイドル(偶像)を
出した方がてっとりばやく来店客に伝わるんです。

特に家電や化粧品は、こむずかしい効果や機能を歌うよりも、タレントを売場に
偶像として置いた方がてっとりばやいです。
効果や効能は棚の近くで初めて詳細にPOPで語るといいでしょう。

全国のアパレルVMDの皆さん、もと自分のブランドがCM売っていたら、
マス→売場づくりでタレントをアイコンにするように心かげましょう。
「いやいやタレントのでかいポスターを売場に置いたらショップの品が落ちる」と
思わない方法がいいです。
品をキープしつつ、CMを活かす方法はいくらでもありますから。

後は宣伝部と常にコミュニケとってくださいね。
がんばってください。(^^)