新装・改装の発注方式について

今日は、どうやって、お店の新装・改装
発注したらいい?
という話です。

あなたが、商業施設に入居している
テナントの本部VMD担当だとしましょう。
あなたのショップデザイン能力で、
3つの発注スタイルが存在します。

■ゼネコン方式/

ゼネコン会社とは、施工会社、建築メーカー、
内装業社、マネキンメーカー等いろいろ存在します。
設計から施工まで丸投げでき、一括決済できますが、
コストが高くなります。設計・施工会社の担当者(営業)
に依るところが多くなるので、担当者の出来・不出来で
仕上がりに差が出ます。
販促・備品のような細かい対応ができないところも
あります。

つぎは、
■コストオン方式/
発注者が直接設計者と専門業者に発注するスタイル。
設計者とは監理契約を結び、設計の他に、業社の選定、素材、
デザイン、仕上がりのクオリティ、安全性、商業施設への
図面提供などをしていただきます。そのため、監理料が派生します。
専門業社とも直接やりとりする機会が多くなるので、
こだわりのある方や業界知識に長けている方に向いています。
決済も直接やりとりするので、ゼネコン方式より安くなります。
ただ、打ち合わせが多くなるので、時間がかかります。

最後は
■分別発注方式/

発注者が直接専門業者に発注するスタイル。発注者自体に店舗デザイン能力がある方向きです。
発注者は、まず設計や意匠といったソフトの部分を重視して、
設計者を選びます。設計者からは実施設計図買取の形で、
直接各種専門業者に発注します。
もちろん、設計者は建築素材・部材・デザイン・什器・備品の
指定はします。ただ、設計者は助言や書類提出のみなので、
発注者は各専門業者と打ち合わせから
監理までやらなければいけません。
コストはかかりませんが、時間がかかります。

わかりましたでしょうか。
3つの発注方式。
ショップデザインは、店舗をつくる際に必要な能力です。
VMDインストラクターの方は、少なくとも図面は読めた方がいいです。
床・壁・天井のデザインや什器の仕様、素材やデザイン、安全性など、
いろいろ監修するのが役目です。
施工会社に丸投げしたらダメですよ。
店舗デザインにこだわらないと、いいお店はできないですし、
プランドの世界観演出に支障をきたします。

打ち合わせする業社は、
設計会社、施工会社、内装会社、什器メーカー、電機・配線業社、
サイン業社、マネキンメーカー、展示業社、販促・備品会社など。
これだけの人と渡り合わなければいけません。

VMDはショップデザイン、ディスプレイ、店頭販促、MD。
これら4つの基本構成で成り立っています。
VMDインストラクターの皆さん、
お店のデザイン監理がんばって下さいね。(^^)

売場塾ではCADコースやPOPコースでもこれらのこと、
フォローしています。(^^)

タグ処理、どうすればいい 

今日はタグの処理の話をします。
タグとは、アパレルにおいて、価格や素材、サイズや産地を
知る重要なツールです。

タグは、POPの仲間です。
タグを見て購入される方が増えている背景には、
トレーサビリティやブランディングの影響があります。

トレーサビリティとは、「誰がどこでつくっているか」を
表す重要な情報で、商品者の安心や安全に繋がります。
例えば、made in China と Made in Italyでは
響きも安心感も違います。

また、セレクトショップが全盛となった昨今、
どのメーカーから仕入れているかは、タグを見なくてはわかりません。
例えば、2年前から流行っていていまなおすたれない「ハリスツイード」
はタグ自体がブランドで、ビームスで売っていても、ヒアーズで売っていても
店名よりもメーカー名が重要なのです。

これは、「インテル入っている」と同じと考えてください。

カシミヤ100%という表示も、インドのカシミール地方でとれる
カシミヤシープからできるウールのことで、4頭でセーター1枚しか
できない貴重な羊毛です。
これは、ニュージーランドで採れた安いウールには付けられない名称なんです。
これは「関サバ」は、大分でしたか付けられない、地域ブランドと
同じと考えてください。

このように、タグというのは、貴重な商品POPなんです。
アパレル売場は、家電や化粧品と違い、目で見てわかる商品なので
あまり商品POPは置かれていません。
その代わり、タグがとても貴重なPOPの代替わりになっているのです。

さて、このタグなんですが、服への添付形態により以下の種類があります。

●フープタグ
フープ状になっているタグで、素材は綿糸やナイロンなど多様。
服やアクセに糸を通して垂らす。

●簡易粘着タグ
ポストイットの様な接着剤で簡単にはがれるタグ。
ユニクロやGAPのジーンズ売場でよくみられる。

●糸タグ
糸で服に塗られているタグ。
下着等で見られる。
ハサミを使わず、簡単にとれるこの手のタグは
ワコールの特許。

●シールタグ
男子パンツの箱などにシールされている
タグ。
むやみに取れない。

●ラウンドタグ
主に時計についている。
ケント紙やミューズ紙など比較的厚い紙で
できている。
中にはミラーコート紙も。

●ブックカバータグ
ブックカバーのように、巻きついている。
セーターやシャツのように、シェルビングしている
ものに巻きつける。

さて、販売スタッフの方は、このタグ、どう処理していいのか
迷っている方は多いと思います。
本部から明確なタグのフェイスがない場合は、各店で
適当に処理していますが、それではブランディングが成り立ちません。
実は、タグの処理いかんでブランド売場の佇まいをも左右してしまうんです。

まず、高級売場、高級ブランドの売場では、
タグをわざとみせないケースが大半です。
ハンギングやシェルビング時に、ちゃらちゃらタグがぶら下がっている光景は
ブランドの世界観を損ねてしまいます。
まず、ルイブィトンやシャネルの売場ではタグを見ないのは、このルールに沿っています。

じゃあ、タグはないかというと、あるんです。
タグは、内側に垂らすか、内ポケットに入れていますので
そこから取り出してみることができます。
中には、ハンギングやタグの外出OKだけど、シェルビングはダメ、
というブランドや、5万円以上の服は中留め、取引プランドにより、
タグを出すかどうか決める…など多様なルールがあります。

低価格ブランドやカジュアルブランドでは出しています。
おもしろいのが、MUJIで必ず見えるように出しています。

これは、無印良品では「タグは大事なPOP」という認識が定着しているからです。
POPは無印にとって大事な広告で、タグを面にわざと出すことにより、
POPとしての体裁を守っているんです。
おもしろいのが、MUJIの雑貨でこちらもタグシールが必ず表面に来るように
フェイス取しています。
そして、タグシールを貼る位置も寸分違わず統一されています。

特にバッグの場合は、どの位置にフープタグを垂らすか決めます。
スタッフによってフープタグの位置がバラバラだと、
壁面展開を見た時に、タグがちらちら気になって、バッグのシェイプが
きれいにリピート陳列して見えません。
まさに、ブランドの売場の空気を乱しているのが、このランダムタグなんです。

さて、時計ブランドの話になりますが、タグでおもしろい実話があります。
それは、チャネルにより、タグを見せる見せないを決めている・・・ということです。
時計は男子の買い物の重要アイテムで、男子はスペックというものを
女性の数倍、気にします。
そういうわけでは、ラウンドタグは不可欠なんですが、時計ブランドのほとんどは
チャネルにより、タグのあるなしを決めています。
つまり、伊勢丹や大丸の様な高級フロアに置かれる商品には
ラウンドタグはすべて剥がします。
スペック付「広告」が思い切りバンドに巻きつけられている状態は
ブランドの持つ「ファッショナブル」「リッチ」という世界観を崩します。

なので、ビックカメラやヨドバシカメラの様なディスカウンター、
成田空港DFSのようなみやげ売り場フロアに置く場合は、タグをつけていますが、
百貨店でラグジュアリな雰囲気のするフロアでは外すのです。
これはメガネにも言えます。

丸井では、・・・・うーん・・・ラウンドタグはありますね。。。。
丸井は百貨店か駅ビルか微妙な立場ですね。
このうように時計タグを見れば、百貨店のポジショニングがわかりますね。
おもしろいと思います。
これは、主にメーカーがルールを決めているので、そうなります。
東武百貨店でも、「あれれなんでこのブランドがタグをつけているのだろう?」
と驚くことがあります。(^^)

あと、おもしろいタグの処理としては、ウィッグのタグはウイッグの中の
バンドと呼ばれる部分に固定しています。
これは百貨店の場合で、SCでは、垂らしまくりです。
それは価格が安いからなんです。

一番困っているのは、ジュエリーメーカーでしょう。
タグは、ビジューよりも大きいので、どうしても売場では
商品より先にタグが目立ちます。
しかも、価格数字が大きいので、高級ブランドではしばしば
タグの扱いに困っています。

タグはつけるけれど隠す。
タグサイズはなるべく小さくする。
タグ色は目立たない地色にする。
タグはつけず、プライスチップにする
プライスPOPを、集合プライスPOPにする・・・
などメーカーによりまちまちです。

また、プライスタグを、ディスプレイ用品に挟ませることにより
タグよりもジュエリーを目立たせるようにしている、
タグデザイナーのいる会社もあります。

要は、どんな付け方を採用するか明確にするだけで
ジュエリーのたたずまいは劇的に変化します。
ジュエリーメーカーの場合は、タグ処理のMDP研修を
入念に行って、ブランドを常に保つ努力が必要です。

さて、タグの話でおもしろいことがひとつ。
日本で一番タグがおもしろいブランドは、ピーブルツリーでしょう。
この服飾プランドは、タグが「パンフレツト並み」でとても個性的です。
というのは、この店のつくる服はすべてフェアトレード品なんです。
フェアトレードは、原産国、産地の職人、素材含有率、素材知識を
タグにたくさん入れています。
そのため、タグでもカラーで5.6ページになっていて、小さいパンフレットの
ようなPOPになっています。

このような情報は、POPにして棚に置いた方がいいのでは・・・と思いがちなんですが、
当店では、「フェアトレードの店」というよりも「ハイセンスのブランドショップ」
として来店客にブランドを伝えたいので、あえてフェアトレード情報は売場に出していません。
すべて、タグとして、服の中に隠しています。
つまり、タグは買ってからでないとわからない仕掛けにしています。
おもしろい考えですね。

タグおもしろいですね。
これは服ではないのですが、名古屋の有名な絵本店「メルヘン」は
絵本のメルヘンな世界観を維持するために、入荷した絵本のブックカバー
はすべて取り除いて書棚に陳列しています。
これは、「広告が絵本に巻きついている」ことにより、絵本のスイートで
メルヘンな世界を崩されたくないからです。

と、今日は休みなので、ながなが書いてしまいました。
タグのこと、勉強になりましたか。
タグ処理をどうするか?は、VMDインストラクターの重要な仕事ですので
「たかがタグ」と思わないでくださいね。
それではまた。

「ああ、思い当たる!!」シリーズ

今日は、「ああ、思い当たる!!」シリーズです。

VMDインストラクターになる動機の方は、担当するブランドの
スタッフ教育に関わる人が多いのですが、日ごろどんなことに
悩んでいるのでしょう。
具体的な悩みを綴ってみました。

きっとVMDインストラクターの方は、心当たりがあると思います。(^^)

まず、スタッフ教育自体が行われていない!!
どんな有名なブランドでも、VMD教育をスタッフに行っていない
ケースはたくさんあります。
というか、ほとんどのブランドがVMDスタッフ教育をしていないです。
これは業種・業態問わずです。

ええーーー!!あのブランドが、VMDを社員に教えていないの??
ということはザラです。
なるほど、たまたま行った百貨店のブランド売場MDPがきれいだったしましょう。
「このブランドはVMD教育がなされているな」と思いがちですが、
大きな勘違いです。
たまたまその売場スタッフのMDP能力が上であって、
その人が移動したらたちまち「ブランドとしての佇まい」は乱れてしまうでしょう。

ただしいVMD教育をスタッフにしましょう。

その2.ブランドコンセプトが売場スタッフに浸透していないケースが多い。
どのブランドでも「コンセプト」というものがあり、これをベースに
VMD体系が築かれています。
コンセプトはVMDに欠かせないモノなんですが、
自分の取り扱っているコンセプトを空で言えないスタッフが多いです。
これは、そのブランドのコンセプトが明確でない、または
コンセプトシート(コンセプトを正しく記したシート)が存在しない・・・
場合もありますが、多くはコンセプトをスタッフに浸透させていないケースが
ほとんどです。

VMDインストラクターはコンセブトを店員さんにまず、教えましょう。
これはVMD教育以前の問題ですよ。
コンセプトの探しかたなんですが、すごく簡単!!
自社ブランドのトップページを見ればいいんです。
ほらこんな風に。

●シップス

ここも。

●グリーンレーベル

ホームページを開くと、「コンセプト」というページがあり、
そこを見てみましょう。
ただ、「見といて」ではだめですよ。
VMDインストラクターならではのわかりやすい言い方で
スタッフにコンセプトを植え付けるんです。(^^)

その3
店に来る人の職位で言うことが全く違う。

これはゆゆしき問題ですね。
VMDインストラクターがなんで存在しているのか、
同時に店に行く
●MD ●エリア営業 ●スーパーバイザー
に認識してもらいます。
売場づくりに対する指示系統も適当で、
店頭ディスプレイに対していうことが人それぞれにより違う。
これでは店長も困ってしまいます。
誰を信じたらいいか?または無視してしまい、独自の売場づくりに
なってしまっていることでしょう。
そう、A社のように・・・。

その4
ベテラン販売スタッフは、VMDインストラクターの言うことを聞かない。

うーん、これはよくありますね。
特に百貨店の年長のアパレル販売員がそうでしょう。

特に20年勤めているベテラン販売員は・・・。
VMDインストラクターに若くしてなった方、つらいですね。
年齢の差もあり、平身低頭する場合もあるかもね。
ただ、そこはいくらVMDを教えても、焼け石に水。
20年培ってきた自己流の売場づくりを続けてしまうかも。

そんな時は、急いで本人を説得しようと思わずに
1年かけて徐々にマインドコントロールしてください。
じわじわやっていくと、やがてはベテランも「ああ、VMDってけっこういいのね」
になって来ますから。
経験者は語ります。
VMD教育はあせらずゆっくりと。確実に。
すると、いつかは販売員が「VMDに目覚める」時が来ます。

その5 近年の人材不足。ブランドイメージに合った販売スタッフが確保できていない。
これはVMD担当にも言えます。
私はブランド優先で服を買う事が多いのですが、「エー、この人が店員」という店もあります。
そのブランドのイメージに合っていないんです。(^^)
店員もブランドの一部なので、採用するときに適当にしているかもしれません。
これは人事の性格によるかもしれません。
「VMDに強い販売スタッフ」を求め流ブランドの人事は、VMDインストラクターを
できれば同席させて、「本当にVMDを知っているのか」「売場づくりの鮮度と知識はどれくらいか」
を図るといいです。
単にディスプレイがうまいです・・・だけでは、VMDを知っているとは言えないんです。

または、売場塾に人材の件で照会してください。(^^)
売場塾では、もう10名以上いいブランドに卒業生を紹介していて、立派にいまも
VMD担当として貢献しているんですよ。

次に、チェーン店の場合、売場が業態やフロア環境、立地により互い、
売場づくりがわからなくなってしまう店舗スタッフが多いこと。
これは何が原因かというと、VMDインストラクターが「応用力」を養う教育をしていない
からです。
本部で52週MDの売場写真を撮ってチェーン店に回すだけ・・・をしている場合が多いです。
本部のスタジオはなるほど、店内広くて採光もよく、天井が広い売場を模しています。
でも、ローカルでは、天井低く、通路も狭く、スポットではなく蛍光灯のフロアやGMSも多いです。
いくら本部から写真を送ってもらっても、そのままではMDPできず、結果自己流でやらざるを得ません。

こうなる前に、応用力を養う教育をするといいですよ。

まあ、またまだいろいろ「ああ、思い当たる!!」シリーズは続きますが
今日はここら辺で。(^^)