ネーミングによるブランディング戦略

オーバルリンクのロゴ

今日はネーミングと商標によるブランド戦略についてお話しします。
例によって広告マン時代から今日に至るまで綿々と続いている活動です。
この話、販促部の方や宣伝部、営業企画部や独立起業した方にもばっちりためになるのでよく聞いてくださいね。(^^)

1.広告マン時代のネーミング戦略

今は小売店やメーカーを含めた流通業社をクライアントとしているオーバルリンクなんですが、広告マン時代はメーカーが主なクライアントでした。
静岡支店時代だったので、お茶メーカーや釣り具メーカーなど静岡ならではの商品のネーミングが多かったです。

ネーミング自体を依頼されたことはまったくなく、「どうしたら売れるのか」「どうしたら名前を消費者に覚えてもらえるのか」などを考える上で、浮かび上がったアイデアのひとつです。
それとは逆に、「こんな商品があったらいいな」という過程で浮かび上がった商品自主プレのネーミングもありました。

当時の私の広告スタイルはAE。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)といい、広告だけでなく商品開発から販促企画までブランディングをトータルに行っていたため、商品の名前は重要でした。
主なものを紹介していきましょう。

A.釣り具パーツ

オモリやフックなど釣りにパーツは欠かせません。
パーツ商品のパッケージデザインを任されました。
釣具店の売場にはいろいろなメーカーのスイベルやオモリが並んでいました。

しかし、どのメーカーも似たような袋のパッケージ。
品番とアイテム名のみ、例えば「No154-5 スイベル」とか「No874-8 スピナー」という商品名でした。
これではどの商品を選んでいいかわかりません。

そこで、依頼されたメーカーの商品にあだ名を付けることにしました。

スピナーを「ピカイチスピナー」
スイベルを「サイクロンスイベル」
スナップを「イキイキスイベル」
リングを「手錠リング」・・・

そしてあだ名の横に1.2行の下記のようにキャッチコピーを入れました。

「ピカイチスピナー」
→「輝きが違う、回転が違う!キラメキバツグンだから遠くのバスにもアピールできる。

「イキイキスイベル」
→バスが追ってくる!ルアーをイキイキアクションさせるにはこのスイベルしかない!

あだ名とキャッチコピーを目立つようにパッケージにレイアウトしました。
黄色と青の目立つロックみたいなパッケージデザインは売場ですごく目立ちました。
思えば、このころからVMDを意識してパッケージ開発していたんです。

メーカーは最初、「卸からの注文が品番でなくてあだ名から入ってくるからわかりづらい」と言っていましたが、それでいいんです。

品番よりも名前を覚えてもらう。

それが何よりも広告効果だと思いました。

B.新茶物語

静岡では新茶の時期になると販売が活発になります。
いつも若い人向けに何かおもしろい商品が出来ないかなと思っていました。

新婚ほやほやだったわたくしは、新築の家に住み洋風リビングでお茶を飲んでいました。
リビングに置いたお茶缶はいかにも和風デザインで、板の間のリビングには合いませんでした。
かねがね、「新茶は季節の便りとして人に贈るもの」という意識あった私は「新茶はメディア」というコンセプトを考え、「新茶物語」というモダンな商品をお茶メーカーに提案してみました。

提案の直接のきっかけは下記でした。

橋本環奈似のモデルが和服を着てウォークマンを聞いているお茶カタログの表紙。
それは東京のデザイナーに依頼してつくってもらったカタログデザインでしたが、とても気に入りました。
それをヒントにストーリーを考えてみました。
ニューヨークに滞在している父に静岡にいる大学生の娘が新茶を送るという物語。

若い女の子だったらこういうお茶を送るんだろうな、というイメージでステンレスの丸い弁当箱のような缶にお茶を入れ、金平糖を白磁の皿に入れて箱にセットでつくってクライアントに提案しました。
名前は「新茶物語」
顧客が新茶を贈答する際はオリジナルの手紙を中に入れられる仕組みにしました。

娘の名前はみどりとし、書道五段の私が女の子っぽい手書きで広告用の手書きを書きました。
小売店にとっては代筆して先様に送るというかなり面倒くさい商品でしたが、話題性とクリエイティビティは確保できました。

C.新世紀

2000年を迎えようとししている時。
社内会議で「2000年という節目は広告チャンスだ。それをネタにみんなで企画を出し合おう」ということになりました。
そこで、私は「新世紀を商標登録してそれで商品づくりを企業に提案しよう」という案を出しました。

「新世紀」は梨で有名です。
ただ、梨は果物の部類に入っているため、他の部類の商標はされていませんでした。
これはチャンスです。
食品メーカーに持ち込めるように、砂糖・お茶・米などの部類で会社名義で商標登録しました。

先願権がないの弁理士に確認してもらい、いろいろな企業に企画を持ち込みました。
決まったのはやはりお茶店で、新世紀の祝いのお茶を出そうということになりました。
神社にお祓いしてもらったお茶を「新世紀」として通販で売り出すことになりました。
結果まずまずの売上と話題作りができました。

しかしこれ、落ちがあります。
後日、他のお茶店が商標を持っているのが判明し、販売の続きはできないという羽目になりました。
特許庁が間違えてダブル承認してしまったということでしたが、今でも腑に落ちません。

そのほかにも会社員時代には、

・マナ坊
・ラジオインターネットマニア
・アースデザイン・マインド・ミュージック
・よりどり緑
・オーシャン・リー

などいろいろなネーミングを考えて企画提案・実施しました。
こんな感じで、商品名はマーケティング、ひいてはブランディングの一環で、広告・販促を営む人なら誰でも必要なものでした。

さて、ここらでオーバルリンク時代のネーミングに移りたいと思います。

2.オーバルリンクの商標戦略

広告代理店を辞めてVMDの専門会社をつくってからも、VMDをどうやって商品化するか考えていました。
とはいえ当社はコンサル会社なので、商品は無形商品です。
サービス名というのが正しいです。

しかし、ネーミングの考え方は商品でもサービスでもテレビ番組でもタレント名でも、まったく同じなんです。

ましてや創業したての会社が「VMDいかがですか?」と企業に売り込んでも、相手はまったくわかりません。
実際のところ創業当時は、VMDという言葉も知らない企業がほとんどでした。
電機メーカーのクライアントが多かった私は、やっぱりVMDを分かりやすく企業に知ってもらうには、ネーミングが肝だと思いました。

・売場UP2サポート
・売場ドッと混む
・リモデルプラス
・ユニットVMD ・・・

など、いろいろ考えて提案・実施してきました。
VMDのコンサルが多くなり市場が大きくなった今、商品名を考えるのは差別化として不可欠になりました。

ここで、当社のメイン商品として商標登録し今でも続けているサービス、それらをいくつか紹介します。

「売場塾」

VMDの学校 売場塾ロゴ

VMDセミナーサービスをつくるにあたって、何かよい名前がないかなと思っていました。
「VMD大学」、「VMD道場」、「VMDスクール」などが考えられますが、どれもありきたり。
少人数の上、ビルの地下でセミナーをやっていたことから、塾という名前がしっくりきました。
うちの社員にデザインの原案を渡し、上記のようなロゴにしました。

リリース直前、私が少し横長文字に改良しました。
VMDという言葉が入っているのがとても気に入っています。
(気がつく人は少ないですが・・・)

次いでサブネームも考えました。

出張売場塾 →クライアント先で行う売場塾
オーダーメイド売場塾 →クライアントの業種・業態・取扱商品にカスタマイズする売場塾
オンライン売場塾 →オンライン講座

など。

地下で始まった売場塾

これは売場塾の初期の様子。
地下室で始めたので、やっぱり学校というより塾ですね。(^^)
売場塾の生い立ち、詳しくは下記をクリックしてください。

・売場塾アーカイブ

以後、どんなセミナー関係でもほぼ「売場塾」のロゴを入れています。
単なるVMDセミナーというよりも、売場塾という学校のベースがあり、その理論や教材を使ってセミナーをする、という特色が出るため、法人セミナーでもロゴを入れています。
by 売場塾 という感じですね。
インテル入っている、という使い方です。

「月刊VMD」

月刊vmdロゴ

これは最近開発した商標です。
普通に読んでみると「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」です。
VMDに関する雑誌ブランドと思ってください。

現在、VMD専門の雑誌は存在しません。
かといって当社が月刊誌を本屋で売る流通誌として出すとかなり労力がかかります。

時間も人材もない当社ができることは、まず月ごと送っているメルマガやブログに名前をつけるということでした。
そこでつけたのが、「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」。

響きがいいんです。(^^)
これもネーミングの大事な要素。
すぐに覚えてもらえるんです。

かといって、それをすぐに販売して利益にするのは難しいので、しばらくホワイトペーパーの名前にしていました。
ホワイトペーパーとは広報用の雑誌みたいな意味で、MA(マーケティング・オートメーション)やっている会社がよくやっている販促ツールです。

もともと当社はビジネス誌や書籍にたくさんの論文を書いています。
それらをマッシュアップして記事化し、当社のVMD理論やレポートとして無料で配付していました。
毎月新しい情報を必ず2つは流しているので、ホワイトペーパーも「月刊VMD」と問う名前にしてクライアント等にお送りすることにしました。

その後、オンライン「センスアップセミナー」のテキストにもすることにしました。
2021年の9月から今でも続いています。

・センスアップセミナー

今年春からは「月刊VMDムック」として書籍発売もすることにしました。
ムック購入したい方は下記からお申込みください。
1冊から買うことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」

またキンドルのサブスク入っている方は無料で読むことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」キンドル版

今年、月刊VMDをファミリーブランド化し、月刊VMDブログ、月刊VMDメルマガ、月刊VMDムック、月刊VMDレポートなどと、でサイン統一しました。

vmdメディアブランド戦略図

今まで述べて来たことを図にしたのが上記。
広報メディアもブランド化できることが分かったと思います。

「商空間スタイリスト」

商空間スタイリスト

VMDインストラクターがVMDの資格として確固たる地位を確立したころ、ディスプレイの資格は考えられないだろうか、考えていました。
そこで上記のような名前を考えました。

「商空間スタイリスト」を商標化したのは2017年ころ。
このディスプレイ資格の特徴を如実に図案化しました。

・陳列スタイリスト
・展示スタイリスト
・プロップPOPスタイリスト

「商空間スタイリスト」は上記3段階を経て取得する資格のため、このようなロゴになりました。

ロゴのしくみとして、上記3段階を入れた4段階の資格の色を決めています。

・陳列 →オレンジ
・展示 →パープル
・プロップPOP →グリーン
・商空間スタイリスト → スミ

色をベースにテキスト、認定証、案内書、広告に至るまでVIを決めてデザインしています。
四角いキラッとしているスクエアはシャイニングスクエアといい、デザイン要素のひとつです。
また、カードはSのイニシャルを透かしで入れています。
英名、Shop Space Stylistの頭文字ですが、私はスーパーマンのイニシャルと呼んでいます。

商空間スタイリストを取得した方、ぜひディスプレイ制作のスーパーマンになってほしいです。(^^)

「VMDインストラクター」

これはもう言わずもがなですね。
当社のビジネスモデルそのものです。

ただ、なんでインストラクターという言葉をつけたのか?というと、文字通りVMDのリーダーを育てたいという当社の方針があったからです。

売場塾を始めた2006年はVMDコンサルタントが市場にあまりいませんでした。
日本にVMDを広めたいと思って創業した当社なので、早くVMDを国内に広げるにはどうすればいいか、考えました。

そこで、私のようなVMDの先生を日本にたくさんつくると早くVMDを広められるのではないか?と思いつきました。

VMDを広める人をVMDインストラクターと名付け、日本の新しい職業にしようと考えたんです。
VMDインストラクターは、ただディスプレイがうまい人ではありません。

・ショップデザイン
・品揃えと展開
・ディスプレイ
・体験販促

この4分野のスキルを持つ人でないとVMDとは言えないと思い、VMDインストラクターを考案、商標化しました。
ヨガが広まった時にヨガインスタラクターがたくさん輩出したのと同じように、VMDもインストラクターが必要だったんです。

そしてVMDインストラクターの資格取得者は企業本部の方が多いという特徴を持っています。
チェーン店である小売店本部のVMD担当はチェーン店を指導しなければいけません。
メーカーや卸の本部の販促担当も、営業所やお得意先である小売店に提案活動、ミニコンサル活動をしなければいけません。
またVMDとして起業したい方は、VMDインストラクターそのものが仕事にならなければいけません。
つまりVMDの先生として収益を得るんです。

そういう意味で売場塾では、単にディスプレイがうまい人というよりは売場づくりを総合的に指南できる人材を育成していったのです。

詳しくは、VMDインストラクター協会のホームページをどうぞ。(^^)

・VMDインストラクター協会

この認定カードも社内で考えたシンプルなデザイン。
2006年はiPhoneが流行っていたので、iを用いた図案にしました。
すちなわちvmd-iです。

iPhoneのようにシンプルなデザイン、気に入っています。
シニアは下写真のように格調高い紫色にしています。

VMDインストラクターはただいま922名なのですが、シニアはまだ22名しかおらず非常に貴重な資格になっています。
シニアは実技試験があり、合格率もVMDインストラクターより低いです。
シニアは「VMDをコンサルサービスとして収益を上げられる人」が認定基準となっています。
そのため、シニアを取った方の半分以上が独立起業しています。
中にはVMDコンサル事務所として株式会社を立ち上げる方もいます。

VMDプロの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクター目指して頑張ってくださいね。(^^)

3.社会意義的な商標

当社は上記の他にもたくさんの商標を持っています。
商標は当社のブランディングの一環として捉えています。

例えば「快場」はいろいろな企業が使っている、もう流通業界では馴染みの言葉なんですが、実はオーバルリンクの商標なんです。
快場のコンセプトは下記を参照ください。

・快場とは

フットマーク株式会社が「介護」という言葉を考えて商標登録したのと似ています。
フットマークの社長は、看護と介助という字を組み合わせて「介護」という文字にしました。
商標の権利は今でも保持しているんですが、みんなが知らずにフツーに使っています。
子供を守る学校の水泳帽は今では当たり前なんですが、これもフットマークが昭和時代に考案したもの。
以前社長の講演を聞きに行ったんですが、こうした活動はすばらしいと思いました。

「快場」も「介護」なみにフツーの言葉になりつつあります。
いや、コロナ禍後の売場づくりはますます「快場」が意識されています。
それは「リアルな売場は楽しい買い物体験を提供する場にしなければいけない」という機運が高まっているからです。

4.商標は戦略にする

最後に大事なことをひとつ。
ネーミングや商標は「おもしろい名前思いついたから、とりあえず登録する」だけじゃダメなんです。

あなたの商品、あなたのサービス、あなたの会社の戦略にしなければいけません。
名前を決めるきっかけは二つ。
●今ある商品やサービスに名前をつける ●名前から発想して新商品やサービスをつくる があります。

広告代理店時代は前者が多かったんですが、会社をつくった今は後者も多くなりました。
前者も後者も戦略が必要です。特に後者は入念に行っています。
私はいつも企画書を書いて、戦略の道筋を整理しています。
登録する商標の2.3年後、長いときは5年後の姿を描いています。

例えば、「商空間スタイリスト」という名前を考えたのは2014年6月。
パワポの企画書は24ページ。書き直し3回。
そして実際にスタートしたのは2017年12月。
今なお、企画書を更新しているんです。

「VMDインストラクター拡張戦略」を書いたのは2014年11月。
企画書ページ数は23ページ。
2016年10月で企画書更新6回目になっています。

そんなわけで、デスクトップの事業戦略ホルダーは、いろんな企画書でいっぱいなんです。
あたためているネーミング、たくさんありますよ。(^^)
商品やサービスの未来を考えるってなんだかワクワクします。

ということで、いいネーミング思いついたからと言って、安易に商標登録しないでくださいね。
どのように収益化するか練りに練ってから商標登録しましょう。

販促部の皆さん、VMDプロの皆さん、お店や会社、商品のブランド確立、ともにがんばりましょう~。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

スターバックスはマネできない

スターバックスがロシアから撤退後、ロシアは新しいコーヒー店をオープンさせました。
その名はスターコーヒー。
マークもやたら似ています。

●スターコーヒー

従業員はそのまま正規雇用となり、同じようなメニューを顧客に提供しスタバだった店舗を「スターコーヒー」として運用していくようです。
新オープンにはたくさんの客が並んだそう。

お店づくりという点に関しては、他店をマネするということはよくあること。
ただこの場合、商標が酷似しているのでほぼ違法でしょう。
スタバも静観を保っています。

クリティカルコアという言葉があります。
これは、「他社がマネできないほど非合理な核心」という意味です。

スターコーヒーがいくら店の外観・内観をまね、商品をまねても所詮はスターバックスになることはできないということです。
果たして、下記のスタバのクリティカルコアをまねできるでしょうか。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回せるのでしょうか。
  2. 顧客のメニューにない注文をスタッフがわざわざ受け入れてくれるでしょうか。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さずに運営していけるでしょうか。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくって展開できるのでしょうか。
  5. 従業員に自社株を持たせるというモチベーション維持はできるんでしょうか。
  6. タバコを吸う人を一切入れないという決まりを維持できるでしょうか。

上記を遂行するのはかなり難しいのではないでしょうか。
これがスターバックスの持つクリティカルコアだからです。
これをマネしても、あまりに不利なことが続いてしまいます。

普通のコーヒー店の経営者だったら以下のことを考えてしまいます。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回すなんてもったいない。
    利益を出すために、半年はコーヒーは在庫として使うべきだ。
    お客は2週間の味でも1年の味でもわからないから大丈夫だ。
  2. 顧客のメニューにない注文をわざわざ受け入れるだと? 入れる氷の量を調整する? ホイップをコーヒー味にする? ココアパウダーを振りかける?
    そんな面倒なことはしたくない。今あるメニュー以外は提供なしだ。スタッフの効率化を考えればいい。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さないだと? ゆったりコーヒーを飲める空間を保つのも理解できるが、うちは利益重視だ。
    ランチやディナーのメニューもたくさん出して客単価を上げないと。
    多少ワイガヤするけど、その方がにぎやかな空間になって逆にいいだろう。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくる?
    そんな非効率的なことはしたくない。絵画はそれらへんで売っているポスターでも貼っておけ!
    BGMは有線(ロシアにあるはわからないですが)を使え。それで十分だ。
  5. 従業員に自社株を持たせるだと。会社が儲けた利益は我々経営者のものだ。
    スタッフはバイトでいい。一番安い時給でいいぞ。
  6. タバコを吸う人を一切入れないだと。ロシア人は喫煙率が高いんだ。
    ロシアは喫煙者は男性6割の女性2割の、世界トップレベルの喫煙大国なんだぞ。
    最低でも喫煙ルームは確保しろ。

とまあ、こんな調子を続けると、うわべだけマネしても中身は全然スタバでなくなるでしょう。
そのうち、ウオッカも出して、フツーのコーヒー屋である上に居酒屋と化すでしょう。

これがクリティカルコアの「ライバルのうわべだけマネしても決して追いつくことはできない」理由なんです。
店が長く続き、お送りのファンを抱えているブランドにはクリティカルコアがあるんです。

2.日本の小売店のクリティカルコア

今までVMDの会社20年やってきましたが、よくあるのが、
「ユニクロのような店舗にしたい」
「ドン・キホーテのようにしたい」
「イケアみたいな家具屋にしたい」
と、うまくいっているブランドの売場をまねたい経営者の言葉です。

売場を詳しく分析すればある程度まねることはできと思います。
床・壁・天井・什器・照明などの構造や素材・意匠、ディスプレイの仕方、POPの作り方などを解析し、似せることはできるでしょう。

しかし、そこまでです。うわべは似ていても中身はマネすることはできないのです。
逆にマネをしてしまうと、ライバルである同店に客はどんどん流れてしまい、まねた自店は自滅の道をたどることになるでしょう。

ロシアみたいにスタバがなくなったので、仕方なくスターコーヒーに行く、という客は残るでしょうが、日本からユニクロやドン・キホーテの店がなくなるということは考えられません。

あるとき、「もちクリーム」という和菓子ブランドが話題になったことがありました。
デパ地下に出店すると週に数百万を売るブランドで、全国の百貨店で引く手あまた。
たちまち直営店も増えていきました。

ウインドウには色とりどりのおいしそうな大福が並んでいて、中身はあんこだけでなく、メロンやイチゴ、チョコなどいろいろなフレーバーのクリームがきっしり入った、大福のようなお菓子です。

数か月たち、従来の和菓子店の中で、似たような商品を出す店が出てきました。
デパ地下のその店のガラスケースには、もちクリームのような大福のサンプルが並びました。
しかし、その店は程なくして、もとの姿に戻りました。

もちクリームのクリティカルコアは、下記です。

  • それだけ販売している単商品のみの店である
  • 冷凍して販売し解凍して食べる商品である
  • 冷凍しても風味が変わらない独自のソースを自社工場で開発している
  • フランチャイズではなく直営店のみを出している
  • 短周期で新フレーバーを出し続けていく持続性がある

まだあるかもしれないですが、少なくても上記は決して一介の和菓子メーカーはマネをすることはできないでしょう。

冷凍でも風味を閉じ込める特許技術が必要な上に、単品売りだけで商品を売り続けていくというむずかしさ。大福を凍らせるだけでは餅と中身の風味が落ちしまう。
だいふくをイチゴの色をつけてピンクにしたとしても、その鮮度や風味はけた違いに違うものになるはずです。

しかも、冷凍庫をガラスケース下に設置しなければならない手間とコストがかかります。
餅クリームをGケースに置いた分、他の商品は置けなくなりますからリスクも半端ないでしょう。

次第に店の売上が下がっていき、耐えきれなくてもとに戻したのだと思います。
このような事例はよくあることだと思います。

クリティカルコアを持つことは、他店の追随を許さないどころか、模倣した他店を大きく引き離すことができます。

3.話題のものがうまくいっているとは限らない

24時間、世界中のあらゆる情報が自由に手に入るようになった今、表面的な判断でものごとを決めないほうがいいと思います。
特には、店舗DXですね。

コロナ禍の今、流通企業のすべてがDXを導入しています。
無人レジ、売らない店、ライブコマース、VR店舗、スマートショッピングカートなどなど、話題は事欠きません。
テレビCMもコロナ前よりIT会社の放映が多くなったような気がします。

しかし、DXの話題すべてがうまく行っているいるわけではありません。
例を見ていきましょう。

  • アメリカのb8ta(ベータ)が日本上陸し、売らない店として店舗を拡大
  • アマゾンがECサイトと連動したリアル書店をチェーン化推進
  • セブン&アイがセブンペイをリリース、オムニチャンネル加速

など、近年始まった華々しい話題も下記のようになりました。

  • コロナで来店客が伸びなくなり、b8taは全米すべての店舗を撤退
  • アマゾンは今年、英国と米国で始めたリアル書店68店をすべて閉鎖すると発表
  • セブンペイの撤退は一昨年ありました。みんなよく知っているから話すこともないでしょう

b8taは日本事業はうまくいっているようなので、日本は問題ないです。
日本は丸井がb8taに出資していて、丸井だけでなくSCにも出店しているのですが、これはまだ成功しているかどうかはわかりません。
なのに、この「売らない店」を救世主とばかりにわが店舗に導入しても、うまくいくかはわかりません。

このように、マスコミで話題に載っていることがすべてうまくいくとは限らないことに注意しましょう。
「他店がDX化しているのでヤバい!!乗り遅れないようにわが社も導入しよう」と決める前に、本当にその方向がよいのかPLANする必要があります。

新規の話題は多いものの、その後の経過についてはあまり話題に上がらないので注意しましょう。
または、企業が広告をたくさん打っているからといって、その商品やサービスが売れているとは限らないのです。

4.オリジナルVMDを開発しよう

そもそもVMDには4つの分野があり、これを相関させながらオリジナルなノウハウにしないと、店舗ブランド(メーカーの場合は売場ブランド)としてやっていけないと思います。

4つの分野とは

  • 品ぞろえと展開
  • ショップデザイン
  • ディスプレイ
  • 体験販促

です。

●VMD4つの分野とは

こんな話が昔ありました。お茶店の改装をすることになり、設計士を呼んで打合せしました。
すると設計士は「お茶店だから{「富士山と茶畑」の写真をどかんと壁に設置しますか」と言いました。
その後、設計士は交代、他の設計士によい店舗を作ってもらいました。

新しい設計士と茶店とお茶工場をつぶさに見学、歴史や社員の人柄などいろいろヒヤリングしながら、コンセプトを作り出しました。品ぞろえも変え、店舗も変え、2階で体験ができるように工夫し、ディスプレイも美術館と提携してその店でしかできないものをつくりました。

こういうのがオリジナルと言えるでしょう。そう、ブランドは他社にない独自のVMDを開発すべきだと思います。

店舗や売場にVMDを導入するとき、どこそこの店のVMDを研究するのはいいとして、そっくりそのまま導入しても、所詮二番煎じ、顧客は定着しないでしょう。
または衰退の一途をたどるかもしれません。
VMDのオリジナリティがないからです。

VMDをクリティカルコアまで昇華する必要はないけれど、やっぱりマネだとお客様はすぐにわかってしまいます。
ぜひ、あなたの店ならではのオリジナルVMDをつくってください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ユニクロのLife Wearはコンセプトか、キャッチフレーズか?

コンセプトとは  
==================

今回は、コンセプトとキャッチフレーズを比較してみたいと思います。
まずはコンセプトから。

コンセプトとは「概念」のことです。
私は広告代理店に長く勤務していたからか、学生から社会人になって今日に至るまで、このコンセプトという言葉と長い付き合いをしています。
それほど重要な言葉なんです。

広告コンセプトというと、

  • 広告が意図する主体的な考え
  • 広告を表現する意味合い
  • 広告が訴えたいベースの思想

みたいに思っていただければOKです。
コンセプトがないと、広告は骨がないペラペラの表現になってしまいます。

例えば、売場塾の生徒募集を広告表現したとします。
「ただいま、春の生徒募集中。VMD習いたい人みんな集まれ!!」

これだと単なるキャッチフレーズ。
コンセプトではありません。

売場塾の広告が訴えたい、ベースの思想を書いてみます。
「世の中のお店はデジタルにシフトしている。
だからお店はわざわざ行く場所になっている。
だから、お店はよりよい買い物体験ができる場所でないといけない」

という思想から、「心地よく買い物体験できる場所」=「快場」と定義し、
「ただ今、快場をつくる人、快場請負人募集」
とすれば、コンセプトに近くなります。

でも、これでもまだキャッチフレーズです。
そこで、「売場塾は快場請負人を育成する学校だ」
「お客様に心地よい買い物体験を提供する快場請負人をつくる学校だ」
に直すと、コンセプトになります。

広告キャッチを考えるとき、このようなコンセプトワードは表に出なくてもいいんです。
コンセプトはあくまで物事の本質を捉える言葉。武士の鎧の中身です。
ですので、外の鎧はコンセプトそのものでなくてもいいです。
ただし、外の鎧が「ただいま、春の生徒募集中。VMD習いたい人みんな集まれ!!」となってしまうと、タダの広告キャッチになりますので、少なくとも鎧の中身の本質がじわっと出て来るような広告フレーズを考えないといけないんです。

だから、「快場請負人募集中」というようなキャッチに直したり、「心地よい買い物体験を演出できる人、それが快場請負人」にしなければいけません。

広告キャッチフレーズは、外の人、つまり一般人を意識して言葉を考えるんですが、コンセプトは「わが社はどうありたいか」「わが店はどうありたいか」を言葉に表すことですので、外向きというよりも内向きの言葉です
意志みたいなもんですね。

スターバックスのコンセプト
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例えば「スターバックスは第三の場所」というコンセプトがあります。
これは事業コンセプトとも言えるし、店舗コンセプトとも言えます。
「第三の場所」というのは、家、会社、そしてその間にある第三の場所という意味です。
つまりくつろげる場所であるということです。

このコンセプトワード自体は、スタバがオープンするときに大々的に出す広告のキャッチには入ってません。
銀座に出店するときに「銀座に第三の場所、現る!!」とも、少し砕けて「くつろげるカフェが銀座にオープン」とも謳いません。

「第三の場所」はスタバにとって内向きの言葉だからです。
社長や広報室がマスコミからインタビューを受けたときなどに、初めて出る言葉なんです。
「「第三の場所」というコンセプトをベースに出した店だ」と社長は語るでしょう。

ユニクロの「Life Wear」はコンセプトか?
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さて、ユニクロの「Life Wear」はコンセプトでしょうか。広告キャッチでしょうか。

答えは広告キャッチ。
これは「究極の普段着を着る生活を提供する店」というのがコンセプトであって、「Life Wear」はそれをちょっと外向きにおしゃれにしたキャッチコピーと言えます。

タイトルの写真を見てください。
北千住マルイにあるユニクロ店のLife Wearのコピーです。
ここに、「究極の普段着を着る生活を提供する店」がにじみ出ているのが、ボディコピーを読むとわかります。

さすがに、「究極の普段着」という言葉をそのまま広告に出すとベタなので、美しく響く表現に変えたといえるでしょう。

でも、Googleで「究極の普段着」を検索してみてください。
●「究極の普段着」を検索

「究極の普段着」という言葉が、広報の言葉、社長の言葉にたくさん出ていますよね。
そう、身内では「究極の普段着」がコンセプトワードなんです。
この言葉が商品コンセプトなのか、事業コンセプトなのかわかりにくいのですが、たぶん商品コンセプトなのでしょう。
ショップコンセプトなら「究極の普段着を着る生活を提供する店」にしないといけないし、事業コンセプトなら「究極の普段着を着る生活を提供する会社」にしないといけません。

オーバルリンクのコンセプトとは?
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さて、オーバルリンクの「VMDで売場を買場へ、そして快場へ」はコンセプトでしょうか?それとも広告キャッチでしょうか。
●オーバルリンクのHP

答えは広告キャッチでした。

コンセプトは「生活者と企業を快場で結ぶ」という事業コンセプトです。
このワード、マスコミインタビューや私の論文では、常に書いている言葉です。
名刺にも書いてありますよ。

つまり、「生活者と企業を快場で結ぶ」は「究極の普段着」と同じ身内の言葉。
広告に出すときは、少しカジュアルにわかりやすく表現する必要がありました。
だから、「VMDで売場を買場へ、そして快場へ」とか、「ただ今、快場をつくる人、快場請負人募集」とかいうキャッチフレーズになるんです。
つまり外向きの言葉になるんです。

わかりましたでしょうか。
コンセプトワードとキャッチフレーズの違い。

コンセプト、興味ある方はこちらをご覧ください。
●ショップコンセプトがお店の品揃えを決定する
●自店の店舗デザインはどうあるべきか

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ウイダーインゼリーのコピー

初めて飲みました。ウイダーインゼリー。
いいですね、これ。
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うちの会社の近所に森永製菓の本社があります。
そのせいか、田町駅のキヨスクはウィダーインゼリーデザインです。
これが新しくなったウィダーインゼリー。
カロリー表示をやめて、何を体に補給してくれるか、
一発でわかるコピーを入れました。

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例えば、私が飲んだこれは、プロテインの文字がくっきり。
これで運動しなくてもプロテインを吸収できるというメリットがわかります。

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マルチミネラル、ビタミンもそうですね。
サプリメントのような感覚でおいしく飲めることがわかります。

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広告もこんな感じにし、10年前のコピー、
エネルギーチャージに戻しました。
この方がわかりやすい。(^^)

今までの商品は、カロリーオフ、みたいな抽象的なコピーが多いため、
買う人がイメージがわかず、売上も激減。はたと気がついた森永さん、
今回のコピーに変えたということです。

やっぱり、商品は分かりやすい方がいいですね。( ´ ▽ ` )ノ
消費者の琴線に触れた方がいいです。

それをいうと、最近のネスカフェもそう。

インスタントコーヒーのパッケージに、これで何杯飲めるか?
一杯あたりの値段はいくらか表記したそうです。
これは分かりやすい。

今までグラム表示でした。
これでは、得しているのかどうかわかりません。
そこで、1杯あたりの金額をパッケージに表示。
1杯20円というのを見たお客様は
「これだけでセブンイレブンコーヒーの5杯飲めるんだ~」
というお得感に包まれます。

このように、店頭に並んでいる商品というものはわかりやすいのがいいです。
この商品を買えば、何がトクになるんだろう
とすぐにわかるものが売れるんです。

うちの売場塾のキャッチフレーズと同じですね。(^^)
「VMDインストラクターになろう」。
ただVMDを勉強するだけでなく、VMDの先生になろう!
といキャッチコピー、自分でいうのもなんですが、
わかりやすい!!

マス広告とPP

今日はマス広告とPPとの連動について話しします。

テレビCMをたくさん投下しているお店は、
PPにマスとリンクしたPOPを入れると、
手っ取り早いです。
ディスプレーそのものを凝るよりも、
マスで使っているタレントのでかいポスターを
PP代わりに入れたほうが、注目率は上がります。

マス広告大量に投下しているクライアント多いんですが、
テーマのわかりにくいPP作るよりも、
タレントの顔だしたほうが、売場立ち寄り率は上がりますよ。
ユニクロがやってますよね。

例えば、ドラックストアでツバキという資生堂の
シャンプーの売場をつくり、そのPPをつくるとします。

その時、エンドの上に三角構成のディスプレーつくって、
そこにガーランドを這わせて〜みたいなことをするよりも、
鈴木京香のポスター貼ったほうが手っ取り早いし、注目率もあがります。

なぜなら、ディスプレーの美しさよりも、
それを宣伝しているタレントの顔を売場に出したほうが注目率は高いし、
想起率も高いからです。
「あっ、あの鈴木京香さんがやってるシャンプーだ」というわけです。

ケータイ電話ショップの店内PPを作る時もそう。
壁面にケータイのPPをつくるより、お父さんの顔を出したほうが早いです。
「あっ、ソフトバンクのコーナーはあっちだ」というわけです。

実はマス広告やっている小売店やメーカーは、
このマス広告と現場のリンクが弱い会社がしばしばあります。
なんであんなにテレビCM打っているのに、
肝心の売場でタレントを客引きパンダにしないのでしょうか?

実はわけがあるんです。

それは、マス広告部とSP部、マス広告代理店と
SP会社との連携が取れていないからです。

マス広告は電通を始めとする大手広告代理店がテレビCMを作っています。
かたや、POPなど売場のSPツールはSP会社が作っています。

ほとんどの場合、タレント契約はテレビCMを作っている
広告代理店がしており、SP会社はしていません。
つまり、テレビCMに出ているタレントをPOP制作に使うことができません。

テレビCMを作っている広告代理店は、
ポスターやPOPをついでに作る程度。
従って、VMD計画に沿った緻密なPOPをテレビCMの
タレントを使って作ることはできないのです。σ(^_^;)

メーカーや小売店の場合そうで、宣伝部の作ったPOPがSP部に落ちてくる、、、
みたいなタテの流れなので、
「マスはこのようにして、VMDはこうしよう!という話し合いはあまり行われていません。

論より証拠、うちもたくさんの大手クライアントの
POPをつくってますが、テレビタレントの起用提案はできないんです。σ(^_^;)

逆にVMD会社つくる前は大手広告会社でCMつくっていたから、
その逆もよくわかります。(^^)
ホント、マスやっている広告代理店はSP弱い・・・。

まあ、なんでVMD会社つくったかというと、
今までテレビCMつくっていた私が、
テレビCMで売っている商品を売場にいったら、
がっくり・・・というのを何度となく経験してきました。
だからオーバルリンクつくったんです。

余談ですが、こういうパターンのクライアント多いです。
マス広告で大量にテレビCMやっているけど、
お客様が売場に買いに来たらガックリ!というのを何とかしてほしい、
というパターン。

ということで、どうしてテレビCMをつくってきた私がVMD会社を
つくった理由、わかりましたでしょうか。

そしてオーバルリンクが、会社の業種登録で、
「広告会社」登記をしていることも。

「売場自体を広告にする」ためにオーバルリンクを作った
というわけです。(^^)

売場自体を広告に変える、広告代理店オーバルリンクを
これからもよろしくお願いします。

CMのうまい使い道

今日の「アッコにおまかせ」見ていたら、
タレントのCMギャラの
話がありました。

安室奈美恵で1本5000万、松子デラックスで3000万。
キャリーぱみゅばみゅで3000万。

もと広告代理店でCMをたくさん作ってきた私の感想では、
とても安くなりましたね。タレントのギャラは。

バブルのころは例えばサンマで1億。
山田邦子で8000万くらいでした。
今ではこんなに安くなっているんですね。オドロキです。

でも、これがもしかしたら標準価格かもですね。
バブルが異常でした。
あの時は、テレビCM入らなくて困っていましたよ。
テレビCMの枠は全放映時間の1/10までと決まっていたので
広告代理店の枠取り競争でした。

私の前いた広告会社では、超有名タレントを3000万で獲得した
といってその担当は社長賞もらっていましたよ。
これも異常でした。・・・・

スピルバーグにCM演出を1億で依頼すると、それが超安値という
時代でした。時代は変わりました。

アパレルでは、安室奈美恵をアンタイトルが使い、エビちゃんを
サマンサタバサが使っています。
お店に行くと、デカデカとポスターが貼っています。
アパレルでは、特にスポーツウエアや下着メーカーが派手にCMを
放映してますね。

CMを使うと、お客様が店にやってくるということで、サマンサさんなどは
とても効果があるようです。

特にユニクロさんは海外の一流タレントをも使用しているので
その効果は絶大です。
ただ、もと広告代理店のCMプロデューサーとして忠告したいのは
タレントの使い方とVMDとの関係です。

まず第一に、中途半端にCM流すのなら、CM辞めた方がいいです。
CMは1万GRP維持要は流さないと効果は出ないとは、私の経験則です。
みんなが帰宅しているゴールデン以外に1週間に数本打っても効果はありません。
辞めた方がいいです。

1万GRPとは、プレステやコカコーラ、サマンサやユニクロくらいの量です。
1定期間に打つ視聴率の総和です。
一般的な衣料品や日用品はこのくらい打たないと効果がないんですね。

なぜなら、1週間に1.2本ブランドのCMを見たくらいでは、1週間経つと
忘却の彼方だからです。

さて、CMとVMDの関係なんですが、これが連携していないブランド実は多いです。
高価なタレントを使っているのに、売場でその効果が出ていないショップは、
ほとんどタレントをPOPに起用していないからです。

せっかく、プランドのCMを大量に放映しているのに、売場はブランドサインが
設置されているだけで、そのタレントの肖像がありません。
これでは、CMを売っている効果がないのです。

例えば、エビちゃんを「オーバル」というアパレルプランドがCM打っているとします。
百貨店の平場に位置しているオーバルの売場を見てみると、エビちゃんの肖像がありません。
あるのはオーバルのロゴが売場のスミにちっちゃくあるだけです。
こんなブランドのCMとVMDのミスマッチが実はすごく多いんです。
先週もあるブランドに指摘しましたよ。
みんな納得いっていました。

CMを打っている宣伝部はなるほど、テレビ上でオーバルは有名になりましたが、
百貨店では目立たない。それはPOPにタレントを起用していないからです。
起用していても、B6くらいのPOPフレームを売場のスミに置いているだけ。
これではCMをやっている意味はないんです。
エビちゃんをばーーんと平場に置くとお客様は寄って来るでしょう。

このミスマッチの理由は、宣伝部とVMD部がかい離している典型的なミスです。
宣伝部はとにかくチマタで商品ブランドが有名になればいいだけで、
売場への誘導を怠っています。

また、VMD担当はマス広告は関係ないと思っているから、
売場のコーディネートばかり気にします。

これは、アパレルだけではなくて、実はケータイや家電製品、化粧品にも
言えるんです。
「オーバル」というブランドロゴよりも「エビちゃん」というアイドル(偶像)を
出した方がてっとりばやく来店客に伝わるんです。

特に家電や化粧品は、こむずかしい効果や機能を歌うよりも、タレントを売場に
偶像として置いた方がてっとりばやいです。
効果や効能は棚の近くで初めて詳細にPOPで語るといいでしょう。

全国のアパレルVMDの皆さん、もと自分のブランドがCM売っていたら、
マス→売場づくりでタレントをアイコンにするように心かげましょう。
「いやいやタレントのでかいポスターを売場に置いたらショップの品が落ちる」と
思わない方法がいいです。
品をキープしつつ、CMを活かす方法はいくらでもありますから。

後は宣伝部と常にコミュニケとってくださいね。
がんばってください。(^^)

コンセプトからVMDは成り立っている

さて、質問です!
なぜ、無印良品は「色物」を置かないのでしょうか?

答えは・・・・
「それは無印だから」です。

こんな当たり前のことができていないお店が巷にたくさんあふれています。
このことをコンセプトっていうんです。

コンセプトは、お店を方向付けるもの、お店のポリシー、お店の進む道、お店の個性・・・。
このコンセプトがあるために、お店の商品は限定されるんです。

コンセプトがないと、「なんでもや」になってしまいます。
売れればなんでもいい。というやつですね。
そんなお店は「何屋か?」わからないのです。
この「何屋か」がコンセプトなんです。

あるとき、無印商品が不振になっていた時、
バイヤーは満を期して色物を置き始めました。
カラフルな文具、カラフルな服・・・。
するとどうなったか?
ますますお客様に売れない店となったそうです。

それまで、素朴でナチュラルな色が好きな人がそっぽを向いてしまったわけです。
こんなの、MUJIじゃない!!ということですね。
それはまるでフランフランの売場だったのでした。

そうなんです。売れるからと流行を取り入れたり、
他でも売れているものを導入したりと、
だんだんコンセプトに反した行いをしていくと、
もう「その店ではなくなってしまう」のです。

MUJIは、地球上に存在しない色は売らない・・・というポリシーを持っていたのに、
ウケると思って一部の人がカラフルな服を入れてしまった。
でもそれはお客様への裏切りだったのです。

あなたの店には、コンセプトはありますか。
なければすぐに作ってください。
でないと、何屋かわからない、お店になってしまいます。

VMDでとても大事なのは、実はこの「コンセプト」ってやつです。
コンセプトがお店のすべてを決めてしまう!といっても過言ではないのです。

ちなみに、オーバルリンクのコンセプトは
「生活者と企業を快場で結ぶ」というものです。
このポリシーを礎に商品開発しています。
うちの商品開発は学校やコンサルサービスなんですが、
考え方は会社も店も同じです。

詳しくは、ここを見てください。
オーバルリンクの商品がズラリと並んでいます。

●会社案内

マーケティングとは何ですか

先週、セミナーをしている最中に、「マーケティングとは何ですか?」と
質問がありました。いきなりだったので、
つい販売戦略と答えてしまいました。(*^_^*)

受講されている方々は、いろいろ答えます。
「マーケティングとは調査のこと」
「マーケティングとは広告のこと」。
ウーン、ちょっと違うかな。。

コトラーなどでは、消費者のニーズにあった
商品やサービスを開発し、
川上のメーカーから川下の小売店まで
スムーズに商品を流通させること。
みたいになると思いますが、
こういうテストのような答えでは
実感が伴わないでしょう。

私的には、マーケティングとは、
お客様に受け入れられる商品を開発し、
永続的に顧客が満足し、
企業が利潤をきちんと受けられることだと思います。

だから、調査や広告は当たり前。
商品開発も苦情処理もPRも名刺の印刷も
社内旅行もすべてマーケティングに入ると思います。

VMDはマーケティングの流れの中に入ります。
売場自体を広告にするようなものです。
メーカーの方は、VMDを販促といい、
小売店の方はマーチャンダイジングと言います。

だから、VMDはマーケティングを
知っている方の方が有利なことは間違いありません。
VMDを追求する方はマーケティングの本も読んでくださいね。(*^_^*)
もちろん、VMDの勉強も頑張りましょう。