売場づくりにツカエル!「閉合」の法則

「閉合」という言葉をご存じでしょうか。
群化の法則7のうちの一つの法則です。
●群化の7つの法則

閉合とは、上図のように何かを閉じるということです。
インターネットで検索すると、グラフィックの事例が多く出てきます。
ホームページのボタンをデザインするときや、文章をまとめる際に役に立つ法則です。

しかし、この閉合、売場づくりにツカエルこと多大です。
下記の様に使うことができます。

  1. 特設コーナーを作るときに使える
  2. ブランドのインショップを作るときに使える
  3. 待合スペースを作るときに使える
  4. 商品展示の整理に使える
  5. フォーカルポイントを作るときに使える

ひとつひとつお話ししていきます。

1.特設コーナーを作るときに使える

母の日コーナーやバレンタインコーナーを小売店が作るとします。
しかし、ただ単純にお菓子の什器の上に「バレンタインコーナー」とPOPを掲げるだけでは、閉じたコーナーになりません。
什器をコーナーにしなければいけないのです。
まずはL字型の什器配置にしましょう。
いわゆる入隅(いりすみ)という什器配置です。
そうすることによって、2方向からお客様が来るので、角でぶつかり客だまりができやすくなります。

上図のようにコーナーは閉じています。
これが本当のコーナー(かど)です。
さらに、コーナーの前にテーブルを置きます。
すると、コーナーはエアポケットのようにますます閉じてきます。

これに通り化を加えましょう。(上図)
奥に向かって浅草の境内通りのように、左右に什器が並んで閉じていますよね。

このように、什器配置を閉合することによって、特設コーナーを際立たせることができるんです。

2.ブランドのインショップを作るときに使える

ブランドの店内店は、ABCマートなどでよく見ると思います。
ナイキの売場、アディダスの売場はショップインショップになっています。

メーカーは、小売店のフロア内のショップインショップをつくるときに、デザインエレメンツで売場を閉じればよいのです。
サインやPOP等のデザインを統一し、それらで売場を囲えば閉合になります。

上図を見てください。

「ビタミンワッキー」のキャラクターラインを柱や什器にデザインします。

すると、柱周りの売場は「ビタミンワッキー」の店内店になりました。

3.待合スペースを作るときに使える

クリニックやコンタクトレンズの待合い、カーディーラーやヘアサロンの待合いスペースは、オープンよりもクローズした方が人目にはばかることなく、落ち着きます。

そこで、

  • 観葉植物で閉合する
  • 置物ラックで閉合する
  • ついたてで閉合する

などした方が、閉合された空間となり、他と区別ができます。

4.商品展示の整理に使える

商品陳列を棚で閉合すると、商品のVMD分類がわかりやすくなります。

下の写真を見るとわかります。
木のボックスで壁面売場をつくっています。
商品が区画整理されているので選びやすいです。

また、商品ディスプレイを閉合することによって、商品分類を明確にできます。
下の写真を見てください。

丸いランチョンマットでディスプレイが閉合されているので、とてもメリハリがついています。
特にテーブルの上の商品展示を整理するのにおススメです。

5.フォーカルポイントを作るときに使える

自動販売機で「ぜひこの商品に目を留めてほしい」という依頼があった場合、あなたはどうしますか。

下の写真のように閉合してしまえばよいです。
「ほっとあたたかーい」という帯POPで、温かいドリンクが閉合されています。
遠くから自販機を見たときに、このくくりがとても目立つフォーカルポイントになります。

フォーカルポイントとは、客の目をある一点に引き付けることを言います。
●フォーカルポイントとは

まとめ

閉合の使い方、だいたいわかりましたでしょうか。
群化の法則って便利ですね。

今後も追及していきたいと思っています。

なお、群化の法則セミナーは、年に2回センスアップセミナーで行っています。
タイミングありましたら、ぜひお越しください。
●センスアップセミナー 群化の法則

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

よいディスプレイ構図の見分け方

今回はディスプレイの構図についてお話しします。
まず写真から行きますね。
上の二つの写真について、どちらの構図が優れていると思いますか。
最初の写真をA、2枚目の写真をBとします。

答えは~、Aです。

なぜAの構図がいいのか、それは下記の要素が関係しています。

  • 等分割パターン
  • 構造線
  • リーディングライン
  • ストッパー

各要素を詳しく解説します。

等分割パターンとは

等分割パターンとは、写真や絵を等分割に区切って、その間に人物や静物、背景などのエレメンツを配置していく手法です。
等分割になっていると、人は安心します。
誰でもバームクーヘン切るとき、当分使に切りますよね?
それはバランスがよく安定しているからなんです。

同じように、ディスプレイや絵や写真も、構成要因が等分割になっていると、バランスは安定するので、見る人は気持ちよく鑑賞できるんです

例えば、このゴジラのディスプレイ、安定して見えるのは等分割になっているからなんです。
線を入れてみます。

下記を見てください。正確に言うと、縦6分割・横3分割になっているディスプレイでした。
テーマは「ゴジラ砲撃開始」。

さて、先ほどの写真に等分割線を入れてみます。
下の写真2枚を比べてください。どちらも縦4分割・横5分割です。

上の1枚目Aの写真を解説します。
カレンダーが縦2/3、そして上半分にほぼ収まっています。
手帳は中央の縦3枠、そして下半分に収まっています。
グラスはちょうど縦1/5に収まっていますね。つまりバランスがいいということです。

2枚目のBはどうでしょうか。
カレンダーは、縦4枠・横4/3の中に納まっています。手帳は全体が見えませんが、縦4枠・横1/4に収まっているのがわかります。
グラスはAと同じく縦1/5に収まっています。
つまりこちらもバランスがいいです。

A,Bとも等分割に関してはイーブンでした。

構造線とは

今度は構造線について解説します。構造線とは、ディスプレイのエレメンツ(構成物)に線を感じることです。
線がほどよく配分されていると、そのディスプレイはバランスよく安定して見えます。
構造線を配分することをリニアスキームといって、ディスプレイ構成のテクニックひとつです。

リニアスキーム、忘れた方はこちらをご覧ください。
●リニアスキームとは

さて、Aに構造線を書き込んでみました。線が赤いグラスに向かっていくのがわかりますか。
カレンダーの有色のラインが斜め下に落ちていくのがわかります。
手帳の上部分とカレンダーの裾の線もグラスに注がれています。
そしてペンもグラスに向かっていますよね。

この写真は構造線のバランス、とてもいいです。

今度はB。
構造線はAと同じようなラインを保っているのがわかります。
つまり、これも赤いグラスが帰結点になっています。

構造線に関しても二つともよくて、今度も引き分けです。

リーディングラインについて

今度はリーディングライン(視線をリードする線)で比較します。
こちらも忘れた方は下記をご覧ください。
リーディングライン

実はAの写真の中には、グラスよりも大きなフォーカルポイントがあります。
それは、カレンダーです。背景が暗いのに、カレンダーは日光を浴びて明るく、コントラストがついています。
しかも、2という数字が大きく目立ちます。
だから人の目は、最初にこの2の部分を含めたカレンダーに行くんです。

そして、リーディングラインが注がれていく赤いグラスに視線は移動します。
すると、今度はグラスの下からニョキッと突き出ているペンに気づきます。
人の視線は思わず、斜め左下に動きます。

さて、この後、視線はどこに行くのか?
手帳のふちが上に跳ね上がっていますよね。
だから、人の目も上に跳ね上がって行きます。

そしてどこに行くかというと、観葉植物の葉っぱに行くんです。
そしてその葉はカレンダーを向いています。
ここで人の目はディスプレイを一周したことになります。

お客様がこれだけディスプレイを見てくれたら、ディスプレイ制作者はうれしいですよね。

写真Aはとてもよいリーディングラインを持っています。
人の目を、時間をかけてディスプレイをなめるように誘導するからです。

今度はBを見てみましょう。
Aと同じように、カレンダー→グラス→ペン・・・と視線はリードされているんですが、ストッパーがないために写真の外に視線は逃げてしまいます

つまり、ディスプレイを見る時間がAよりも短くなってしまうんです。
観葉植物も陰になっていて目立たないですよね。

つまり、リーディングラインに関して言うと、BよりもAの方が優れていたんです。
結果、Aの方に軍配が上がるのでした。

まとめ

今日は、構図についてお話ししました。
このような構図の配置は、ショーウインドウでディスプレイを制作する際に非常に役に立ちます。
構図をうまく作れば、お客様の視線を長い間くぎ付けできるからです。

この続きは、「センスアップセミナー ディスプレイ構成4」で詳しく語ります。興味ある方は、ぜひお越しください。オンライン開催です。(^^)

●センスアップセミナー ディスプレイ構成4

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)