VMD部はあった方がいい?

この間、VMD部はあった方がいいかどうか、話しましたが、
今回はじっくり考えてみようと思います。
VMD部といってもラインの部なので、
営業部、販促部、商品部と連携して、売場づくりの仕事を
担当する部となります。
さて、このVMD部、販促部とどう違うのでしょうか。

徹底的に違うのは、マーチャンダイジング、
つまり売場の運営と数値管理があるかどうか、
品揃えの変更が効くかどうか、が違うところでしょう。

小売店のVMD部の場合は、店舗のビジュアルと品揃えが
連動しているかどうか、つまり
「運営の仕事」「売場キープの仕事」で
一見スーパーバイザーの様な動きになるでしょう。

ただ、スーパーバイザーと違うのは、
「ビジュアルというクリエイティブ仕事」を
やっていることです。
スーパーバイザーは数値管理や人事管理、
施設との調停や品出しが主なので
ショップデザイン、プロモーション、
MDPまで管理は行き届きません。
せいぜいMD、つまり品揃えまでくらいでしょう。

スーパーバイザーは営業部や販売部のラインであり、
店や売場をMDP的に動かす・・・ということは
しないです。
これをするのがVMD部の役目で、変な言い方をすれば、
「MD管理をしつつ、クリエイティブに売場のビジュアルを
変えていく仕事」といえます。

反対に、販促部はPOPツールやパンフ・PR誌などのSPツール作成が主で、
店に販促物を「納品」「イベント」を実施することを主な仕事としています。
つまり、日々の売上成果を監理するところまでいかなく、
「スポット的に店に支援する部」
ということに留まっています。

これが宣伝部になると、テレビ、雑誌、新聞、Webと
いったマス広告に仕事の主眼が置かれるため、
現場などしったことじゃない・・・
ということに極端に言ったらなるでしょう。(^^)

ところが、小売チェーン店にとっては、
「売場のブランディング」ほど大事なものはなく、
マスで宣伝している店に行ってみると、
がっかり!というこはよくある話です。
これは宣伝部やその下請けである販促部と、
VMD部がかい離しているからです。

VMDを知らないスーパーバイザーがいる営業部は手も足も出ないのです。

売場のストアデザインやPOP、そしてMDPほど
ショップブランドを物語っているものはないでしょう。
お客様はマスで見たイメージで店に来るのですから、
その佇まいもブランドでなくてはいけません。

それを仕切るのがVMD部なのです。
いわばショップブランディングのプロデューサーと言えるでしょう。

さて、そのVMD部、聞こえはいいが、
宣伝部や販促部の下請けになっているケースがあります。
これは、ショップデザインやPOPツール、
サイン計画を宣伝・販促部が受け持っていて、
それを実施するのがVMD部ということになっているからです。
これでは宣伝部と販促部の下請けです。

VMD部は、売場の売り上げ管理と
そのビジュアルを日々管理するのが役目ですので、
現場から吸い上げた意見や、計数管理・顧客動態に
沿った考え方で、ショップデザインや
品揃え、店頭販促、ディスプレイを
変えていかなくてはいけません。

早い話が、宣伝部や販促部に対して
物申すくらいのイーブンな立場でないと、
本部→支店→店舗への
ビジュアル伝達は正常にいかないでしょう。

これを改良するために、VMD部よりもVMD室として、
独立した部署にすべきだとの話も多く、
海外の有名ブランドのVMD部は独立して、VMD室になっていることが多いです。
VMD室はハロッズの様に社長室直結というところも多いでしょう。
日本で最近できてきた、「ブランド管理室」に通ずるところがあります。

VMD室になると、ラインの仕事ではなく
、全体監理をする立場にあるため、権限も巨大になります。
欧米のVMD室マネージャーが部下を引き連れて、
肩で風を切るようにデパートを歩いている姿は圧巻です。
ルイ・ヴィトン、スワロフスキー、トミーフィルヒガーなんがすごいですね。

残念ながら、日本のVMD担当などは、
販促部の中のレイアウト課の中のVMD担当・・・という位置の方も
よくあるので、まだまだ欧米の様な「経営戦略を推進するVMD室」の
ようにはいっていないのでしょう。

論より証拠に、1ブランド1VMD担当というのがアパレルにも多いです。
1VMDは一人だけでVMDをきりもりしていかなくてはいけないんです。
だから、トップは、この一人VMDに権限を大いに与え
、給料も大いに与えてほしいと思います。
なぜなら、お店の売上を上げるための大切な部員だからです。

具体的にいうならば、販促部の部長よりもVMD室の室長の階層は上とし、
給料や処遇もアップしてほしいと思います。
そこまでしないと日本の組織VMDは変わらないでしょう。

ということで、日本のVMDの皆さん、
VMD室をつくり、高いお給料を会社からいただいてくださいね。
オーバルリンクは応援しています。

テーマの話

テーマというと、VMDの世界ではディスプレイテーマを指しますが、
それ以外にも、いろいろなテーマがあります。
売場塾の授業ではテーマがたびたび話に出ますが、
すべてがディスプレイテーマの話ではありません。

例えば、IPでは、カテゴリーテーマやエンドテーマ、
グループテーマやコーナーテーマなどがあります。
これ、全部意味が違うんです。

カテゴリーテーマとは、大きな部類のアイテムを集めたときに
出る言葉で、例えば、ドラッグストアなら、風邪薬とか美肌商品とか
トイレタリー用品などがそうですね。
でも、「お風呂リラックスグッズ」や「赤ちゃん衛生用品」とか
アイテムバリバリに固めていない商品群でもカテゴリーテーマというんです。

風邪薬や美肌化粧品などは定番として365日売場が固定されているかも
しれませんが、これら「シーズナル売場」は1週間~3か月で消えていく売場
とも言えます。だから、分類サインで売場にサインを固定せずに、POPを
設置するケースが多いです。

VMDの場合のカテゴリーテーマは、後者のことを指すのが多いですね。
「風邪薬」「美肌」ですと、定番アイテム売場名として全国津々浦々の
ドラッグストアにありますから、VMDコンサルがいなくてもできる売場でしょう。
しかし、いわゆるクロスマーチャンダイジングされたカテゴリー売場というのは
ライフスタイルや土地土地の風習、社会的なイベント、季節の到来といった
お店の置かれている環境に左右れるので、売場のグッドネームが必要です。
そこで、売場のネーミングを考えるプロ、VMDインストラクターの登場!
というわけなんです。

さて、エンドテーマというのは、ワゴンエンドの売場名を決める仕事ですが、
よくあるのが、メーカーお卸1社に丸投げという行動です。
メーカーは、小売店からエンドを借りて、そこに自らの商品を大放出するわけですが、
なにも安売り大量陳列するだけの作業とは限りません。

新作を投下したり、普段とちょっと違った生活提案や使い方提案をしてもいいわけです。
例えば、ニッカが、ウイスキーにあうJAZZCDの売場をリカーフロアのエンドにつくっても
問題ありません。ただし、その場合はニッカがリスクを負ってCDを販売することになりますが。

エンドに、音楽とリカーをIPとしてくくる、というのは
エンドテーマが「ウイスキーとJAZZ」だということなんです。
メーカーを顧客とするVMDインストラクターはこのような
クリエイティブな発想が必要です。

グループテーマというのは、いろいろなブランドを集めて店をつくるようなときに
使う言葉です。
例えば、「家でパーティ」というテーマで、50坪のスペースに
花屋とワイン店とチーズ店とパーティグッズ店を展開したりするような場合です。
グルーブというのは、百貨店の婦人服フロアで言う各メーカーブランドのグループを
指しますので、広さは、フロアの1/3くらいのスペースに相当します。

例えば、ワコールとグンゼとトリンプを集めて、肌着グループスペースを展開するような
モノだと考えてください。これがグループというスペースです。
これは、「下着」がテーマになっていますが、先ほどのは「家でパーティ」がテーマなので
そういうメーカーブランドを招集するわけです。

ということで、今日は「テーマにはいろいろある」ということでした。
おしまい!!

女性の新しい職業 VMDインストラクター

先週は、半期の見直し日でした。
その日は朝から電卓はじいていましたよ。

今年度はなんとなく明るいのですが、
ひとつ発見がありました。

それはVMDパートナー事業が伸びいていることです。
この事業は、数年前から続けていて、売場塾を卒業して資格を取った
VMDインストラクターにVMDコンサルをしていただく事業ですが、
前年伸び率が30%超といちぢるしいです。
オーバルリング全事業の売上予算にかかるウエートが
かなり高まってきました。
VMDインストラクターの皆さん、ありがとうございます。

これは売場塾の社会貢献の一環として、VMDインストラクターを起用して
●VMD研修 ●VMDコンサル ●ディスプレイ審査 ●店舗診断
などをしていただく事業です。
かなーり、活発になりました。
おそらく、就職転職、リクルート、斡旋などのコンシェルジェ含めると
時価は2倍になるでしょう。

貢献の目的は、●女性の仕事を増やす ●新しい職業を創造する
●独立できる女性をつくる そして、●快場を増やす ことです。
昨年度参加したVMDインストラクターはのべ100名以上です。

VMDインストラクターを取った方の仕事の仕方はこちら。

●VMDインストラクター資格の活かし方

今までになかった、女性の職業を創生しています。
というか、男性でもけっこうですよ。もちろん。

VMDインストラクターの皆さん、
日本中に快場をつくるために、
お互いがんばりましょう。(^^)

売場塾のワークショップが多い理由

オーバルリンクの売場塾ワークショップは
どうしてこんなに用意してあるのでしょう。
売場塾基本コースの半分の時間がワークショップです。
ワークショップとは実技のことです。

答えは簡単!VMDはやってみないとわからないからです。

本やブログを読んでもVMDの知識は受けられます。
でも一方通行で教えられたままだと、ふんふんと内容はわかっても
実際の売場に立つとわからないんです。

VMDってやってみないとわからないんですね。
だから、55のフレームワークを教えることに「やってみて」
と実技用のワークショップやテストがあるんです。

やってみることにより、本当に自分の身になったのか確認できます。
ラジオ英会話を聴いていても外国人と話しないと
英語が上達しないのといっしょなんです。

例えばですが、お客様買い方で陳列が変わるIPですが、
これを理論だけ壇上で言っても生徒はなかなか会得できません。
服の買い方が、色→サイズ→柄になっていたのが
サイズ→柄→色に変化した場合の陳列はどうなるのか
実際にワークショップしてみるとできない方が多いです。

IPには「お客様の買い方が変化するとくくりもかわる」という
理論があり、これが分からない人が多いです。
テストを毎回していてもできない方は半分近くいます。
だから、私たちはテストやワークショップで実際にやってみていただくんです。

売場塾のワークショップは全部で60以上用意しています。
そのうち40くらいを基本コースで使っています。
実技主体の売場塾。VMDは習うより慣れろ!です。(^^)