VMDの仕事はつらい?楽しい?

VMDの仕事をしているところ

1.仕事とは?

仕事とは何でしょう?
この間、当ブログで「好きを仕事にするには」というタイトルで書いた日誌は、好きなことを仕事にすれば幸せになる、というメッセージで書きました。

●好きを仕事にするには

自己の働き方改革は、好きな仕事をするか、仕事を好きになるかで、ある程度進捗するものだとずっと思っていたからです。

が、「会社はあなたを育ててくれない」※という本を読んで愕然としました。
※古屋星斗 大和書房

文中の労働1万人調査では、「仕事とはつらいもの」と思っている人と、「仕事とは楽しいもの」と思っている人の割合はほぼ半々でした。
半分の労働者は「そもそも仕事とはつらいもの」と割り切っているということでした。
しかも、男性で学歴が高く大手会社で仕事している人ほど、そうでない人より「仕事つらい」意識が高いんです。

しかし、こうした「仕事つらい」派は、「仕事楽しい」派よりも、仕事の満足度が高い、という結果になっているそうです。
しかも、キャリア進捗度(キャリアを積み重ねる度合い)に関しては、「仕事つらい」派は「仕事楽しい」派より7倍高い、という事実がありました。

「仕事つらい」と思っている人ほど、キャリアが高いという、この現象、唖然とします。
本はとてもおもしろかったです。

思い起こすことがあります。
売場塾に来られている方は、優秀な方がとても多く、その仕事ぶりに私はとても感心しています。
しかし、売場塾に入学する人がみんなVMDが好き、VMDは楽しい!と思っているわけではなく、

  • VMD担当に任命されたから
  • 販促の一助になると思ったから
  • 従業員を管理する立場として必要だと思ったら
  • 売場の佇まいを直すのにVMDが役に立つと思ったから

というような感じで、すごくビジネスライクで合理的なんです。

  • ディスプレイ制作がめちゃめちゃ好き
  • VMDの仕事を一生やっていきたい!
  • 店舗デザインが好きでたまらない

という方はいるにはいますが、大勢ではありません。

足元を見てみると、確かにうなづけます。
自社の社員も「VMDは好きなわけではない」といっていたのを思い出しました。

バリバリCADを駆使してクライアントの店舗デザインをつくったり、売場塾の教材を次々に作り出してくれる優秀な社員です。
受講生アンケートをチェックしたり、オンライン売場塾のスタジオ設営とIT機器コントロールをしているのも彼女なんですが、どうやら「仕事つらい」派のようです。

すなわち、仕事を楽しめるか?と成果は別であり、割り切って仕事をこなしてキャリアアップしている人は多いということです。

この事実、すごいですね。

「情熱を傾けて仕事をすることが正道」
「モチベーションがあれば仕事は続けられる」
「熱意があれば、誰でも夢をかなえられる」

のではなく、熱意に興味なく淡々と仕事をこなして成果を出しキャリアアップしている人は普通にいることを知りました。

「生活の糧を得るために仕方なく仕事している」
「仕事より、仕事が引けた後の余暇を充実させている」
「楽しいからこの仕事をやるというよりも必要だからやる」

ということになるでしょう。
上記のセリフの中の仕事をVMDに置き代えてみましょう。

「生活の糧を得るために仕方なくVMDしている」
「VMDより、VMDの仕事が引けた後の余暇を充実させている」
「楽しいからVMDをやるというよりも必要だからやる」

なるほど~。

人生の幸福度とキャリア形成、これらと仕事の好き・嫌いは別

ということがわかりました。
結果、下記の結論に至りました。

「仕事とは何か?」を正確に定義することはできない。
仕事観というのは個人によってさまざまである。

2.コツコツ積み重ねていくのがいいらしい

去年の9月放映のTBS「日曜日の初耳学」で林先生が、「小学校ていやなところだったよね。スポーツできる奴がクラスの中心にいて。そういう奴の追跡調査したら大した人になっていなかった」とか言ってました。

ちょうど今年の夏、高校生同窓名簿が自宅に届いていたので、本当にそうなのか、確かめてみることにしました。
同窓生名簿には、ある程度出身大学と就職企業名が書かれています。

私もけっこういい年なので、役職ついている同窓生いるだろうなー、と思って調べたら、やはり社長や常務、役員やっている人がいました。

そして、スポーツのキャプテンやっていたような同窓生こそ、みんなが知っている一流企業の副社長、役員などもやっていました。
中には会社を起こして社長になった人、政治家もいました。
予想にたがわず、スポーツできて優秀で、いい大学卒業していい会社に入った人は、ごっつ出世していました・・・。

「いい大学入っていい会社入って出世しろ」と口酸っぱく言われてきた、昭和世代の我々は、やっぱりそういうロールモデルが多数いることがわかりました。
(その頃は大学率進学率は26.9%で、59.1%の今年と違いは大きいのですが)

あと、発見がありました。
私のいた高校は進学校でしたが、理工系の方も半数くらい。
電機・薬品・化粧品・自動車・インフラなどの会社に行った人は研究員として特許を取っていることがわかりました。

  1. 神経刺激電極および神経刺激システム
  2. 常時給電装置の異音防止構造
  3. 自動変速機の変速制御装置

などなど。

そして論文書いたり、大学教授になっている人も目につきました。

それが、私の同クラスや同じ同好会のメンバーだったりします。
それらの人は、ものすごーくクラスや学年で目立っていたわけではないのですが、こうやって同窓会名簿を見てみるとすごいな、の一言です。

サイトで詳しく履歴を調べてみると、長年会社に所属してコツコツキャリアを積み重ねていき、研究所所長になったり、教授に転身した人も。
論文や学術書を発行している人もいました。

こうしたコツコツの積み重ねは、先ほどの例でいうと下記のような貢献になるでしょう。

  1. 神経刺激電極および神経刺激システム →病院の手術治療器の開発
  2. 常時給電装置の異音防止構造 →洗濯機の静かな運転を実現
  3. 自動変速機の変速制御装置 →自動車のスムースなシフトチェンジ

みんなのコツコツがニッポンの技術を支えている。
手術が成功するのも、自動車がスムースに運転できるのも、こうした地味で目立たない人のコツコツがあるからこそ成り立っていると言えます。

同じように、売場塾の卒業生も、大学や専門学校でVMDを教えたり、社長になって論文をまとめて書籍を発行している人もいます。
VMDに接しているみなさんのコツコツはニッポンの流通業の役に立っているということです。

昭和時代のように、長く会社にいて貢献する人は少ないと思いますが、コツコツ何かをやっていくと積み重なっていき、それが公開できるノーハウになっていくということです。

VMDインストラクターの資格を取る、ということもコツコツの小さなひとつの活動かもしれません。

3.世界は誰かの仕事でできている

缶コーヒーのジョージアのCMで「世界は誰かの仕事でできている」というのがありました。
これ、とてもいいCMだと思います。

ジョージアを飲んでいるさまざまな現場の労働者が主役のCMですが、最後にオチがあるストーリーがおもしろいです。
●山田孝之さん出演ジョージアCM集!

CMではいろいろな労働者が登場します。
営業マン、交通整理、焼き鳥屋、現場工事、スタジオクルー・・・。
何かの仕事をしている人であり、たとえそれがアルバイトでも世間に貢献しているということです。
すばらしいですね。

これは先ほどの洗濯機や自動車の話と通ずるものがあります。
ジョージアのCMになぞらえていれば、コツコツ仕事をしていれば必ず世間の役に立つ、ということです。

ある思い出がよみがえりました。
私がわが社を設立して10カ月連続で売上がゼロだった時のこと。

当時、当社は新橋にオフィスを構えていて新橋駅からオフィスに帰る道々、つぶやいていたことがあります。

「あの電柱の広告もどこかの会社が貼っている」
「電柱自体もどこかの会社が建てている」
「このマンホールのフタもどこかの会社がつくっている」

と。
売上ゼロの当社は、まだ何もつくり出していなかったのです。
ジョージアのCMに例えて言えば、

「世界はどこかの会社の売上でできている」

と打ちひしがれていました。
そしてようやく当社は、11カ月目にして初めてVMDの仕事をすることができたのです。
そのころ、1,000万の資本金でスタートしたわが社の残高は60万円になっていました。

4.快場は誰かの仕事でできている

私は会社を設立してすぐ、快場という言葉をつくりました。
「ショッピングが心地よい売場」という意味です。

●快場とは

それから23年の月日がたち、ニッポンの売場は心地よいものになってきたことを感じます。
ショッピングモールで、駅ビルで、商店街で、市場で、楽しくショッピングできる環境に進んでいることを実感しています。

当社も少しは世間の役に立っているんでしょうか。
でも買い物客は、売場をつくっているのは誰か知りません。
ましてや、VMDという職業があることも知らないでしょう。

しかし、VMDインストラクターに限らず、どこかの誰かがコツコツと快場づくりをしてるんです。

そのコツコツは、前述した通り、情熱がなくてもいい、淡々と、でもいいと思います。
しかし結果としてお客様がワクワクできているのだから、やった甲斐がある仕事だと言えます。

  • 商品をお客様が選びやすいように陳列する
  • 通路がわかりやすく見えるように、什器のグリッドラインを揃える
  • 横を向いている商品を正面に向ける

こんな小さなVMD活動でも、快場という世界をつくっているんです。
ぜひ、流通業に関係している方、接している方はVMDという仕事を通じて世界の一員であり続けるように願います。

それが「日本中の売場を快場にしたい」と願う当社の心意気であります。
今日はVMDの仕事観についてお話ししました。

5.後日談

余談なんですが、同窓生名簿を調べていたとき、もうひとつの発見がありました。
それは、ふくよかになった人ほど顔がわからなかった、ということです。

年を重ねている皆さーん、ぜひ体型管理しましょう~!!
暴飲・暴食せずに適度な運動を心がけましょう~。

なお、VMDインストラクター起業・副業相談会では、仕事の話もばっちりお話ししています。
VMD好き・嫌いに関わらず、あなたの人生のコスパやタイパに合いそうだったら気軽にご参加下さい。
毎月やっていて無料です。

●VMDインストラクター起業・副業相談会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

月刊VMDメルマガ、今月で300号に!

月刊VMD300号に

1.メルマガ読者の皆様に感謝します

月刊VMDメルマガ、今月で300号になりました!
記録をたどると2005年の9月25日が第3号でした。
ということは20年毎月書き続けて300回。
これも読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。

ここでふと疑問になるのは、20年毎月続けると計算上は240回になるのですが、初期のころは月2回連載していました。

これを記念して300号から302号まで一気に3連載で、テーマ「お客様は実用客?それとも快楽客?」をお届けしました。
概要は下記です。

●お客様は実用客?それとも快楽客?
VMD施策で間違ってはいけないのは、来店客タイプが違うのに、やみくもにディスプレイ中心の売場づくりにすることです。
来店客は快楽客と実用客の2タイプあります。
ディスプレイ中心は快楽客には有効ですが、実用客には有効ではありません。
そのわけをお話しします。

●メルマガ登録はこちら。
●メルマガはブログでも見ることができます。

2.メルマガのネタのつくり方

さて、私のメルマガネタはどこから来て、どのようにつくっているのでしょうか。
ズバリ言うと、マッシュアップ方式でつくっています。
mash-upとは音楽用語で、曲を混ぜ合わせてひとつの曲をつくることです。
「混ぜ合わせ」という意味です。

私のVMD理論のつくり方は、日常のふとした疑問をノートパッドにキーワード形式で書いて、時間あるときにじっくり推論する・・・という方法で理論をまとめています。

例えば、今日は2025年11月21日ですが、今日のメモパッドを見てみましょう。
こんなキーワードがメモられています。

●● メモ文 ●●

・ディスプレイとVMDの違い
・アドビのPOPトーンアンドマナー
・人間の出世傾向と人生構築
・お店の業種・業態により、お客の店に入る心構えが違う
・お菓子Gケース角は斜めにしよう
・什器レイアウトいろいろ
・什器レイアウト応用編
・暗ーいお化け屋敷とウオールウオッシャー
・フレームワーキングまんが
・4次元5次元パース
・エンド理論
・幾何学理論 ホームセンター
・エンドユーザー理論
・無印良品とユニクロのトンマナ比較
・物販フェアの売場づくり
・展示会のブースづくり
・APの簡単な作り方
・ミッションのつくり方
・ラウンダーとヘルパーとは何か
・AIを使った指示書のつくり方
・サービス業のVMD レストラン・カフェ・ヘアサロン
・商品が棚板に直置きになっている箇所が多数あるので、フックで掛かるものはフック展開する。
・コト軸提案
・メーカーブランドが強いものはメーカーロゴを付ける。
・IPの直し方
箱商品の中身がわかるようにする
演出POPを活用して商品がわかるようにする
エンドの服はフェイスアウトする
くくりがわかるようにネガティブスペースを空ける
服とバッグのセット売りをする場合はリピート陳列にする
・商品特徴がわかるように置く ・
・箱商品の中身がわかるようにする
・カラーグラデーションがきれいに見えるように陳列する
・ゾーニングの直し方
・ゾーンとゾーンのつながりをよくする
・同じタイプ・似たタイプの売場を連結する
・商品が棚に収まる什器デザインにする

ちょっとキリがないので、メモはここでやめときましょうか。
この100倍、キーワードが延々と続いていると仮定して下さい。

それにしても、「人間の出世傾向と人生構築」って何なんでしょうね。(笑)
これ、書くとおもしろくなる思います。
これだけ、まったくVMDと関係ないのですが、今後期待してください。

2.理論化するためのマッシュアップとは

vmdメディアブランド戦略図

メルマガのネタ元わかりましたか。

そう、日常のちょっとした

「こういう考え方があるかも」
「これもっと探求すべきだな」
「解決法があるかもしれない」

ような疑問をキーワードに転換して、PCデスクトップに書いているだけです。

これを時々見ながら、下記の順番で理論にまとめています。

■マッシュアップ順序

  1. X(旧ツイッター)に大ざっぱな考え方を書いてみる。
  2. それをまとめてブログに清書してみる。
  3. ブログをさらにメルマガに書き直して発信する。
  4. 読者の反応がよければ、一部ジャーナル論文にまとめて発表する。
  5. 法人のVMDセミナーに導入してみる。
  6. 法人セミナーでウケたら、売場塾のコンテンツに入れる。
  7. 売場塾のテキストに挿入する。
  8. 理論に沿うワークショップを組み立てる。
  9. ワークショップを売場塾で試験的に導入。
  10. ワークショップ・テキスト理論をレギュラー化。

こんな感じでマッシュアップを繰り返しています。
一番恩恵を感じるのは、やはり売場塾の生徒ではないでしょうか。

10の項目で錬りに錬られた理論を自分のものにできるからです。
そこが、売場塾が有料な所以です。

上記の8から10のワークショップとは実習のことです。
売場塾卒業生はよく知っていると思いますが、売場塾の授業って半分が実習なんです。
手足を動かし、頭で思考することにより、VMD理論は脳の記憶に収納されます。
なので、実習が売場塾のコンテンツの中心になるんです。
オーバルリンクのポジショニングは、VMDのコンテンツクリエイターなのでした。

ブログやツイッターは、教育コンテンツに活用する理論を正当なものに導いていく過程と考えてください。
だから、最新の私のVMD理論を知りたければ、Xをフォローするとよいです。(^^)
ただし、半分はプライベートな話もあるのでご容赦ください。

●深沢泰秀のXアカウント
https://x.com/y_fukasawa

VMDインストラクター協会のXにも時々書いているので、こちらも参考になります。
ただし、こちらは売場塾関連、VMDインストラクター(売場塾の卒業生)の情報が多いです。

●VMDインストラクター協会のXアカウント
https://x.com/vmd_i

ただ、Xを書いているころはかなーり荒いので、アウトプットしたころのメルマガやブログと理論が異なっている場合もたまにあります。
すみません、やっぱりXはメモ書きとしての活用なんです。

なのでやっぱり、無料で最新のVMD理論を得ることができるのは、メルマガ登録が一番いいです。
ぜひご登録ください。

●メルマガ登録はこちら。

メルマガ書く時は、さすがにてにをは直したり、写真をわかりやすいものに入れ替えたりしています。
メルマガは編集後記も入れているので、やっぱりブログよりも丁寧です。

それでも「私メールは見ないので」という方はブログをどうぞ。
●ブログ「月刊VMD 売場づくりの知恵」

3.最終的には書籍になる

VMDの本

マッシュアップ、まだ続きがあるんです。
マッシュアップ10番目は売場塾での理論構築のゴールでしたが、一般書籍化に至るまでは同時並行で進む順番項目があります。

5番目と6番目をもう一度見てみましょう。

5.法人のVMDセミナーに導入してみる。
6.法人セミナーでウケたら、売場塾のコンテンツに入れる。

この順番と平行して走っているのは、下記の作業です。

5′.法人のVMDプランに新理論を組み入れ、実行してみる。
6′.法人のリバイスで効果検証をする。

こうすると、机上の理論が実用となり、理論の正しさが証明されるんです。
その理論の正しさを、法人を取材したレポートとして、ジャーナル論文で再び発表します。

さて、11から順番に列記していきます。

11.ジャーナル論文にて成功した成果を発表する。

12.VMD本を発行する

VMD本の発行の仕方は、自社出版と書店出版があります。
自社出版は「月刊VMD MOOK」という形で出しています。
●商空間ディスプレイ教本

書店出版は、出版会社に企画書を持ち込んで出版化しています。
詳しくは下記をご覧ください。

●マーケティング戦略で売れるVMD本を出版しよう

マッシュアップの仕方、だいたいわかりましたでしょうか。
やっぱり最終的にコンサルタントというものは書籍化が一番ということです。

そのためにこんなルーティンを常にしているので、オーバルリンクは毎回新鮮なVMD理論でコンサルティングできていて、レギュラー客も多いんです。
毎回、セミナーやコンサルを心待ちにしているクライアント様が大勢います。

ということで、VMDインストラクターの皆さん、法人でVMD指導をしている皆さん、ぜひSNSを理論を整えるツールとして活用してください。
ランチや旅行の写真をポストするのはいいですが、ビジネスにも活用しましょう~。

理論構築の仕方をもっと知りたい方は、下記のブログも参考にしてください。

●マッシュアップでVMDハウツーを組み立てよう
●にわかVMD講師を脱出するための7か条
●VMD理論のつくり方と活用の仕方
●日常からVMDの法則をつくる方法

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDの学校「売場塾」は100期になります!

売場塾100期

ただいま売場塾塾は99期を開催中です。
先月末の売場塾はVMD基本講座第2日目。
この日はディスプレイ実習の日でした。

VMD学校売場塾 ディスプレイ実習

今99期ということは、次期は100期。
ゴロがいいので、記念してロゴをつくりました。上記がそうです。
100という数字、達成感があります。(^^)

ついでにいうと、先々月、VMDインストラクター資格取得者は1,000名になりました。
●VMDインストラクター、1001人に

100とか1000とか、エポックメイキングな数字、好きですよ~。
これも、売場塾生の皆様、クライアントの皆様、オーバルリンクスタッフのおかげです。
大変感謝します。

これを機会に売場塾のアーカイブをお話しします。

1.売場塾第1期は生徒ゼロだった

売場塾ができたのは、今から20年前。
2006年の春です。
オーバルリンクを創業してから3年目でした。

VMDの学校をやるきっかけは、事務所を移転したこと。
当時ローレル三田というビルに入居することになり、地下の会議室があることに気がつきました。(下写真)

売場塾を開始したローレル三田ビル

ローレル三田は雑居ビルで小さな会社や大きな企業の営業所みたいな部屋がたくさんある建物でした。
「地下の会議室はほとんど使われていない」と管理人の言葉で、「学校をやろう」と決めました。
それが「売場塾」の始まりです。

ローレル地下の売場塾

こじんまりした会議室ですが、部屋のデザインは気に入ったのて定期的に使うことにしました。
その時のエピソードは下記をご覧ください。
●売場塾生1000人記念アーカイブ

しかし募集を始めたものの、最初の応募者は1名でした。
1名だと様にならないな・・・ということで第1期は中止にしました。

旅行代理店のパンフレットで「最少催行人員」というのがありますよね。
そういう意識で「最少催行人員●名」を謳ってしまいました。
観客数人しかいなかったのにコンサートを行った、人気ヘビメタバンドのKISSみたいにやるべきだったんです。
後々「1名でもやる」と方向展開し、それからずっと会期を重ねてきました。

2.売場塾の講師になる

売場塾の創設者である私は広告代理店に勤務していて、黒子の役割をしてきました。
テレビやラジオ番組制作の他に、タレントの講演会やセミナーも企画してきました。
●好きなことを仕事にするには?

自分が人前に立ち、何かを教えるということは想像していませんでした。

しかし、会社をつくりコンサルティングを始めると、VMDの講座や学校をつくる、という発想はすぐに出てきました。
ひとつの場所に人を集めてコンサルをする、というスタイルはセミナーそのもの。
セミナーを講座とコースにしたものが学校だからです。

「売場塾」という校名もスッと出てきました。
カタチから入る私らしいです。(笑)

売場塾 最初のロゴ

ロゴもパワポですぐつくりました。上記がそうです。
これ、しばらく経つとさすがに変えたくなりました。
さすがにクリエイティブではないからです。

売場塾ロゴ

そこでうちのデザイナーにこのようにつくってもらいました。
文字は正体(真四角ということ)だったので、横体に直してもらい完成!

上記比べるとさすが下の方がいいですね。躍動感があります。(^^)

しかし、今でも不思議なのは、VMDという言葉がロゴの中に入っているのに気がつかない人が多いことです。
ピンクの文字で目立つように入れた割には、どうしてでしょう。

皆さん、VMDが入ってるのがわかりますか?
数々のブランドのネーミングを考え、デザインを考えてきた私にとっては意外です。

●ネーミングによるブランディング

VMDテキスト

さて、今度はテキストです。
テキストも最初はパワポをプリンタしただけのファイル閉じでしたが、13期にA4の無線綴じ教科書にしました。
左が旧テキストです。
年季が入っているのがわかります。

イラストも最初は私がつくったパワポだったんですが、デザイナーのUさんがCADで作ってくれるようになり、私も編集作業をパワポからワード、そしてインデザインにしました。

VMDテキストのイメージ

肝心の講師なんですが、最初は先生やってくれそうな人をスカウトすることにしました。
会社つくって3年目でしたが、理論構築や実績は少ないなりにきちっと積み重ねて来ていました。
しかし、広告代理店時代からの慣習で黒子のままでいいかなと思ったのです。

しかし、この先生選びが難航。
そのころ、私の身の回りのクライアントは電機メーカーや玩具メーカーが多くてそれに対応してくれる実績のVMDプロはほとんどいませんでした。
アパレル・雑貨は得意だけど、「冷蔵庫のVMDを教えられる」「食玩のVMDを教えられる」先生は皆無でした。

私が目指すVMDの学校は、いろいろな業種・業態・取扱商品のVMDプロを育成する教育機関でしたので、アパレルや百貨店に偏りなく総合的に売場づくりを教えられる先生が必要だったんです。

そんなわけで、最終的に私自身が先生をやることを決めました。
しかし先生をやった経験はまったくありません。
いずれにしろ、リハーサルです。
知り合いの広告制作会社の社長に頼んで半日セミナーをすることにしました。
もちろん、無料です。
会場もないので、デザイナーオフィスの空いている机に座って講義しました。
デザイナーは4.5名でしたが、Macのパソコン机に座って講義をよく聴いてくれました。

仮セミナー終わって、制作会社の人たちは「まあ理解できた」という感想でしたが、まだ安心できません。
そこで2000円の公開セミナーを秋葉原の貸会議室で行うことにしました。
中小企業振興公社という私の会社がお世話になっている都の団体が運営しているビルで行いました。

最初のVMDセミナー

募集は声掛け営業、またはネットで行い、初回は10名ほど集まりました。
上の写真は第1回目のセミナーの様子です。
このセミナー、今でもやっていて今度の11月で215回目です。
よろしかったら来てください。
●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

家庭教師さえしたことない私でしたが、広告会社時代はいやというほどプレゼンをしてきたので、「講義はプレゼンと同じ」感覚でやってみました。
テキストが企画書で、そのスライドをプロジェクターで説明しているスタイルは、まるでコンペの際のプレゼン。

セミナーに関するアンケートを取ったら、悪くはなかったのでそのまま、今でもプレゼンスタイルで講義しています。
ぜひ、215回目のライブ公開セミナー、お越しください。(^^)

●売場づくりのディスプレイセミナー 11月20日(木)

3.誰でも先生になれる

というわけで、先生をしていなかった私が、VMDインストラクターという先生を育成する講座で先生をする、というのは奇妙なスタートでした。
もちろん、VMD基本講座はVMDを教える講座ですので、受講者はムリに先生になる必要はありませんが。
●VMD基本講座

しかしながら、売場塾のメソッドはフレームワーキング(R)。
売場づくりを「なんとなくいい」「なんとなく悪い」という抽象的な言葉でなく、正しい言葉で伝えられる人を養成する学校ですので、生徒は先生にならなくても、理論的に人にVMDを伝えられなくてはいけません。
つまり、売場づくりのリーダー育成の学校、それが売場塾なのでした。

●VMDメソッド「フレームワーキング(R)」

私がうれしいと思うことがあります。
それは、卒業生が人前で堂々とVMDコンサルティングしている姿です。

売場塾の初期のころは野外学習ということで、卒業生にVMDの先生になっていただくというワークショップをしていました。
一般公募した受講生にVMDを教えるイベントをしていたのです。
●第4回 VMD実店舗ディスプレイ・ワークショップ講座 報告

もともと人前で話す事が得意な人はそのまま先生できるんですが、どう見ても「この人、先生として大丈夫かな?」という人もいました。
教壇に入る前はすごく緊張していたからです。
しかし、次の瞬間その人たちが立派に先生としてふるまう姿に感心しました。
人間、やればできるんです。
何事もまずは実戦、とにかく一歩を踏み出すのが大事だと体感しました。

しかし、これ続きがありました。

「VMD実店舗ディスプレイ・ワークショップ講座」は無料のワークショップなので、まだにわか先生にとっては救いだったかもしれません。
受講者側にとってリスクはないからです。

問題は有料セミナーです。
2000~5000円で百貨店や専門店のVMD担当を募集して、発表会をやっていただくようになりました。
これは今でも「卒業生トークサロン」という名で続いています。
●売り場作り発表会

すごく緊張する人としない人がいておもしろいのですが、最終的にみんな立派にトークしています。
とても素晴らしいです。
すごく緊張していた人でも一旦セミナーやると慣れてしまい、今度は「これからもセミナーやろう」ということで逆提案してくれます。
この変貌ぶり、すごい!自信みなぎる姿にいつも圧倒されます。(^^)

通常コンサルにしてもそう。
15年くらい前、「VMDパートナー制度」というのを作って、売場塾卒業生にコンサルやセミナーの仕事をしていただいていました。

全然VMD経験のなかった主婦の方、脱サラの方でも、クライアントの売場や店で立派にVMDインストラクターやってくれました。
そんな姿に安心して、丸投げする物件も多数出るようになりました。

1年目はオドオド、オロオロでも、1年経つと見ちがえるようになる。
その瞬間を見るのが楽しみです。

オーバルリンクはVMDコンサル会社なので、次第にライバルは増えてきますが、まったく気にしません。
むしろ、受講生が卒業してお金をVMDで稼ぐようになっていくのはうれしいです。
しかも、ディスプレイをつくる、のではなく、インストラクトつまり「教える」「コンサルする」ことで収益を得ていますので、まさにVMDインストラクターの面目躍如たるところです。

これを書いている時も、メールで売場塾卒業生からお便りが来ました。
ちょうどいいので、全文そのまま紹介します。

「大変お世話になっております。
先日、●●でセミナーを実施しました。
終了後にも質問を受けるなど、VMDの力をあらためて感じました。
内容は売場塾の内容をかなり活用させて頂き、●●の担当からも具体的で良かったとコメントを頂けました。
これを機にこのドメインでのビジネスをしっかりやりたいと思います。
ぜひ引き続き、ご指導を頂けましたら幸いです。
以上、ご報告でございます。
今後ともよろしくお願いいたします。」

なんかラジオのお手紙読み上げみたいですね。(^^)
とにかく、この方にとって初めてのVMDセミナーだったんですが、うまくいったようです。
このように、卒業してすぐにセミナーを行う人は多いです。
「55の売場づくりの型」を使えば、どなたでも分かりやすい講義をすることができるんです。

4.コンサルは店舗診断とリバイスを軸にする

コンサルタントとは、もう先生そのもの。
人を指導して収益を得ているコンサルタントというプロフェッショナルは、一見すると難しい職業だなあ、と思うことでしょう。
1時間、1日、1ヶ月、プロジェクト期間、というように時間単位で報酬を得、クライアントのお店や売場を改善し活性化させる・・・それがVMDコンサルタントです。

一方、VMDインストラクターが私たちの売場を改善してくれる、売上を上げてくれる、ブランドらしい佇まいにしてくれる、そんな期待がクライアントにあります。

初めてVMDコンサルする卒業生は緊張することでしょう。
コンサル初回は「何を話していいか、わからない」とドキマギしているかもしれません。

そんな時、けっこう売場塾に電話が来るんです。
「こんな時はどう対処したらいい?」
「どのようなプレゼンをしたらよい?」
「どんな見積もりを立てたらよい?」
などなど。

しかし、初めてのコンサルでも大丈夫。
自信がなかった方が、緊張しつつもコンサル業務を遂行しています。
それは、VMDコンサルのビジネスモデルさえも売場塾は教えているからです。
つまり、メインVMDコンサル業務として使える、店舗診断とリバイスサービスの取り組み方を売場塾で教えているからです。

コンサルを「店舗診断」というサービスに置き換える。
コンサルを「リバイス」つまり、1日売場改善サービスに置き換える。

このように具体的なコンサルサービスをクライアントに案内・提供していけば、事前にゴールをクライアントがイメージでき、頼みやすく受けやすいコンサル業務を遂行できるんです。

VMDをただ教えるだけでなく、インストラクターという仕事の仕方も教えている売場塾の強みがここにあります。

例えば、英会話学校は英語をビジネスマンに教えています。
生徒が英語ペラペラになりTOEIC800や英検1級取っても、英語を使った儲け方やサービスの仕方、仕事のつくり方まで学校は教えてくれません。

VMD学校や講座はあれど、VMDをどう仕事に生かして企業の中でプロになったり、独立してクライアントから報酬を得るか、そこまで指南する学校は皆無と言えましょう。

論より証拠。
VMDインストラクターという肩書でフリーランスをしている方のホームページを見てください。
その方たちは「研修」「店舗診断」「リバイス」をサービスのメイン項目に掲げています。

ちなみに「店舗診断」「リバイス」サービスは下記リンクを参考にしてください。
●店舗診断
●リバイス

中には、昔は違う分野のコンサルだったのに今はVMDコンサル一本に絞っている方、結構います。
それはやはりVMDコンサルの仕事を確実に得ているからに他なりません。

そして、VMD本を出版したり株式会社を作って事業を拡大したりする方もいます。
オーバルリンクよりも稼いでる方、たくさんいますよ。(^^)

●VMDインストラクターの書いた本

わかりましたか。
売場塾こと始め、そしてVMDインストラクターの成り立ちが。
先生未経験だった私が売場塾の校長100期やっているから、あなたにも絶対先生できます。

ちなみに、「研修」「店舗診断」「リバイス」での指導の仕方、サービスのつくり方を指南している講座は「VMD教育指導講座」です。
興味ある方は、ぜひ下記サイトを除いてください。
VMDで独立起業する方だけでなく、本部VMDとして指導者になりたい方のための授業をしています。

●売場塾 VMD教育指導講座

ということで、生徒の面倒見のいい売場塾、どのくらいいいかは下記説明会でわかります。
どなた様も無料で参加できますので、お気軽にお越しください。

●売場塾&VMDインストラクター説明会

●VMDインストラクターで起業・副業相談会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDインストラクター、1001人に

人数達成ロゴ vmdインストラクター 1001名

1.祝、1,000名達成!

この夏、VMDインストラクターは1,000名に達しました。
うれしいです~。
ひとえに、売場塾生の皆さん、クライアントの皆さん、社員のおかげです。(^^)
大変感謝します。

VMDインストラクター、2006年秋に第1号を輩出してから、1001名になるまで19年と3ヶ月経ちました。

ビジュアル・マーチャンダイジングのプロを作りたいと思い、起業して3年目に始めたのが、VMDの学校「売場塾」でした。
資格制度を設けたのは2期から。
試験制度を導入したのは5期から。
それまではレポートを提出しその評価をもとに資格を発行していました。

ここまでの道のりを振り返ってみました。
200人達成に7年、400人達成に2年2か月、600人達成に2年、800人達成に2年4カ月、そしてコロナ禍もあって1000人に達するまでに5年5ヶ月かかりました。

「VMDインストラクターとは、お客様に取って快い売場環境を提供する、売場づくりのスペシャリスト」とする当初のコンセプトは今もブレていません。

私は資格をつくるにあたり、単なるディスプレイの資格にはしたくありませんでした。
売場塾を始めた当初から、「ディスプレイ」の他に「ショップデザイン」「品揃えと展開」「体験販促」という4分野をベースにしたビジュアルマーチャンダイジングの理論を確立していたからです。
●VMDの4大要素

せっかくの機会なので、VMDインストラクターの歴史を振り返ることにしました。

2.なぜVMDインストラクターという資格名なのか?

1VMDインストラクター事業企画書
2VMDインストラクターコンセプト1

VMDインストラクターはなぜ誕生したのでしょうか。
そのエピソードを紐解くため、事業企画書を公開します。

事業企画書名はズバリ、「VMDインストラクター事業」でした。
これと並行し売場塾を始めたのは2006年でした。
2006年春から始めた売場塾に対して、遅ればせながらその秋に当社株主に提出したのが、この事業計画書でした。

企画書の表紙、ヘンなイラストが描かれてますよね。
そして、下がそのイラストの説明ページです。

VMDインストラクターの定義

すいません、このアイコン、私がパワポで作りました。(^^)
これ、企画書用に考えたVMDインストラクターのイメージなんです。

ブランドのVMD担当者がガイドラインを携えて各店舗を臨店指導しているイメージなんです。
イラストをよく見てください。
「V」というノートを持って走っていますよね。
Vノートがガイドラインで、走っているのはVMDインストラクターです。

ガイドラインとはブランドガイドラインのことで、ブランドショップを支える売場づくりのルールブックと考えてください。
ガイドラインは売場づくりのナレッジ(知識資産)のひとつでもあります。
詳しくは下記リンク参考にしてください。

●ブランドガイドラインとマニュアルの違い

ではなぜ、この人物は走っているのか?
それは、ガイドラインを携えて全国のチェーン店を臨店指導している姿なのでした。
走らなくてもいいんですけどね。(笑)
でもチェーン店、数多くお店を持っているところ多いですよね。
ユニクロのように800店、セブンイレブンのように2万店ある店もあります。
本部VMDって全国行脚しないといけないので、走らないと回り切れません。
なので、こんな形にしたんです。

(最も今はオンラインも発達しているし、労働改革も進んでいるから歩くくらいがいいかもです)

それはさておき、下図を見てください。

VMDのビジネスモデル図

創業当時から当社のVMD業務モデルとして、集合研修→現場研修→ナレッジというものがありました。
これをそっくり、VMDインストラクターの業務に置き換えたんです。

VMDインストラクターは文字通り教育者ですので、集合研修で教える→現場(店舗)研修で教える→ナレッジをつくる、という役目を持たせました。
実際、本部VMDとして働いている方は、この3つがメイン業務でした。

ナレッジとは、前述した通り知識資産のことです。
ブランドガイドラインテキスト、ケーススタディ集などをいいます。
この図のナレッジとは、VMDの知識資産をつくる、という意味です。

私の創業当時、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)はディスプレイの職人というイメージが大きかったです。
企業にとって何が問題だったかと言うと、VMDの属人化です。

ディスプレイがうまい人がいて、ナレッジを独り占めしています。
この場合のナレッジとはノウハウ、ハウツー、スキルという意味です。
このディスプレイがうまい人が企業を辞めてしまうと、ナレッジはそのままその人に持っていかれて企業内に残りません。

売場づくりはうまいが、それを社内の人たちに伝えることなしに辞めてしまうのです。
そのために、インスタラクター、つまり売場づくりを教える人が必要ではないかと痛感していました。
VMDのノウハウ、ハウツー、スキルといったナレッジを従業員に教える人、それがまさにVMDインストラクターなんです。

そういう理由で、今でもVMDインストラクターはブランドガイドラインを作ることをゴールにしていて、そのための専門コースも用意しています。

●VMD指導コース

下記はどんな人にVMDインストラクターは適しているか、仕事としての役割を記しています。

4VMDインストラクター ポジショニング

3.なぜ日本を代表する企業から選ばれるのか

これは一昨年のデータなのですが、VMDインストラクターのうち54%が企業の社内資格として取得しています。
具体的には54社が売場塾を指名して、資格を取得していただいています。
そのうち上場企業は24社。
いくつかの会社名はホームページで公開しています。
●VMDインストラクターのお仕事取材
●当社の実績
●卒業生インタビュー

売場塾卒業生自体1,089名に達しているので、みなさんの身の回りのブランドVMDの方が売場塾に来ていると言って差し支えありません。
ヨーロッパやアメリカのブランドVMDも多く来ています。

あの有名なブランドが、1からVMDを勉強に来ているなんて不思議だと思いませんか?
いいえ、不思議ではないんです。

前出した通り、今までのVMDはとても属人化していました。
寿司職人や伝統工芸職人のように、デコレーターやVMDという職人も長い間、徒弟制度のような業界環境におり、師匠の背中を見て覚えるという不合理な状況にありました。

考えてみてください。
昔は芸術に長けたクリエイターのような方がVMD担当だったかもしれません。
今は、普通の社会人・OLが企業のVMD担当になっています。
デザイナーでもなければ、美大出身者でもありません。(そういう方もおりますが)
日本ではほとんどのVMD担当は販促部に属していて、日々会社員としてVMD活動を営んでいます。

しかも大企業では人事異動も盛んでいきなりVMD担当になることも多いです。
そんな中で一人前のVMDになるのに数年かかってしまうと、組織も立ちいかないでしょう。
そう、VMDに限らずどんな企業でも部署でも即戦力にならないとダメなんです。

しかし、今はそんな徒弟制度に頼るまでもなく、即戦力ある人材を生み出す学校が世の中にたくさんあります。
寿司職人に寿司アカデミー、英語を話す国際人にプログリッドがあるように、すぐVMDの即戦力になれる売場塾が必要なのでした。

そのため、すぐに社内人材をVMDに長けるようにしたい、という会社が売場塾を勧めてVMDインストラクターの資格を取得いただいているんです。

もちろん、会社の指名ではなしに自主的に資格を取る個人の方も多数います。
会社のVMD担当でなくてもそれに関わる部署、例えば販売部に所属しているショップスタッフ、メーカーの営業や広告代理店の方など、売場づくりに関連した方も来ています。
そして受講生の13%はフリーランスの方が資格を取っています。

資格のポジショニング的には、本部のVMD担当をメイン対象者としていますが、売場づくりのプロになりたい方なら、どんな方でも受講できるのが売場塾です。

4.誰でもすぐにVMDインストラクターになれるのか

では、本当に売場づくりの即戦力になれるのか?
ここでなれる!と言ったらうそっぽいので断言はしないです。(笑)

しかし、VMDインストラクターという言葉通り、資格名は「先生」そのものです。
VMD基本講座は3日間18時間で、その後試験を受けてVMDインストラクター認定証をもらって先生になります。

さすがに、まったくの素人が3日間だけでプロになれるかというと、そうではないです。
たとえVMDの経験が豊富な人でも、「教える」というに関しては素人です。
なので、資格を取ったばかりの先生としては、にわか先生でしょう。

だも、どんな職業でも最初はにわか医師、にわか通訳、にわか税理士のはずです。
にわかVMDインストラクターもありなんです。

もう一度上図を見てください。
VMDスクールを「集合研修」、VMDディレクターOJTを「現場研修」と置き換えてください。
最後の「売場ナレッジ」は売場ドッと混むになっていますが、前述のガイドライン、マニュアルに置き換えてください。

何度もいいますが、VMDインストラクターの業務モデルはこれなんです。
つまり、VMDインストラクターは、「集合研修」「現場研修」「売場ナレッジ」ができる先生と定義しています。
これらが、「集合研修」→「現場研修」→「売場ナレッジ」→と回転していく、VMDインストラクター業務モデルなんです。

上図の左側を見てください。
にわかVMDインストラクターがまずはじめにやることは、集合研修の先生です。
これは、にわか先生でも十分できます。
売場塾の55のフレームワークに沿った教え方をすれば、誰もが研修を成功に導くことができます。

その証拠に「VMDインストラクター」とネット検索して見てください。
当社のページが半分、ところどころにVMDインストラクターで起業・独立した方のホームページが出てきます。
この方たちは、今はVMDバリバリのインストラクターですが、最初は集合研修のにわか先生から始めました。

集合研修なら、例え先生の経験がなくてたどだとしくても、立派に教えることができます。
それは売場塾で、VMDの教え方も教えているからです。
独立・起業するVMDインストラクターは、まずセミナーを開くことをおススメします。
それで度胸をつけたら、次は「現場研修」です。

この「現場研修」が問題です。
いくら人前で教えることがうまくなっても、売場という現場では実際に売場をリバイスして、店舗スタッフに教えなければいけません。
教えることに加えて、正しい売場見本がつくれないといけません。

  • 什器とレイアウトを変更する
  • VMD分類を変更する
  • 展示を変更する
  • 陳列を変更する
  • POPを変更する

など、リバイスを実演してスタッフに見せないと納得されません。
しかも、スタッフに「教えながら」売場改善しないといけません。
なぜなら、教えることがVMDインストラクターの責務だからです。

現場指導はさすがに実践と経験を積むことが必要です。
しかし、どんなにわか先生でも半年・1年と経つうちに覚えていきます。
そして2年目には、にわか先生から脱出して真のVMDインストラクターになります。

なので、VMDインストラクターの資格取得はゴールではなくて、スタートなんです。
役割の最後、ナレッジ構築については、現場研修を数多くこなしながら、VMD知識を蓄積してつくります。
その蓄積を整理整頓して、ガイドラインなどを制作するのがVMDインストラクターのとりあえずのゴールです。

そもそも、VMDインストラクターを必要とする会社は、売場づくりの基準がないために、売場塾に社員を送り込むことが多いです。
売場づくりの基準はガイドラインに他ならないのです。

5.VMDインストラクターの13%はフリーランス

そんなことで、VMDインストラクターは、数多くの流通企業から指示されている資格で、資格取得者の87%は会社員です。
それ以外の13%はフリーランスの方。
VMDインストラクターとして起業される方がいます。
具体的には現在142名のフリーランサーがVMDインストラクターです。

フリーランサーは、最初は自宅でVMDインストラクターをやっているけれど、事務所を持って株式会社化する方も出ています。

そして困ったことに!
近年わが社、オーバルリンクと競合になることがあります。(笑)

新規クライアントが、当社とフリーのVMDインストラクターに同時にコンペ依頼したり、アイミツ取ったりする場合が発生してきています・・・。

しかも売場塾卒業生から、当社と同じ新規客のコンペ対応相談に来ることがあります。
つまり、何も知らずに同じクライアントが当社と卒業生をコンペさせているんです!

もちろん、卒業生に当社の存在は言わないし、クライアントにもVMDインストラクター資格のことは話さないのですが。

でも、安心してください。
私は常日頃から、VMDインストラクター資格者からの問い合わせに対して、いろんなアドバイスをしています。
それが会社員でもフリーランサーでも同じように接しています。
たとえ、コンペになっての相談でも、気軽に相談にのっています。
今まで3回そういうことがありました。

実際のところ、フリーランスの方は、例え当社と競合しても、こちらは競合と思っていなので安心してください。(笑)
VMDに関しての問い合わせだけではなく、クライアントへの対応の仕方、新規の客へのプレゼンの仕方なども余すことなく教えます。

そんな中、当社が負けることもありました。
子弟とは師匠を凌駕するものなのです。
でも、これは多分、私の性格だからできる事なのかもしれません。
VMDインストラクターとして、フリーランスの方は儲けてほしいし、会社員には出世してほしいと思っているからです。

それがVMDインストラクターという資格の価値だからです。
だから資格保持者が当社の競合になることは織り込み済み。まったく問題はありません。

●企業がVMDインストラクターという社内先生を作ることにより、オーバルリンクに仕事が来なくなる
●個人がVMDインストラクターになることによって、オーバルリンクの競合になる

このクリティカルコアは、オーバルリンクだからこそのモデルと言えるでしょう。
しかしこのビジネスモデルなくしては、VMDの真のプロは増えないし、職業として大成していかないでしょう。
流通業、ひいては日本の経済に貢献することもできません。

もう一度、VMDインストラクターのコンセプトを振り返りましょう。

「お客様にとって快い売場塾環境を提供する、売場づくりのスペシャリスト」

これは当社の事業コンセプトと一致します。

それは「日本中の売場を買場に、そして快場にする」

この社会的使命のために、わが社はVMDインストラクター事業を続けていきます。
今後ともよろしくお願いします。

VMDインストラクーに興味ある方は、ぜひ説明会にお越しください。
無料です。
●VMDインストラクター&売場塾説明会 /銀座サロン
●VMDインストラクター&売場塾説明会 /オンライン

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

大阪万博で見る、わかりやすい表現とは

大阪万博 パビリオン

0.大阪万博に行ってきた

子供の頃、大阪万博に行ったとき三菱未来館に感動したのを覚えていて、今回も
張り切っていきました。
月日が経っても「映像中心の万博」は変わっていなかったです。
残念だったのは昔は奇抜な装いのパビリオンが多かったけど、今回はそんなでもないこと。
ただ大屋根リングは圧巻で、太陽の塔に匹敵するくらいの崇高な建築物でした。

また、待ち時間がほとんどないことはよかったです。
1970年の暑い夏日の下、1時間以上三菱未来館に入るのを待っていたのを覚えていたからです。
帰りの地下鉄も空いていてゆっくり座れました。

1.アースマーケットのわかりやすい展示

さて、観光とは言ってどうしてもVMD目線で見てしまう各国のパビリオン内展示。
今日は、わかりやすい表現とは何かについて振り返ることができました。

表現とはディスプレイや映像、パネルグラフィックスなど全般的なデザインを指します。
普段、私たちは商品やサービス、ブランドというものをデサインを介してなるべくわかりやすく消費者に伝えています。
今回はその参考になればと思います。

A.世界の人々はどのくらい卵を食べているか

下の写真はシグネチャーパビリオン「アースマーケット」の内部。
未来の食を考える視覚型・体験型のパビリオンで、世界の食事情が理解できます。
まずは卵のシャンデリアを見てみましょう。

アースマーケット- 卵のシャンデリア1

卵のシャンデリア、とてもおもしろいです。
上から吊るされた卵が下の目玉焼きにじょうごのように降り注いでいます。
じょうごの落ちる先に目をやると、巨大な目玉焼きに着きつきます。
この目玉焼き、日本人1人が一生食べる卵の量で、なんと24,000個だそうです!!
そこのフライパンには、各国の1年間の卵の消費量がディスプレイされていました。
シャンデリアは24,000個の卵からできていると想像がつくでしょう。

アースマーケット 卵の消費量

上のフライパンを見て感じるのは、日本って中国の次に卵食べているんですね。
アメリカの人口は日本の2.7倍なのに、日本人の方が米国人より卵食べているんですね。

AIで調べると、日本はすきやきや卵がけご飯など生卵を食べたり、弁当文化がある国民からだとか。
納得です。

B.世界の家庭の食量

アースマーケツト 世界の世帯食品消費量

上は、世界の世帯食品消費量を表したパネル写真群。
標準的な1世帯の1週間の食料をディスプレイしています。

アースマーケット 中国

これは中国のある世帯。

アースマーケット イギリス

これはイギリスのある世帯。

アースマーケット-チャド

これはチャド。

す・すくな!!
少なすぎるのが一目瞭然です。

AIで調べると、チャドは日本の3.4倍の国土面積ですが、最貧国のひとつになっていました。
紛争・難民・気候変動・教育不足などが影響しているようです。

中国はヘルシーな気がしました。
野菜がたくさん見えるからです。
イギリスは、もうスーパーマーケットと密接に関わっているという感じ。
中国と比べて野菜が少なく、加工食品多いですね。

アースマーケット カゴ

これは、1人の日本人が食べる10年分の食量
ねぶた仕様のスーパーのカゴで表現しています。

これは各国の1人が食べる10年分食量のカゴ比較。
中国人は、日本人二人分は食べているのがわかります。
だから太った人多いんですかね。
コンパニオンさんが「中国人は食べ残しが多いから」と言っていました。
もったいないです。

エチオピアは日本人の半分の量。
AIで調べてみると下記でした。やはり栄養が不足しています。

●一人当たり年間食品消費量(カロリー)
・日本 約 2,700~3,000 kcal
・エチオピア 約 1,300~1,500 kcal

理由は、経済水準、農業中心、食文化、インフラ流通など。

食文化の中に「テフ」という穀物があり日本のコメと同じく主食だそうです。
●世界の発酵食探訪

知らなかったです。
勉強になりました!

アースマーケット レシート

これは一週間分の世帯の食料の品目別サイズ。
スーパーのレシートさながらに各国を比較展示しています。
手前はスーダン。
紛争国の一つなんですが、ファバ豆をよく食べているみたいです。
AIで調べたらギリシャ料理で有名らしいです。

左から4つ目はメキシコ。レシート短いです。
やっぱハラペーニュ、つまり唐辛子入っていました。

このように、料理の原材料に何を使っているのか、各国の買い物詳細がわかりました。

C.食卓のイワシの希少性

アースマーケット ぐるぐるイワシ

上写真はイワシの大群のディスプレイ。

キラキラしていて素敵なディスプレイですね。
天井にたくさん渦を巻いて吊るしてあります。
イワシは日本人の食卓の人気者。

アースマーケツト イワシ2

上の写真を見てください。
そのイワシが生まれてから、食卓に上がるまでの一生を展示しています。

まず、1匹のイワシが10万個の卵を産みます。ここからスタート。
卵から稚魚が孵り、成長魚になり、人間に捕まえられて流通に載り、スーパーに陳列され、家庭の食卓に上がるまでの数量の変遷が展示されています。

結論から言うと、10万個の卵のうち3匹しか食卓に上がらないです。
こ・これはスゴイ!!たったの3匹です。
下の写真でイワシの数を比較してください。

これはわかりやすい!!
なんでこんなにイワシが死ぬのか、コンパニオンが説明してくれました。

・孵化率で10万が5万に
10万個のうち半分は孵らない。そのまま死ぬか、孵化直後に他の魚に食べられる。
・稚魚の生存率5万が千匹に
魚の他にクジラや鳥に食べられる。病気や栄養不良になるのもいる。
・成魚へ成長するのは1000匹のうち10匹
・漁獲・加工後の収穫で10匹が5匹に

この時点で稚魚5万のうち5匹しか捕れない。
港でアジ釣りをしているおじさんは貴重なのか?。
・5匹のうち食卓へは3匹

つまりイワシの卵が産み落とされてから0.003%しか食卓に載らないということになります!!!

もうこれを見たお子さんは、「魚きらーい」と言ってられないですね。
食卓にイワシがいても食べない場合は、貴重な0.003%を捨てるということになります。
これは、日本人でなくても「もったいない」精神が再び体内に沸き起こりますね。

アースマーケット イワシ4

このディスプレイはグッドアイデア。
イワシのシルエットにもうぜんと襲い掛かる海鳥の姿が光で表現。

アースマーケット イワシ5

ディスプレイ素材としての工夫は、反射板をくりぬいてつくってありました。
室内クーラーの風にゆらゆら揺れています。
グッドアイデアですね。

2.お店のディスプレイもわかりやすくしよう

ヨドバシカメラのシュレッダー売場

さあー、それでは実際の売場のディスプレイを見てみましょう。
上はヨドバシカメラのシュレッダー売場。
裁断くずが宙に浮いています。
実際に紙を展示品で裁断したものを袋に入れて見せています。

これ、わかりやすいです。
ただ、万博ディスプレイのように細かく数値化するとなおいいでしょう。
各製品ごとのくずボックス容量と同じサイズのビニル袋を吊るすとよかったです。

これはノジマのPOP。
下のティファールのクッカーで実際に作った料理を写真で見せています。
ノジマのスタッフが作りました、とのことなので説得力はあると思います。
材料用意してクッカーに入れれば、こんな料理ができるということです。
わかりやすい!!

万博ディスプレイのように、細かく数値化するとなおいいでしょう。
作ったノジマスタッフの料理歴を提示するとなおよいでしょう。
料理初心者でもできるんだー、というのがわかります。

3.わかりやすい店舗診断シートとは

わかりやすさとは、ディスプレイやPOPだけの問題ではありません。
普段私たちが読む新聞や雑誌、社内企画書、プレゼン資料は、数字をいかにわかりやすく伝えるかにあります。
イラストや写真、グラフやチャートなどを駆使して分かりやすく伝えましょう。

日韓正常化のチャート

上は日韓国交正常化60年における国民の意識調査。
朝日新聞がつくったグラフです。
各国のアンケートの数字が拮抗しているのがわかります。
「心の距離」、確かに近づいてますね。タイトルにあるように。

店舗診断報告書1

当社も「わかりやすい店舗診断書」とは何かを追及してきました。
上の写真を見てください。
最初はこんな感じでした。テキストのみ。
日報みたいな書き方で、店のどこがどう悪いのかじっくり読まなければ分かりませんでした。

次に改良したのはこれ。
店舗の写真を撮って悪いところが映っている写真をピックアップし、それを表とグラフにまとめていました。

この場合、こちらが口頭で説明するとわかりやすいのですが、表がグラフとどうリンクしているのかわかりづらかったです。

店舗診断シート サンプル

そして改良版。
上のタイプになりました。

先ほどの店舗診断シートは色分けがされていないのと、表の大・中・小分類が見にくかったです。
表をフレームワーク用語でソートして色分けして、分類ごとにフォントの強弱をつけてわかりやすくしました。
人間ドックの健診診断表のようにしたので、「お店の健診表」と読んでいます。

表を左から右に読んでください。
一発でお店のどこがどう悪いかがわかります。

表の左を見れば、「このお店の半分はIPが悪いんだ」、
「残りの半分は「POP・サイン」「PP,VP」そして「ゾーニング」が悪いんだ・・・」
ということがすぐにわかります。

そして、今度は右に目を移すと、
「IPは「フェイシング」「くくり」が主に悪いんだ」
「POPは「POPの編集」つまり、POPの置き方が悪いんだ」
「PP,VPは、「テーマ設定」「ディスプレイ用品」「ディスプレイ構成」などが複合的に悪いんだ」

こんなことが表を見ると一目瞭然になります。

※店舗診断サービスはこちらを参考にしてください。
●店舗診断

簡易店舗診断シート

さらに最近は、上図のような「簡易店舗診断シート」をクライアントに配付しています。
4店舗の土産店売場写真2532枚のうち、悪い売場写真が281枚あり、それをフレームワーク別の写真枚数に置き換えています。

これを見ると、「フェイス」の改善が一番優先的な直しというのがわかるでしょう。
なんせ65枚も悪い写真が上がっているからです。
ゾーニングの直しは34枚で、リレーション(売場のつながり)を直す箇所が16箇所というのもわかります。

実はこれはスタッフ研修用につくったもので、研修前にスタッフに渡して「これらのフレームワークを今日覚えれば、店舗の悪い個所はすべて直すことができます」ということを表しています。
店舗診断シートが研修のゴールをも示しているのです。

こんなわけでわが社も、店舗診断シートにしろ、ガイドらラインにしろ、マニュアルにしろ、わかりやすい表現を心がけて、日々更新しています。

4.わかりやすい表現 5つのポイント

今までのことを整理してみましょう。
分かりやすい表現とは、下記のポイントになります。

a.グラフで比較する
棒グラフや円グラフだけでなく、グラフを絵になぞらえた表現にする。
たとえば、イワシの漁獲高グラフの棒をイワシの絵にする。

b.ディスプレイに造形する
家庭の食量を買い物カゴのディスプレイで表現したように、グラフを立体的なものに展示造作して、分かりやすく表現する。

d.写真比較する
同じアングル、同じトリミングの写真を左右・前後にリピートさせることにより、比較がわかりやすいように表現する。
VMDセミナーのリバイス事例もBefore Afterで比較させると効果的。

e.色分けをする
当社の店舗診断シートのように表や文字を色分けして、パッと見、わかりやすいようにする。
当社の場合は陳列はオレンジ、展示はブルーなどと明確に色を決めている。

d.まんがや動画にする
つまりストーリー仕立てにする。これに関しては下記を参照のこと。
●マンガで見るVMDの手法

VMD担当のみなさーん、ディスプレイもPOPも、報告書も店舗診断シートも、見る人がわかりやすいように制作してくださいね。
大阪万博の展示会なみにわかりやすいデザインを心がけましょう。

そうすれば、部下や上司、店舗スタッフに伝わりやすくなり、プレゼンやセミナーでも相手がすぐに理解してくれます。

ちなみに、
当社はわかりやすい公開VMDセミナーを、オンラインは毎月、リアルは3か月に1回、開催していますので、ぜひお越しください。(^^)

●わかりやすいVMDセミナー

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場塾の受講、リアルとオンラインどちらがいいの?

売場塾VMD研修の様子

こんにちは。
売場塾の受講はリアルとオンラインとどちらがいいの?
という質問が時々あります。

売場塾塾長としてリアルとオンラインどちらがおススメかというと、やっぱりリアルかなと思います。
リアル、どこらへんがいいかというと下記です。

●コミュニケーションができる

  • 他の受講生と会話や名刺交換できる。
  • ふとした立ち話ができる。
  • 質問は休み時間にじっくり聞ける。
  • チームでつくるワークショップがあり、他者と交わりながら実習できる。

●ディスプレイ実習が違う

  • リアルはバイキング方式なので、自分の好きなディスプレイ用品が選べる。
  • オンラインはディスプレイ用品が決まっていて所属会社(架空)も決まっている。
  • オンラインで受講生の作ったディスプレイ作品は評価はするが手直しはできない。
  • リアルでは受講生の作ったディスプレイ作品はその場で講師が手直しする。

●フィールドワークが違う

  • リアルは銀座のブランド旗艦店を視察する。
  • オンラインはアメリカの商業施設をグーグルインドアビューで視察する。

●土曜日にやっている

  • 平日は何かと忙しいので、仕事がない土曜日はじっくり授業に没頭できる。
  • 平日と比べてスケジュールが立てやすい。

こんなところでしょうか。
ただ、オンラインのいいところもあります。

●コストがかからない

  • 5,500円教材費が余分にかかるが、交通費や宿泊費がかからない。
  • 自宅でやれば、10時に始まり5時に終わる。タイパになる。

●フレームワーク55はきっちり覚えられる

  • 売場塾の目的であるフレームワーク55の売場づくりの型は、リアルとそん色なく覚えられる。
  • したがって、オンラインだから試験の合格率が低いということはない。

●月曜日にやっている

  • 土曜日に売場塾に出ても休日出勤に該当しない社会人は、手当や代休がもらえないケースがある。月曜日だったら社内研修ということで、勤務に相当するので便利だし会社の空いたスペースで受講できる。
  • もちろん、リモートワーク可の会社ならそのまま勤務扱いで自宅で受講できる。

という感じです。
オンライン、もともとはコロナ禍で始めたコースなんですが、コロナ禍終わった今でも一定の需要があり、リアルよりオンラインの方が出席者多い、なんて期もあります。

いずれにせよ、公私に合わせてコースを選ぶことができますし、どうしても行けなくなった日は無料補講制度も利用できます。
詳しくは下記ご覧ください。

●売場塾Q&A

また、説明会は毎週開催していますので、お気軽にお越しください。(^^)

●売場塾&VMDインストラクター説明会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

オーバルリンクは創業23年

オーバルリンク創業23年

来月でオーバルリンクは23期に突入。
VMD専門会社をつくってから22年の歳月が経ちました。

あと2年で四半世紀に達します。
1世紀の1/4というのもいいですね。
創業後20年続く会社は0.4%しか残らないと言われています。
私共の会社は生き残り組です。(^^)
これも皆々様のおかげと感謝します!

オーバルリンクはできれば100年続く社にしたいと思います。
売場がある限り、VMDの需要は存続するとはずです。
ただし、100年後、いや5年後も10年後も売場という形態は変わっていくでしょう。

ましてや100年後なんて「買う」行為そのものも大きく変わっていることでしょう。
その時、VMD専門会社はどうあるべきか?
私たちはVMDの概念をも変えるパラダイムシフトを繰り返さなければいけません。

ただ、ひとつ言えることは当社のコンセプト「売場を買場に、そして快場にする」は100年経ってもゆるぎないものと考えます。

100%国民配給制になることはありえず、このずっと先も生活者は買い物をしなければいけません。
楽しく買い物できる、買い物が快い!そんな環境をずっとずっと大事にしていきたいと私は思ってやみません。

※快場についてのコンセプトはこちら。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

2025年 年賀

明けましておめでとうございます。

今年の年賀は食器で獅子舞いディスプレイ作ってみました。(^^)
メイキングはこちら。

今年も今月から、いろいろな催しスタートです!
どなた様もお待ちしております。

株式会社オーバルリンク  代表取締役 深沢泰秀

🔶売場塾 2025新春開講日程

売場塾は一昨年から銀座にて開催しています。
【リアル講座】
●VMD基本講座 1月18日(土)開講
●アパレル基本講座 2月8日(土)開講
●VMD教育指導講座 2月15日(土)開講
●ディスプレイ指導講座 3月1日(土)開講
●POP指導講座 3月8日(月)開講
【オンライン講座】
●VMD基本講座 2月17日(月)開講
●VMD教育指導講座 3月17日(月)開講
●ディスプレイ指導講座 3月24日(月)開講
●POP指導講座 3月31日(月)開講

→各講座詳細
→売場塾説明会・プレセミナー

🔶銀座リアルセミナー開催中

VMDを学ぶ入門セミナー。3ヶ月に1回月開催しています。
●「VMD売場づくりの基礎セミナー」
1月23日(木) 10:00開催
●歩いてVMDを知る!銀座フィールドワーク同時開催。

🔶オンライン センスアップセミナー開催中

ディスプレイセンスをアップするセミナー。毎月開催しています。
●オンライン「センスアップセミナー」ディスプレイ構成PART4
1月30日(木) 11:00開催

ディスプレイすれば生活は潤いになる

今年もあとわずかになりました。
皆さん、今年はどんな年でしたか。

パリオリンピックや大谷選手の活躍があったとはいえ、世の中は混乱を極めています。
私が驚いたのは、SNSによる影響大の選挙でした。

クリスマスの朝、コーヒーを飲んでいるときにふと思いました。

「クリスマスの朝なのになんかパッとしないな・・・」

テーブルの上はこんな感じでした。

ティッシュとリモコンが中央に鎮座している、物足りない食卓。
日差しは気持ちいいのに、よどんでいました。

もっと華やかにしたいなと思い、100円ショップで買ったプロップスでテーブルを3分で飾りました。
ほとんどテキトーです。

でも経った3分で下記のような食卓になりました。

赤いランチョンマットを黒い物の上に載せて、中央にダイソーのポインセチアをセット。
それでも、物足りないのでにせものの果物と棚からワイングラスを出して飾りました。

これがBefore After。

これだけで、クリスマスの朝らしくなりました。
とても気持ちいいです。

私たちはふだんVMDという仕事をしていて、いろんなブランドの店や売場を「快場」に変えています。
快場とは、ショッピンクが快い売場という意味です。

●快場とは

思えば、自分の空間、つまり家も快場にしないといけないですね。
積水ハウスではないけれど、「家に帰れば~快場~」。

ほっとする空間、らしい空間、家族が集える空間、創造的な空間。
あなたらしい快場がちょっとディスプレイを変えるだけで出現するんです。

黒と白のコースター・ランチョンを使えば、あなたの好きなパンダになるし。

青いつぶつぶ置けば、ツリーになるし。

大掃除でいらなくなったコードを使ってもいいです。

ゴミになるはずのネスレの箱を使って花時計をつくってもいいです。

私の書斎の書棚は、怪獣が大暴れしています。(^^)

書斎に入ると楽しくなります。

ということで、世の中いいことも悪いことも来年も起こると思います。
憂鬱な日もあるかもしれませんが、生活のうるおいは保ちましょう。
それが心の余裕を与えてくれます。

ほんの小さなディスプレイ、生活の中につくってみませんか。
お仕事忙しいみなさーん、来年もこれからもぜひ心の余裕を持ってくださいね。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

マーケティング戦略で売れるVMD本を出版しよう

VMDの教科書

今日は本の出版の仕方についてお話しします。
単なる本の出し方ではなくて、あなた個人や会社のビジネス戦略としてどう本を企画するか?についてお話しします。

起業した方なら誰しも「本を出したい」と思ったはずです。
売場塾生も個人として、会社として本を出版している方がいます。
それはこの間のブログでも紹介しました。
●VMDインストラクターの書いた本

私自身も本を出版していて市販本は3冊、自費出版1冊になります。
私の場合、売場塾をやっているので圧倒的にテキストが多くてこちらは9冊。
こちらはこの19年途切れることなく改訂し、出版し続けています

0.本を出す目的と手順

まず本を出したい方は目的を明確にした方がよいです。
単に本を出したいなら自費出版で十分だと思います。

以前ある出版社の自費出版説明会に行ったことがあるんですが、参加者は熱気むんむん、すぐに出版したいという方が多く集まっていました。
占い本を出したい人、旅行記を出したい人など、いろいろな方がいて、次々に出版社と契約されていました。

自費出版というものの、書店の流通に載り小売店に自分の本が置かれ、国立国会図書館にて永遠に保存されるという特典付きです。

ただ、ほとんどの方が、本で儲けるというよりは自分の証を世に出してみたいという動機が多いような感じがしました。
難しいイラストや写真などがないテキストだけの本なら100万円台で出版出来るということで、本を出したい人の夢をかなえてくれる、そんな出版社のシステムでした。

こんなわけで、単純に「本を出す」という既成事実を作りたい方ならこれで十分。
自費出版と言わなければ、「著名な出版社から本を出した!!」ということになるので、人に誇れます。

しかし、自費出版会社も今や大なり小なり出現しているので油断は禁物、準備金や制作費まで取る出版社もあって最終的には高くなる危険性もあります。
そこは十分気をつけてください。

VMD本企画書表紙

さて、今回は私の本「展示と陳列の法則」を題材にして、本の出版をどのように進めたらいいか、手順をお教えします。

  1. 出版社に企画を持ち込む
  2. 競合本を研究する・・・「企画の前提」
  3. コンセプトを決める・・・「本書の内容」
  4. 読者モデルを決める・・・「本の対象」
  5. ポジショニングを決める・・・「ターゲット別シリーズ企画」
  6. コンテンツを決める・・・「構成案」
  7. コンテンツを作る・・・「体裁と要望」
  8. 出版社に入稿する

実はこの順番、書籍企画書を出版社にプレゼンした企画書のページタイトルに準じています。(上の写真は企画書の表紙です)
この項目を見てあなたは「なんか、マーケティングみたい」と思ったことでしょう。
そう、本を出版することはまさにマーケティングなんです。

ほとんどの方が「本を出したい」と思っても、あまり企画を錬らずに出版しているのではないでしょうか。
そして出したことに満足して、ホームページやSNSで紹介しそれで終わり、なんて感じになっていると思います。

それではもったいない。
本を出すことは、下記の効果があるんです。

  • 会社や自分の広報になる
  • 商品やサービスのPRになる
  • 本が商品になる
  • 本が広告媒体になる
  • 本が論文発表の場になる

本を出す前に、これらを念頭に入れてじっくり企画を練りましょう。
そうすれば、「出して終わり」にならずに上記の効果を十二分に獲得できます。

それでは前述の手順通りに解説していきます。

1.出版社に企画を持ち込む

上記手順1~7のタイトルで構成された28ページの企画書を持って、出版社に提案しました。
出版社の選定について、私の場合は知り合いを通じましたが、好きな出版社に飛び込みでもいいと思います。
電話でアポを取ったり、事前に企画書をメール添付するなどしましょう。
私の場合は前職が広告代理店でしたので、出版社に知り合いがある程度いました。
なので、企画書を提案するのは数社に絞り、最後に1社に決めたのでした。

出版社で企画書の説明をした後、編集者からいい返事をもらいました。
出版はすぐに決まりました。
大手出版社の場合、出版の可否は社内稟議になるので、やっぱり精度の高い企画書は作った方がよいです。

2.競合本を研究する・・・「企画の前提」

VMD本「企画の前提」

本を作るにあたって、現状でどんなVMD本が書店やアマゾンで販売されているか調査しました。
普段からVMD本はくまなく読んでいましたので、どの本もだいたい内容は分かっていました。
出版社も「売場づくり」や「ビジュアルマーチャンダイジング」などのキーワードで市場調査してくれるので、だいぶ市場が掴めました。
それには各VMD本の読者モデル別・月別売上推移が提示されているので、どのジャンルの本がどの読者に好まれているかがわかりました。

また、大手書店に行き、どの分類の書棚にどのVMD本が並んでいるか探ってみました。
その結果は、上記の1ページに組み込みました。

VMD本はだいたい次の2つに分類されていました。

●お店・売場づくりの本
  ・・・経営・マーケ・流通業の棚に多く、テキスト中心のカタイ本
●ディスプレイ・VMDの本
  ・・・VMDといってもほとんどディスプレイの本でファッション・趣味的な本

この2つの中間が狙い目だな、と思いました。
そして出す本を下記のように定義しました。

高級店ではない、スーパーや商店のような
 普通の店の売場づくりをオシャレに恰好よく
 アート的に教える本は皆無です。
 当本は、アート・デザインとビジネスの中間
 を行く、新ジャンルの売場づくりの本です。」

つまり、小売りの売上を上げるのが目的のカタイ実務本ではなくて、ビジネス・ノウハウと、アート・スキルを兼ね備えたマルチな書籍を目指しました。

3.コンセプトを決める・・・「企画主旨」「本の内容」

VMD本「企画主旨」

上のページを見てください。
本を出す目的をコンパクトにまとめました。

企画意図)
「売場塾」を本にしたい
企画の背景)
「VMD」はオシャレな職業となりつつある

この企画書って、東日本大震災前に提案した2010年当時でした。
そのころの売場塾生はまだ150名。
今でこそ1,000名近くいるんですが、当時は今の15%。
当然、この本は売場塾のPRのために出しました。

単純な売場塾PRでなく、下記の目的もありました。

  • 会社や自分の広報にする
  • 商品やサービスのPRにする
  • 本自体を商品にする

そこで、切り口を下記のようにしました。

MD本「本書の内容」

そう、VMDインストラクターが教える「VMDの教科書」にしたんです。
つまり、売場塾の卒業生はこの時点で150名しかいないけれど、優秀なブランドのVMD担当が多いので、私というよりも卒業生を取材して売場づくりを語ってもらう本にしました。
シャルマンやエミスフェール、ダッドウエイやダーバンといったブランドVMD担当に協力いただき、たくさんの売場・ディスプレイ写真と共に売場づくりのノウハウを教える教科書としました。

編集者のイメージが湧きやすいように、帯広告のキャッチフレーズを企画書ページに入れました。

それには

「売れる売場をつくり続けているプロ(VMDインストラクター)が教えるVMDの教科書」

とあります。

これがまさに本のコンセプトでした。
最終的にこれらキャッチフレーズをまとめた表紙は下写真のようになりました。

VMD本の表紙

4.読者モデルを決める・・・「本の対象」

VMD本読者モデル

誰を読者にするか?
これは本を出す上でけっこう大事なことです。

皆さんは本を書く時、漠然と「売場づくりに興味がある人」「店員さん」「小売店」などと、対象をしっかり絞らずに内容決めていませんか。

VMDの本を出すから小売店の人、というのはあまりにも対象範囲が広すぎます。

本屋でどの棚に置いてほしいか?そこにはどんな人が来てほしいのか?
アマゾンでは、どのジャンルやページに掲載されるべきか?

を想定しないといけません。

つまり、読者モデルです。
最初、私は上記の企画書ページのように読者モデルを考えました。
それは、小売店、VMD担当者という軸ではありませんでした。

  • ホワイトカラー自分磨き社員
  • ライセンス・カルチャー女性
  • 売上一直線現場販売員
  • こじゃれた店大好き買い物女性

このポジショニングマトリクスを作って、「こじゃれた店大好き買い物女性」以外をターゲットとしました。
「こじゃれた店大好き買い物女性」だと一般女性になってしまい、VMD学校・売場塾とは、ほど遠い縁だと思ったからです。

また、よく考えると「売上一直線現場販売員」も本のコンセプトに合わないと思いました。
前述の通り、売上を上げるのが目的のカタイ実務本ではなくて、ビジネス・ノウハウと、アート・スキルを兼ね備えたマルチな書籍を目指していたからです。

そこで、2次元マトリクスをこのように変えました。

VMD本読者モデル2
  • ホワイトカラー自分磨き社員
  • ヒューマンアカデミー・カルチャー女性

ヒューマンアカデミーというのは、カルチャーセンターというよりも社会人向け各種学校で、読売カルチャーとかNHKカルチャーと違い、深く学びスペシャリストになりたい女性が行く学校です。
なので、少し企画書にその名前を借りました。

こんな感じで対象を絞ってください。
すると、ページ構成やデザインなどのコンテンツの方向性がおのずと出てきます。

5.ポジショニングを決める・・・「ターゲット別シリーズ企画」

VMD本ターゲット別シリーズ企画

次にどんな業界をターゲットにコンテンツを考えるか?をマトリクスに示しました。
やっぱり最初は(1)の「女性」「百貨店・専門店」にしました。
スーパーマーケットやコンビニも流通業界の雄だけど、最初に出すVMD本はやはり百貨店や専門店の売場やディスプレイの方がウケる、と思いました。

確かに売場塾の授業やテキストは、その業界以外にスーパーゃホームセンター、家電量販店、自動車用品店やコンビニなど、業種・業態・取扱商品問わないオムニバスなコンテンツなんですが、企画する本は「アート・デザイン的」という方向性を持っているので、やはり華やかな店の方がよいと思ったわけです。

コンビニやスーパーの方、大変申し訳ありません。
貴社の売場がアート敵ではない、というわけではありませんので、誤解しないでください。

なので、掲載対象にした店はこのように、ブランドショップ、セレクトショップ、百貨店内専門店、になった次第です。

VMDの教科書

さて、上記企画ページを見てお気づきの方は、この企画、シリーズ展開を狙っていることが分かったと思います。(^^)

6.コンテンツを決める・・・「構成案」

次はいよいよ構成案です。
その前にもう一度、コンセプトを整理しましょう。

「当本は、アート・デザインとビジネスの中間を行く、新ジャンルの売場づくりの本」「売れる売場をつくり続けているプロ(VMDインストラクター)が教えるVMDの教科書」

これがコンテンツ全体を覆うフィルターになっています。
冒頭の「快場の章」はまさに当社が目指す売場のあるべき姿。
心地よい売場「快場」とは何かについて語りました。

「陳列の章」と「展示の章」は、大いに売場塾生に協力いただき、売場塾生のブランドショップを取材して、彼ら彼女らのVMDを写真で紹介。
どのように日ごろ売場づくりをしているか語っていただきました。

「ディスプレイの章」は企画書の時点ではあったんですが、陳列と展示とダブるのでやめました。

そして「あなたもVMDインストラクターになれる!」の章では、売場でなくVMDインストラクターその人を取材しました。
売場塾生の皆さん、取材協力ありがとうございました。

7.コンテンツを作る・・・「体裁と要望」

VMD本のページ体裁

具体的にイラストレーターでページをつくってみました。
本のサイズはA4版と大きめのページにしました。
売場写真をふんだんに、なるべく大きく使いたいからです。

この本、VMDのレッスン本という体裁で全部で19レッスンつくりました。
1レッスン4ページとし、最初の見開きが「基本編」、次の見開きを「応用編」としました。
基本編は、売場塾の名物となっているコップ・ワークショップを紹介しました。
コップを使って陳列や展示をつくるというシンプルな表現を採用しました。
コップは、色・柄・サイズ・素材・用途・年齢・季節などいろいろなMD分類要素があるので、万能のVMD教材なんです。
このノウハウを惜しげもなく提供しました。

このページは売場塾の普段やっているワークショップの一部も垣間見えるので、学校のPRにもなりました。
そして売場塾生の所属している会社16社をリストアップして、「基本編」のコップのワークショップで培ったスキルが売場でどのように生かされているか、丁寧に取材し写真をたっぷり使い「応用編」として紹介しました。

企画意図)
「売場塾」を本にしたい
企画の背景)
「VMD」はオシャレな職業となりつつある

つまり前述のこれを具現化したわけです。

8.出版社に入稿する

こんな感じで企画しを練って1年かけて作りました。
とても大変でした。。。。

文章を書くだけならまだいいんですが、

  • カメラマン
  • デザイナー
  • インタビュアー
  • プロモーター

と、すべて1人でやりました。
取材するVMDインストラクターは大手ブランドに所属している人が多いので、まず広報部を通さなければいけません。
その交渉と打合せが大半のページに必要で、本の制作で一番時間がかかりました。

また、本の基本デザインや写真レイアウトも自分で作りました。
広告代理店時代からトコトンやらないと気が済まない性格がよけいな労力を生みました。(笑)

ですので、ページ入稿はすべてイラストレーター、写真のトリミングもフォトショップで調整して入稿しました。
カメラマンもしたので、撮影用にオリンパス一眼レフカメラも買いました。

取材先各社の広報部とやりとりする、取材・写真・本文・色校・ゲラは、私の広告代理店時代を思い出させました。
いい作品を残したいという構えは、起業してからも同じでした。

広告代理店時代のエピソードは下記を読んでください。
●好きなことを仕事にするには

9.本でどんな恩恵を受けたか

VMD本キャンペーンによる売場塾推移

そんなことで本は全国で売り出されました。
結果、下記の目的は「本が広告媒体になる」以外は達成しました。

  • 会社や自分の広報になる
  • 商品やサービスのPRになる
  • 本が商品になる
  • 本が広告媒体になる
  • 本が論文発表の場になる

初回4,500部出版しましたが、2年くらいで売り切れました。
「本が商品になる」機会が多く、1/3は大手ブランドの研修本として売れました。
コンセプトが「VMDの教科書」ということもあり、VMD研修のテキストとして、社員の教養本としてお買い上げいただくケースが続出しました。

この本から売場塾を知り、入学いただく方も多かったです。
売場塾卒業生で起業している方は、自分のセミナーのテキストとして使っていただく方もいました。

上記のグラフは売場塾のコース別生徒数推移です。
緑線がVMD基本コースです。
売場塾サービスが認知され、急激に上昇しているのがわかります。

皆様、大変ありがとうございました。
そして、そして取材に応じていただいたVMDインストラクターに大変感謝します。
クライアントの皆様にもお時間を取っていただいたり、広報へつなげていただいたりと骨を折っていただき厚く御礼申し上げます。

やがてこの本は海外からも出版オファーが入り、中国語に翻訳され、海外出版されました。(下写真)

10.後日談

「シリーズでやっていこう」と意気込んだ私でしたが、あまりにも制作が過酷だったため、2シリーズ目はトーンダウン。。。
とりあえず翌年もう1冊、別の出版社から「商品陳列 最強のルール」を出して、執筆はビジネス誌に戻りました。

最初の本はあまりにも手を入れ過ぎました。。。
通常業務が忙しくなったのもビジネス誌にシフトした理由の一つです。
ビジネス誌執筆は本と違いページ少ないので・・・。

そして今は出版社に頼らない自費出版にシフトしています。
これもなかなかよいですよ。(^^)
自分で製本する自費出版の出し方に関しましては、またの機会にお話ししようと思っています。

ちなみに下記が昨年出した自費出版本です。

●商空間ディスプレイ教本

なお、「陳列と展示の法則」は今は絶版になってしまいましたがアマゾンでは中古で手に入ります。
こちらのリンクから探ってみてください。
●魅せて・買わせる 陳列と展示の法則

ということで、VMDプロの皆さん、本の出し方分かりましたでしょうか。
ぜひ、マーケティング戦略をしっかり立てて出版してくださいね。
すると、自分や自分の会社にプラスになること間違いなしです。
新しい本出したら教えてください~。

最後に、印税がどのくらいあったかお教えします。
印税10%として1,600円の本は160円、×4,500部なので72万なんです。
印税だけで儲けようと思ったら、5万部は最低売れないとダメです。

なので、本を出すのは広告・販促の一種だと思ってください。(^^)

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)