売場塾生が1,000名になりました

0.地下室から始まった売場塾

売場塾の生徒もこの秋で1,000人になりました。

売場塾はいつからどこでやっているのか。
それは2006年4月春期からです。
そして場所は東京三田なのですが地下室から始まったということです。

このブログでは、社会人の皆さんに参考になる、ノウハウの生かし方についてお話しします。
すなわち「君たちはどう生かすか PART2」です。
PART1は下記をお読みください。

●君たちはどう生かすか

さて、VMDの会社を21年続けていて山あり谷ありだったエピソードに加え、私がサラリーマンだった20年間も振り返ってみたいと思います。

それは下記ではないでしょうか。

  1. 仮説を立てて行程表をつくる
  2. コツコツ続けて工夫を重ねていく
  3. 自分を貫く
  4. 他人と違っても気にしない

ひとつひとつお話しします。

1.仮説を立てて工程表をつくる

「これをやりたい」
「あれをやりたい」

なんて誰でもありますよね。
仕事では

「バリバリ新規開拓したい」
「VMDをうまくなりたい」
「プレゼンスキルを上達させたい」

でも、殆どの人はそう言っているだけでなかなか実行に移しません。
仕事が忙しいことを言い訳にしているからです。

本当に希望をかなえたいなら、まず何をやるかまとめ、時間をつくること。
そして、とりあえずのゴールを決めるといいです。

「バリバリ新規開拓したい」なら、ゴールは下記のように定めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」
「1年以内に1千万級のクライアントを1社とる」
「新聞広告のクライアントを毎期獲得する」

など、おぼろげでいいので決めます。
ノートにメモりましょう。書くと気持ちも整理できます。

次に工程を決めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」

だったら、

「1日5軒は学校関係の企業に飛び込み営業する」
「釣り具業界の有名な会社にプレゼンする」
「テレビ番組をつくってスポンサーを募る」

みたいに、どうやってクライアントを5本開拓するか方法を決め、動き出します。

上記は私が広告代理店のサラリーマンだった時、本当に行ったことです。
そして実際に新規開拓だけで3年でクライアントを獲得でき年計2億になりました。

2.コツコツ続けて工夫を重ねていく

私が大学卒業して入った広告会社は、1年以内に8割方の新人が辞めていくという過酷な会社でした。

飛び込みセールスで新規を取っていくというまさに昭和時代のスタイルでした。
ほとんどの人が喫茶店でコーヒーを飲んで一日をしのぎ、やがて辞めていきます。

「単純に飛び込みしても仕事は得られないだろうな」

大学出たばかりの私は、A,B,C,Dという静岡市内の営業ルートを考え、そのルート上にあるよさそうな広告主に月2回の頻度で飛び込みました。
「断られても4~5周回ればなんとかなるだろう」と思いました。

1週目は門前払いです。
2週目も門前払いです。

3週目は、広告主なら誰もが興味を持つ資料を自分で作り、持ち込みました。
すると話を聞いてくれる広告主ができました。
4週目に入ると、ひとつの広告主が「実はこんな悩みがある」などいう相談がきました。
5週目に入ると、わずかばかりの広告をいただけました。

こんな風に工夫に重ねていくとよいです。

あとは持続力です。
他の人は2週目に門前払いされたところで、もう3週目は行かないでしょう。
そこが普通の人なんですが、諦めずにコツコツ地道に実行するようにした人に門は開いて行くんです。

2006年に始め売場塾も山あり谷ありだったんですが、工夫を重ねてここまで来ました。
時間帯を工夫したりテキストやワークショップを変えたりと、コツコツ工夫を重ねているからこそ継続でき、今があるんです。

実際、起業した人で公開セミナーや学校を始める人は多いのですが、途中でやめてしまう人がほとんどです。
最初はよくても、そのうちに集まらなくなってくるからです。
もう少し頑張って工夫して継続していく努力をした方がいいと思います。

3.自分を貫く

時代はインターネット創世記になりました。

その時、インターネットの中から面白い音を見つけて、それと音楽をリミックスするという番組を思いつき、社内プレゼンしてみました。
しかし、誰からもあまり協力してもらえません。
それでも、出版社と音楽制作会社に掛け合って、自分でスポンサーを見つけて半年ラジオ番組としてオンエアしました。

何か新しいことをやろうとすると、周りから反対されたり、賛同が得られなかったりすることが多いと思います。

「やめた方がいい」
「そんなことやってどうなる」
「・・・(無関心)」

こんな感じで周りに冷たくあしらわれたら、あなたは辞めますか?
サラリーマン時代、私は自分がやりたいことはトコトンやりました。
よくいうセリフは下記でした。

「これでスポンサー集まらなかったらどうする?」
「責任を取ります」

今でも新規事業はしょっちゅう社員に反対されます。(笑)
しかし、やると決めたからにはある程度までやってみることが大事です。
事業というのは人の顔色伺いながらやるものではありません。

というか、広告代理店時代は、番組枠をテレビ局やラジオ局から事前に買うので、何が何でもスポンサーを見つけて実施しないといけません。
やるからにはリスクと覚悟が必要です。
会社もそうで、作ったからには何年も長続きさせないといけません。
創業後会社が20年続く確率はたったの0.4%なんです。

単に「おもしろそうだから」と思ってやるだけのあなたは長続きしないでしょう。

4.他人と違っても気にしない

東京本社に転勤したとき、ケータイキャリアの担当になり、店頭プロモーションやVMDの仕事をしていました。

VMDはケータイショップの売場づくりのコンサルでしたが、これ以外にもたくさん仕事はありました。
睡眠時間は毎日2~3時間。それが1年続いていました。

「死にますよ」

よく同僚に言われていました。
しかし、将来のためのノウハウを得るために睡眠は犠牲になりました。
浅草橋から隅田川を眺めながら、早く週末になることを願っていました。
しかし今だと、これ問題になりますね。。。。

前の会社はテレビや新聞などマス広告中心の会社です。
社内では店頭プロモーションやVMDなどはもう論外で、「どぶさらいみたいなことやっている」と、他の方から言われていました。
マス広告やっているとカッコいいのだろうか?
私も過去CM賞や新聞賞取りましたが、テレビも店頭も同じだと考えていました。

「ビジュアル・マーチャンダイジングってなんかかっこいい!!」

実は、この道に進んだのは名前からでした。(笑)

そして意外と売場づくりに困っているクライアントがたくさんいることも、この業務で知りました。

「売場づくりに特化した広告代理店なんてないだろうな」

こうしてVMDに特化した広告代理店「オーバルリンク」が誕生しました。
みなさーん、どんどん異端児になりましょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ビッグモーターはなぜ街路樹を切ったのか

ドライバー目線の街路樹の通り

1.街路樹通りを走っているドライバーの目

今日は、ビッグモーターはなぜ街路樹を切ったのか。
それはVMDにとても関係ある事柄でした。

私たちVMDインストラクターは、路面店にVMDを指南することがあります。
その時、街路樹が道路脇に連なっている光景をよく目にします。
上の写真のような感じですね。

オーバルリンクの店舗診断は、こんな風に店舗外観の写真を撮ることから始めます。
上の写真は道路を走っているドライバー目線で撮影したものです。
店舗診断用の写真撮影は、お客様の目線で撮りますので、路面店は当然ドライバー目線で撮ります。

ドライバー目線の街路樹の通り

上の写真を見てください。
「うまい鮨勘」という寿司屋の看板は見えますよね。
「FamilyMart」というファミマの看板も見えます。
度もその先は街路樹でお店の看板が見えません。

ファミマのずーっと先を目で追ってください。
赤字に白抜き文字の「IN」というサインがあるのがわかりますか。
でも店の看板は街路樹に隠れて見えません。
ここが店舗診断の対象のお店でした。

ドライバー目線の街路樹の通り

上野写真を見てください。車は60kmで走っています。
店の18m先に近づいてきました。
INの文字は大きく見えてきました。
でも店名サインは街路樹に隠れて見えません。

店はレンタルソフト屋さんなんですが、取扱商品も業種さえもわかりません。

ドライバー目線の街路樹の通り

8m手前に来ました。
でも街路樹に隠れてとうとう店名はわかりませんでした。

DVD・ビデオの文字も目に入るか入らないかです。
そして、ビデオの次の文字、CD・レンタル・・・・読みにくいですね。
そしてその次の文字は葉っぱに隠れている上、小さすぎて読めません。

というか、目で全部の文字を読もうとしたら、前方不注意で事故ってしまうでしょう。
車は60kmで走っているので、横の看板を首を左に振ってまで読もうとするドライバーはどこにもいないでしょう。

こんな感じで国道を走っているドライバーは、レンタルソフト店があると気づかずに店の前を通過していきます。
とうとう、ビデオ店の名前も取り扱い商品も満足に分からずじまいでした。

2.ビッグモーターが街路樹を切ったワケ

ここまで話ししてもうわかったでしょう。
そう、ビッグモーターは、店の看板を見せたいために街路樹を切ったのではないかと思います。
昨日、警視庁がビックモーターの9店舗に街路樹伐採の容疑で一斉に9店舗を家宅捜索しました。
すぐにこのことは明らかになると思います。

このように街路樹で店舗がわからず、ドライバーに意識されていない店舗はたくさんあります。
「店の看板を大きく出しているのに客は気づいてくれない」
「店の看板あるのに、お店はどこにあるの?」
という問い合わせ多い」
というような相談が、店舗診断時によく聞かれます。

そんなお店に対して、店舗診断シートを掲示して外観の直し方を伝授するんですが、「木を切れ」とはさすがに言わないです。

街路樹は公共のものですからね。
街路樹は街の雰囲気をつくっています。
表参道に行ってもわかるように、街路樹がある道はきれいでさわやかーな感じがします。
街があって店がある。
だから街路樹の設置は街優先で、店優先じゃないんです。

確かに、店の存在がわからないことでお客様に入ってもらえない店は多いです。
「こんなところに店あったの?」というお客様が多い店は、それだけで死活問題でしょう。

でも、街路樹があってもお店をわからせる技術がVMDにあるんです。

3.看板サインはドライバー目線でつくる

では、現状どうやって店の存在をドライバーに分からせたらいいのか?
実際に当社がリバイスした事例を今からお見せします。
下の2つの写真を見て下さい。

ドライバー目線の街路樹の通り

この二つの写真のうち、上の写真はBefore、下の写真はAfterです。
さっきの8m手前から見たドライバー目線の写真です。比較してください。
「パソコン」の文字が目の先に入ってますよね。

もう少し接近しますか。
8m手前。

ドライバー目線の街路樹の通り

今度は「DOS-V」という文字も視界に入ってきます。

もうわかりましたね。
看板の角度と文字を変えたんです。

ドライバーは一瞬しか店を見ないので、その時に文字が目立つように配置してんです。

  • サインの位置を窓の上ではなくて、窓に垂直につける
  • 取り扱い商品は単語で数個に分ける
  • タテ文字にする
  • タテ文字を大きく太くする

このようにすれば、街路樹があっても店名や取扱商品がわかるんです。(^^)
下図を見てください。こんな構造です。
サインは90度角ではないので注意ください。

ドライバー目線の看板設置方法

VMDインスタラクターの皆さんは、2車線の道路の上下線から、ドライバー目線のビデオで撮るか、10mずつ道路の真ん中を歩きながら写真を撮って、どのようにサイン設置したらいいか、ストーリーを考えてください。

この時は失敗したくなかったのでCG動画でシミュレーションもしましたよ。(^^)
ただ残念ながら、看板デザインはお店が看板屋さんに一任したので、下記写真のような感じ。
白地に黄色文字は遠目からまったく目立たないので注意しましょう。

ドライバー目線の看板

4.その他の注意点

わかりましたか、
路面店の看板の付け方。
ビッグモーターのように木を切らないでくださいね。

というか、社会マナーをきちっと守ってVMDを遂行してください。
私たちの願いです。

さて、備考として下記注意点明記しときます。
路面店の「何屋」かドライバーにわからせるための店舗外観のリバイス事項です。

●ショールームが見えるようにする

車販売店やリフォーム店はガラス貼りのショールームになっています。
のぼりやチラシ・ポスターなどの販促物でショールームを隠さないでください。
肝心の車やキッチンが見えないようであれば、何屋かわかりません。

●のぼりは同じデザインを4M~5M間隔で配置する

のぼりのデザインが3つあったら、同じデザインののぼりを少なくとも3つ、等間隔に設置してください。
その時、間隔が2Mと短くなっていると、ドライバー目線ではのぼりが1つのダンゴ状態に見えるので複数置く意味がありません。

のぼりは同じデザインを4M~5M間隔で配置すれば、60Kで走っているドライバーにとって繰り返し印象づけることができます。

なお、ディーラーのVMDについては下記で詳しく述べていますのでご覧ください。
●カーディーラー店頭演出のコツ

なお、看板の改善は店舗診断で指摘していますので、サービス内容知りたい方は下記から資料請求してください。。

●店舗診断

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

医者の健康診断をベースにした店舗診断

店舗診断している風景

1.店舗診断無料時代

今日は、オーバルリンクの「店舗診断」のなり立ちからお話しします。
●店舗診断とは

私はオーバルリンクを設立してから、1年くらい無料店舗診断をしていました。
お客様の店舗の写真を撮ってどこが悪くてどう改善したらいいのか、無料でアドバイスしていました。
会社を立ち上げたものの、VMDの実績は少なかったので、まずは実績をつくることから始めたんです。

著名な店舗に電話をかけまくって、店舗診断していました。
20年前は今と違って、店舗診断断るところは少なかったです。
どんな小売店も自店の売場の出来栄えには不安で、売場づくりはこれでいいのか悩んでいるところが多かったのです。

業界トップの企業でもVMD担当はもちろんいなく、売場づくりは現場任せという事実は驚きと共に、オーバルリンク行けるんじゃないか?という変な自信もついてきました。(笑)

ということで、会社を軌道に乗せるためにタダでいいから成功事例をたくさんつくってそれを理論に組み立てていき、自社オリジナルのサービスをつくっていくという、ゼロからの会社経営だったんです。

同時に、普段生活していく中で気になった売場をどんどん撮影して、どこが悪いのか、またはどこがいいのか、を振り返る癖をつけていきました。
それがスーパーだろうが、薬局だろうがお構いなしです。

最初は「なんとなくこの売場はいい」「なんとなくこの売場は悪い」といしう感覚で撮影していました。
そして、パソコンで写真をじっくり振り返ると「ここをこうすれば良くなるかもしれない」と心の中で直し方をシミュレーションしていました

2.売場のケーススタディを想起する

ただ、無料店舗診断でも、店舗診断シートをお客様に渡すときに、改善点を説明しなければいけません。
その説明が「なんとなく悪い」みたいな説明だと、お客様は「本当にそうなのかな」といぶかしがります。
そこはコンサルらしく「ここがダメだからこう」ときっぱりベテランのように言わなければいけません。

にわかコンサルタントの当時の私は、半信半疑だが、とにかくプレゼンはコンサルらしくふるまっていました。
こんな日々が過ぎていきました。

創業から10カ月くらい経ちましたでしょうか。
売上は以前としてゼロです。
びた1文も入ってきません。

それでも、「その通り改善したら売場がよくなった」「売上が上がった」などという声がちらほら聞かれ始めました。

「VMD導入で確かに売上は上がるんだ」
とのんきな私は、だんだんVMDの効果を確信してきました。
当時は「VMDを導入しよう」と合言葉のように言っていました。
「導入」というと、MAとかSFAのようなアプリケーションソフトをインストールするみたいな感じがしますが、まさにその通り。
ソフトを会社のシステムに組み込むように企業に働きかけていました。

そのうち、改善成功事例がたくさん蓄積してきて、写真を撮っては売場改善シートを書いているときに、他の売場のケーススタディがよみがえるようになったのです。

そう、何千枚と売場の写真を撮ってきて、じっくり写真を見ているので、アタマの中にケーススタディが写真の画像と共に蓄積していったんです。

なので、店舗に改善点を指摘するときに「これはあの紅茶店のケースに当てはまるな」とか「これはあの家電売り場のケースに当てはまるな」という過去事例が自然に写真と共によみがえるようになってきました。

これを心理学的に「想起」といいます。
「想起」とは、何かをするときに過去の事を思い出すということです。
例えば、昨日は防災の日でしたが、ニュースの関東大震災の写真を見たときに「そういえば、うちの食料の備蓄はどのくらいあったけ?」と我が家の防災を想起するようなことです。

それほど人間というものは「想起」する生き物なんです。
「想起」は「習慣」と違って、時々起こるものです。
朝起きて、洗面台を見たら「そうだ、朝は歯磨きするんだったけ」というものではありません。
歯磨きは習慣なんです。

そんなことで、1年経ってやっと仕事がぼちぼち入りだしてきました。
ただし、コンサル純粋、店舗診断純粋のフィーではなくてほとんど店舗改装の仕事です。
こんなわけで最初の1.2年は改装業務でなんとか会社をやっているようなものでした。
ただし施工会社ではありませんので、店舗診断シートをつけて、それから改装プランを練っていました。
VMDを取り入れた改装プランだったんです。

VMDを取り入れた改装プランは「リモデル」といって、設計会社や施工会社の業務と根本的に違います。
今回はリモデル、詳しく説明しないので興味ある方はこちらをクリックしてください。
●リモデルとは

3.VMD用語を取り入れる

店舗診断の話に戻りましょう。
売場改善のケーススタディがだんだんアタマの中に蓄積されていきます。

ただし、それらを「想起」する場面は画像が多かったです。
例えばドラッグストアの改善すべき写真を見たときに、ふわーんと過去の家電店の改善写真が浮かぶんです。

ドラグストアだからドラッグストアの改善想起ではなくて、まったく関係ない業種・業態から想起されました。

カーディーラーの改善点はお茶店の改善想起、
本屋の改善点はキャンディショップの改善想起、
家具店の改善点はケータイショップの想起・・・

など売場を直すのに、業種・業態・取扱商品は関係ありませんでした。

ただ、問題はひとつありました。
ケーススタディを想起するのはいいけれど、写真が思い浮かぶだけでは、クライアントに説明できません。
ドラッグストアに紅茶店の写真を見せて、「この通りに直してくれ」だと相手はどう直していいのか分からないからです。

そこで、写真に言葉を付けることにしました。
これはこういう改善点があるから、このように直した方がいいんですよ、という具合に。

つまり、医者が患者に対して

「これは風邪だ」
「これは胃潰瘍だ」
「これはハウスダストだ」

など、病名を告げるように、店舗の悪いところの病名を付けるようにしたんです。

その時すでにVMDには便利な専門用語がありました。

・VP,PP,IPはディスプレイのこと。
・VMD分類、MD分類は分類のこと。
・定数・定量は什器や商品の数量のこと。

ただ、私にとっては当時のVMD用語はすごく限られた言葉でした。
あまりにも少なすぎました。
VP,PP,IPという言葉を知っていても、それだけでは売場を直すことは出来なかったのです。

そこで、私は独自のVMD言葉をつくっていきました。

  • オーケストレーション = 壁面の集合ディスプレイのこと
  • くくり = 棚の商品のカタマリ具合
  • サブテーマ = ディスプレイテーマを補助するテーマ
  • ハーモニゼーション = 棚の陳列の状態

などなど。
その数は100は下らないでしょう。

こうして、私は店舗診断するときに、売場の医者として「売場の病名」を告げて、それを基準に売場の直し方を説明するようにしました。

しばらくすると、過去事例を想起するときに画像だけではなくて文字も出てくるようになりました。
これこそがプロの使う「想起法」のスキルそのものなのでした。

私がつくったVMD用語も含めた「VMD用語辞典」、時間ある時に見てください。
●VMD用語辞典

4.医者の処方箋とVMDの処方箋

図を見てください。
最終的に、これが私が確立した店舗診断のしくみです。

医者が処方箋を患者に渡すように、いま私は「健診表」という処方箋をお店に渡しているんです。

この図を作るために、医者の診断に関する書物も読みました。
わかったことは、店舗を診断する順番は、私が思った通り医者の順番と同じということでした。

上図を右から説明しましょう。

医者は「鑑別診断基準項目」がアタマの中に入っています。
つまり、解剖学的な基準項目とは、

  • 「大腸がん」である基準
  • 「肺気腫」である基準
  • 「膀胱炎」である基準

であり、医者は患者に問診したりレントゲン写真を見たり、体に触れて見たりと
問診や検査をしながら病気を特定し、処方箋を出しています。

だから、医者は「これはたぶんガンだろうな~」と適当に患者に告げているわけじゃないんです。
基準となる根拠があってガンと特定しているんです。

同じように、私たちVMDプロも「たぶん商品のディスプレイが悪いんですよ」と適当に言うわけにはいかないんです。
「ディスプレイのどこが悪いのか」正確に言わないと、相手も不安になるし、VMDコンサル失格ということになりかねません。

私たち、VMDプロは医者のように店長に言います。

「これはフェイシングと商品視認性に問題がありますね」

「商品のフェイスが悪い。パッケージの特徴が分かりにくい角度で展示されているし、ラベルがPOPに隠れているので商品名を読むこともできない」

この

・「フェイシング」
・「商品視線性」

は私たちのアタマの中の引き出しに入っているので、写真を見たり売場を見たりすると5秒で出てくる言葉なんです。

医者が問診してみて、レントゲンを見て「あー、これは肺気腫だ」とすぐにわかるようなものです。
医者は病院を開業するときに、すでに大学で、大学病院で想起の訓練をしていいます。
だから、開業をしてたくさんの患者が押しよせてもすぐに病気を特定できるんです。

ところがVMDは医学と比べると非常に歴史の浅い学問なので、専門用語が豊富にありません。
だから専門用語はつくるしかないんです。
私が会社を創業してから専門用語をつくり続け、ビジネス誌でその論文を発表したり、公開セミナーでレクチャーしたりしているのは、専門用語を流布するのが目的の一つでもあります。

5.売場づくりの医者になろう

だいたいわかりましたか。

医者の診断に基準があるように、VMDには基準があるんです。
その基準からハズれているのが病気にかかっている売場ということになります。

VMDが広まってきた今、VMDコンサルはいろいろな方がいます。
どのVMDコンサルにしようかな~と悩んでいる小売店の方は多いと思います。

しかしA,B,Cというコンサルがいて、別々に店舗診断を頼むと、診断結果は各人で全く違ってしまう。
これではもう基準はないと同じですよね。

3人の医者に健康診断してもらい、
ある医者は「かぜですよ」といい、
ある医者は「気管支炎ですね」といい、
ある医者は「ガンです」といいます。
こんな三者三様の診断結果だと、誰も医者を信頼できないですよね。
本来、基準というものが備わっているプロなら、A,B,Cどんな医者でも「これは気管支炎です」というハズです。

そこが当社がVMDインストラクターを育てている所以です。
売場のお医者さんになるための基準を売場塾で教えている理由はそれなんです。

論より証拠、この健診表はどのVMDインストラクターに頼んでも、同じになるんです。
VMD指導コースが売場塾にはあって、これを受講した卒業生はVMD指導プロ、シニアVMDインスタラクターになっているので、シニアVMDインストラクターに頼んだら誰に頼んでも同じ健診表になります。

VMDインストラクターも売場づくりのプロだけど、シニアVMDインストラクターはさらに進んだVMDの開業医と言えるでしょう。
VMDで食べていけるだけの器量を備えることができます。

売場塾では、売場づくりの基準が55あります。
この55をVMD基本講座18時間で習得することによって、売場づくりの基準を知ることができます。
売場のお医者さんになるための「売場づくりの型」を学べます

そうすることによって、売場を見たときにどこが悪くてどこがよいのか、正しい言葉で患者である店長に教えることができます。
この「フレームワーキング」という考え方は、オーバルリンク独自のメソッドです。

フレームワーキング、知りたい方は下記をクリックしてください。

フレームワーキングとは

今日は、売場づくりの手法「フレームワーキング」のルーツをお話ししました。
ご清聴ありがとうございました。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

君たちはどう生かすか

1.プロローグ

人生日記もノート6冊目になりました。
1994年の9月10日に書き始めてからちょうど30年です。
自分の将来について行動プランをいろいろ書き溜めていました。
そのころは広告代理店のサラリーマンでした。

ちょっと1994年9月10日のライフプランを読み返してみましょうか。

  • 80歳で死ぬことになっている。
  • 老後は外国語の旅行ガイドやっていることになっている。
  • 60歳で年金生活始めることになっている。
  • 55歳でリタイヤして自分の会社を始めることになっている。
  • 44歳で東京本社に移ることになっている。
  • 45歳までCMプランナーとして大成することになっている。
  • 40歳で年収1,000万になっている。

などなど。
他のページでは、

  • 40~50歳まではスピルバーグ
  • 50~70歳まではクリントイーストウッド
  • 70~80歳まではショーンコネリー

みたいな雰囲気(あくまで雰囲気です)の男になりたいようなことも書いてありました。
そして自分の性格のいいところ、悪いところも書かれていました。(笑)

ブログが流行るかなり前に書いていたこの人生プランは、いつも9月の連休の一日を割いて一気に書いていました。
朝から晩までです。沈む夕日を見ながら書いていました。
だから日記というよりも、年記みたいなもんですね。

ただ、平素でも会社であったいやなこと、問題点やクライアント営業計画なども書いていました。
書くと思いが整理整頓されるし、解決策も書いていたので行動指標にもなりました。

また、普段やりたいこと、チャレンジしたいことも書かれていました。

  • 世界釣り旅行に行く。
  • マラソンで40K走る。
  • 英語堪能になる。
  • オイコットライフをする(週末は田舎で週中は東京)。

また、労働時間も計算していました。
そのころは、下記でした。

1年250日出勤 × 1日13時間の労働 = 1年3,250時間の労働

普通の人は、

1年250日出勤 × 1日8時間の労働 = 1年2,000時間の労働

でしたので、当時は普通の人の65%増しの仕事量でした。
働き方改革が叫ばれている昨今、これだと労働問題ですね。
というか、過労死ラインですね。。。

で、とりあえず、

年間250時間は節約し、3,000時間になるようにプランしてみました。

すると、家に夜8時に戻れることに気が付きました。
(月)(火)は友達に会ったり英語の学校に行ったり趣味に時間を生かせることに気がつきました。
(水)(木)(金)は家で夜のんびりできることにも気がつきました。

まるで企画書を書くように、物事が整理整頓できてきました。
9月に1年を振り返っては、公私共々ほぼ書いたこと7・8割は実現できていました。

明日を、来週を、来年を、10年後をどうしたいか、書くことはいいことだと自負しました。
書くと、明日、来週、来年をどう生きていけばいいのか、道が見えてくるからです。

会社も朝7時に出社するようにし、「今日は何をしたらよいのか」コーヒー飲んでゆっくり考えることができました。
このようにすると、今日の仕事ではなく、明日の仕事もスケジュールに入れることができ、番組制作などクリエイティブな仕事もつくれるようになりました。

公私の時間の使い方と適正な設計を日誌で学んだんです。

2.書いたことを実践するには

前いた広告会社を辞めオーバルリンクという会社をスタートさせてからは、プライベートがなくなったので日記内容はほとんど会社のことになりましたが、ここ10年くらいは、余裕がでてきたのでプライベートなことも書くようになりました。
つまり、サラリーマン時代の書き方にもどったのです。

ただ、書いたことを実行するには、他の時間を省略しなければいけません。
1日は24時間しかないので、何かを実行するためには何かをやらないようにしなければいけません。
例えば下記がそうでした。

・オフィスに行かないでほとんど家にいる
 →すると通勤時間が2時間節約できる

・会社のサービス項目を半分にする
 →すると時間が効率的になる

・他社のやらないことをやる
 →すると利益率が増えるので、むやみに営業しなくて済む

・デジタルマーケティングにする
 →訪問営業がなくなるので時間が節約できる

どうですか。
これって、コロナ禍になってみんな気づいてやり始めたことでしたよね。
私はすでにやっていたんです。

すると、

・寝る前に1時間はジャズを聴いてリラックスしたい
・週に2回は筋トレしたい
・毎日レアジョブで英会話したい

ができるようになりました。

3.始める日にちを決める

「これやりたいけど、できないだろうな、時間がないもの」
「あれやりたいけど、上司に怒られるだろうな、今忙しいもの」

などと、自分のやりたいことをあきらめていませんか。

まずはやりたいことを何かに書いてみましょう。
メモ帳でもノートでもいいです。
もちろん、スマホやパソコンでもいいですよ。

やりたいことを書いたら、次にどうすればそれができるようになるのか、時間を整理してみましょう。
先ほど言ったように、できる時間をつくるんです。
すると、思ったよりできるようになります。

そして、自分の大事なものが仕事や家事ではないことに気がつきます。
毎日を生活するには、「バランスが大事」ということに気がつくはずです。

4.仕事やプライベートはバランスと流れ

やりたいことができてくると、流れるように時間が使えることに気がつきます。

もちろん、毎日のルーティーンにしてしまい、きちきち時間を決めてその通りにやる。

これはけっこうなのですが、あまり四角しばって生活すると心の余裕がなくなります。
今プレゼンで忙しいのに、無理やり時間割いてジムに行く必要はありません。
要はバランスです。
忙しいときは全力でプレゼンに力を注ぎ、その時使った時間を後で筋トレに使えばいいのです。
人間は2.3週間筋トレしなくても大丈夫。
プレゼンの後に元の筋トレに戻って続けていけば、いつもたくましいあなたでいます。

結論として言うと、仕事やプライベートはバランスと流れなんです。
大事なのは、やりたい!と思ったことを続けることです。
そのバランスと流れを見極めましょう。

5.やりたいことは続けないと積もらない

よくあることなんですが、忙しさにかまけてやろうと思ったことを辞めてしまう人もいます。

・毎週筋トレしていたのに、忙しい日々が長く続いたので、いつのまにかやめてしまった。
・時間がとれなくなる日が多くなったので、英会話学校にいけなくなった。

これはVMDでもよくあることなんです。

・なかなか人が集まらないのでセミナーをやめてしまった。
・VMDの仕事が入らなくなったのでホームページ制作の仕事に切り替えた。
・メルマガを始めたけど時間に余裕がなくなったのでやめてしまった。

私が数字にこだわるのは、数字を重ねることによって持続が確認できるからです。

  • オーバルリンクは創業21年。
  • 書いた論文数は70論文。
  • VMDインストラクター資格者は900人。
  • 売場塾は90期。
  • 月刊VMDは3年目。
  • このメルマガは270通目。

などなど、決めたらその通りに鋭意実行するといいと思います。
「生活がうまくいかないな」という人は、途中であきらめてやらなくなってしまうから。

なんとなくやってみる。
他人がやるからやってみる。

のではなくて、まずは書きましょう。
書いたことは宣言になりますので、ふと思った、というよりも計画として書き下ろした感が強くなります。
計画したことは遂行したい気持ちになってくるのがわかります。

後は時間のバランスと流れにうまくオールを使って航海していけばよいのです。

ということで、今日は暑中見舞いの代わりでした。
ご清聴ありがとうございました。

●VMDインストラクター起業・副業相談会

VMDを自分のキャリアにしたい、と思う人は、VMDキャリアの蓄積の仕方、本職とVMD職のバランスと流れの取り方、いろいろお教えできます。
ぜひ、「VMDインストラクター起業・副業相談会」にお越しください。
最後は宣伝でした。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDインストラクターとしての起業の現状

0.VMDインストラクター900名のうち16%がフリーランス

先週の合格者発表でVMDインストラクター資格取得者はジャスト900名になりました。
合格者の皆様、おめでとうございます。

この機会に、今回はどうやってVMDインストラクターとして独立・起業するか、その近道をお教えします。
以前、VMDインストラクターとは売場を編集する人のことで、デザイナーとも設計士ともデコレーターとも違うということをお教えしました。

●売場編集とはVMDインストラクターの仕事

さらに、VMDインストラクターという職業の仕事の仕方も下記で詳しくお話ししました。

●VMDインストラクターのビジネスモデル

今日はここから一歩踏み込んで、売場塾卒業生が実際にVMDインストラクターとして活躍している事例を踏まえてお話しします。
1000人近くの売場塾と接してきましたが、全体の16%がフリーランスでVMD活動をしている方です。
16%といえば160人ということですし、社員でも副業として活躍している方もいるので実際の起業者はもっと多いのではないかと思います。

では起業したVMDインストラクターがどのように仕事を遂行しているのか、ひも解いてみましょう~。はじまり、はじまり~。(^^)

1.初めは法人のVMD研修インストラクター

実際のところ、フリーランスの方で売場塾に来られる方は、

A.法人からVMD研修の依頼が来たので研修の仕方を会得しに来た
B.VMD指導をなんとなくやってきたが、きちんとした理論を身に着けたい
C.デコレーターとしてやってきたがVMD研修もできるようにしたい

Aは、研修会社にフリーランスの講師として所属している人、または自分で研修会社を主宰している人の他に、下記の方たちが多く来られます。

  • カラーコーディネーター
  • インテリアコーディネーター
  • スタイリスト
  • フードコーディネーター
  • フラワーコーディネーター etc

つまり、ACTiveな方たちが多いということです。
・Adviser アドバイザー
・Coordinater コーディネーター
・Trainer トレーナー

この定義、詳しくは下記のサイトで解説しているので参照ください。
●ACTive女性とは

VMDの寺子屋のような売場塾なんですが、実際には1カ月後にVMDセミナーがあるので急いできた・・・というような方もいました。
例えば接客やカラーのお仕事をされていても、クライアントや研修会社から「VMDのセミナーをやってほしい」という依頼が来るので、短期間で研修講義できるように売場塾の門をたたいた、ということです。

VMDインストラクターとは文字通りVMDを教える人のことで、売場づくりの先生でありますので、売場塾はまさにうってつけ!というわけです。
売場塾を始めたころは、「みんな付け焼刃で研修大丈夫かな?」と思っていましたが、取り越し苦労でした。
「研修講義をしたところ、受講生の皆さん喜んでくれました」という朗報が多いです。
研修成功の秘訣はワークショップにあって、売場塾の豊富なワークショップを彼女彼らなりに工夫して行っているケースが多いようです。

このように、ある程度売場塾のフレームワーク(売場づくりの型)を習得すれば、その型を使って教えることができますので、正直VMDを経験したことがない人でも、集合研修ならできると思います。
事実、当社でも10名位卒業生にセミナーを依頼していた時期もありまして、どんなVMD初心者でも立派にセミナーをこなしていました。

アンケートをとっても「すごくわかりやすかった」「楽しかった」という声がにわかVMD先生でも多かったです。(笑)
このように集合研修は、売場塾卒業と同時にフリーランスの方がわりとスムーズに行える仕事です。

ぜひVMD研修の先生になりたい方は、売場塾の門をたたいてみてください。

2.慣れてきたらリバイス・インストラクター

さて、問題はリバイスです。
教えることは、にわかVMD講師でもできるんですが、リバイス売場をその場で改善することは慣れていないと難しいです。

リバイスとは、売場改善研修のことで、当社でもサービスとして行っています。

●リバイス・サービス

その場で店舗診断して即売場を直さなくてはいけないので、陳列や展示、什器レイアウトやゾーニング、VMD分類位の型位は頭に入っていないとなかなか直すことはできません。
リバイスの場合、VMDの型は最低30位いるんです。

雑貨やアパレル、食品などはディスプレイがモノをいうので、センスある人だったら売場を直せると思います。
しかし、家電や薬、自動車や不動産になるとなかなか売場を直せない人が多いです。

なぜならそれらの売場は、ディスプレイがキレイだからと言ってモノは売れないからです。
陳列や展示の他に、什器レイアウトやゾーニング、導線、POPなどの型を使わないと売上は上がらないからです。

なので、にわかVMDインストラクターは、雑貨や食品・アパレルの業種から入る方が多いです。
これらは家電や薬、自動車などと違って比較的簡単だからです。
ディスプレイを直すことによってクライアント受けしますし、ディスプレイは見違えるようになるからです。

このように、にわかVMD先生は最初はVP,PP,IPのディスプレイ中心のリバイスを行っていき、自身がついてきたら徐々にゾーニングやPOPも取り入れて行きましょう。
するといろいろな業種の売場をリバイスできるようになります。

事実、売場塾を卒業して10年目のベテランはあらゆる業種のVMDをリバイスしているケースが多いです。
特に販促やPOPをVMDメニューに入れている人は格段にクライアントソースを広げています。

3.店舗診断は無料から始める

今まで述べた研修、リバイスとも店舗診断が支えていると言っても過言ではありません。
クライアントは「ディスプレイをつくってくれ」「ディスプレイを教えてくれ」と言っているわけではないです。
「今ある売場をなんとかしたい」と思って研修やリバイスを頼んでいるんです。
もう一歩進んで訳すと、「売場の売上を上げたい」「小売店の棚をたくさん取りたい」「ブランドらしいたたずまいにしたい」などと言う理由がVMDの依頼の発端になっています。

もちろん、「美しいウインドウディスプレイをつくってほしい」というクライアントもいるでしょう。
でもそういう仕事はVMDインストラクターというよりも、デコレーターやクリエイターに頼んだ方がよいでしょう。
VMDインストラクターは売場づくりを教える資格だからです。

そういうことで、店舗診断ができるようになることは、VMDの仕事を根底から支えるベースを自らの中につくることができている、ということです。

にわかVMD先生は、研修やリバイスもよいが、店舗診断の数をこなしてめきめき上達していくことをおススメしています。

売場塾が教える店舗診断は、単なるチャート図や星取表で店舗を診断するのではなくて、想起法という手法を使って写真診断するのが特長です。
なぜ写真を使うというと、漏れがなく重なりがないように診断するからです。
健康診断で人間ドックにかかるように、店を店舗ドックにかけるということです。

ちなみに写真を使った店舗診断の利点は下記を読んでください
当社の店舗診断の特長が書かれています。

●店舗診断

にわかVMD先生は、店舗診断は無料で行うことをおススメします。
ホームページやブログで無料キャンペーンを謳うとよいです。
実際、VMDインストラクターノホームページを見ると、店舗診断をメニューにしている方が多いです。

どんなクライアントでもVMDを導入する前提として、うちの売場のどこが悪いか、知りたがっています。
これは中小の商店からよく知っているブランド、はては銀座に基幹店を置く高級ブランドまで悩んでいることなんです。

そんな悩みのあるクライアントに店舗診断をまずおススメして、VMDコンサルの足がかりをつくっていきましょう。

4.官公庁のサービスをうまく使って実力を磨く

多くのフリーランスの方が利用しているのが官公庁のサービス。
いわゆる専門家派遣というものです。

  • 中小企業振興公社
  • 商工会議所
  • 中小企業庁
  • 県・区・市の担当部署

など、全国いろいろな公的機関で専門家派遣を行っています。
これは地域のメーカーや小売店に官公庁がVMDの専門家を送り込むしくみで、官公庁に登録すれば、無料でクライアントを紹介してくれて官公庁から直接報酬をもらえます。

報酬は時給5,000円から1日50,000円位の幅ですが、セミナーや講演会の場合は10万円以上支給するところも多いです。
店に行っての店舗診断、リバイス、研修などの仕事が多いです。
メリットは、クライアントが気に入ったら継続して直接取引できるところ。

人気VMDインストラクターになると、クライアントと多数取引出来てとても忙しく、全国を回っている方もいます。
東京が地場だから関東近辺、名古屋が地場だから中京ということはなくて、人気のある方は北海道から沖縄まで飛び回っています。
この専門家派遣という事業、地元だから依頼するというのはあまり関係ないようです。

私も起業したての頃は中小企業振興公社にお世話になりました。
クライアントを紹介してくれたり、当社へのコンサルティングを5年くらい行ってくれました。

言葉は悪いですが、にわかVMD先生のトライアルにはもってこいのしくみで、うまくいかなくても報酬は官公庁から出るので、ロハになることは全くありません。
当協会にも「だれかいい人いない?」と官公庁から相談が来るくらいなのでVMDの専門家が足りていないはず。
ぜひ登録してみてください。

●例/ 中小企業119

このしくみを利用して成功しているのは、必死になってVMD業務を覚えるアグレッシブな方です。
そうやってレギュラーの仕事を増やしていき、手狭になったのでやがて会社を作るようになる人もいます。

先ほどいったように、VMDインストラクターも先週900名になりました。
フリーランスの方だけでなく、企業にお勤めの方にも無料で起業・副業相談会をやっていますので、どなた様もお気軽にお申込みください。
もちろん、売場塾卒業生の方でなくてもけっこうです。

●VMDインストラクター起業・副業相談会

諸外国に比べて起業者の少ない日本で、ぜひこのような新しい職業人として活躍する人を増やしていきたいと思ってやみません。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

演出POPでアートな売場をつくろう

このブログは、VMDインストラクター協会ブログ「月刊VMD 売場づくりの知恵広場」の続きです。
先達、「演出POPでブランド空間を演出する」を掲載しました。

●演出POPでブランド空間を演出する

演出POP、実際に私の家のリモートルームで掲示してみたので、それを参考にしてください。(^^)
でははじまり、はじまり~。

1.リニアスキームを活用して演出POPを掲示する

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画を、自店を家と見立てて、文字通りセンスよく額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、アート的にPOPを掲示します。

それには、リニアスキームのハウツーを使うとよいです。
リニアスキームとは、構造線を策定することです。
構造線を策定して演出POPを貼れば、たちまち壁面は美術館の壁に早変わりします。
以下にリニアスキームを使ったフレームの掲示方法を指南します。

※リニアスキームとは

2.横のグリッドを揃えて等間隔に掲示

上の図は、横のグリッドラインありなしを示しています。
もうわかりますよね。
上図の〇の方が気持ちいいですよね。

人は「陳序」が感じられる方が好きなんです。
誰でも×のように秩序のない部屋やお店嫌ですよね。

今度はフレームサイズの違うものの掲示の仕方です。
上を見てください。構造線を2通り策定しました。
フレームの底辺で揃えたものと、上下中央で揃えたものです。
各々のフレームは、サイズが違っていても等間隔にしてください。

実例です。
これはアラモアナのバーバリー。
演出POP、底辺のクリッドで揃っているのがわかります。

3.十字にグリッドを揃える方法

今度は少しアート的にフレーム配置をしてみましょう。
上の図を見てください。
十字の構造線になっています。

実際に線を入れてみましょう。上図がそうです。
十字に沿って額が掲示されいるのがわかります。

事例を見てみます。
上はグランフロント大阪の専門店。
こちらはシンメトリーで十字架の構造線になっています。

4.枠でグリッドを揃える方法

今度は枠のリスアスキーム。(上図)
左は四角く囲ったもの、右は楕円に囲ったものです。

構造線を入れると上図になります。

コツは枠の内側を意識してフレームをまとめるとよいです。
実際の店舗のフレームを見てみましょう。

上はイオン幕張新都心。
待ち合わせスペースの額です。
奥のフレームが円、手前が半円になっているのがわかります。

5.家の壁掛けに応用しよう

自分のリモートルームで実際に演出POPを掲示してみました。
テーマをハワイとし、私がハワイで撮り溜めした写真をレイアウトしてみました。
上がドア横のスペースです。
十字のグリッドラインにしています。

ハワイぽさを出すためにモンステラとアレカヤシをディスプレイしました。

こちらはデスクの上部分の壁。
こちらも十字のリニアスキームを使いました。

おかげさまで、クライアントとリモート会議するときにハワイ気分でゆったりと臨めます。
BGMにTスクエアの「楽園」をかけています。(^^)
仕事にストレス感じないっていいですね。

今回はアート的な演出POPの掲示方法でした。
ブランドVMD担当の皆さん、演出POPでぜひお店を美術館のようにしてくださいね。

なお、演出POPを含めたPOP6種類の使い方は、キンドル本「商空間ディスプレイ教本」を読むと詳しくわかります。
第7章に載っています。

●キンドルVMD本「商空間ディスプレイ教本」

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

サブテーマでディスプレイをわかりやすくする

1.サブテーマってなに?

今回はサブテーマの設定の仕方をお話しします。
VMDでよく出る用語として、下記があります。

  • テーマ
  • コンセプト
  • トーンアンドマナー
  • テイスト
  • ルック

これらはみんな混同しがちなので、まずは十分用語を理解してください。
用語忘れた方は、下記のサイトで復習しましょう~。

●コンセプト、テイスト、トーン&マナー

●テーマ

●ルック

さて、本題「サブテーマ」に戻ります。

サブテーマとは何かというと、テーマのサブのこと。
副題、補助テーマ、第2テーマ・第3テーマ・・・のことです。

テーマがあってサブテーマがあるってどういうこと?
と疑問に思うかもしれませんが、これディスプレイや小分類位の売場の商品決めに役に立つんです。

テーマって何のためにあるのか?考えてください。
ズバリ、商品を絞り込むためにあるんです。

上図を見てください。
これをサブテーマのファネルと言います。
ファネルとはじょうごのこと。何かをろ過するために使いますよね。
このじょうごで、テーマをろ過するんです

インテリアショップVMD担当のあなたが、ディスプレイをつくるとします。
テーマは「リビングの小物」です。
「できた~」と言って、あなたはこんな感じのディスプレイをつくります。

三角構成になっているし、バランスもいい。満足~。

でも待てよ。
これ、色も形もバラバラだからもう少し整理するしようかな。
そう思ってサブテーマを先ほどの図の様に設定しました。

  • サブテーマは「青」
  • サブサブテーマは「丸い部分があるもの」
  • サブサブサブテーマは「フチのあるもの」

そうして、サブテーマのファネルを通して商品を集め、下記のディスプレイをつくりました。

どうですか?
改めてサブテーマありなしを比べてみましょう。

明らかに右の方がまとまっていますよね。
サブテーマで、色や形、デザインを絞り込んだから、まとまってきたんです。

2.サブテーマがないディスプレイとは

上の写真は空港で見たディスプレイです。
テーマは、「ハワイ州推薦のお土産」。
上の方にポスターがあり、「このマークはハワイ州推薦のおみやげ品」とあります。

しかし英語が読めない日本人は、これなんだろう?としか思いません。
缶詰やら瓶やら袋やらが、たくさん集積されているからです。

※この写真は「顧客目線でパラダイムシフトしよう」でも紹介されています。

かろうじて、テーマは「ハワイのお土産」と分かっても、それ以上はわかりません。
かろうじてわかるのは、右側のバナナポテトチップス。
それ以外は、じっくりみないと、はちみつなのか珈琲なのかわかりにくいです。

そこで、ホノルル空港VMD担当であるあなたはサブテーマを設定します。

  • サブテーマ ・・・旅行者に人気の商品トップ20以内の商品
  • サブサブテーマ ・・・コミック本サイズ以上の大きなパッケージのお土産品
  • サブサブサブテーマ ・・・中身がきちんとわかるパッケージのお土産品

と絞り込み、さらに下記の様にフェイシングのレギュレーションを決めます

  • フェイスは3個以上並べる
  • 皿やカップに盛り付けられる中身は、盛り付け例も入れる
  • コントラスト配色になるように展示する

●コントラスト配色とは
※上記ページの中の項目「カラー商品展開」をご覧ください。

こうすると、写真の展示はかなりわかりやすくなると思います。
誰もが「ハワイのお土産だ~」と思うに違いありません。

3.サブテーマ設定事例

さて、実戦編です。上記写真を見てください。
あるお店のガラスケース内。

・MDテーマは「ガラス食器」

確かに~。
しかしこれで満足してはいけません。

VMDインストラクターにサブテーマをつけてリバイスしてもらいました。
下の写真を見てください。

  • MDテーマは「ガラス食器」
  • サブテーマは、上棚が飲み物用、下棚がおかず用

どうですか。
Beforeは、飲み物も小鉢も皿も一緒くたになっていましたが、サブテーマですっきりとしたディスプレイになりましたね。
フェイシングのレギュレーションは下記にしたので、さらにバランスがよいディスプレイになっています。

・ツインシンメトリーに置く

今度は、売場塾のワークショップ生徒作品例を見てみましょう。
テーブルディスプレイです。

  • テーマ「会社のビルで屋上バーベQ」
  • サブテーマ「アーバンマリン」
  • サブサブテーマ「ボーダーときれいめボトムス」
  • サブサブサブテーマ「コントラスト・コーデ」

テーマ、面白いですね。
サブテーマで色や柄もまとまっています。

ディスプレイのレギュレーションは下記です。

  • IPとPP
  • シンメトリー
  • コーディネート

こんな感じで、アパレルディスプレイにとても役立つサブテーマです。

4.家のディスプレイにも使えるサブテーマ

最後におまけです。
きのう、書斎の壁面にフレームを入れました。
写真はすべて私の撮ったもので、キヤノンのカメラで撮りました。

上の壁面フレームは下記がテーマ。

  • テーマ「ハワイ」
  • サブテーマ「ホテルライフ」

下の壁面フレームは下記がテーマ。

  • テーマ「ハワイ」
  • サブテーマ「自然」

どうですか。
壁に貼るフレームでも、テーマとサブテーマを設定すればまとまるのがわかったと思います。
お店でも家でもどこにつくっても、サブテーマはツカエルディスプレイテクなんです。

VMDインストラクターのみなさん~、
売場づくりやディスプレイ制作にぜひサブテーマ活用してくださいね。
サブテーマで商品を絞り込んで、見る人に何のテーマかわかりやすくしましょう。

ディスプレイテーマ設定に関しては、オンラインセミナー「センスアップセミナー」で詳しく教えています。
●センスアップセミナー「商品展示」

興味ある方は、ぜひご参加ください。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDコンサルのサービス内容

VMD研修の様子

1.VMDコンサルビジネスは3つからできている

今回はVMD専門会社、オーバルリンクのサービス内容を紹介します。

当社の宣伝というよりも、VMDインストラクターや他のVMDプロのお仕事の参考になると思います。
店舗トレーニングや臨店指導、起業したときのVMDビジネスの参考にしてください。

オーバルリンクのサービスはたったの4つ。

・売場塾
・店舗診断
・リバイス
・リモデル

リバイス(その場で売場改善するサービス)は店舗診断の延長みたいなものなので、実質下記の3つだと思います。
・売場塾
・店舗診断~リバイス
・リモデル

この3つだけで20年会社を運営しています。(^^)
では簡単にVMDビジネスの本質をお話ししていきましょう。

2.VMDコンサルティングは抽象的なオファーから始まる

ほとんどの小売店は、下記のような漠然とした悩みがあります。

「なんかうちのお店、おかしい」
「店舗スタッフのスキルなんとかしたい」
「お店づくりのコツが知りたい」

ほとんどのメーカーは、下記のような漠然とした悩みがあります。

「なんかうちの売場、おかしい」
「営業担当のスキルなんとかしたい」
「売場づくりのコツが知りたい」

なので、当社に来るクライアントオファーの70%は下記です。

「うちの売場、なんとかしたい」

そう、クライアントのVMDに対するオファーは漠然としているんです。

「VMD研修して」
「店舗デザインを変えて」
「美しいディスプレイつくって」

という具体的なオファーはあまりありません。
すなわち、悩み解決のひとつとしてVMDが役に立つのでは?
と思って当社にメールや電話をしているのです。

オーダーは実にあやふや。
そんなクラアイントに対して

「VMDセミナーやりましょう」
「店舗ディスプレイつくりましょう」
「改装しましょう」

みたいに単純に返すことはありません。
それらはあくまで単発サービスの羅列にすぎません。
会社のサービス内容を言っているだけです。

「売場づくりに悩んでいる」

でも、どこがダメでどのようにしたらいいのかわからないので、なんとかしたいと言ってきているんです。
医者を思い出してください。
患者は「なんか最近体がだるくて」と言っていねのに、いきなり風邪薬出さないですよね。

VMDも医者と同じように問診するんです。

3.お悩みを問診する

なので、「どうしました?」とクライアントの話をじっくり聞き、
悩みはどうやったら解決できるのか話し合います。

下記の様に問診していき、解決に導きます。

「なんかうちの売場、おかしい」 → 「どうおかしいのか」「どう改善したいのか」
「営業担当のスキルなんとかしたい」 → 「今のスキルの程度はどうなのか」「どのレベルに達したいのか」
「売場づくりのコツが知りたい」 → 「どういうコツが知りたいのか」「コツを知ってどうしたいか」

などなど、悩みを問診によってほぐしていきます。
とはいえ、クライアントから「どうおかしいのか」と聞いても「なんかおかしいです」と具体的な答えは返ってきません。
商品のこと、サービスのこと、店内販促のこと、いろいろ問診したあと、おおまかなことは掴めますが、核心は持てません。

一番いいのが、写真を20枚くらい見せてくれるとありがたいです。
なければ、レントゲン写真を撮ります。

4.売場のレントゲン写真を撮る

レントゲン写真とは、店内というカラダのレントゲン写真です。
つまり、店内の写真を撮るんです。
胃カメラも撮りますよ~。
棚の隅々まで撮るんです。

我々VMDプロは、売場の写真をレントゲンを見る医者さながらじっくり見ます。
すると、悪い個所が見つかり、それを直すにはどうすればよいのか、明確になっていきます。

レントゲンを撮らずに、売場を回ってここがおかしい、ここが悪いという指導はできますが、それだと漏れがたくさんあります。
売場は広いのでたまたま目に入らなかった部分が多いからです。
全体俯瞰だけでなく、棚の陳列、POPのデザインや文句、什器の位置や通路、照明など見るところはたくさんあるんです。
30坪の店舗に対しては平均200枚くらい写真を撮ることになります。
人間ドックならぬ、店舗ドックを行うと考えてください。

5.店舗診断は売場の人間ドック

どんなにキレイに見える売場でも50は直し箇所があります。
それを全体ソートして一覧表にしたのが店舗診断シートです。
それは健診表と処方箋で構成されています。
これがオーバルリンクの「店舗診断」です。

●店舗診断

単なるあらさがしと違うのは、ブランディングの要素が入っていること。
事前に問診でショップブランドや商品ブランドなどをお聞きするので、そのブランドの世界観や店舗コンセプトに店の状態が合致しているかも健診表に現れます。

なので処方箋は、この企業やブランドに沿ったものになるということです。
コンビニだったらセブンイレブンとローソンのショップブランドは違いますし、ドラッグストアだったらマツキヨとアインズ&トルペのショップブランドはかなり違います。
ドラッグストアだったらどこも同じというわけではないのです。

ブランディングを店に落とし込むってどういうこと?と思った方は下記のサイトを参考にしてください。
●自店の店舗デザインはどうあるべきか

6.リバイスは店舗診断の延長線

リバイスとは、短時間で売場を直すことを言います。
店舗診断で処方箋が出ますので、それに沿って行うのが順当ですが、品揃えをチェンジする時、拡張や縮小をする時にタイミングよく行うこともあります。
その時は、店舗診断しなくても最低店舗の写真をいただき、悪いところはすべて直すようにしています。

●リバイス

リバイスは完全リバイスと部分リバイスがあります。
完全リバイスはフロアのゾーニング変更から、部分リバイスは1コーナーのみ。
店の面積と人員によって2種類に分けられます。
詳しくは下記をご覧ください。

●完全リバイスと部分リバイス

店の売上を上げたい場合は部分リバイスをお勧めします。
長年VMDをやっていますが昨今ディスプレイを変えただけではなかなか売上は上がりません。
やはり、品揃えや体験販促、売場デザインも変えないと売上が上がらない例が多いです。
ディスプレイを変えると有利なのは、売場の見てくれがよくなることです。
詳しくは下記です。

  • 商品フェイスがわかりやすくなる
  • 商品が選びやすくなる
  • 陳列がキレイになる
  • 空間を取ることで商品がそれなりに映える
  • カラーが美しくなる
  • POPの配置が整理整頓される
  • 棚編成がデザインになる

などです。
ディスプレイを変えるだけでもよいのですが、肝心のフロアレイアウトや導線、打ち出し商品などは変えていないので、VMD効果は最大にはなっていないです。

部分的な直しにしろ、全体的な直しにしろ、とにかくよくなった店舗を実感したい、というクラアイントにはおススメです。
数時間から1日でできますので、手軽に頼めるサービスと言えます。

このリバイスのいいところは、店舗スタッフが売場改善の仕方を会得出来ること。これにつきます。
我々コンサルが去った数日後、店が元の悪い姿に戻っていることはありません。
店員さんがキープしてくれるからです。
私たちは、ディスプレイをつくりに行くのではなく、売場改善の仕方を店員さんや幹部に教えに行っているんです。
ディスプレイはほぼ店員さんにやっていただいています。
そこがディスプレイスタジオと大きく違う、VMDコンサルの本質なんです。

7.売場塾でリバイスの技術が習得できる

売場塾はVMDの学校で、VMDインストラクターの資格を認定しています。
このVMDインストラクターはVMDを学んで何ができようになるのか?
それはズバリ、リバイスなんです。

売場改善のインストラクターとして、臨店指導や研修ができるようになります。
そしてもちろん店舗診断も。

先ほどのクライアントの悩みを思い出してみてください。

「なんかうちの売場、おかしい」
「営業担当のスキルなんとかしたい」
「売場づくりのコツが知りたい」

これらを自分たちで解決できるのがVMDインストラクターということです。
具体的には下記を力点としています。

・店舗診断
・リバイス
・ガイドライン制作
・研修

単にディスプレイがうまい人を育てるわけではなく、売場解決を前提にしたカリキュラムになっています。
なので、メーカーの方はより自分たちの商品が売場で売れる、小売店の方は自社ブランドらしいたたずまいと品揃えがキープできます。

VMD基本講座は3日間、専門1日講座は4つあります。
リーダーや幹部の方はぜひ4つの指導講座も受講してほしいです。
基本3日間をベースにして5日間、7日間じっくり学習した方がより深く知識やスキルを得ることができます。

売場塾の特記すべきところは「55の売場づくりの型」を教えていること。
空手やヨガに型があるように、VMDの基本形55を3日間で学べ、専門講座でその応用が習得できること。
これが当社のメソッドなんです。

詳しくは売場塾の資料をお求めください。

●売場塾資料請求

なお、当社の法人研修はこの売場塾がベースになっています。
サービス名を「オーダーメイド売場塾」と言います。

●オーダーメイド売場塾

ちなみに、「個人的に安くディスプレイだけ教わりたい」という方は、オンラインセミナーの「センスアップセミナー」を受講するとよいです。
毎月テーマが変わっディスプレイ制作にもトライできます。

●センスアップセミナー

8.リモデルはモデル店をつくるためのサービス

リモデルだけはコンサルではなく、プランニングサービスとなっています。
上記までは、「ノウハウを教える」というコンサルサービスだったのですが、リモデルは実際に店舗や売場を設計するサービスです。
もともと当社は、改装の依頼を受ける際、設計事務所に外注していたのですが、自社ですべて賄うようになりました。

コンセプトからパースモデル、定数定量のデータシートづくり、フロアレイアウト、什器デザイン、ディスプレイ、POP制作までVMDをトータルにプランします。
11のプラン項目からなり、改装の場合は店舗診断から始めます。

●リモデル

施工会社や設計会社とどこが違うのか。
それは、VMDプランをつくることです。
平面図や立面図に落とし込むだけではないのです。

VMDプランとは、VMD分類、ゾーニング、定数・定量、什器デザインとレイアウト、POPデザインと設置、IP,PP,VPなど11項目あります。

このサービスのいいところは、11プランひとつひとつ丁寧にプレゼンしていくこと。
企画書も重なっていきます。

VMDマニュアル

企画書は50ページくらいになり、最後はそれが店づくりのマニュアルになるところが特色。
実験店をつくりながら、リモデルノウハウも重ねていける、一石二鳥のサービスと言えます。

そんなわけで、ただ改装だけならは、当社でなく施工会社に頼むといいと思います。
リモデルは、コンセプトから店を変える、売り方から店を変える、実験店企画設計サービスと考えてください。

9.実際は各サービスの組み合わせとなる

いままで、4つのサービスをお知らせしてきました。
この4つのサービスは、モジュール化されていて、バラしたり統合したりできるんです。
企業がVMDプロジェクトを推進して、VMD部を発足したり、VMDノウハウをわが社のものにしたいなど、単発の研修やリバイスではなく、総合コンサルする場合にはこの4つか3つのサービスを統合します。

4つのサービスはパッケージになっているので、クライアントの業種・業態・取扱商品・ブランドに合わせカスタマイズし、年間計画で進行していく。
プロジェクトが終わった後は、VMD部が完成、またはブランドガイドラインが完成していることが多いです。

このサービスを数年前「VMD導入プログラム」と名付けました。

●VMD導入プログラム

4つのサービスに関心ある方はぜひ資料請求してください。
下記のページに行くと、いろいろ無料で資料がゲットできます。

●資料請求

どなたさまもお待ちしております。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VP,PPは必ずしも必要ではない

1.VP,PPが必要でない店

以前、PPには明確な定義が必要と書きました。
●ディスプレイの定義をつくろう

しかし、それ以前にVP,PPが必ずしも必要ではない業態は多いです。
例えば下記です。

  • コンビニ
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • カー用品店
  • 家電量販店
  • ディスカウント店

これらは、店舗オペレーションが合理的・かつ低コストで運営できるように制約されている点と、生活必需品を販売しているところが特徴です。
VP,PPはそれなりにスキルのある人材が必要で、専用スペースも取ります。
そのため、人やスペースにコストを掛けられないコンビニは不向きです。
アパレルでも、ユニクロや無印良品でさえも、エキナカの小スペースで運営されている場合はVPまたはPPがないケースがあります。
その場合は、演出POP(いわゆるポスター)をPPの代替わりとして活用しているケースが多いです。

ただし、コンビニでもナチュラルローソンのような、「美しく健康で快適なライフスタイルを身近でサポートするお店」を標榜している店は、FC本部がPPを推奨しています。
ローソンでは、びんを置いただけのワイン売場なのに、ナチュラルローソンになると、ブドウのつるやテーブルクロスを利用したワイン食卓のPPをエンドに設けていたりします。

ドラッグストアでも、マツモトキヨシはIPのみですが、「女性が 1 時間楽しめるお店「Enjoy 1 hour with us」」を掲げるアインズアンドドルペのようなセレクトショップは、PPぽいディスプレイが多く見受けられます。

生活用品のお店でも、ライフスタイルショップ寄りの店は、店内演出としてPPが重宝されるのです。

2.VP,PP,IPというものはあいまいな用語

実を言うと、PP,IPは和製用語です。
海外のVMD関係者には無縁の用語といえます。
海外では、日本でいうVP,PP,IPをひっくるめてVPと言っています。
このVP、下記の意味で使っているのです。

●フロアやゾーン、MDグループのフォーカルポイント(注目点)になっているディスプレイのこと

日本では、VPとPPは商品の見本展示、IPは陳列と定義されています。
簡単に言うと、VPとPPはそのままレジに持って行くことはできない、
IPはレジに持って行ける商品、と考えてよいでしょう。

しかしながら、フロアのフォーカルポイントとなっているものは、展示・陳列が混合したカタマリとしてのディスプレイになっていることが多いです。
明確に、これはPPでこれはIPと区別できないケースが多いのです。

例えば、写真はホノルルクッキーカンパニーのクリスマスバージョンのフォーカルポイントです。
中央の赤くなっている売場がそうです。
テーブルと背後のラックがとても目立ちます。
テーブルのディスプレイは陳列状態ですが、ラックは展示ぽくなっています。
でも、テーブルもラックも、商品はそのまま掴んでレジに持って行けそうです。

確かにラックはPPぽいのですが、IPとも言えます。
これを、手前のテーブルはIPで後のラックはPP的なIPと言えば正論かもしれませんが、聴く人が混乱するだけです。
外国のように「赤い売場はVPだ」と片付けてしまうと効率がいいように思います。

3.VP,PP,IPで使いにくかったら、展示と陳列で区別する

私はドラッグストアの研修ではあえて、VP,PP,IPという用語を使わずに、展示・陳列の2語でディスプレイを使い分けるように教えています。
理由は二つあります。

1.店舗オペレーションの問題でわざわざVP,PPをつくるのが困難な店だから。
棚の空いたところに展示をつくる事が多い。

2.先ほどのホノルルクッキー売場のように、PPとIPの区別がしにくい。

このドラッグストアは、女性に好まれるオシャレな店舗にしたい、特定の商品を展示でクローズアップしたい、との希望があるので、陳列の少し空いたスペースに展示を入れる方法を教えています。
ほとんどの展示物がPOP付きで、化粧品の効果・効能を謳っています。

例えば、雪肌精やトワニーなど、店側にとってただパッケージを並べて売りたくない、商品の魅力を訴えたい。
そんな場合は棚に商品展示をPOP付で設置するようにしています。

デパ地下のガラスケースでスイーツを販売しているお菓子店はどうでしょう。
Gケース内に置いている商品はIPでしょうか、PPでしょうか。
これも判断むずかしいですよね。

ショートケーキのような生菓子はIPと言えます。
客が掴むことは出来ないけれど、店舗スタッフが掴んで客に差し出してくれます。
イチゴ、メロン、モンブラン・・・などといろいろなショートケーキから自分の好みを選択・購入できます。
だからIPと言えます。

ところが、焼き菓子が入っている箱入りアソートギフトのGケースは、見本展示です。
値段別に並んでいて、客は選択購入できるけれど、Gケースの中の展示品を包むわけではなく、背後のストック棚の商品を包みます。
すると、Gケース内商品群はIPでなくPPなのでしょうか。
たちまち、頭がこんがらがってしまいます。

このように、デパ地下のスイーツ店でVP,PP,IPを特定することは困難です。
しかし、あえてVP,PP,IPを使っても悪くはありません。
きちんと定義すればよいのです。

私の場合、ある店では、Gケースの中の生菓子および見本展示商品はすべてIP、お菓子の盛り付け例はPPと定義しています。
そしてカウンター背後の壁面ディスプレイをVPと定義しています。

このようにIP,PP,VPは業種・業態・取り扱い商品によって見方は違ってきます。
IP,PP,VPは実にあいまいなものなので、用語を使う場合は、VMDインストラクターがしっかり定義することをお勧めします。
展示と陳列、という2語で処理しても、もちろんよいです。

4.VMD用語は記号論で処理する

記号論という理論があります。
言葉は記号である、という考え方です。

日本では、蝶と蛾の区別はあるけれど、フランスにはありません。
フランスは蝶も蛾もpapillon(パピヨン)と言います。
日本では「うさぎ」というけれど、イギリスでは「ラビット」と「ヘアー」の2種類に区別されています。

参考)外国のVMD担当にVP,PPと言っても通じない

このように、用語は使い方次第でどうにでも変わります。
あなたのブランドや店で、スタッフが理解しやすいように定義するとよいでしょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

新年の言葉「時は流れない。それは積み重なる」

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

三が日、どう過ごしましてますか。

元旦は荒川沿いをジョギングしてきましたよ。
天気がよくて晴れ晴れ~とした感じでした。
元旦なので、野球やサッカーチームが試合していなくて、土手はすいていました。

さて、今年でオーバルリンクは創業21年を迎えます。
今日は私の好きな言葉を披露します。

Chapter1 「時は流れない。それは積み重なる」

これ、サントリー・クレストの、ショーンコネリーが出演したテレビCMのコピーです。
私がまだ平成初期、広告代理店にいたころのCMです。

●サントリー・クレストCM

このコピー、いいですね。
それまでは下記のコピーもスキでした。

As Time Goes By.

アズ・タイムゴーズ・バイという、映画「カサブランカ」の名シーンで流れるピアノ曲です。
邦題で「時は流れる」という意味です。

この曲はジャズの名曲にもなっていますが、サントリーのCMに出会うまでは時は、流れるものだと思っていました。
積み重なるという感覚は、この頃の私にはありませんでした。

で、もうひとつ。

Tomorrow Is Another Day.

これは私が好きな映画「風と共に去りぬ」のラストシーンで、スカーレット・オハラが言ったセリフの一部です。
和訳だと「明日は明日の風が吹く」というコピーです。

これは、時が積み重なるどころか、吹き飛んでいくという解釈です。
なんか、ひょうひょうとしていていいですね。
リラックスできます。

「GONE WITH THE WIND」自体も、風と共に文明は去っていくという意味で、「明日は明日の風が吹く」というコピーと変わらない気がします。
この言葉、小説の本文で1回だけ出て来た文節でした。

Chapter2 積み重なりは振り返りの連続

元旦のブログで、いきなり「振り返ろう」と言う話もなんだと思いました。
しかし、あえて言うと、積み重なりは振り返りの蓄積でもあります。

私のパソコンの中に「振り返り」というフォルダーがあります。
これは何かというと、会社をつくってから事あるごとに振り返っている、個々の仕事の反省文なんです。

フォルダーは5つに分かれています。

1.売場塾
2.セミナー
3.旅行
4.商空間スタイリスト
5.OJT,リバイス他

各々のフォルダーごとに個々の仕事の振り返のメモを積み重ねています。
さっき数えたら、825回振り返っていました。
この20年で825回振り返っていた!!
この事実は、「意外と少なかったな」という感想です。
もっと振り返ってもいいくらい。(^^)

Chapter3 「振り返っちゃだめだ。未来だけ見ろ」

これはウソだと思います。
過去を振り返ることによって、人間は反省する。これに尽きると思います。
そうして、「次回はもっといいものにしよう」と心新たになります。

だから、振り返りを積み重ねることによって、物事はカイゼンされていく。
もっといいものになっていく。

それは仕事だけではなくて、旅行や趣味、英会話、友達との付き合い方、なんでもいいと思います。

例えば先ほど紹介した私のフォルダーに「旅行」というものがあります。
ここ15年、ほとんどハワイか軽井沢にしか行っていない私にとって、2泊から10泊の旅行はかけがえのないものです。
「ハワイに行ってよかった」と言える毎回にしたいために、振り返りメモ2014年から書き始めました。

振り返りは、子供の頃、キライなもののひとつでした。
私の両親は厳しくて、友達とキャンプやサイクリングに行った後は、振り返りレポートを両親に提出しなければいけませんでした。
その時は仕方なくテキトウに書いていました。
美辞麗句を並べれば、両親は満足してくれるだろう、と。
しかし今は「まじめに書いておけばよかった」と反省しています。

Chapter4 ジャズのソロパート

ただただ流れに沿って生きる、のもひとつの路かもしれません。
ただ、やっぱり川のよどみに留まって振り返りをした方がいいと思います。

「立ち止まってはだめだ。前進あるのみ」

これは、大企業の社長でも、戦争中の国民でも言っている言葉ですが、一回立ち止まって振り返ってみるといいのでは?
すると、会社の落潮も戦争もなくなるかもしれません。

ジャズの演奏で「ソロパート」があります。
これは曲の間に、ソロのアドリブを入れることです。
ソニーロリンズの定番ともなっているソロパートは、とても長い。
とくにベースは音が小さいので、ベースのソロの時だけボリュームを大きくします。

ソロパートに売った時、ソロをしている以外の演奏者は振り返りをすることができます。
ソロ奏者の音を聞いて、次はどうする?といったような構えができます。
そしてトリオやカルテッド演奏に戻った時、もっといい調子になっていることも少なくないでしょう。

こんな感じでたまには、立ちどまって他人のしていることを外から眺めてみるのもいいと思います。
すると、自分はこうあるべき、とかこうすれば自分らしいかな、と振り返ることができます。

Chapter5 正月は振り返りにいい

正月三が日のただなかですが、休日があったらぼーっと振り返るのもよいですね。
そして思い立ったら何かに書いてみるといいかも。

書くことによって、記憶や考えが整理され、こんまりの整理整頓のように人生変わるかも。
私の人生日記も15巻になりましたよ。
35歳の時から書いています。
毎年9月の連休になると1日家に閉じこもって、あれやこれや私事と仕事のことを書いていました。
30代の時は書いたこと90%は実現していました。
それは転勤、CM作品、ドラマや音楽の番組、TOEICの点数、すべてです。
会社をつくってから怠るようになり、今は人生日記ならぬ会社の戦略・戦術日誌になっています。

ぜひ、今後のやりたいこと、なりたいこと書いてみてください。
そしてそれは「振り返り」が出発点になるのです。

それではよい年を。
新年の言葉でした。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)