
今回は、今日のデザイナーはどうあるべきか、語ります。
この話し、長くなりますのでPART1から3まで3つに分けて語ります。
それでははじまりはじまり。~
1.デザインとはなにか
VMDに関係するデザインと言えば、下記があります。
●ショップデザイン
- 床・壁・柱・天井の躯体デザイン
- 什器デザイン
- 照明デザイン
- 看板デザイン
- ドア・窓・パーテーションのデザイン
- 棚・欄間・オーニングのデザイン
- カウンタ・フィッティングルームのデザイン
●商品デザイン
- 商品デザイン
- 商品パッケージデザイン
- しおり、リーフデザイン
- タグデザイン
- 取扱説明書デザイン
- 梱包物デザイン
●アプリケーションデザイン
- 包装紙デザイン
- ショッピングバッグデザイン
- スタッフユニフォームデザイン
●販促デザイン
- ポスターデザイン
- POPデザイン
- ビジョン・サイネージ
- その他販促ツールデザイン
●ディスプレイデザイン
- マネキンツールデザイン
- ライザーデザイン
- 展示台・スペースデザイン
VMD以外では
●マス広告デザイン
- テレビCMデザイン
- 新聞広告デザイン
- 雑誌広告デザイン
- ラジオ広告デザイン
●インターネットデザイン
- ホームページデザイン
- SNSデザイン
- ブログ・メルマガデザイン
- オンライン広告デザイン
●広報デザイン
- ニュースリリース
- イベント
- 各種プロモーション
- 記者発表会
などがあります。
これだけ並べると、メーカーや小売・卸など流通企業って大変ですよね。
BtoBではなくて、BtoCなので顧客はどっさり。
社内に人出が必要だし、専門的な人材育成も必要です。
デザイナーもたくさん雇わなければいけません。
私は、広告代理店勤務20年、当社運営22年やってきており、デザインに深くかかわってきました。
つまり、クライアントという企業とその商品、当社オーバルリンクという企業とそのサービスをどう一般の方に向けてデザインするか、日々考え活動してきました。
今書いている、このブログもSNSデザインの流れの中に入っています。
「ブランディング」はまさに、企業の全方位ビジュアル発信の中核的な言葉と言えます。
上記のようなデザイン活動を経て企業は日々、ブランドロイヤリティーを顧客に植え付けファンをつくり、競合よりも高い位置に自社を導き、売上を上げ利益を上げる行動をしています。
ユニクロ、アップル、パタゴニアなどの国際ブランドは「行動規範」さえもデザインし、社員1人1人もブランド化し、現在に至っています。
社員個々によるブログ発信もデザイン活動のひとつです。

さて、デザインとは何でしょう?
ある人が「デザインとは課題を解決するためにある」と話していました。
上のイラスト右はヒポローラーという水を運ぶ道具です。
アフリカの人々は、それまで長いデコボコの道を時間をかけて重い水を運ばなければいけませんでした。
イラスト左のような生活をしていましたが、ヒポローラーのおかげで楽になりました。
このデザインをしたのがPettie Petzerというデザイナーなんですが、これこそ「デザインとは課題を解決するためにある」デザインと言えます。
詳しくは、「生き延びるためのデザイン」ヴィクター・ハハネック著を読んて下さい。

私的には、デザインとは上のコップです。
私の広告マン時代、よく仕事をいっしょにしていたデザイナーが「水を飲むだけなら水が入る器があればいい。でもデザインがあった方が生活が便利になる」と言っていました。
上のコップのデザイン変遷を見てください。
ただ単純に水を飲むだけなら、ビニル袋に入った水を飲めばいいでしょう。
だも、下記のデザインがないと水飲みが便利になりません。
- 机に置くことができる
- 中が透けて見える
- 飲みやすくなっている
- 何度でも洗って使える
- 花のモチーフが入っている
このようなデザインがあると、水を飲む行為は格段に便利になるし、机に置いて楽しくなります。
それがデザインというものなのでしょう。
単なるビニル袋だと価値は薄いが、花柄コップだと価値は高くなる。
1から4が基本価値だとすると、5は感覚価値になります。
2.お菓子のデザイン

今度は、クルミッ子というお菓子でお話しします。
くるみ入りキャラメルを、バター生地でサンドした焼き菓子ですが、これ私大好きなお菓子の一つです。
デザインの価値に、先ほど言った基本価値というものがあります。
上の写真のクルミッ子は、とてもおいしそう!
これが基本価値で、今やくるみ入りキャラメルサンドと言えばこの形です。
もう一度言うと、「くるみが入っているキャラメルサンド」が基本価値です。
単なる四角いモチでは基本価値になりません。
「くるみが入っているキャラメルサンド」はグレープストーン、モロゾフ、きのとやなどが販売していてどれも見た目はクルミッ子そっくり。
下は恵那川上屋のくるみ入りキャラメルサンドです。

くるみ入りキャラメルサンドも他の菓子も、基本価値の要素「味」は外せないですね。
キャラメルがねっちり舌に溶け合い、くるみのザクッとした触感。
これ、たまらん~。(^^)
味の基本価値がない、つまりおいしくなければ、たとえそれが有名なメーカーでも次は買ってくれません。
基本価値はマスト、ということです。
次は感覚価値です。
くるみ入りキャラメルサンド、なぜクルミッ子がダントツで人気あるのか?というと、このかわいらしいリスのおかげです。
パッケージを見てみましょう。

なーんかキュート!!
親子のリスがくるみをほおばっているかわいいイラスト。
箱もコンパクトな上、660円と買いやすい! ※2026年1月現在
箱のふたを取ると、親子リスが5ペアいます。
皿に載せて楽しむこともでき、コーヒータイムが一層楽しくなります。
感覚価値というのは、基本価値に覆われているデザイン要素なのでした。
さらに観念価値というものがあります。
観念価値とは、「鎌倉紅谷」という鎌倉の創業70年の老舗お菓子メーカーが確立したジャンルということの他に、ある有名なストーリーがあるんです。
くるみ入りキャラメルサンド自体は二代目社長が鎌倉土産として発売した商品で、当時は源頼朝モチーフのパッケージデザインでした。
●〝クルミッ子〟を生んだ〈鎌倉紅谷〉ストーリー
うーん、いかにも土産物って感じですね…。
ところが、三代目の社長に代わり、リスのデザインに代えて販売したところ大ヒット!!
中身は変わっていないのに、かわいらしいリスのパッケージデザインにして、商品名を「クルミッ子 鎌倉殿」から「クルミッ子」にしたら、功を奏し大ヒットしました。
箱のデザイン、かわいい~!!って感じでスイーツ女子が買ってくれそう。
修学旅行の土産にもうってつけ。ヤングにうけそう!!
ということで以前、鎌倉紅谷さんにこの話きいたところ、注文が殺到しすぎて困っている、とうれしい顔をしていました。
そのころ工場をつくり販売店も設置して工場見学できるようにしたとのことでした。
この観念価値は、基本価値と感覚価値を大きく包むものでした。
まとめましょう。
クルミッ子のブランドデザインとは、下記のチャートを見てください。

●基本価値デザイン
くるみ入りキャラメルサンドのお菓子。
キャラメルがねっちり舌に溶け合い、くるみのザクッとした触感。
●感覚価値デザイン
親子のリスがくるみをほおばっているかわいいイラスト。
「クルミッ子」というネーミング。
パッケージが細長くて、中を開けるとリスの親子が5組。
●観念価値デザイン
もともとは鎌倉土産のお菓子だったが、二代目社長の機転で全国ヒット。
本社はキレイな工場も新設し、売店・カフェも併設している観光スポットになっている。
そして、下記が加わりつつあります。
●便宜価値デザイン
全国百貨店・SMに直営店進出中。
鎌倉だけでなく、全国いろいろな場所で購入が可能。
これはヨックモックといっしょですね。
ラングドシャに感覚価値と観念価値デザインをつけて販売したヨックモックのシガールは今や世界のベストセラーになりました。
シガールとはフランス語で葉巻という意味です。
普通のラングドシャは平たいのですが、シガールは丸く巻いています。
今やどこのメーカーでもラングドシャロールは販売されていますが、このジャンルに関してはシガールは雲の上の存在になっています。

3.立役者はデザイナーではない
ククルミッ子にしてもシガールにしても、「パッケージデザインを代えよう」位だとヒットしなかったでしょう。
そこには経営者のデザイン戦略があったはずです。
私の唱えるデザインコンセプトの7リソースに照らすとそれが解明できます。
●企業
神楽坂の紅谷から分化した鎌倉の老舗菓子店
●商品
クルミッ子
パッケージは丸い穴が空いていて、リスの顔が見れるようになっている
●販売チャネル
本店・百貨店・SMに限定
●人材
3代目社長の斬新なブランド改革
人気の高い広報
●財務
2020年12月期:売上高 約31億円
2021年12月期:売上高 約45億円
15年で売上は15倍に!!
●広告
SNS戦略・オープンファクトリー・クルミッ子の日
●サービス
クルミッ子工場見学・クルミッ子作り体験
これらはサイトビューしてまとめたものです。
取材すればもっと詳しくわかると思います。
読んでわかるように、クルミッ子をデサインしたデザイナーだけが偉いのではなくて、デザインを指揮した社長とそれに呼応した社員が偉いのでしょう。
●入手困難、鎌倉「クルミッ子」 脱「頼朝」で売り上げ10倍の快進撃
つまり、デザインをプロデュースする人がいなければ、この偉業は達成できなかったはず。
もとはと言えば、3代目社長の奥さんが「頼朝公のデザインはわかるけど、もっとお菓子のおいしさや魅力がわかるデザインにしては」の一言が起点でした。
それを戦略をもってパッケージデザイナーと一緒に考えてデザインを推進した社長と社員のプロデュース力に軍配が上がりました。
(VMDコンサルタント 深沢泰秀)