大阪万博で見る、わかりやすい表現とは

大阪万博 パビリオン

0.大阪万博に行ってきた

子供の頃、大阪万博に行ったとき三菱未来館に感動したのを覚えていて、今回も
張り切っていきました。
月日が経っても「映像中心の万博」は変わっていなかったです。
残念だったのは昔は奇抜な装いのパビリオンが多かったけど、今回はそんなでもないこと。
ただ大屋根リングは圧巻で、太陽の塔に匹敵するくらいの崇高な建築物でした。

また、待ち時間がほとんどないことはよかったです。
1970年の暑い夏日の下、1時間以上三菱未来館に入るのを待っていたのを覚えていたからです。
帰りの地下鉄も空いていてゆっくり座れました。

1.アースマーケットのわかりやすい展示

さて、観光とは言ってどうしてもVMD目線で見てしまう各国のパビリオン内展示。
今日は、わかりやすい表現とは何かについて振り返ることができました。

表現とはディスプレイや映像、パネルグラフィックスなど全般的なデザインを指します。
普段、私たちは商品やサービス、ブランドというものをデサインを介してなるべくわかりやすく消費者に伝えています。
今回はその参考になればと思います。

A.世界の人々はどのくらい卵を食べているか

下の写真はシグネチャーパビリオン「アースマーケット」の内部。
未来の食を考える視覚型・体験型のパビリオンで、世界の食事情が理解できます。
まずは卵のシャンデリアを見てみましょう。

アースマーケット- 卵のシャンデリア1

卵のシャンデリア、とてもおもしろいです。
上から吊るされた卵が下の目玉焼きにじょうごのように降り注いでいます。
じょうごの落ちる先に目をやると、巨大な目玉焼きに着きつきます。
この目玉焼き、日本人1人が一生食べる卵の量で、なんと24,000個だそうです!!
そこのフライパンには、各国の1年間の卵の消費量がディスプレイされていました。
シャンデリアは24,000個の卵からできていると想像がつくでしょう。

アースマーケット 卵の消費量

上のフライパンを見て感じるのは、日本って中国の次に卵食べているんですね。
アメリカの人口は日本の2.7倍なのに、日本人の方が米国人より卵食べているんですね。

AIで調べると、日本はすきやきや卵がけご飯など生卵を食べたり、弁当文化がある国民からだとか。
納得です。

B.世界の家庭の食量

アースマーケツト 世界の世帯食品消費量

上は、世界の世帯食品消費量を表したパネル写真群。
標準的な1世帯の1週間の食料をディスプレイしています。

アースマーケット 中国

これは中国のある世帯。

アースマーケット イギリス

これはイギリスのある世帯。

アースマーケット-チャド

これはチャド。

す・すくな!!
少なすぎるのが一目瞭然です。

AIで調べると、チャドは日本の3.4倍の国土面積ですが、最貧国のひとつになっていました。
紛争・難民・気候変動・教育不足などが影響しているようです。

中国はヘルシーな気がしました。
野菜がたくさん見えるからです。
イギリスは、もうスーパーマーケットと密接に関わっているという感じ。
中国と比べて野菜が少なく、加工食品多いですね。

アースマーケット カゴ

これは、1人の日本人が食べる10年分の食量
ねぶた仕様のスーパーのカゴで表現しています。

これは各国の1人が食べる10年分食量のカゴ比較。
中国人は、日本人二人分は食べているのがわかります。
だから太った人多いんですかね。
コンパニオンさんが「中国人は食べ残しが多いから」と言っていました。
もったいないです。

エチオピアは日本人の半分の量。
AIで調べてみると下記でした。やはり栄養が不足しています。

●一人当たり年間食品消費量(カロリー)
・日本 約 2,700~3,000 kcal
・エチオピア 約 1,300~1,500 kcal

理由は、経済水準、農業中心、食文化、インフラ流通など。

食文化の中に「テフ」という穀物があり日本のコメと同じく主食だそうです。
●世界の発酵食探訪

知らなかったです。
勉強になりました!

アースマーケット レシート

これは一週間分の世帯の食料の品目別サイズ。
スーパーのレシートさながらに各国を比較展示しています。
手前はスーダン。
紛争国の一つなんですが、ファバ豆をよく食べているみたいです。
AIで調べたらギリシャ料理で有名らしいです。

左から4つ目はメキシコ。レシート短いです。
やっぱハラペーニュ、つまり唐辛子入っていました。

このように、料理の原材料に何を使っているのか、各国の買い物詳細がわかりました。

C.食卓のイワシの希少性

アースマーケット ぐるぐるイワシ

上写真はイワシの大群のディスプレイ。

キラキラしていて素敵なディスプレイですね。
天井にたくさん渦を巻いて吊るしてあります。
イワシは日本人の食卓の人気者。

アースマーケツト イワシ2

上の写真を見てください。
そのイワシが生まれてから、食卓に上がるまでの一生を展示しています。

まず、1匹のイワシが10万個の卵を産みます。ここからスタート。
卵から稚魚が孵り、成長魚になり、人間に捕まえられて流通に載り、スーパーに陳列され、家庭の食卓に上がるまでの数量の変遷が展示されています。

結論から言うと、10万個の卵のうち3匹しか食卓に上がらないです。
こ・これはスゴイ!!たったの3匹です。
下の写真でイワシの数を比較してください。

これはわかりやすい!!
なんでこんなにイワシが死ぬのか、コンパニオンが説明してくれました。

・孵化率で10万が5万に
10万個のうち半分は孵らない。そのまま死ぬか、孵化直後に他の魚に食べられる。
・稚魚の生存率5万が千匹に
魚の他にクジラや鳥に食べられる。病気や栄養不良になるのもいる。
・成魚へ成長するのは1000匹のうち10匹
・漁獲・加工後の収穫で10匹が5匹に

この時点で稚魚5万のうち5匹しか捕れない。
港でアジ釣りをしているおじさんは貴重なのか?。
・5匹のうち食卓へは3匹

つまりイワシの卵が産み落とされてから0.003%しか食卓に載らないということになります!!!

もうこれを見たお子さんは、「魚きらーい」と言ってられないですね。
食卓にイワシがいても食べない場合は、貴重な0.003%を捨てるということになります。
これは、日本人でなくても「もったいない」精神が再び体内に沸き起こりますね。

アースマーケット イワシ4

このディスプレイはグッドアイデア。
イワシのシルエットにもうぜんと襲い掛かる海鳥の姿が光で表現。

アースマーケット イワシ5

ディスプレイ素材としての工夫は、反射板をくりぬいてつくってありました。
室内クーラーの風にゆらゆら揺れています。
グッドアイデアですね。

2.お店のディスプレイもわかりやすくしよう

ヨドバシカメラのシュレッダー売場

さあー、それでは実際の売場のディスプレイを見てみましょう。
上はヨドバシカメラのシュレッダー売場。
裁断くずが宙に浮いています。
実際に紙を展示品で裁断したものを袋に入れて見せています。

これ、わかりやすいです。
ただ、万博ディスプレイのように細かく数値化するとなおいいでしょう。
各製品ごとのくずボックス容量と同じサイズのビニル袋を吊るすとよかったです。

これはノジマのPOP。
下のティファールのクッカーで実際に作った料理を写真で見せています。
ノジマのスタッフが作りました、とのことなので説得力はあると思います。
材料用意してクッカーに入れれば、こんな料理ができるということです。
わかりやすい!!

万博ディスプレイのように、細かく数値化するとなおいいでしょう。
作ったノジマスタッフの料理歴を提示するとなおよいでしょう。
料理初心者でもできるんだー、というのがわかります。

3.わかりやすい店舗診断シートとは

わかりやすさとは、ディスプレイやPOPだけの問題ではありません。
普段私たちが読む新聞や雑誌、社内企画書、プレゼン資料は、数字をいかにわかりやすく伝えるかにあります。
イラストや写真、グラフやチャートなどを駆使して分かりやすく伝えましょう。

日韓正常化のチャート

上は日韓国交正常化60年における国民の意識調査。
朝日新聞がつくったグラフです。
各国のアンケートの数字が拮抗しているのがわかります。
「心の距離」、確かに近づいてますね。タイトルにあるように。

店舗診断報告書1

当社も「わかりやすい店舗診断書」とは何かを追及してきました。
上の写真を見てください。
最初はこんな感じでした。テキストのみ。
日報みたいな書き方で、店のどこがどう悪いのかじっくり読まなければ分かりませんでした。

次に改良したのはこれ。
店舗の写真を撮って悪いところが映っている写真をピックアップし、それを表とグラフにまとめていました。

この場合、こちらが口頭で説明するとわかりやすいのですが、表がグラフとどうリンクしているのかわかりづらかったです。

店舗診断シート サンプル

そして改良版。
上のタイプになりました。

先ほどの店舗診断シートは色分けがされていないのと、表の大・中・小分類が見にくかったです。
表をフレームワーク用語でソートして色分けして、分類ごとにフォントの強弱をつけてわかりやすくしました。
人間ドックの健診診断表のようにしたので、「お店の健診表」と読んでいます。

表を左から右に読んでください。
一発でお店のどこがどう悪いかがわかります。

表の左を見れば、「このお店の半分はIPが悪いんだ」、
「残りの半分は「POP・サイン」「PP,VP」そして「ゾーニング」が悪いんだ・・・」
ということがすぐにわかります。

そして、今度は右に目を移すと、
「IPは「フェイシング」「くくり」が主に悪いんだ」
「POPは「POPの編集」つまり、POPの置き方が悪いんだ」
「PP,VPは、「テーマ設定」「ディスプレイ用品」「ディスプレイ構成」などが複合的に悪いんだ」

こんなことが表を見ると一目瞭然になります。

※店舗診断サービスはこちらを参考にしてください。
●店舗診断

簡易店舗診断シート

さらに最近は、上図のような「簡易店舗診断シート」をクライアントに配付しています。
4店舗の土産店売場写真2532枚のうち、悪い売場写真が281枚あり、それをフレームワーク別の写真枚数に置き換えています。

これを見ると、「フェイス」の改善が一番優先的な直しというのがわかるでしょう。
なんせ65枚も悪い写真が上がっているからです。
ゾーニングの直しは34枚で、リレーション(売場のつながり)を直す箇所が16箇所というのもわかります。

実はこれはスタッフ研修用につくったもので、研修前にスタッフに渡して「これらのフレームワークを今日覚えれば、店舗の悪い個所はすべて直すことができます」ということを表しています。
店舗診断シートが研修のゴールをも示しているのです。

こんなわけでわが社も、店舗診断シートにしろ、ガイドらラインにしろ、マニュアルにしろ、わかりやすい表現を心がけて、日々更新しています。

4.わかりやすい表現 5つのポイント

今までのことを整理してみましょう。
分かりやすい表現とは、下記のポイントになります。

a.グラフで比較する
棒グラフや円グラフだけでなく、グラフを絵になぞらえた表現にする。
たとえば、イワシの漁獲高グラフの棒をイワシの絵にする。

b.ディスプレイに造形する
家庭の食量を買い物カゴのディスプレイで表現したように、グラフを立体的なものに展示造作して、分かりやすく表現する。

d.写真比較する
同じアングル、同じトリミングの写真を左右・前後にリピートさせることにより、比較がわかりやすいように表現する。
VMDセミナーのリバイス事例もBefore Afterで比較させると効果的。

e.色分けをする
当社の店舗診断シートのように表や文字を色分けして、パッと見、わかりやすいようにする。
当社の場合は陳列はオレンジ、展示はブルーなどと明確に色を決めている。

d.まんがや動画にする
つまりストーリー仕立てにする。これに関しては下記を参照のこと。
●マンガで見るVMDの手法

VMD担当のみなさーん、ディスプレイもPOPも、報告書も店舗診断シートも、見る人がわかりやすいように制作してくださいね。
大阪万博の展示会なみにわかりやすいデザインを心がけましょう。

そうすれば、部下や上司、店舗スタッフに伝わりやすくなり、プレゼンやセミナーでも相手がすぐに理解してくれます。

ちなみに、
当社はわかりやすい公開VMDセミナーを、オンラインは毎月、リアルは3か月に1回、開催していますので、ぜひお越しください。(^^)

●わかりやすいVMDセミナー

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ネーミングによるブランディング戦略

オーバルリンクのロゴ

今日はネーミングと商標によるブランド戦略についてお話しします。
例によって広告マン時代から今日に至るまで綿々と続いている活動です。
この話、販促部の方や宣伝部、営業企画部や独立起業した方にもばっちりためになるのでよく聞いてくださいね。(^^)

1.広告マン時代のネーミング戦略

今は小売店やメーカーを含めた流通業社をクライアントとしているオーバルリンクなんですが、広告マン時代はメーカーが主なクライアントでした。
静岡支店時代だったので、お茶メーカーや釣り具メーカーなど静岡ならではの商品のネーミングが多かったです。

ネーミング自体を依頼されたことはまったくなく、「どうしたら売れるのか」「どうしたら名前を消費者に覚えてもらえるのか」などを考える上で、浮かび上がったアイデアのひとつです。
それとは逆に、「こんな商品があったらいいな」という過程で浮かび上がった商品自主プレのネーミングもありました。

当時の私の広告スタイルはAE。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)といい、広告だけでなく商品開発から販促企画までブランディングをトータルに行っていたため、商品の名前は重要でした。
主なものを紹介していきましょう。

A.釣り具パーツ

オモリやフックなど釣りにパーツは欠かせません。
パーツ商品のパッケージデザインを任されました。
釣具店の売場にはいろいろなメーカーのスイベルやオモリが並んでいました。

しかし、どのメーカーも似たような袋のパッケージ。
品番とアイテム名のみ、例えば「No154-5 スイベル」とか「No874-8 スピナー」という商品名でした。
これではどの商品を選んでいいかわかりません。

そこで、依頼されたメーカーの商品にあだ名を付けることにしました。

スピナーを「ピカイチスピナー」
スイベルを「サイクロンスイベル」
スナップを「イキイキスイベル」
リングを「手錠リング」・・・

そしてあだ名の横に1.2行の下記のようにキャッチコピーを入れました。

「ピカイチスピナー」
→「輝きが違う、回転が違う!キラメキバツグンだから遠くのバスにもアピールできる。

「イキイキスイベル」
→バスが追ってくる!ルアーをイキイキアクションさせるにはこのスイベルしかない!

あだ名とキャッチコピーを目立つようにパッケージにレイアウトしました。
黄色と青の目立つロックみたいなパッケージデザインは売場ですごく目立ちました。
思えば、このころからVMDを意識してパッケージ開発していたんです。

メーカーは最初、「卸からの注文が品番でなくてあだ名から入ってくるからわかりづらい」と言っていましたが、それでいいんです。

品番よりも名前を覚えてもらう。

それが何よりも広告効果だと思いました。

B.新茶物語

静岡では新茶の時期になると販売が活発になります。
いつも若い人向けに何かおもしろい商品が出来ないかなと思っていました。

新婚ほやほやだったわたくしは、新築の家に住み洋風リビングでお茶を飲んでいました。
リビングに置いたお茶缶はいかにも和風デザインで、板の間のリビングには合いませんでした。
かねがね、「新茶は季節の便りとして人に贈るもの」という意識あった私は「新茶はメディア」というコンセプトを考え、「新茶物語」というモダンな商品をお茶メーカーに提案してみました。

提案の直接のきっかけは下記でした。

橋本環奈似のモデルが和服を着てウォークマンを聞いているお茶カタログの表紙。
それは東京のデザイナーに依頼してつくってもらったカタログデザインでしたが、とても気に入りました。
それをヒントにストーリーを考えてみました。
ニューヨークに滞在している父に静岡にいる大学生の娘が新茶を送るという物語。

若い女の子だったらこういうお茶を送るんだろうな、というイメージでステンレスの丸い弁当箱のような缶にお茶を入れ、金平糖を白磁の皿に入れて箱にセットでつくってクライアントに提案しました。
名前は「新茶物語」
顧客が新茶を贈答する際はオリジナルの手紙を中に入れられる仕組みにしました。

娘の名前はみどりとし、書道五段の私が女の子っぽい手書きで広告用の手書きを書きました。
小売店にとっては代筆して先様に送るというかなり面倒くさい商品でしたが、話題性とクリエイティビティは確保できました。

C.新世紀

2000年を迎えようとししている時。
社内会議で「2000年という節目は広告チャンスだ。それをネタにみんなで企画を出し合おう」ということになりました。
そこで、私は「新世紀を商標登録してそれで商品づくりを企業に提案しよう」という案を出しました。

「新世紀」は梨で有名です。
ただ、梨は果物の部類に入っているため、他の部類の商標はされていませんでした。
これはチャンスです。
食品メーカーに持ち込めるように、砂糖・お茶・米などの部類で会社名義で商標登録しました。

先願権がないの弁理士に確認してもらい、いろいろな企業に企画を持ち込みました。
決まったのはやはりお茶店で、新世紀の祝いのお茶を出そうということになりました。
神社にお祓いしてもらったお茶を「新世紀」として通販で売り出すことになりました。
結果まずまずの売上と話題作りができました。

しかしこれ、落ちがあります。
後日、他のお茶店が商標を持っているのが判明し、販売の続きはできないという羽目になりました。
特許庁が間違えてダブル承認してしまったということでしたが、今でも腑に落ちません。

そのほかにも会社員時代には、

・マナ坊
・ラジオインターネットマニア
・アースデザイン・マインド・ミュージック
・よりどり緑
・オーシャン・リー

などいろいろなネーミングを考えて企画提案・実施しました。
こんな感じで、商品名はマーケティング、ひいてはブランディングの一環で、広告・販促を営む人なら誰でも必要なものでした。

さて、ここらでオーバルリンク時代のネーミングに移りたいと思います。

2.オーバルリンクの商標戦略

広告代理店を辞めてVMDの専門会社をつくってからも、VMDをどうやって商品化するか考えていました。
とはいえ当社はコンサル会社なので、商品は無形商品です。
サービス名というのが正しいです。

しかし、ネーミングの考え方は商品でもサービスでもテレビ番組でもタレント名でも、まったく同じなんです。

ましてや創業したての会社が「VMDいかがですか?」と企業に売り込んでも、相手はまったくわかりません。
実際のところ創業当時は、VMDという言葉も知らない企業がほとんどでした。
電機メーカーのクライアントが多かった私は、やっぱりVMDを分かりやすく企業に知ってもらうには、ネーミングが肝だと思いました。

・売場UP2サポート
・売場ドッと混む
・リモデルプラス
・ユニットVMD ・・・

など、いろいろ考えて提案・実施してきました。
VMDのコンサルが多くなり市場が大きくなった今、商品名を考えるのは差別化として不可欠になりました。

ここで、当社のメイン商品として商標登録し今でも続けているサービス、それらをいくつか紹介します。

「売場塾」

VMDの学校 売場塾ロゴ

VMDセミナーサービスをつくるにあたって、何かよい名前がないかなと思っていました。
「VMD大学」、「VMD道場」、「VMDスクール」などが考えられますが、どれもありきたり。
少人数の上、ビルの地下でセミナーをやっていたことから、塾という名前がしっくりきました。
うちの社員にデザインの原案を渡し、上記のようなロゴにしました。

リリース直前、私が少し横長文字に改良しました。
VMDという言葉が入っているのがとても気に入っています。
(気がつく人は少ないですが・・・)

次いでサブネームも考えました。

出張売場塾 →クライアント先で行う売場塾
オーダーメイド売場塾 →クライアントの業種・業態・取扱商品にカスタマイズする売場塾
オンライン売場塾 →オンライン講座

など。

地下で始まった売場塾

これは売場塾の初期の様子。
地下室で始めたので、やっぱり学校というより塾ですね。(^^)
売場塾の生い立ち、詳しくは下記をクリックしてください。

・売場塾アーカイブ

以後、どんなセミナー関係でもほぼ「売場塾」のロゴを入れています。
単なるVMDセミナーというよりも、売場塾という学校のベースがあり、その理論や教材を使ってセミナーをする、という特色が出るため、法人セミナーでもロゴを入れています。
by 売場塾 という感じですね。
インテル入っている、という使い方です。

「月刊VMD」

月刊vmdロゴ

これは最近開発した商標です。
普通に読んでみると「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」です。
VMDに関する雑誌ブランドと思ってください。

現在、VMD専門の雑誌は存在しません。
かといって当社が月刊誌を本屋で売る流通誌として出すとかなり労力がかかります。

時間も人材もない当社ができることは、まず月ごと送っているメルマガやブログに名前をつけるということでした。
そこでつけたのが、「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」。

響きがいいんです。(^^)
これもネーミングの大事な要素。
すぐに覚えてもらえるんです。

かといって、それをすぐに販売して利益にするのは難しいので、しばらくホワイトペーパーの名前にしていました。
ホワイトペーパーとは広報用の雑誌みたいな意味で、MA(マーケティング・オートメーション)やっている会社がよくやっている販促ツールです。

もともと当社はビジネス誌や書籍にたくさんの論文を書いています。
それらをマッシュアップして記事化し、当社のVMD理論やレポートとして無料で配付していました。
毎月新しい情報を必ず2つは流しているので、ホワイトペーパーも「月刊VMD」と問う名前にしてクライアント等にお送りすることにしました。

その後、オンライン「センスアップセミナー」のテキストにもすることにしました。
2021年の9月から今でも続いています。

・センスアップセミナー

今年春からは「月刊VMDムック」として書籍発売もすることにしました。
ムック購入したい方は下記からお申込みください。
1冊から買うことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」

またキンドルのサブスク入っている方は無料で読むことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」キンドル版

今年、月刊VMDをファミリーブランド化し、月刊VMDブログ、月刊VMDメルマガ、月刊VMDムック、月刊VMDレポートなどと、でサイン統一しました。

vmdメディアブランド戦略図

今まで述べて来たことを図にしたのが上記。
広報メディアもブランド化できることが分かったと思います。

「商空間スタイリスト」

商空間スタイリスト

VMDインストラクターがVMDの資格として確固たる地位を確立したころ、ディスプレイの資格は考えられないだろうか、考えていました。
そこで上記のような名前を考えました。

「商空間スタイリスト」を商標化したのは2017年ころ。
このディスプレイ資格の特徴を如実に図案化しました。

・陳列スタイリスト
・展示スタイリスト
・プロップPOPスタイリスト

「商空間スタイリスト」は上記3段階を経て取得する資格のため、このようなロゴになりました。

ロゴのしくみとして、上記3段階を入れた4段階の資格の色を決めています。

・陳列 →オレンジ
・展示 →パープル
・プロップPOP →グリーン
・商空間スタイリスト → スミ

色をベースにテキスト、認定証、案内書、広告に至るまでVIを決めてデザインしています。
四角いキラッとしているスクエアはシャイニングスクエアといい、デザイン要素のひとつです。
また、カードはSのイニシャルを透かしで入れています。
英名、Shop Space Stylistの頭文字ですが、私はスーパーマンのイニシャルと呼んでいます。

商空間スタイリストを取得した方、ぜひディスプレイ制作のスーパーマンになってほしいです。(^^)

「VMDインストラクター」

これはもう言わずもがなですね。
当社のビジネスモデルそのものです。

ただ、なんでインストラクターという言葉をつけたのか?というと、文字通りVMDのリーダーを育てたいという当社の方針があったからです。

売場塾を始めた2006年はVMDコンサルタントが市場にあまりいませんでした。
日本にVMDを広めたいと思って創業した当社なので、早くVMDを国内に広げるにはどうすればいいか、考えました。

そこで、私のようなVMDの先生を日本にたくさんつくると早くVMDを広められるのではないか?と思いつきました。

VMDを広める人をVMDインストラクターと名付け、日本の新しい職業にしようと考えたんです。
VMDインストラクターは、ただディスプレイがうまい人ではありません。

・ショップデザイン
・品揃えと展開
・ディスプレイ
・体験販促

この4分野のスキルを持つ人でないとVMDとは言えないと思い、VMDインストラクターを考案、商標化しました。
ヨガが広まった時にヨガインスタラクターがたくさん輩出したのと同じように、VMDもインストラクターが必要だったんです。

そしてVMDインストラクターの資格取得者は企業本部の方が多いという特徴を持っています。
チェーン店である小売店本部のVMD担当はチェーン店を指導しなければいけません。
メーカーや卸の本部の販促担当も、営業所やお得意先である小売店に提案活動、ミニコンサル活動をしなければいけません。
またVMDとして起業したい方は、VMDインストラクターそのものが仕事にならなければいけません。
つまりVMDの先生として収益を得るんです。

そういう意味で売場塾では、単にディスプレイがうまい人というよりは売場づくりを総合的に指南できる人材を育成していったのです。

詳しくは、VMDインストラクター協会のホームページをどうぞ。(^^)

・VMDインストラクター協会

この認定カードも社内で考えたシンプルなデザイン。
2006年はiPhoneが流行っていたので、iを用いた図案にしました。
すちなわちvmd-iです。

iPhoneのようにシンプルなデザイン、気に入っています。
シニアは下写真のように格調高い紫色にしています。

VMDインストラクターはただいま922名なのですが、シニアはまだ22名しかおらず非常に貴重な資格になっています。
シニアは実技試験があり、合格率もVMDインストラクターより低いです。
シニアは「VMDをコンサルサービスとして収益を上げられる人」が認定基準となっています。
そのため、シニアを取った方の半分以上が独立起業しています。
中にはVMDコンサル事務所として株式会社を立ち上げる方もいます。

VMDプロの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクター目指して頑張ってくださいね。(^^)

3.社会意義的な商標

当社は上記の他にもたくさんの商標を持っています。
商標は当社のブランディングの一環として捉えています。

例えば「快場」はいろいろな企業が使っている、もう流通業界では馴染みの言葉なんですが、実はオーバルリンクの商標なんです。
快場のコンセプトは下記を参照ください。

・快場とは

フットマーク株式会社が「介護」という言葉を考えて商標登録したのと似ています。
フットマークの社長は、看護と介助という字を組み合わせて「介護」という文字にしました。
商標の権利は今でも保持しているんですが、みんなが知らずにフツーに使っています。
子供を守る学校の水泳帽は今では当たり前なんですが、これもフットマークが昭和時代に考案したもの。
以前社長の講演を聞きに行ったんですが、こうした活動はすばらしいと思いました。

「快場」も「介護」なみにフツーの言葉になりつつあります。
いや、コロナ禍後の売場づくりはますます「快場」が意識されています。
それは「リアルな売場は楽しい買い物体験を提供する場にしなければいけない」という機運が高まっているからです。

4.商標は戦略にする

最後に大事なことをひとつ。
ネーミングや商標は「おもしろい名前思いついたから、とりあえず登録する」だけじゃダメなんです。

あなたの商品、あなたのサービス、あなたの会社の戦略にしなければいけません。
名前を決めるきっかけは二つ。
●今ある商品やサービスに名前をつける ●名前から発想して新商品やサービスをつくる があります。

広告代理店時代は前者が多かったんですが、会社をつくった今は後者も多くなりました。
前者も後者も戦略が必要です。特に後者は入念に行っています。
私はいつも企画書を書いて、戦略の道筋を整理しています。
登録する商標の2.3年後、長いときは5年後の姿を描いています。

例えば、「商空間スタイリスト」という名前を考えたのは2014年6月。
パワポの企画書は24ページ。書き直し3回。
そして実際にスタートしたのは2017年12月。
今なお、企画書を更新しているんです。

「VMDインストラクター拡張戦略」を書いたのは2014年11月。
企画書ページ数は23ページ。
2016年10月で企画書更新6回目になっています。

そんなわけで、デスクトップの事業戦略ホルダーは、いろんな企画書でいっぱいなんです。
あたためているネーミング、たくさんありますよ。(^^)
商品やサービスの未来を考えるってなんだかワクワクします。

ということで、いいネーミング思いついたからと言って、安易に商標登録しないでくださいね。
どのように収益化するか練りに練ってから商標登録しましょう。

販促部の皆さん、VMDプロの皆さん、お店や会社、商品のブランド確立、ともにがんばりましょう~。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)