VP→PP→IPの次にAPが来る

VMDのディスプレイに、VP、PP、IPというのがあります。
これは店内ディスプレイの種類をいいます。
詳しくは下記をご覧ください。

●VP、PP、IPとは

さて、AP(アーチクルプレゼンテーション)とは、当社独自の考え方でして、手っ取り早く言うと、「商品サンプルと展示台とPOPを一体化したディスプレイ」のことです。
化粧品、家電、調理器具など、見ただけではわからない商品に適したディスプレイ方法で、APを導入すると、機能・効能・効果をディスプレイのみでお客様にわからせることができます。

例えば、下記のような時にAPは力を発揮してくれます。「商品サンプル」「展示台」「POP」、この3つの要素を使って説明します。

●タイヤの展示
カー用品店で、ただタイヤを床においても、見ただけでは何もわからない。そこで下記のようなディスプレイをつくる。
・商品サンプル/ タイヤを半分に切った構造模型とタイヤそのものをユニットでディスプレイする。
・POP/ タイヤの内部構造を説明したPOPを商品サンプルに貼りつける。例えば、「トレッド部の特殊な溝がグリッドをよくする」などの特徴を示した文字とイラストをPOPに表現する。水はけをよくする構造なら、雨天時の車走行シーンの演出POPを加えてもよい。
・展示台/  トレッドの溝が特徴なら、お客様が少ししゃがんで、手を載せられる位置にタイヤのフェイスが来るような構造の展示台デザインにする。

●シリコン調理器の展示
食材や調味料を入れてレンジでチンしてできるシリコン調理器も、ただ置いただけではわからないケースが多い。そこで下記のようにAPを考える。
・商品サンプル/ シリコン調理器のふたが閉じた状態と開いた状態をユニットでディスプレイする。開いた商品に、オニオンと人参、サーモンのサンプルとシチューの子袋を入れて置く。
・POP/ 「石狩シチューの作り方」レシピを、商品説明POPとセットに置く。商品説明POPは、シリコン調理器の利点である、手軽、短時間、そのまま食卓に出せる…などの説明をする。また、今流行りのアヒージョやコンフィなどの調理完成写真も、背景に演出POPとして置く。
・展示台/ シリコンは軽いという観点から、商品が浮くように展示できる台を考える。ふたの開いた商品と閉じた商品が、ふたの中のみぞと外側のラウンドした部分が見える角度に収まるように作る。

こんな感じです。私は過去に、360個のビーズをどのようにしてバングルにするかの、アクセサリーメーカーのAPや、プリンタやタブレットといった電子機器のAPを手掛けてきました。いずれも、印刷会社やSP会社に制作を依頼するというよりも、市販のライザーや家庭用プリンタで簡単に出力できるAPの作り方マニュアルをお渡しして、それを本部VMDがヘルパーやラウンダーに教えるというコンサルティング方法を取りました。

先達も、公開セミナーで化粧品ブランドの方から、化粧品什器制作はどのようなところに気を付けたらいいか?というご質問がありましたので、下記のようにお答えしました。

●化粧品APの作り方
・お客様の購買アクションと販売員の販売アクションをベースに、商品を取り出しやすくて、戻しやすいかを検証する。商品サンプルは、使用順位順に並べる。(洗顔→化粧水→乳液etc)
・商品のくくりを明確にする。メイクなら、目・口・顔と使用部位別にサンプルをくくって選びやすいようにする。各々のくくりに分類POP(例えば、「EYE」「LIP」「SKIN」などというPOP)を付けるとわかりやすい。
・色の順番を決める。例えば、寒色・暖色・中性色順にするとか、色相順にするとか決める。
・フェイシングを決める。商品をどのように置くかを決める。お客様が、一目瞭然に商品特性がわかるサンプルの置き方を考える。商品を取り出しやすくて、戻しやすいような展示台を考える。

アーチクルプレゼンテーションは、アーチクル(商品自体のこと)をよりわかりやすく見せるためのディスプレイの工夫です。売場のPP(ポイントとなるディスフレイ)にもなり、来店客の注目率抜群です。お客様が手に取りやすく戻しやすい90cm~120cm位のところに置くといいでしょう。

仕入れた商品をセルフの棚に置いても、誰も買ってくれない場合は、そのまま置いただけではわからない商品だから・・・という場合が多いです。そんな時は、ぜひアーチクルプレゼンテーションを導入してみましょう。売れる商品になるはずです。