タグ処理、どうすればいい 

今日はタグの処理の話をします。
タグとは、アパレルにおいて、価格や素材、サイズや産地を
知る重要なツールです。

タグは、POPの仲間です。
タグを見て購入される方が増えている背景には、
トレーサビリティやブランディングの影響があります。

トレーサビリティとは、「誰がどこでつくっているか」を
表す重要な情報で、商品者の安心や安全に繋がります。
例えば、made in China と Made in Italyでは
響きも安心感も違います。

また、セレクトショップが全盛となった昨今、
どのメーカーから仕入れているかは、タグを見なくてはわかりません。
例えば、2年前から流行っていていまなおすたれない「ハリスツイード」
はタグ自体がブランドで、ビームスで売っていても、ヒアーズで売っていても
店名よりもメーカー名が重要なのです。

これは、「インテル入っている」と同じと考えてください。

カシミヤ100%という表示も、インドのカシミール地方でとれる
カシミヤシープからできるウールのことで、4頭でセーター1枚しか
できない貴重な羊毛です。
これは、ニュージーランドで採れた安いウールには付けられない名称なんです。
これは「関サバ」は、大分でしたか付けられない、地域ブランドと
同じと考えてください。

このように、タグというのは、貴重な商品POPなんです。
アパレル売場は、家電や化粧品と違い、目で見てわかる商品なので
あまり商品POPは置かれていません。
その代わり、タグがとても貴重なPOPの代替わりになっているのです。

さて、このタグなんですが、服への添付形態により以下の種類があります。

●フープタグ
フープ状になっているタグで、素材は綿糸やナイロンなど多様。
服やアクセに糸を通して垂らす。

●簡易粘着タグ
ポストイットの様な接着剤で簡単にはがれるタグ。
ユニクロやGAPのジーンズ売場でよくみられる。

●糸タグ
糸で服に塗られているタグ。
下着等で見られる。
ハサミを使わず、簡単にとれるこの手のタグは
ワコールの特許。

●シールタグ
男子パンツの箱などにシールされている
タグ。
むやみに取れない。

●ラウンドタグ
主に時計についている。
ケント紙やミューズ紙など比較的厚い紙で
できている。
中にはミラーコート紙も。

●ブックカバータグ
ブックカバーのように、巻きついている。
セーターやシャツのように、シェルビングしている
ものに巻きつける。

さて、販売スタッフの方は、このタグ、どう処理していいのか
迷っている方は多いと思います。
本部から明確なタグのフェイスがない場合は、各店で
適当に処理していますが、それではブランディングが成り立ちません。
実は、タグの処理いかんでブランド売場の佇まいをも左右してしまうんです。

まず、高級売場、高級ブランドの売場では、
タグをわざとみせないケースが大半です。
ハンギングやシェルビング時に、ちゃらちゃらタグがぶら下がっている光景は
ブランドの世界観を損ねてしまいます。
まず、ルイブィトンやシャネルの売場ではタグを見ないのは、このルールに沿っています。

じゃあ、タグはないかというと、あるんです。
タグは、内側に垂らすか、内ポケットに入れていますので
そこから取り出してみることができます。
中には、ハンギングやタグの外出OKだけど、シェルビングはダメ、
というブランドや、5万円以上の服は中留め、取引プランドにより、
タグを出すかどうか決める…など多様なルールがあります。

低価格ブランドやカジュアルブランドでは出しています。
おもしろいのが、MUJIで必ず見えるように出しています。

これは、無印良品では「タグは大事なPOP」という認識が定着しているからです。
POPは無印にとって大事な広告で、タグを面にわざと出すことにより、
POPとしての体裁を守っているんです。
おもしろいのが、MUJIの雑貨でこちらもタグシールが必ず表面に来るように
フェイス取しています。
そして、タグシールを貼る位置も寸分違わず統一されています。

特にバッグの場合は、どの位置にフープタグを垂らすか決めます。
スタッフによってフープタグの位置がバラバラだと、
壁面展開を見た時に、タグがちらちら気になって、バッグのシェイプが
きれいにリピート陳列して見えません。
まさに、ブランドの売場の空気を乱しているのが、このランダムタグなんです。

さて、時計ブランドの話になりますが、タグでおもしろい実話があります。
それは、チャネルにより、タグを見せる見せないを決めている・・・ということです。
時計は男子の買い物の重要アイテムで、男子はスペックというものを
女性の数倍、気にします。
そういうわけでは、ラウンドタグは不可欠なんですが、時計ブランドのほとんどは
チャネルにより、タグのあるなしを決めています。
つまり、伊勢丹や大丸の様な高級フロアに置かれる商品には
ラウンドタグはすべて剥がします。
スペック付「広告」が思い切りバンドに巻きつけられている状態は
ブランドの持つ「ファッショナブル」「リッチ」という世界観を崩します。

なので、ビックカメラやヨドバシカメラの様なディスカウンター、
成田空港DFSのようなみやげ売り場フロアに置く場合は、タグをつけていますが、
百貨店でラグジュアリな雰囲気のするフロアでは外すのです。
これはメガネにも言えます。

丸井では、・・・・うーん・・・ラウンドタグはありますね。。。。
丸井は百貨店か駅ビルか微妙な立場ですね。
このうように時計タグを見れば、百貨店のポジショニングがわかりますね。
おもしろいと思います。
これは、主にメーカーがルールを決めているので、そうなります。
東武百貨店でも、「あれれなんでこのブランドがタグをつけているのだろう?」
と驚くことがあります。(^^)

あと、おもしろいタグの処理としては、ウィッグのタグはウイッグの中の
バンドと呼ばれる部分に固定しています。
これは百貨店の場合で、SCでは、垂らしまくりです。
それは価格が安いからなんです。

一番困っているのは、ジュエリーメーカーでしょう。
タグは、ビジューよりも大きいので、どうしても売場では
商品より先にタグが目立ちます。
しかも、価格数字が大きいので、高級ブランドではしばしば
タグの扱いに困っています。

タグはつけるけれど隠す。
タグサイズはなるべく小さくする。
タグ色は目立たない地色にする。
タグはつけず、プライスチップにする
プライスPOPを、集合プライスPOPにする・・・
などメーカーによりまちまちです。

また、プライスタグを、ディスプレイ用品に挟ませることにより
タグよりもジュエリーを目立たせるようにしている、
タグデザイナーのいる会社もあります。

要は、どんな付け方を採用するか明確にするだけで
ジュエリーのたたずまいは劇的に変化します。
ジュエリーメーカーの場合は、タグ処理のMDP研修を
入念に行って、ブランドを常に保つ努力が必要です。

さて、タグの話でおもしろいことがひとつ。
日本で一番タグがおもしろいブランドは、ピーブルツリーでしょう。
この服飾プランドは、タグが「パンフレツト並み」でとても個性的です。
というのは、この店のつくる服はすべてフェアトレード品なんです。
フェアトレードは、原産国、産地の職人、素材含有率、素材知識を
タグにたくさん入れています。
そのため、タグでもカラーで5.6ページになっていて、小さいパンフレットの
ようなPOPになっています。

このような情報は、POPにして棚に置いた方がいいのでは・・・と思いがちなんですが、
当店では、「フェアトレードの店」というよりも「ハイセンスのブランドショップ」
として来店客にブランドを伝えたいので、あえてフェアトレード情報は売場に出していません。
すべて、タグとして、服の中に隠しています。
つまり、タグは買ってからでないとわからない仕掛けにしています。
おもしろい考えですね。

タグおもしろいですね。
これは服ではないのですが、名古屋の有名な絵本店「メルヘン」は
絵本のメルヘンな世界観を維持するために、入荷した絵本のブックカバー
はすべて取り除いて書棚に陳列しています。
これは、「広告が絵本に巻きついている」ことにより、絵本のスイートで
メルヘンな世界を崩されたくないからです。

と、今日は休みなので、ながなが書いてしまいました。
タグのこと、勉強になりましたか。
タグ処理をどうするか?は、VMDインストラクターの重要な仕事ですので
「たかがタグ」と思わないでくださいね。
それではまた。