ブランディングとは?店舗ブランディングとは?

月の石

今回はブランディングの話をしましょう。

まずは「ブランド」という言葉から。
AIに定義させると下記の言葉になりました。

ブランドとは「他と区別され、選ばれる理由となる固有の価値」

まあ、一般的にはそうですね。
また、語源は

「農家が自分の買っている牛を他と区別するために牛につけた焼き印」

というのも、皆さんうるさいほどよく聞いていると思います。

広告代理店時代から長ーい間、ブランディングに携わってきた私にとっては下記のワードになります。

ブランドとは「アイデンティティを持ったモノ、コト」

アイデンティティとは「固有のもの」とか「独自性」とか「らしさ」という意味です。
あなたの名前が「田中明子」でしたら、
「田中明子」もブランドだし、「田中青果店」「田中寝具店」もブランドになります。

なぜなら、固有の人物ですし、固有のお店だからです。
ただ、「田中明子」のクローン人間ばかりの世の中だったら、そこらへんに落ちている石みたいに「田中明子」はブランドになりません。
固有のものにならないからです。

固有だったら、誰でもブランドになれるし、商店街の田中さんが経営する店もブランドと言ってもよいでしょう。
なぜなら「他と区別され、選ばれる理由となる固有の価値」だからです。

ただし、「みんなに認められるブランドか?」というと話は違ってきます。
「田中青果店」の横に「落合青果店」が進出してきました。
「田中青果店」の売上は半分になります。
なぜなら「落合青果店」が今までの田中青果店の売上を持って行ってしまうからです。

「田中青果店」はただのブランドではなく「みんなに認められるブランド」にならなければいけません。
普通の青果店から、「特別な青果店」に。
その行為が「ブランディング」というんです。
「ブランディング」とは他のブランドと差別化する行為に他ならないんです。

2.路傍の石はブランドになるか?

路傍の石

先ほど石が出てきたので、石の話をします。
石をどうブランディングするか、考えてみましょう。

この石を「みんなに認められるブランド」「他の石と差別化できるブランド」にするにはどうすればいいか?
答えは簡単。「月の石」にすればいいです。

昭和時代の人は大阪万博の目玉に「月の石」があったことを覚えていると思います。
そう、アメリカ館にあった、あの月の石です。
あの「月の石」はとても差別化できていました。
なんせ、地球にない石だったからです。

しかも、アポロ11号が月に着陸して、チャールズ・“ピート”・コンラッドと、アラン・ビーンという宇宙飛行士が、人類で初めて取ってきた月の石なんです。

ただ、当時小学生だった私はどう見ても、そこらへんに落ちている石とどう違うのか、わかりませんでした。
私は富士宮出身なので、こういう入孔がある火山弾は富士山でいやというほど見ています。
ルパン3世が富士山の石とすり替えても、見ている人はわからないだろうな、と子供ながらに思っていました。

しかし、この石にはストーリーがありました。
それは先ほど言ったように、

●アポロ11号が月に着陸して、チャールズ・“ピート”・コンラッドと、アラン・ビーンという宇宙飛行士が、人類で初めて取ってきた月の石

という事実でした。
これをブランドストーリーと言います。

同じように、ただの「砂」でも下記のブランドストリーがあると話はまったく違ってきます。

●2005年に日本の探査ロケット「はやぶさ」が世界で初めて採取した小惑星の砂

もし、はやぶさが採取した砂が博物館で展示されるのを見たら、私たちにとって「ただの砂」ではなくなります。
それは「はやぶさが取ってきた砂」というブランドになるんです。

はやぶさの砂

このように、ただの石でもブランド化することはできます。
「いやいや、誰もが月にいけないよ」と思うあなた、違うブランドストーリーをつくるといいんです。

●ドラマ『家政婦のミタ』で松嶋菜々子が実際に持っていた「石」
●福井竜の爪が化石として残っている「石」
●世界水切り選手権で優勝し、ギネスに登録された「石」

もっと言うと、

●静岡県伊豆市土肥の「恋人岬」海岸で採取されたハートマークの「石」
●地震で崩れた熊本城の石垣の一部で不要な部分を磨いた、復興の「石」
●旧東京駅のレンガを解体したときに出たレンガを磨いた、出発の「石」

などいろいろ考えられます。
後はこれらに「ブランドネーム」をつくると商品化できます。
その時、商品価格は等価交換というよりも、寄付という名目にすればよいでしょう。

なお、ブランドネームのつけ方は下記を参考にしてください。
●ネーミングによるブランディング戦略

3.みんなに認められるブランドにするための指標

スターバックスというブランド

売場塾でのブランドの定義は下記になっています。

「生活者の心の中に定着した企業や商品の特定イメージ」

これが店舗ブランドだと、

「生活者の心の中に定着した店の特定イメージ」

になります。
この「特定」というのが、先ほどのアイデンティティというものです。
「特別な」「特異の」店にしましょう。

ブランディング目的はずばり下記が多いです。

  • カテゴリー内競合ブランドから優位になる
  • 客を非利用者からライト利用者を経てヘビー利用者にする
  • ブランドを知っている人、知った人に好意を持たせる
  • 短期で終わりではなく、長くブランドを利用させる
  • より多くの人に知られる存在になる

マーケティング用語で言うと、下記のようにブランド目標を立て数値化できます。

  • メンタル・ペネトレーション
  • マインドシェア
  • ブランド購買ウエイト
  • ブランド態度
  • ブランドロイヤリティ

個々に説明します。

●メンタル・ペネトレーション
そのブランドが、どれだけ多くの人の頭の中に入っているか?ということ。人数や%で表せる。
例えば、「スターバックス」は全世界の人が知っているけど、「ドトールコーヒー」は日本人だけ、北千住の田中珈琲店は北千住の旭町に住んでいる人の2%だけ、ということになります。

●マインドシェア
そのブランドがその人の頭の中で、同カテゴリー内でどれくらいの割合を占めているか?ということ。
東京都に住んでいる人の頭の中の「百貨店」というカテゴリーで、「伊勢丹」が50%を占めているとすると、「三越」は30%、「高島屋」は10%、その他は10%というように表す。

●ブランド購買ウエイト
チョコレートを買うとしたら、どのブランドのチョコを買うかを示した数字。
購買頻度(回数)、購買数量(個数)、購買金額が高いほどそのブランドは有利になる。

●ブランド態度
そのブランドをどのくらい好きになるかの度合。人数や%で表せる。
ブランド好意者が多く、ブランド拒否者が少ないほど、そのブランドは有利に立つ。
ブランド好意者なら「あの店には絶対いく~」となり、ブランド拒否者なら「あの店には二度といかない」になる。

●ブランドロイヤリティ
ブランドを長く愛してくれる度合。人数や%で表せる。
購買頻度(回数)、購買数量(個数)、購買金額が高く、長い期間に渡って購買が持続しているブランドになる。

と、こんな感じで「みんなに認められるブランド」になる利点を話してきました。
ただしこの話、死角があります。
それは、客はブランドを購買するときに、メンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティの影響を受ける、ということです。
この二つの意味は下記です。

●メンタルアベイラビリティ
買おうと思ったとき、そのブランドが頭に浮かびやすいこと。

●フィジカルアベイラビリティ
買おうと思ったとき、実際に買いやすいこと。

先ほどの項目で「カフェと言えばスタバ」「スタバなら絶対行く~」と、スタバは喫茶店カテゴリーの中ではマインドシェア、ブランド板戸どはトップです。
つまり、スタバはメンタルアベイラビリティのカフェの中でトップということです。

しかし、鳥取県人がそう思っても、そもそもスタバは県内6軒しかないので、行きたくてもいけません。
車で1時間行けていくよりも、近くの「すなば珈琲」ですませるのが賢明です。
これがフィジカルアベイラビリティというものです。

4.店舗ブランディングとは

田中青果店のブランディング

だいたいブランド、ブランディングについてはイメージつかめたと思います。
ブログの締めとして、店舗ブランディングについて述べます。

店舗ブランドとは「お店のブランド」、
店舗ブランディングとは「お店をみんなが認めるブランドにする」、
ということです。
つまり、石ころをブランド化したように、お店をただの「お店」から「特別なお店」にするのです。

ただ、厄介なことにブランドには複数の階層があります。

  • 企業ブランド
  • 店舗ブランド
  • 商品ブランド
  • サービスブランド

という階層です。

これをまずは整理しましょう。
例えば、ドン・キホーテという店のブランドは、パンパシフィック・インターナショナルという企業ブランド傘下の株式会社ドン・キホーテが営んでいて、「情熱価格」という商品ブランドを持っています。
さらに、メガドン・キホーテやキラキラ・ドンキなどラインブランドも持っています。

あなたが「田中青果店」だとすると、明治時代から130年続いている8代目「田中洋平」という個人ブランドが店を経営しています。
しかも「田中洋平」社長は「野菜ソムリエ」という資格ブランドも持っています。
店で売られているネギは「千住ネギ」という地域ブランドでした。
店は、代官山というエリアブランドに属していて、店自体は「出桁造(だしげたづくり)の店」という構造物でできていて、街の文化財にも指定されていました。

これだけでも、「田中青果店」「田中洋平」「野菜ソムリエ」「千住ネギ」「出桁造(だしげたづくり)の店」というブランドネームが出てきます。

なので、店舗ブランディングを行う、と言っても店の複合的なブランド階層の整理からまず着手するといいです。
どこを売りに、どのように表現していくか?を整理します。

ブランド階層、詳しくは下記ブログご覧ください。
●VMDとは空間のブランディング

整理ができたら、いよいよ、どうやって店舗ブランドを「特別な店舗ブランド」に落とし込むか考えましょう。
それにはオーバル式「ドリブン戦略」を使います。

「ドリブン戦略」の話、すごーく長くなるのでまた今度の機会に話します。
お楽しみに!!

★なお、このページに出ている「月の石」と「はやぶさの砂」の写真はイメージですのでご了承ください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)