MDPの基本、VP,PP,IP。
セミナーを聴いてわかったつもりでも、PPを間違って解釈している人多いです。
どんな間違いなのか、下記に列記してみます。
- ポスターやビルボードをPPと勘違いしている
- サンプルをPPと勘違いしている
- インテリアディスプレイをPPと勘違いしている
- タイト陳列をPPと勘違いしている
- AP(アーティクルプレゼンテーション)をPPと勘違いしている
- キャンペーン告知展示をPPと勘違いしている
などです。
ひとつひとつ解説していきます。
1.ポスターやビルボードをPPと勘違いしている
例えば、ユニクロ店内の壁面上部の大きなポスターをPPと思っている人多いです。
あれはただのPOPです。
PPは商品が展示していないといけません。
同じように、ドラッグストアの雪肌精のガッキーのポスターはPPじゃないです。
2.サンプルをPPと勘違いしている
洋菓子店のガラスケースに入っているお菓子のサンプル。
ちょこんとお菓子箱の上に載っているサンプルはPPじゃないんです。
お菓子は小包装のため、生身のお菓子が見えません。
そのため、サンプルというお菓子の模型を、箱の上に置いています。
これをPPと勘違いしている人多いです。
同様に、雑貨店で陳列のフェイスの前に置かれているサンプルもPPではありません。
3.インテリアディスプレイをPPと勘違いしている
インテリアディスプレイは、お店の装飾品です。
例えば、レストランに花や壷が壁の棚に飾られていますよね。
同じように、物販店でも棚の上に装飾品が飾られているケースがあります。
これをPPと勘違いする人多いです。
これは単なる飾りです。
PPは商品が伴わなくてはいけません。
このインテリアディスプレイ、実は曲者で、装飾品の中にちょこんと商品が入っている場合があります。
例えば、フルーツビール売場の什器最上段に、りんごやパインなどを盛り付けたボールがあり、その中にフルーツビールのびんが1本刺さっている場合。
これをPPというのでしょうか。
残念ながらこれはインテリアディスプレイです。
PPは商品自体が目だっていなくてはならず、最低、商品ラベルやデザインがお客様に認知されなくてはいけません。
この場合、ビールの瓶は商品ですがオブジェのような役割をしているので、PPじゃないんです。
このような、商品を少し混ぜただけのインテリアディスプレイはいたるところで見受けられます。
キッチン212の壁の上、R・1/Fのカウンターの背後など、商業施設で見かけることは多いです。
インテリアディスプレイは、ディスプレイをショップデザインの一環として配置しているため、MDP(マーチャンダイズプレゼンテーション)としてではなく、SD(ショップデザイン)の役割を担っています。
特に小さく細かい商品は、PPとして展示しても遠目からわかりにくいため、プロップスと混ぜて作るケースが多いです。
商品展示を確信犯的にPPとしてではなく、インテリアディスプレイとしてつくっているケースが多いことに留意しましょう。
4.タイト陳列をPPと勘違いしている
バッグや財布など、タイトに商品を寄せて陳列している売場は多いです。
これをPPと勘違いしている人多いです。
特にラックの最上段に置いてあるバッグをPPと勘違いしている人がいるんですが、これもIPなんですね。
PP的なIPといえましょう。
5.AP(アーティクルプレゼンテーション)をPPと勘違いしている
アーティクルプレゼンテーションとは、商品と展示台とPOPが一体化されたディスプレイのことで、デジカメ売場や化粧品売場などたくさんあります。
デジカメは、展示台にモックや実機が置かれていて、そこにPOPがあって商品を詳しく説明しています。
化粧品は、メイベリン売場のように、リップをたくさん展示台に指して、その下にPOPを置いて商品を説明し、その上にモデルのポスターを置いてブランドイメージを醸し出しています。
これらはPPではありません。IPです。
化粧品や家電のような、商品説明が必要な難しい商品は、AP方式で陳列されているんです。
靴でも説明が必要な機能靴なら、AP方式で置かれています。
展示の様に見えますが、IPと心得ましょう。
6.キャンペーン告知展示をPPと勘違いしている
試供品やノベルティを伴うキャンペーン告知は、棚の上で行われることが多いです。
例えば、2,000円以上買えばトートーバッグがもらえるとか、キーホルダーがおまけでついているとか、そんなキャンペーンがあるとします。
その告知は、POPとノベルティと装飾品とで、棚の上に大きく作られています。
これらはPPではありません。
ただのノベルティ告知ディスプレイです。
・・・と、ここまで書いてきましたが、短時間のVMDセミナーでPPというものは、さらっとわかっても、深く会得するというのは難しいです。
物事は、自分で見て知って体験して、深く知るようになるもの。
社内社外でいろんなケーススタディを知って知見を蓄積していけば、半年経ってPPとはどんなものか本当に理解できるでしょう。
最近はこんなことをしています。
セミナー会場近くに専門店があったら、生徒と見に行きます。
実際に売場に行ってあれがPPだ、これはIPだと、現場で教えています。
MUJIやアフタヌーンティーなどのチェーン店は、PPがわかりやすいので見学に利用するといいです。
その後、ユニクロに行き、あれはPPでなくてただのポスター、プラザに行き、あれはPPでなくてただのPOP・・・と説明していきます。
すると、生徒はだんだんわかってきます。
私が使うスライドやイラストは、IPやPPのわかりやすい売場が多いので、それで生徒はわかったつもりになっていますが、いざ商業施設に行ってみるとPPか何かわからないディスプレイは無数にあります。
だから、実際にみんなで売場見学に行って、ディスプレイがどうなっているのか、論じるのもいいです。
「百聞は一見に如かず」というわけです。
正しいVMD用語を知ることは、VMDを正しく他の方に伝えるのに役立ちます。
間違っていると、間違ったまま伝わります。
VMD用語、きちっと理解して人に伝えましょう。