どんな部署がVMDを必要としているか

日本のVMD担当たちは組織のどこの部署にいるのか?
それについて今回は語ります。
ズバリ、下記の部署にいます。

  • 販促関係の部署
  • 販売関係の部署
  • 教育関係の部署
  • 商品関係の部署
  • 経営関係の部署
  • 店舗関係の部署
  • 人材関係の部署

もちろん、VMD専門部署もありますがアパレル以外はいたって少なく、上記部署の方が兼任しているのが現状です。

この中では販促関係の部署の割合が多く、売場塾に来校される流通企業の34%が所属しています。
さて、では部署別にどんな風にVMDが必要とされているのか見てみましょう。
部ではなくて、課としてとらえてもけっこうです。

●販促関係の部署
主に下記の部署が販促関係になります。

  • 販売促進部
  • 営業企画部
  • 営業管理部
  • 広告部
  • 広報部
  • 業務推進部
  • SP部
  • プロモーション部

この部署は、マス広告と店頭販促の企画・実施をしています。
小売店は時期や対象に合わせて品揃えを考え、品揃えに合わせた販促企画を毎週・毎月打ち出します。
それに合わせてテレビ・新聞・チラシ・Netのようなマス広告と、店頭のプロモーションを企画・実施します。

店頭のプロモーションはマスと連動するか、店独自で行われ、売場づくりもその一つとなります。
什器製作やPOPやビジョンなどの販促物を売場に設置して来店客を惹き付けます。
そこにVMDが使われているのです。
VMD作業のうち、什器デザイン・什器レイアウト、IP・PP・VP、POP制作・編集、ディスプレイ・プロップツール作成、顧客の体験シナリオ制作と実施などが活用されます。

メーカーの場合は、商品をつくり小売店に供給する側ですので、商品のマス広告投下と、それに連動した売場回りの販促企画をつくり、人や販促物を店に供給し売場づくりをし、時には自ら販売します。
VMD作業は小売店と変わりませんが、小売店への提案作業が加わります。

●販売関係の部署
主に下記の部署が販売関係になります。

  • 販売部
  • 営業部
  • リテール部
  • 店舗運営部
  • 店舗セールス部

この部署は小売店だったら店長や販売スタッフ、メーカーだったら営業スタッフが属します。
小売店の販売スタッフは自ら売場づくりをしなければいけません。
店舗自体は別部署が作ってくれるのですが、販売スタッフは店の中身の運営です。
毎日・毎週・毎月、売場の品揃えを変え、陳列・展示をつくってお客様に商品を販売しなければいけません。
特にVMD作業のうち、IP、PPと呼ばれるディスプレイスキルが求められます。
商品分類の知識も必要で、変化する品揃えに沿った什器レイアウトと壁面・島・テーブルなどの棚割りを考えなくてはいけません。
またPOP編集と言って、本社から供給される販促ツール、POPやリーフレットなども的確に配置しなければいけません。

●教育関係の部署
社員・スタッフの教育関係をしている専門部署です。
下記の2種類があります。

  • 小売チェーン店の教育部
  • メーカー、卸の教育部

大手スーパーやドラッグストア、百貨店などは、教育部署があり研修所も持っています。
と言ってもバックヤードやレジ回りの研修が主で、例えばスーパーでは魚のさばき方や盛り付け、レジやフロアでの接客と清算の流れが主な研修課目になっています。

一方、メーカーの教育部は、化粧品だったら美容部員の、下着メーカーだったら販売員の接客研修、商品・サービススキル研修が主になっています。
これらの商品はマンツーマンのコンサルティング販売がメインなので、そのような研修が必要です。
ただ近年、VMD研修をし始めている企業も多く、化粧品や下着の売場づくりに力を入れています。
主にディスプレイの研修が多いです。

●商品関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

小売においては
・商品部
・MD部

製造直販においては
・商品部
・MD部
・プロダクツ部
・商品開発部

メーカーにおいては
・商品部
・プロダクツ部
・商品開発部

小売の商品部は、バイヤーが商品構成を考えて仕入れます。
仕入れた商品をただポーンと小売店に送るだけではなくその後の展開分類を考えなくてはいけません。
商品は1つだけでは目だたなく、陳列が群れになった売場として初めて目立ちます。
これを展開分類といい、MDテーマを駆使して売場の塊に昇華しなければいけないのです。

メーカーの商品部はモノ自体を企画して作るのが仕事です。
ですが、その商品を小売店に置いてもらわなくてはいけません。
どんな売場にするか提案力が必要で、それがよくなければ小売店からいい売場をもらえないのです。
商品を棚に置くだけになってしまいます。
メーカーの商品部がVMDに長けていれば、売場のネーミング、什器デザイン・POP・ディスプレイツールによる空間の商品プランディングが提案できます。

製造直販においては、モノを作り売場に展開するという両刀使いですので、先ほど言った小売店とメーカーの商品部の二つの役割がVMD担当に求められます。

●経営関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

・ブランド管理部
ブランディングを考える部署です。CIやVIを管理しています。
・経営企画部
会社の方向性を決める戦略を練る部署です。
・マーケティング部
昔は調査部だったものの今では経営の中枢にかかわる部署です。
4P、つまり商品・価格・販売チャネル・販促全般の企画づくりを行っています。

経営企画部は、ブランドを統括する部署ですので、コンセプトメイキング、ターゲッティング、ポジショニングといったマーケ全般を司ります。
VMDとしては、ショップコンセプト、顧客ターゲット、競合対策など基本戦略を考え、ショップデザイン、体験、ディスプレイ、品ぞろえなどの方向性を決める部署と言えます。

●店舗関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

  • 店舗デザイン部
  • 店舗開発部
  • 店舗部
  • 店舗総括部
  • 店舗事業部
  • 店舗設計部

ここの仕事はショップの統廃合、新しい業態開発、新店の新装、既存店の改装などです。
店舗デザイナーや設計士を有していることも多いです。
ここは店舗コンセプトに基づく店舗デザインを行う部署です。
床・壁・天井・什器・照明という大道具をデザインする以外にも、VMD要素である導線設計、ゾーニング、什器レイアウト、マグネット売場の設置、ディスプレイツールの開発、分類サインの企画と設置なども仕事です。

●人材関係の部署
主に下記の部署が人材関係になります。

  • 人事部
  • 人材開発部
  • 総務部
  • ヒューマンリプレースメント部
  • ヒューマンリソース部
  • マンパワー部
  • ヒューマンソリューション部

人材部は、社員募集、社員配置・転換、信賞必罰、適正報酬などを決める部署です。
VMD部・課・チームをつくるにはこの部が責任部署になります。
社内資格制度や進級テストをつくったり、外部のスペシャリストを入社させて既存社員に新しいノウハウやスキルを与えるという役割もあります。
そのため、VMDアドバイザー、VMDコーディネーターという社内資格をつくり、部により必須にしたりしています。
またVMDインストラクターのような外部資格も利用しています。

●VMDインストラクターとは

だいたいわかりましたでしょうか。
VMDはどの部署に有効かということが。

当社はVMD担当を育成し、社内にVMDを根付かせるためのサービスをしています。
詳しくは下記をご覧ください。

●VMD導入プログラム

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

トーンアンドマナーのフィルターで売場デザインを決めよう

あるとき、店内のPOPのデザインを見直す機会があったとします。
POPのデザインがバラパラだからです。

そこでVMDインストラクターであるあなたは、腕の立つデザイナーにPOPを発注するとします。
どのようにしたらよいでしょうか。
下記からひとつ選んでください。

  1. なるべく優秀なデザイナーにデザインを丸投げする
  2. トーンアンドマナーをしっかりデザイナーに提示し監修する
  3. いつもの施工会社に頼んで店舗デザインに沿ったPOPを作成してもらう

答えは2。

そう、トーンアンドマナーをデザイナーに提示して監修するんです。
下記の図を見てください。

●トーンアンドマナーのフィルター

まず、デザインテイストについて説明します。

お客様は買い物をして出るまで店内で短時間を過ごします。
店内で目にするものはPOPだけでなく、商品だったり什器だったり壁紙だったりします。
スタッフも目にしますし、定数定量の佇まいを決めている空間も目にします。
この時、テイストというお客様の感じ方があり、「自然でナチュラル」「クールでモダン」「元気でにぎやか」「フレッシュでみずみずしい」などお店によっていろいろな感じをお客様は受けます。
これを司っているのがデザインテイストであり、デザインテイストはお客様の目に見えるすべてのものが発している感じや気持ちです。
その「感じ」をお客様は五感でハッシ!と受け止めるわけです。

チェーン店VMDは、どこのお店にお客様が行っても同じテイストを感じるように、空間をコントロールしています。
それが空間ブランディングというもので、同じ店なのに一方は都会的で一方は田舎っぽいなんてヘンですよね。
無印良品やユニクロはどこに行っても感じ方は一緒だと感じているはずです。

VMDインストラクターはブランド空間の監修役なので、チェーン店全体のデザインテイストを統一して保つ役目を担っています。

チェーン店においては、POPはPOPデザイナー、商品はプロダクツデザイナー、床・壁・天井は店舗デザイナーなどと役割分担がされています。
ところがデザインにルールがなくて、各デザイナーが好きなようにそれぞれ作ってしまったら、店内はいろいろなデザインでごった煮になります。
そうなると、お客様にとってどの店に行ってもテイストが違うため、店のブランド感はなくなり、よろず屋で買い物している感覚になります。

そうならないために、VMDインストラクターはデザイナーにきちんとオリエンします。
デザインテイストを設定し、トーンアンドマナーを決めます。

「屋根裏部屋のような秘密基地」とか「離島の人のいない自然観」とか「重厚で伝統的だがモダン」のような表現と模写でストーリーボードをつくり、デザインテイストをデザイナーに提示できるようにするなどします。
その上で、下記をチェックします。

「離島の人のいない自然観」の場合では、

  • 「離島の人のいない自然観」テイストが什器デザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがPOPデザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストが定数・定量に表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがディスプレイに表れているかどうか。

POPひとつとっても、「離島の人のいない自然観」テイストの下、書体はどうあるべきか、レイアウトはどうあるべきか、POP用具はどんなものがよいのか、考える必要があります。
POPデザイナーにデザイン発注しできたデザインを校正する場合は、デザインがトーンアンドマナーに沿っているかチェックします。

施工会社の設計士と改装について打ち合わせするときは、壁紙の柄、照明の明るさ、什器のデザイン、床のパターンがトーンアンドマナーに即しているのか監修しなければいけません。

これを「トーンアンドマナーのフィルターを通してデザインを見る」といい、店内デザイン物を精査する際、このフィルターを通します。

例えば、下記の茶店は「重快感~伝統の重さと現代的な快感」というデザインテイスを決め、そのフィルターを通して店内空間を監修しました。
●お茶店VMD

ここまで書くと、VMD担当はデザインセンスを身につけ、設計図面を読めたり、コピーを書けたり、色のコーディネート術を身に着けたりと、デザインについての知識やスキルは磨いた方がよいことがわかると思います。
でないとデザイナーや設計者と会話できないどころか、デザイン丸投げになってしまうからです。

「トーンアンドマナーは何か」について分かったと思います。
ところでトーンアンドマナーはショップコンセプトがないと決めることができません。
すべてのトーンアンドマナーは、ショップコンセプトオリエンテッドです。
つまり、「どんなお店にするか」明確化するコンセプトが決まらないと、デザインテイストも決まらず、トーンアンドマナーもつくることができません。

もしあなたの店舗にコンセプトがなかったら、まずはとりあえずでいいのでコンセプトを決めましょう。
でないと、「私はモダンなデザインが好きだから、こんな什器にする」みたいにVMD個人の好みで決めることになりかねません。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

マッシュアップでVMDハウツーを組み立てよう

VMDインストラクターの皆さん、マッシュアップでVMDのハウツーをつくりましょう。
今日はそのやり方をお教えします。

マッシュアップとは、二つのものをミックスして新しいものにするという意味です。
音楽やビジネス用語として使われています。

VMDインストラクターの方は、日々リバイスに励んで新しい売り場づくりの法則をつくり、それをガイドラインやマニュアルに落とし込んでいると思います。

VMDのハウツーとは、VMDのベーシックな理論をベースにした自社独自の売場づくりのルールと言えます。
ハウツーは、単にVMDの本を丸写しにしただけでは、実践的なものにはなりません。
単なるコピペと同じで、オリジナリティがありません。
したがって、そんなガイドラインやマニュアルを読んでも、具体的にどうしたらいいのか現場スタッフは途方に暮れるでしょう。

では自社のハウツーを確立してツカエるVMDマニュアルをつくるにはどうすればいいのか。
それは日々の報告書をマッシュアップすればいいのです。

皆さんはリバイスをした後、報告書を書いていると思います。
写真や言葉で、本日はこんなリバイスをしました・・・という社内報告書を書いてますよね。

実はこの報告書、賢い使い方があって、ずっと机の中にしまい込まないで、3か月~半年ごとに見直すといいです。

写真や文字を読んでいき、大事なところをマーキングしてみてください。
「これは参考になるな」とか「これは売場づくりのヒントになりそうだ」「これは現場に必だな」という感触でよいです。
その部分をマーキングします。

マーキングしたら、その文章や写真をワードでもエクセルでもいいからコピペします。
3か月で30枚の報告書が上がっているとしたら、マーキングした文章は30くらいは上がると思います。
ここまでマークすると報告書は、実はVMDの参考書になることがわかります。

さて、ここからがマッシュアップです。
マーキングした文章で、似たような内容の文章をくくってください。
例えば、ゾーニングに関すること、色に関すること、フェイシングに関すること・・・などなど、売場塾のフレームワーク用語をベースにしてもよいので、似たような内容を集合させます。
エクセルでチャチャッとソートしてもいいでしょう。

中には、新発見もあります。
「テレビCMしているブランドイメージと店頭のイメージが合わない場合の対処法」とか、「店内で個々のお客様のプライバシーを守るための椅子の配置の仕方」など、既知のVMD理論では計り知れないハウツーも出現します。

ソートされた内容は、報告書の中でいったん解決しているか、未解決、または中途半端な解決になっているものなど結果はさまざま。
解決した場合は、どうやって解決したのか、自分なりに文章を書いてみます。
解決していない場合は、どうすれば解決できるのか、文章を書いてみます。
下記のような書き方の流れが理想的です。

●問題点 → ●解決するための考え方 →●実施の仕方 →●(予想できる)結果
つまり、文章の流れはPLAN DO SEEと考えてください。

論文を書くように気張ることはないです。
最初はメモ書きでOK。

次に日を置いて、今度はそのメモ書きをきちんとした文章に組み立てます。
誰が見ても納得するような理屈にするように組み立ててみてください。

そして最後にきちんと理論化できたら、自社だけのオリジナル・ハウツーができあがりです。

このハウツーをVMD課目あるいは細則として、自社のガイドラインやマニュアルに載せればよいのです。

報告書のマッシュアップは、3か月に一度、半年に一度くらいのペースで続けていくと、1年経てば貴社オリジナルのツカエルVMDガイドラインが出来上がります。

このマッシュアップ、手段としてSNSツールを使うことをおススメします。
下記のようにしてみてください。

●社内SNSで、つぶやいてみる
LINEやツイッターの社内版を活用して、自社のVMDハウツーについてつぶやいてみてください。
「むずかしい商品は箱から取り出して商品見本をつくった方がいいな」
「季節が到来したら、その季節を感じる色を優先的にマネキンに着せ付けたほうがいいな」
「フェアなどのPOPは同一デザインで3回以上、等間隔・同一の高さに揃えたほうが効果的だな」
などなど。
つぶやきはVMDチーム同士で行うとよいです。

●社内ブログに書いてみる
つぶやきがたくさん集まると、ヒントがちりばめられますので、それを元に社内ブログに上記の例をタイトルし、理論化してみます。
例えば、「むずかしい商品は箱から取り出して商品見本をつくった方がいいな」でしたら、下記のように文章をまとめてみます。
●箱出しフェイシング

●マニュアルに掲載する
VMDチームメイト同士でこうした荒いハウツーを確認し、よくできた理論と認定したら、それをマニュアルの文体に書き直して、マニュアまたはガイドラインに掲載します。
マニュアルのひとつの課題、または細則にするのです。

このようにすれば、いつでもマニュアルは更新でき、実戦的で使いやすいハウツーが蓄積していくわけです。

マッシュアップのしくみ、だいたいわかりましたでしょうか。
ソフトバンクさんやセガトイズさんなど、多くの企業では、社内SNSを使用した商品開発やマーケティングが当たり前になっています。
ビジュアル・マーチャンダイジングで、これらを使わない手はないでしょう。

私はVMDの学校「売場塾」のテキストを常に更新しているんですが、マッシュアップを活用してつくっています。
日々のクライアント活動から実際に成功した売場づくりをハウツーに転換して、誰でもツカエルVMD理論に組み立てているんです。
だから、売場塾のテキストは説得力あるんですよ。(^^)

VMDインストラクターの皆さん、報告書のマッシュアップでぜひ独自のVMD理論を組み立ててくださいね。
VMD本をコピペするだけでは、役に立つガイドラインはできないです。

ちなみに報告書からマッシュアップしてガイドラインに落とし込む方法は、売場塾のVMD教育指導講座で詳しくお教えしています。
●VMD教育指導講座

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

店舗視察のコツ~お菓子店事例

今日は店舗視察の仕方をお話ししましょう。
ハワイのスイーツ・チェーン店、ホノルルクッキーカンパニーを事例にしました。
まずは、下記のように見るポイントを決めておきます。
だいたいこんなものが得られるのではないか、という予測をします。

  • オーケストレーション
  • キャッピング
  • シンメトリー
  • VMD分類
  • 什器レイアウト

上記のフレームワークを念頭に入れて、各店舗のVMDガイドラインを探求します。
同社がどのような規則でチェーン店のVMDを規制しているのか研究してみるわけです。
だから少なくとも3店舗以上は見学しなければいけません。

店舗視察した店は、ホノルル空港店、ビーチウオーク店、ロイヤルハワイアン店の3つ。
気付いた順に、VMDの違いと統一点を語っていきます。

まずはフロアレイアウト。フロアの取り方は、すべて開口部の幅1に対して奥行きは2の長方形。
3店ともカウンターは突き当り奥にあり、VPは入口にありました。
左右の壁面に売場を設け、フロアの中心にテーブルを置き、その周りを歩く「アイランド回遊型」になっていました。

壁面は、ベストセラー商品と季節ギフト商品売場に大別されていました。
見学した季節はクリスマスだったので、季節ギフト売場は赤いパッケージが目立ちました。
対面の壁はベストセラー売場で、ここは緑の常用パッケージで構成されていました。
ご存知の通り、同店の商品は9つのフレーバーのクッキーのみです。
なので、店はカートンの入り数とパッケージデザインで差別化するしかないのです。
不思議なのは、緑の商品売場に人が集中している点でした。
クリスマスパッケージの赤い売場に客が少ないのはどういうわけでしょう。

二つの売場の、パッケージ以外の違いは什器デザインでした。
ベストセラー商品売場の什器はガラス棚で背景が白いです。
棚はキャッピングしています。
最上段はPPでパインアップルのオブジェがありました。

一方、季節ギフト商品売場の什器は木製で棚の厚さが35mmありました。
キャッピングはなしで最上段のPPは商品のみです。
結論から言うと、季節ギフト商品売場が高級に見え、ベストセラー型商品売場はカジュアルに見える点が大きく違いました。
当然、客は高そうに見える売場は敬遠し、安く人気のありそうな売場に集中します。

入り数、パッケージ代はすべて同じなので、斬新な季節デザインの赤い箱に手を伸ばした方がトクなはずですが、客はカジュアルな雰囲気の売場が好きなようです。

アイランドはどうかというと、ここもベストセラー商品と季節ギフト商品売場に大別されていました。
こちらは、どちらのアイランドも集まる客数は同じですが、ディスプレイ構成が店によって違い、IP・PPテーブルとIPテーブルの2種類がありました。
木製ライザーをテーブル中央に配置して段差を作っている点は同じですが、ライザー上をPPにするかIPにするかは決められていませんでした。

店内売場の商品くくりは垂直で、リピート型かシンメトリー型の二つを採用しています。
シンメトリー型はテーブル売場に多く、リピート型は壁面に多いです。
いずれも商品を立ててフェイスアウトしており、パッケージデザインがよく見え、佇まいは美しいです。

壁面オーケストレーションはその上、PPが最上段にセットされているので、佇まいはさらに美しく、店頭を歩いている人を店内にキャッチしていました。
そのため、店頭はガラス囲いでシースルーにしており、ウインドウがあっても、店内を隠さないように展示物を低く抑えていました。
ロクシタンのようにタペストリーを背後に吊るしたりしていないのです。

以上のことから本部指示書の有無を推察すると、詳しい棚割りの指示書は出ていないようです。
●定番と季節ギフト商品のゾーニング ●くくりのパターン を1~3タイプ明示しているくらいの指示書と判断しました。
PPのオブジェは店によって違うので、PPも明確な指示は出ていません。
オーケストレーション、テーブルプレゼンテーション、キャッピング、くくり、フェイシングは各店で統一しているので、これらの基本ガイドラインは存在しているようです。
ディズニーランドのように、現場スタッフに対して上記5つの研修をやっていることは間違いないでしょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場編集=リバイスという言葉を使おう


VMDを行っている人の話を聞くと、売場づくりには下記の3つの言葉が存在します。

  • 売場を制作する
  • 売場を施工する
  • 売場を編集する

また、VMDを行った事例をホームページなどに上げている人もいます。

  • 売場制作例
  • 売場施工例
  • 売場編集例(リバイス例)

3つ目はあまり聞かないと思いますが、当社のホームページにはありますよ。
〇リバイス

リバイスと言うのは、売場の再編集の意味で、revise(revice)と書きます。
これは英語です。
アメリカのビジュアルマーチャンダイザーが普通に使う言葉で、
revise store prototype schematics/product placement
(ゾーンを変えるとか、モノの位置を変える)
revise and present design ideas with assistant merchandisers and staff in stores
(空間デザインを考え直して、店舗スタッフとプレゼンテーションする)
などいろいろな場面で使われてるVMDの用語です。

この用語、日本ではリモデルというVMD用語ほどには浸透していませんが、VMDを営んでいる方はぜひこの言葉を使ってほしいです。

では、●売場を制作する ●売場を施工する ●売場を編集する
こり3つの言葉の意味をひも解いてみましょう。

●売場制作
制作と言う言葉は、クリエイティブな要素が多いです。
SP会社や広告代理店、またはディスプレイスタジオなどが使う言葉で、什器デザイン、POPデザイン、オブジェなどの造作物を伴う場合が多いです。
デザイナーやプランナーが絡んでいるケースに使う言葉です。
ちなみに、これが製作となると、メーカー的・工場的な要素が入るので、什器製作会社、パーツ製作会社などが、什器等売場の構成物ひとつひとつに使う言葉となります。

●売場施工
施工とは、施工会社、マネキンメーカー、建築会社がよく使う言葉で、店舗の床・壁・天井・什器・照明といった大道具を、設計図に基づいて作り上げることを言います。
店という空間、つまりハコをつくる仕事です。
ハコを施工することは店舗施工、平場やコーナーを施工することは売場施工といいます。

●売場編集
編集という言葉は、出版社が使う言葉です。新聞や実施など、タイトル・大見出し・小見出し・リーダー、本文・挿絵など平面デザインを構成するときに使う言葉です。
実は、私たちみたいなVMDインストラクターが行う通常業務こそ、売場編集という言葉がぴったり来ます。
売場づくりは、どんな店でも編集によって、毎季・毎月・毎週・毎日変化させなければいけないです。
アパレル、ドラッグストア、スーパーは52週ごとに売場をつくり替えます。
雑貨店は1か月ごとに柱周り、エンド、テーブルなどのメイン売場をつくり替えます。
これを売場を制作するとか、売場を施工するとかあまり言いません。
売場を編集する、という言葉がぴったり当てはまります。
その時に最適なテーマ、トレンド、見せ方で売場を編集しお客様を魅了、商品買上率を高めています。

それでは売場の編集とは具体的に何か解説しましょう。

●売場のレイアウトを変える
雑誌や新聞は段組というのがあります。
その段組に合わせて、記事やコラム、挿絵などをレイアウトしていきます。
同じように、売場は什器レイアウトというのが存在します。
時期ごとに什器の種類を決め、什器を配置して売場の位置やサイズ、導線を変えていくのです。

●売場のテーマを変える
新聞・雑誌の記事が変わるように売場のMDテーマは変わります。
時期ごとにテーマに合わせて商品を入れ替える、加える、混ぜるまどして売場を変えていきます。

●売場のタイトルを変える
新聞・雑誌には大見出し、小見出し、リーダー、本文があります。
同じように売場の大見出し・小見出しを変えていきます。
それはサインだったり、POPだったりします。
雑誌のリーダーに当たるのはブランド説明POPだったり、セールやフェアの告知POPだったりします。
本文に相当するのは、もちろん商品陳列です。

●売場のディスプレイを変える
編集では、新聞・雑誌にアイキャッチとなる写真を挿入したり、イラストやチャートを入れたりします。
同じように、売場にVPやPPを設置することによって来店客のアイキャッチにします。
またIPもディスプレイの構成要素ですのでVP,PPに従って帰ることもあります。
先述のrevise product placementとは、売場の棚割りを変えることをいいます。

いかがでしょうか。
Revise、売場を編集する、とはこのようなことです。
売場塾ではこの「売場の編集」ができることをマストとしてVMDインストラクターを育成しています。
もちろん、売場を制作・施工するのもいいのですが、編集はコストをかけずに売場を変えたり改善できるところが重宝されているのです。

もちろん制作・施工もVMDの仕事のうちなのですが、その場合、設計図やデザインが書けたり、プランニングできたりというスキルが必要になります。
売場の編集は誰でもすぐにできるVMDの基本中の基本のノウハウなのです。
VMD担当者の皆さん、ぜひ売場編集(リバイス)を現場スタッフをはじめとする売場関係者に教えて、いつお客様が来ても新鮮な売場をキープしてくださいね。

ハワイに見る行動心理学


年末はハワイに行ってきました。
いつものアラモアナSC見学です。

ハワイのショッピング環境、劇的に変わりました。
それは買い物袋のALL有料化です。

驚いたのは、どこでも買い物するとレジで「バッグは有料になりますが要りますか」と聞かれます。
百貨店でも、スーパーでも、コンビニでも。
15セントつまり15円なのですが、「うーんバッグは要らない」と自動的に言ってしまう自分がいました。

行動心理学によると、これをプロスペクト理論といい、損失を感じる取引にはすごくマイナス感を抱いてしまうそうです。
つまり損をした!という感覚に陥る場合はなるべく回避行動を取る、ということなんですね。
ハワイ、うまーくやっているなと思いました。
買い物袋の有料化は同州がアメリカで初めの州とのことです。

これは私がいつも利用している成城石井と比較できると思いました。
成城石井はレジで「袋に入れてよいですか」と言います。
この場合、「いらない」というと合計から2円引いてくれます。

ハワイと違うのは、日本では袋代はすでに無料という感覚があって、袋に入れてもらうからと言って、損失を感じないことです。
これがハワイに行くとくじかれてしまうというわけです。

「袋はいらない」と言っても、割り引くわけでもなく、0の状態、つまり今までの状態と変わらないわけですから、袋代を払って商品を買うという予算がかかることを考えると、自然と損失を考えてしまい、「いらない」という心理になるのでしょう。

これはいい考え方です。
これだと、ハワイのプラスチックごみは減少していくこと間違いなしでしょう。
いつもなら、最終日のホテルベッドの上は、ブランドの紙袋だらけになりましたが、今回はブルーミングデールズの袋ひとつだけでしたよ。(^^)

写真のJクルーのトートーのおかげで袋代払わずに買い物できました。
日本はプラスチックごみの一人当たりの排出量は世界2位なので、このハワイの習慣を早めに導入したらいいと思いました。

しかし、ABCストアみたいなところはレジが奥にあるので、ワインを買ってそのまま出てしまうと、なんか万引きしたみたいな感じですね。。。。
こういう対策はどうしているんでしょうね。

と、いうことで、今日で2018年は終わりです。
皆さん、ことしもオーバルリンクをご愛顧いただき、ありがとうございました。
1月の公開セミナーでまたお会いしましょう。(^^)

●1月の公開セミナー

わかりにくいVMDコンサルをわかりやすくするには


今日は、VMDコンサルについて話します。

コンサルティングという言葉に抵抗がある人は多いと思います。
なんかうさんくさいと思う人が多く、自称コンサルタントも世の中には多いです。

私は、コンサルティングとは基本的に、時間縛りでクライアントに専門的なノウハウを教えること、と思っています。
だから、コンサルを行おうと思って悩んでいる人は、数時間でお客様に何を教えられるのか?という考えを持ってください。
コンサルティングとは、時間単位でお金を取る商売なんです。
だから、基本的には1時間いくらが計算単位となります。

戦国時代では、敵と現地で戦う人の報酬と、敵の情報を的確に与えた方と報酬の重さは雲泥の差がありました。
命をかけて戦う戦士と相手の策略を巧みに入手して、自陣に有利になるように助言する人と報酬が違うのは明らかでした。
もちろん、報酬が上なのは後者です。
コンサルティングとはまさに値千金のノウハウを教える稼業にありました。

話をもとに戻します。
アメリカではコンサルタントはブランドになっています。マッキンゼーやスタンフォードといった出身者のコンサルティングは日本人にも人気。

でも日本でコンサルタントに仕事を依頼するのに躊躇する方が多いです。
これは日本人の気質によるもので仕方がありません。
頼むと高い、頼んでも大したノウハウは得られないのではないか、という不安を感じている人が多いためでしょう。

VMDインスタトクターとしてコンサルを営む方は、誰でも気軽にVMDコンサルを頼めるように、サービスメニューを加工する必要があります。
ズバリ、コンサルメニューのネーミングを熟慮する必要があります。
オススメするのが以下のメニュー名です。

●店舗診断
時間以内に店舗診断を現場ですること。
大切なのは、「現場で何をするか」をクライアントに的確にお伝えすること。
ただ現場であーだこーだというだけでは、報酬は得られません。
相対する店長は「うちの売場のあらさがしに来た」と思うだけです。
中でも店舗診断シートは、現場コンサル以上に価値を与えられるものです。
店舗診断の報酬は店舗診断シート作成費が収益のメインを占めます。

●ディスプレイコンテスト
クライアントのディスプレイをコンテスト形式で評価するもの。単に「ディスプレイがキレイ」「ディスプレイがいい」と評価するだけでは素人VMD。
どこがよくてどのように改善したらさらに良くなるのか、現状ディスプレイの上を行く指導をしないと意味はありません。
このディスプレイコンサルを、チェーン店のコンテスト形式ですれば、現場スタッフの研修という名目も生まれます。クライアントからはコンサル料でなく、販促費名目で報酬を得られるので、クライアントの財布のひもが緩くなります。

●マニュアル
いわゆるマニュアル作りのこと。マニュアルを自らつくるのではなく、マニュアルの作り方を教えるということです。そのためには、テキストが必要になり、それをベースにしてクライアントに時間いくらでお教えします。収益は、時間縛りのウエイトよりも、テキスト提供のウエイトが多いです。
マニュアルコンサルは、それなりの実績があるとよいので、VMDインストラクターの方は、無報酬でもよいので実績を先に積むことをおススメします。

●講座
VMDを講座形式で教えるというもの。人数割がよく、一人当たりの単価を高めることができます。オープンセミナー形式では、10人でも100人でもセミナー料はいっしょなのですが、一人当たりいくらの講座受講料は単価を高く設定できます。
対象は現場スタッフというよりも本部の指導者または経営陣が対象になります。ノウハウを社内に広めることができる職務の方になります。
講座形式の難しいのは、本当にためになった!といえるコンテンツでないといけません。

●リバイス実習
これは文字通り、現場で売場編集を実演するコンサルです。自らディスプレイをクライアントの目の前で直すことにより、売場改善をわかりやすく見せます。パフォーマンス性を強調すると効果があります。身振り手振りを大きくして、ディスプレイのやり方を理解しやすいように教えます。
コンサルタントはディスプレイづくりがうまいに越したことはありません。

●資格・試験
これは一定のコンサル期間が終わったら、資格を授与するというもの。単にコンサルメニューを履行すればよいというものもありますが、テストをすると効果的。テストが学習の復習になるからです。
売場塾卒業生では、「売場ソムリエ」と言って社内資格を社員に授与する方もいます。
資格・試験形式は一般企業で多く採用され、「バリスタ」「ビアマスター」「ピローフィッター」などがそうです。
私の会社が店舗スタッフ向けに授与している資格に「商空間スタイリスト」というものがあり、これがスタッフ間に人気です。ライセンスカードもかっこいいですよ。
商空間スタイリスト講師養成講座

わかりましたでしょうか、VMDコンサルティングメニューの作り方。
独立自営しているVMDインストラクターの方はぜひ参考にしてください。
また、企業で活躍しているVMDインストラクターの方も、このようなメニューをそろえるとよいです。
VMD指導コースはまさにそういう方のためにあります。
VMD指導コース

VMDを知れば、家の中もきれいになる


VMDを知るということは、空間そのものをデザインするというノウハウを得ることになります。
例えば、陳列を覚えると、食器棚やワードローブの整理ができるだけでなく、見やすくわかりやすくモノを置くことができます。
展示を覚えると、出窓やキッチンカウンターの商品を店頭のディスプレイのように飾ることができます。クリスマスやハロウインの飾りつけもバッチリ美しく飾ることができます。
テーブルのコーディネートもそう。友達との家カフェでも、喫茶店で飲んでいるようなテーブルコーデにすることができます。

VMDを身に着けるとどうして家の中がきれいになるのか、下記にまとめました。

●家具選びは什器を選ぶのと同じ
VMD担当は、ショップの什器を選ぶ時、店内のテイストに合わせます。
モダンな雑貨を扱っている店なら、モダンで都会的なテイストのする什器を選びますし、かわいい婦人服を扱っているお店なら、ガーリーでロマンチックなテイストの什器を選びます。
それと同じ感覚で、居間なら居間の、寝室なら寝室のテイストに合わせて家具を選べばよいのです。
例えば、私の家の居間はシンプルなテイストをモットーしているので、色は白、木目はメイプル、メタルならシルバーかブラック、などを条件にして、家具や家電品を選んでいます。

●食器棚やワードローブの整理は、IPと同じ
食器棚やワードローブの整理は、IPをするのと同じです。
モノを置くのに、色、サイズ、素材、アイテムなどを区分けして置くようにできます。
例えば、シャツをカジュアル、フォーマル、その中間・・・と分けて引き出しに入れ、シャツの型崩れがしないようにフォールデッド幅を合わせて互い違いに置きます。
食器棚に関しては、コーヒー茶碗を置くにしても、ヨーロッパ調と和風の棚に分け、モダン、ナチュラル、ポップなとのテイスト別に分けて置きます。
パイプにハンガーを通すときでも、高級なジャケットは5cm間隔で吊るすようにし、パーカーやデニムシャツなどカジュアルなものは3cm間隔で吊るすなど、ある程度、定量を決めて置くとよいです。

●パントリーの整理は、フェイシングやくくりを応用する
食材や化粧品などを収納するラックやキャビネットは、フェイシングやハーモニゼーションを応用するとよいです。
ハーブティや風邪薬を棚に置くときにフェイスを整え、くくりを付けると、どこになにがあるのかすぐにわかります。
基本はフェイスをまっすぐ目線に向けることです。するとラベルがよく見え、何の薬かすぐにわかります。薬も、目、鼻、口などと部位別にくくって置けば、家族にわかりやすくなります。

●テーブルプレゼンテーションで、食卓を彩ることができる
テーブルコーディネートを難しく考えず、にきれいに作ることができます。
プロップのマテリアルが、ランチョンマットに変わったと思えばよいのです。
ランチョンマットはひとつではなく複数枚を用意してレイヤードやドレープなどを駆使します。その際それに載せる食器はランチョンマットのテイストに合わせるとキレイです。
テーブルプレゼンテーションをつくる感覚で行えばうまくいきます。

●出窓やキッチンに魅力的なディスプレイをつくることができる

出窓やキッチンに、季節の到来を感じるディスプレイを作るのは、PPを制作することとなんら変わりません。タイト、ネガティブスペース、そしてトライアングルなど、MDPのディスプレイ構成を使えば、キレイで美しいディスプレイになるでしょう。
オブジェやオーナメントの選び方もほとんどPPと変わらないでしょう。
季節のテーマを決めて、それに沿ったプロップスを飾り付け、色も2.3色に絞ると魅力的なディスプレイになり、来客も微笑みます。

●キッチン壁面や書棚はオーケストレーションと同じ
キッチンの壁にフライパンやレードルを吊るしたりして、見せる壁にすることができます。
コーヒーが好きな人なら、サーバー、ドリッパー、ミルやサイフォンなどーヒー器具を使い、カフェのカウンターバックのようにディスプレイすることができます。
書斎の書棚もそうです。
書棚をシンメトリーにキャッピングして、背表紙の色別に分けて置いたり、棚に植物などのインサートオブジェを置いたりすれば、無印BOOKのような壁面にすることができます。

いかがですか、VMDを知っていると家の中も片付き、きれいになります。

Do It Yourself VMD

今日は、Do It Yourself VMD
VMDについて話します。

店舗のウインドウやテーブルなどの主要ディスプレイは、四季折々に変化し、通行人や来店者を楽しませてくれます。

このディスプレイの制作について外部のスペシャリストに毎度依頼すると、コストがかかってしまう場合があります。

そのため、社内のVMD担当自らがディスプレイをプランし、デザインし、造作し、インスタするという方法があります。
これがDo It Yourself VMDです。

売場塾では、多くの企業のVMD担当者が来校していますが、Do It Yourself VMDを遂行する人もいます。

これは自らが

・プランナー
・デザイナー
・クリエイター
・インスタレーター

を担うということです。

これら各々の専門家に依頼せずに、完璧ではないけれど、来店客に違和感のない水準で
ディスプレイを制作しています。

具体的なDo It Yourself VMDの手順を見ていきましょう。

●プランニング
MDPシート、いわゆるディスプレイ指示書を書くということです。
テーマを決め、ディスプレイ用品を決め、ディスプレイの構成を考えます。
図案はスケッチ程度でよく、社内稟議やクライアント提出の場合は、フェルトペンで清書して色を塗るくらいはしたほうがいいでしょう。
あとは、ディスプレイ用品調達表も書けるといいです。
これはディスプレイに使用するプロップスや陳列用品、展示用品をどこで調達するかを表にしたものです。
調達先の店名、用品のサイズと価格、カタログならページと品番も明記します。

●デザイン
これはグラフィックデザインを指します。
多くのDo It Yourself VMDerは、イラストレーターとフォトショップを駆使してグラフィックデザインを描きます。
デザインの対象物は、POPとプロップスです。
大きいPOPはパラペットや腰巻、タペストリーなどの媒体になりますので、ディスプレイの世界観を醸し出すツールになります。
また、平面デザインを立体的に組み立ててオブジェにすることもありますので、基本はグラフィックデザインができることが第一になります。
企業本部のVMD担当にグラフィックデザイナーを起用している理由はここにあります。

●クリエイト
金属加工、木工彫刻、陶磁器制作などは専門家にゆだねられますが、それ以外のやさしい素材(紙など)を使って、DIY器具を用いてディスプレイを造作します。
DIY器具で重宝できるのがグルーガンで、ディスプレイ用品の接合と固定に使います。
その他ガンタッカー、はと目プレス、プライヤーなど日曜大工で使う程度のDIY器具があれば十分です。
プロップスや展示用品は、装飾品を専門のディスプレイ店で購入することがありますが、コモディティ品と言って、雑貨店で市販されているものを使用することも多いです。
また食品店などは商品パッケージそのものをプロップスに加工して使うこともあります。

●インスタレーション
ウインドウやテーブルに、ディスプレイをセッティングするというものです。
クリエイトされたディスプレイ用品をウインドウやテーブルという空間にアレンジしていきます。
商品を魅力的に見せるためのフェイスを調整し、テーマやキーカラーがわかるように作っていきます。
ディスプレイに高さをつけるためのライザーの組み方も事前チェックするとよいでしょう。

プランニング、デザイン、クリエイト、インスタレーション。
さて、この中で一番持つとオトクな専門性は何でしょう。
それは、デザインです。
グラフィックデザインができれば、万能なVMDに近づきます。

プランニングは日々のビジネスで養われています。
パワポでプレゼンするとか、エクセルで表をつくるとか。
あなたが普通のビジネスマン、ビジネスウーマンでしたら、プランニング、つまりディスプレイの指示書を書くのは難しくないはずです。

クリエイトもそうですね。
これは小学高の図工、中学・高校の美術・技術などを覚えていればなんとかなります。
あとは経験を積んでいけば技能を鍛えられます。

インスタレーションに関しては売場塾でばっちり教えています。
または銀座のディスプレイセミナーでコツがわかります。(^^)
ディスプレイの本を見てもよいですね。

とこが、デザイン、つまりグラフィックデザインだけは感性の仕事。
センスと美術的感覚が必要なんです。
これは、美大を出たり、制作会社で仕込まれた方が強いです。

だから、Do It Yourself VMDをする場合、完成度の差が出てくるのはデザイン。
VMDとして独立してクライアントのティスプレイを作ろうとする方は、この技術をなんとか取り込まなくてはいけません。
独立起業する人はなるべく自分でデザインできるようにするにするのがベストでしょう。
(ただ、独立してセミナー講師のみやりたいという人は必要ないです)

このように、Do It Yourself VMDを推進したい方は、なるべくこの4つのスキルを取り込むといいです。
組織の場合は、商品部や販促部などのデザイナーをチームに入れるといいでしょう。

Do It Yourself VMDを駆使して低コストですばらしいMDPをつくっていきましょう。

ブラックバス、ゲットしました

ゲット

 

秋の連休にひさびさにルアーフィッシングにいきました。
釣り具の会社に勤めている友人と、伊豆の松川湖に釣行です。

ここんとこ、連休は日がいいですね。
ただ、高原のダム湖だというのに、真夏の暑さです。

これは師匠が釣り具をセットしているところ。

アキ

そのピーカンの正午にBBをゲット。
25cmでした。

これが今日のルアーとタックルです。

タックル

ルアー
竿は、友人に借りたジャクソンのネイティブ。
これ、私も一本持っていて、デザインがとてもシックで
いい竿です。
主に、本栖湖のトラウトで使用しています。

釣り具店で長い間店長をしていた友人曰く、
ルアーは魚をだますものだけど、お客様をもだますものだそうです。

釣り具店の壁面に並べられたいろいろなルアー。
主にメーカー別にルーピングされていますが、
売れる色は、「魚が好きな色」ではなくて
「人間が好きな色」ということです。

本来、釣れる色は千差万別なんだそうですが、
お客様が「これは釣れそう」というルアーを
たくさん仕入れてボリューミーに陳列するそうです。

売れる色のほとんどは「自然に近い色」、つまり
今いる魚の魚体の色だそうですが、服飾の様に
色のはやりすたれがあって、たとえば黄色のルアーなんかも
売れるそうです。

キャンディみたいな色でも、たくさん陳列して、「釣れた」と
POPに書けば釣れそう、なんですね。

なーるほど。
アパレルと釣り具は似ているところがあると
思いました。

ところで、この日の釣り具ファッションはビームスでした。
ピーカンだったので、シャルマンのラインアートを持ってきました。
これ、紫外線があたるとサングラスになるんです。

ぼく

しかし、どう見てもこれ、日本にやってきた外国の
フィッシャーマンです。。。。