ビッグモーターはなぜ街路樹を切ったのか

ドライバー目線の街路樹の通り

1.街路樹通りを走っているドライバーの目

今日は、ビッグモーターはなぜ街路樹を切ったのか。
それはVMDにとても関係ある事柄でした。

私たちVMDインストラクターは、路面店にVMDを指南することがあります。
その時、街路樹が道路脇に連なっている光景をよく目にします。
上の写真のような感じですね。

オーバルリンクの店舗診断は、こんな風に店舗外観の写真を撮ることから始めます。
上の写真は道路を走っているドライバー目線で撮影したものです。
店舗診断用の写真撮影は、お客様の目線で撮りますので、路面店は当然ドライバー目線で撮ります。

ドライバー目線の街路樹の通り

上の写真を見てください。
「うまい鮨勘」という寿司屋の看板は見えますよね。
「FamilyMart」というファミマの看板も見えます。
度もその先は街路樹でお店の看板が見えません。

ファミマのずーっと先を目で追ってください。
赤字に白抜き文字の「IN」というサインがあるのがわかりますか。
でも店の看板は街路樹に隠れて見えません。
ここが店舗診断の対象のお店でした。

ドライバー目線の街路樹の通り

上野写真を見てください。車は60kmで走っています。
店の18m先に近づいてきました。
INの文字は大きく見えてきました。
でも店名サインは街路樹に隠れて見えません。

店はレンタルソフト屋さんなんですが、取扱商品も業種さえもわかりません。

ドライバー目線の街路樹の通り

8m手前に来ました。
でも街路樹に隠れてとうとう店名はわかりませんでした。

DVD・ビデオの文字も目に入るか入らないかです。
そして、ビデオの次の文字、CD・レンタル・・・・読みにくいですね。
そしてその次の文字は葉っぱに隠れている上、小さすぎて読めません。

というか、目で全部の文字を読もうとしたら、前方不注意で事故ってしまうでしょう。
車は60kmで走っているので、横の看板を首を左に振ってまで読もうとするドライバーはどこにもいないでしょう。

こんな感じで国道を走っているドライバーは、レンタルソフト店があると気づかずに店の前を通過していきます。
とうとう、ビデオ店の名前も取り扱い商品も満足に分からずじまいでした。

2.ビッグモーターが街路樹を切ったワケ

ここまで話ししてもうわかったでしょう。
そう、ビッグモーターは、店の看板を見せたいために街路樹を切ったのではないかと思います。
昨日、警視庁がビックモーターの9店舗に街路樹伐採の容疑で一斉に9店舗を家宅捜索しました。
すぐにこのことは明らかになると思います。

このように街路樹で店舗がわからず、ドライバーに意識されていない店舗はたくさんあります。
「店の看板を大きく出しているのに客は気づいてくれない」
「店の看板あるのに、お店はどこにあるの?」
という問い合わせ多い」
というような相談が、店舗診断時によく聞かれます。

そんなお店に対して、店舗診断シートを掲示して外観の直し方を伝授するんですが、「木を切れ」とはさすがに言わないです。

街路樹は公共のものですからね。
街路樹は街の雰囲気をつくっています。
表参道に行ってもわかるように、街路樹がある道はきれいでさわやかーな感じがします。
街があって店がある。
だから街路樹の設置は街優先で、店優先じゃないんです。

確かに、店の存在がわからないことでお客様に入ってもらえない店は多いです。
「こんなところに店あったの?」というお客様が多い店は、それだけで死活問題でしょう。

でも、街路樹があってもお店をわからせる技術がVMDにあるんです。

3.看板サインはドライバー目線でつくる

では、現状どうやって店の存在をドライバーに分からせたらいいのか?
実際に当社がリバイスした事例を今からお見せします。
下の2つの写真を見て下さい。

ドライバー目線の街路樹の通り

この二つの写真のうち、上の写真はBefore、下の写真はAfterです。
さっきの8m手前から見たドライバー目線の写真です。比較してください。
「パソコン」の文字が目の先に入ってますよね。

もう少し接近しますか。
8m手前。

ドライバー目線の街路樹の通り

今度は「DOS-V」という文字も視界に入ってきます。

もうわかりましたね。
看板の角度と文字を変えたんです。

ドライバーは一瞬しか店を見ないので、その時に文字が目立つように配置してんです。

  • サインの位置を窓の上ではなくて、窓に垂直につける
  • 取り扱い商品は単語で数個に分ける
  • タテ文字にする
  • タテ文字を大きく太くする

このようにすれば、街路樹があっても店名や取扱商品がわかるんです。(^^)
下図を見てください。こんな構造です。
サインは90度角ではないので注意ください。

ドライバー目線の看板設置方法

VMDインスタラクターの皆さんは、2車線の道路の上下線から、ドライバー目線のビデオで撮るか、10mずつ道路の真ん中を歩きながら写真を撮って、どのようにサイン設置したらいいか、ストーリーを考えてください。

この時は失敗したくなかったのでCG動画でシミュレーションもしましたよ。(^^)
ただ残念ながら、看板デザインはお店が看板屋さんに一任したので、下記写真のような感じ。
白地に黄色文字は遠目からまったく目立たないので注意しましょう。

ドライバー目線の看板

4.その他の注意点

わかりましたか、
路面店の看板の付け方。
ビッグモーターのように木を切らないでくださいね。

というか、社会マナーをきちっと守ってVMDを遂行してください。
私たちの願いです。

さて、備考として下記注意点明記しときます。
路面店の「何屋」かドライバーにわからせるための店舗外観のリバイス事項です。

●ショールームが見えるようにする

車販売店やリフォーム店はガラス貼りのショールームになっています。
のぼりやチラシ・ポスターなどの販促物でショールームを隠さないでください。
肝心の車やキッチンが見えないようであれば、何屋かわかりません。

●のぼりは同じデザインを4M~5M間隔で配置する

のぼりのデザインが3つあったら、同じデザインののぼりを少なくとも3つ、等間隔に設置してください。
その時、間隔が2Mと短くなっていると、ドライバー目線ではのぼりが1つのダンゴ状態に見えるので複数置く意味がありません。

のぼりは同じデザインを4M~5M間隔で配置すれば、60Kで走っているドライバーにとって繰り返し印象づけることができます。

なお、ディーラーのVMDについては下記で詳しく述べていますのでご覧ください。
●カーディーラー店頭演出のコツ

なお、看板の改善は店舗診断で指摘していますので、サービス内容知りたい方は下記から資料請求してください。。

●店舗診断

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

医者の健康診断をベースにした店舗診断

店舗診断している風景

1.店舗診断無料時代

今日は、オーバルリンクの「店舗診断」のなり立ちからお話しします。
●店舗診断とは

私はオーバルリンクを設立してから、1年くらい無料店舗診断をしていました。
お客様の店舗の写真を撮ってどこが悪くてどう改善したらいいのか、無料でアドバイスしていました。
会社を立ち上げたものの、VMDの実績は少なかったので、まずは実績をつくることから始めたんです。

著名な店舗に電話をかけまくって、店舗診断していました。
20年前は今と違って、店舗診断断るところは少なかったです。
どんな小売店も自店の売場の出来栄えには不安で、売場づくりはこれでいいのか悩んでいるところが多かったのです。

業界トップの企業でもVMD担当はもちろんいなく、売場づくりは現場任せという事実は驚きと共に、オーバルリンク行けるんじゃないか?という変な自信もついてきました。(笑)

ということで、会社を軌道に乗せるためにタダでいいから成功事例をたくさんつくってそれを理論に組み立てていき、自社オリジナルのサービスをつくっていくという、ゼロからの会社経営だったんです。

同時に、普段生活していく中で気になった売場をどんどん撮影して、どこが悪いのか、またはどこがいいのか、を振り返る癖をつけていきました。
それがスーパーだろうが、薬局だろうがお構いなしです。

最初は「なんとなくこの売場はいい」「なんとなくこの売場は悪い」といしう感覚で撮影していました。
そして、パソコンで写真をじっくり振り返ると「ここをこうすれば良くなるかもしれない」と心の中で直し方をシミュレーションしていました

2.売場のケーススタディを想起する

ただ、無料店舗診断でも、店舗診断シートをお客様に渡すときに、改善点を説明しなければいけません。
その説明が「なんとなく悪い」みたいな説明だと、お客様は「本当にそうなのかな」といぶかしがります。
そこはコンサルらしく「ここがダメだからこう」ときっぱりベテランのように言わなければいけません。

にわかコンサルタントの当時の私は、半信半疑だが、とにかくプレゼンはコンサルらしくふるまっていました。
こんな日々が過ぎていきました。

創業から10カ月くらい経ちましたでしょうか。
売上は以前としてゼロです。
びた1文も入ってきません。

それでも、「その通り改善したら売場がよくなった」「売上が上がった」などという声がちらほら聞かれ始めました。

「VMD導入で確かに売上は上がるんだ」
とのんきな私は、だんだんVMDの効果を確信してきました。
当時は「VMDを導入しよう」と合言葉のように言っていました。
「導入」というと、MAとかSFAのようなアプリケーションソフトをインストールするみたいな感じがしますが、まさにその通り。
ソフトを会社のシステムに組み込むように企業に働きかけていました。

そのうち、改善成功事例がたくさん蓄積してきて、写真を撮っては売場改善シートを書いているときに、他の売場のケーススタディがよみがえるようになったのです。

そう、何千枚と売場の写真を撮ってきて、じっくり写真を見ているので、アタマの中にケーススタディが写真の画像と共に蓄積していったんです。

なので、店舗に改善点を指摘するときに「これはあの紅茶店のケースに当てはまるな」とか「これはあの家電売り場のケースに当てはまるな」という過去事例が自然に写真と共によみがえるようになってきました。

これを心理学的に「想起」といいます。
「想起」とは、何かをするときに過去の事を思い出すということです。
例えば、昨日は防災の日でしたが、ニュースの関東大震災の写真を見たときに「そういえば、うちの食料の備蓄はどのくらいあったけ?」と我が家の防災を想起するようなことです。

それほど人間というものは「想起」する生き物なんです。
「想起」は「習慣」と違って、時々起こるものです。
朝起きて、洗面台を見たら「そうだ、朝は歯磨きするんだったけ」というものではありません。
歯磨きは習慣なんです。

そんなことで、1年経ってやっと仕事がぼちぼち入りだしてきました。
ただし、コンサル純粋、店舗診断純粋のフィーではなくてほとんど店舗改装の仕事です。
こんなわけで最初の1.2年は改装業務でなんとか会社をやっているようなものでした。
ただし施工会社ではありませんので、店舗診断シートをつけて、それから改装プランを練っていました。
VMDを取り入れた改装プランだったんです。

VMDを取り入れた改装プランは「リモデル」といって、設計会社や施工会社の業務と根本的に違います。
今回はリモデル、詳しく説明しないので興味ある方はこちらをクリックしてください。
●リモデルとは

3.VMD用語を取り入れる

店舗診断の話に戻りましょう。
売場改善のケーススタディがだんだんアタマの中に蓄積されていきます。

ただし、それらを「想起」する場面は画像が多かったです。
例えばドラッグストアの改善すべき写真を見たときに、ふわーんと過去の家電店の改善写真が浮かぶんです。

ドラグストアだからドラッグストアの改善想起ではなくて、まったく関係ない業種・業態から想起されました。

カーディーラーの改善点はお茶店の改善想起、
本屋の改善点はキャンディショップの改善想起、
家具店の改善点はケータイショップの想起・・・

など売場を直すのに、業種・業態・取扱商品は関係ありませんでした。

ただ、問題はひとつありました。
ケーススタディを想起するのはいいけれど、写真が思い浮かぶだけでは、クライアントに説明できません。
ドラッグストアに紅茶店の写真を見せて、「この通りに直してくれ」だと相手はどう直していいのか分からないからです。

そこで、写真に言葉を付けることにしました。
これはこういう改善点があるから、このように直した方がいいんですよ、という具合に。

つまり、医者が患者に対して

「これは風邪だ」
「これは胃潰瘍だ」
「これはハウスダストだ」

など、病名を告げるように、店舗の悪いところの病名を付けるようにしたんです。

その時すでにVMDには便利な専門用語がありました。

・VP,PP,IPはディスプレイのこと。
・VMD分類、MD分類は分類のこと。
・定数・定量は什器や商品の数量のこと。

ただ、私にとっては当時のVMD用語はすごく限られた言葉でした。
あまりにも少なすぎました。
VP,PP,IPという言葉を知っていても、それだけでは売場を直すことは出来なかったのです。

そこで、私は独自のVMD言葉をつくっていきました。

  • オーケストレーション = 壁面の集合ディスプレイのこと
  • くくり = 棚の商品のカタマリ具合
  • サブテーマ = ディスプレイテーマを補助するテーマ
  • ハーモニゼーション = 棚の陳列の状態

などなど。
その数は100は下らないでしょう。

こうして、私は店舗診断するときに、売場の医者として「売場の病名」を告げて、それを基準に売場の直し方を説明するようにしました。

しばらくすると、過去事例を想起するときに画像だけではなくて文字も出てくるようになりました。
これこそがプロの使う「想起法」のスキルそのものなのでした。

私がつくったVMD用語も含めた「VMD用語辞典」、時間ある時に見てください。
●VMD用語辞典

4.医者の処方箋とVMDの処方箋

図を見てください。
最終的に、これが私が確立した店舗診断のしくみです。

医者が処方箋を患者に渡すように、いま私は「健診表」という処方箋をお店に渡しているんです。

この図を作るために、医者の診断に関する書物も読みました。
わかったことは、店舗を診断する順番は、私が思った通り医者の順番と同じということでした。

上図を右から説明しましょう。

医者は「鑑別診断基準項目」がアタマの中に入っています。
つまり、解剖学的な基準項目とは、

  • 「大腸がん」である基準
  • 「肺気腫」である基準
  • 「膀胱炎」である基準

であり、医者は患者に問診したりレントゲン写真を見たり、体に触れて見たりと
問診や検査をしながら病気を特定し、処方箋を出しています。

だから、医者は「これはたぶんガンだろうな~」と適当に患者に告げているわけじゃないんです。
基準となる根拠があってガンと特定しているんです。

同じように、私たちVMDプロも「たぶん商品のディスプレイが悪いんですよ」と適当に言うわけにはいかないんです。
「ディスプレイのどこが悪いのか」正確に言わないと、相手も不安になるし、VMDコンサル失格ということになりかねません。

私たち、VMDプロは医者のように店長に言います。

「これはフェイシングと商品視認性に問題がありますね」

「商品のフェイスが悪い。パッケージの特徴が分かりにくい角度で展示されているし、ラベルがPOPに隠れているので商品名を読むこともできない」

この

・「フェイシング」
・「商品視線性」

は私たちのアタマの中の引き出しに入っているので、写真を見たり売場を見たりすると5秒で出てくる言葉なんです。

医者が問診してみて、レントゲンを見て「あー、これは肺気腫だ」とすぐにわかるようなものです。
医者は病院を開業するときに、すでに大学で、大学病院で想起の訓練をしていいます。
だから、開業をしてたくさんの患者が押しよせてもすぐに病気を特定できるんです。

ところがVMDは医学と比べると非常に歴史の浅い学問なので、専門用語が豊富にありません。
だから専門用語はつくるしかないんです。
私が会社を創業してから専門用語をつくり続け、ビジネス誌でその論文を発表したり、公開セミナーでレクチャーしたりしているのは、専門用語を流布するのが目的の一つでもあります。

5.売場づくりの医者になろう

だいたいわかりましたか。

医者の診断に基準があるように、VMDには基準があるんです。
その基準からハズれているのが病気にかかっている売場ということになります。

VMDが広まってきた今、VMDコンサルはいろいろな方がいます。
どのVMDコンサルにしようかな~と悩んでいる小売店の方は多いと思います。

しかしA,B,Cというコンサルがいて、別々に店舗診断を頼むと、診断結果は各人で全く違ってしまう。
これではもう基準はないと同じですよね。

3人の医者に健康診断してもらい、
ある医者は「かぜですよ」といい、
ある医者は「気管支炎ですね」といい、
ある医者は「ガンです」といいます。
こんな三者三様の診断結果だと、誰も医者を信頼できないですよね。
本来、基準というものが備わっているプロなら、A,B,Cどんな医者でも「これは気管支炎です」というハズです。

そこが当社がVMDインストラクターを育てている所以です。
売場のお医者さんになるための基準を売場塾で教えている理由はそれなんです。

論より証拠、この健診表はどのVMDインストラクターに頼んでも、同じになるんです。
VMD指導コースが売場塾にはあって、これを受講した卒業生はVMD指導プロ、シニアVMDインスタラクターになっているので、シニアVMDインストラクターに頼んだら誰に頼んでも同じ健診表になります。

VMDインストラクターも売場づくりのプロだけど、シニアVMDインストラクターはさらに進んだVMDの開業医と言えるでしょう。
VMDで食べていけるだけの器量を備えることができます。

売場塾では、売場づくりの基準が55あります。
この55をVMD基本講座18時間で習得することによって、売場づくりの基準を知ることができます。
売場のお医者さんになるための「売場づくりの型」を学べます

そうすることによって、売場を見たときにどこが悪くてどこがよいのか、正しい言葉で患者である店長に教えることができます。
この「フレームワーキング」という考え方は、オーバルリンク独自のメソッドです。

フレームワーキング、知りたい方は下記をクリックしてください。

フレームワーキングとは

今日は、売場づくりの手法「フレームワーキング」のルーツをお話ししました。
ご清聴ありがとうございました。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)