顧客戦略「インテリジェント・コンシューマー」とは

顧客戦略マトリクス

コロナ禍で百貨店や専門店が取るべき道は、ズバリ顧客のインテリジェント化です。
消費者を賢くし、結果生活が豊かになるインテリジェント・コンシューマーにしましょう。

インテリジェント・コンシューマー戦略は、顧客をいつまでもお店につなぎとめておける策なんです。
そのためには、百貨店・専門店は上図の「自己満足客」を育成し、まずは「レビュワー」に成長させ、チューターに導かなければいけません。
上図はそれを表しています。

今回は、ワインをよく飲んでいる私が顧客モデルになりました。(笑)
ワイン専門店における顧客4つのクラスターについて解説していきます。

●自己満足客
接客を伴う専門店・百貨店で買い物をすることが満足という客。
ワインを買いに行くのはスーパーやコンビニだったけれども、ヴィノス山崎に行ったり、百貨店のエノテカコーナーで買ったりした客。
専門性の高い店員がいるので、安心して買えるとともに、勧められたワインがおいしので、とても満足!!という客。

ここでおいしいワインを提供された客は、次もその店にいくかもしれません。
価格はいつもより高いけど行くだけの価値はあるので、ハレの日(誕生日やクリスマス)だけ行ってもいいなと思うようになります。
しかし、まだスーパーや通販で買う比率が高く、そちらにドロップアウトしてしまうかもしれません。

この客をキープされてリピート率を高めるには、レビュワーに客を昇華させなければいけません。
自己充実客でもいいのですが、レビュワーにした方がお店の宣伝になるからです。
自己充実客はクローズド、つまり店や商品の情報を公にするということはしません。

●レビュワー
買い物行動や買った商品、店内体験などを発信してくれる客。
ツイッターやfacebbok、ブログなどでレビューしてくれる。

  • おいしいワインを買った!と言ってSNSで商品や店を紹介する
  • 友達や知り合いとの会話の話題に、商品や店を出す
  • グーグルマップやぐるなびに投稿し店を紹介してくれる

ただ、すべての顧客が情報を発信するわけではありません。
SNSは見るだけという人もいるし、今まで通りスーパーのワインで十分という人は、何かのきっかけがない限り店に訪れるということはないでしょう。
ドロップアウト、つまり全く行かなくなる、ということもあり得ます。

●自己充実客
店が顧客管理を怠らない限り、自己満足顧客のワイン生活はますます充実していきます。

  • ワインに合ったつまみをペアリングするのも覚えたし、甘い・辛いなどその日の気分で味をセレクトもできるようになった
  • クリスマスワインとして食卓に出すといつも家族に喜ばれる
  • ワインブックを作って記録している

など、ワインに関して自己充実している客。

お店や商品の情報はまったくオープンにしないけれど、店や商品との関係において充実している客です。
この場合、店は顧客がますます充実できるサービスや情報、体験を提供すればよいのです。

●チューター
インテリジェント・コンシューマー戦略のゴールはここです。
客がワインのにわか先生になって他の客を集め、ワインの楽しさを教示してくれます。

  • パーティをするときにワインの由来や産地の豆知識を教えたり、ワインの買い方を参加者に教える
  • お茶会など何かの集いの時に、店の話題を出していいワインを教えてくれる
  • 店主宰のワインセミナーに、友人をたくさん集めて参加してくれる

チューターとは、ちょっといいことを教えてくれるにわか先生のことです。
チューターは店のPRを担ってくれる上に集客してくれるので、最重要顧客に位置します。

このような客は、店内体験を主宰する側に回らせるとよいです。
つまり顧客の代表として発表の機会を与え、インテリジェントな気分にさせてあげる、そうすることで店とチューター客は太いパイプで結ばれるのです。

顧客戦略マトリクス2

とはいえ、上図を見てください。
チューター層はごくわずかな客なんです。
すべての客が、にわか先生になりたいと思ってないからです。
顧客は自己満足・自己充実客が大半を占めると思って過言ではないでしょう。

なので、お店はすべてのお客様をチューターに導く意識はあっても、強制的に導くことはできないのです。
客の性格は人それぞれだからです。
店は、獲得した顧客をこの4つのクラスターのどこに落とすか、客と付き合いながら考えていかなければなりません。

さて、余談です。
ここで私が通っている、私の家の近くのワイン店の店内体験を紹介します。
私はどのクラスターに属すでしょうか。

●ヴィノス山崎
生産地・生産者・品種、味と香りなどこと細かに書かれた「持ち帰り商品POP」を商品棚に設置している。
接客も丁寧、ときどきワイン試飲会をしており、顧客のレビュワー化、チューター化に余念がない。
例えば、このPOPでワインブックを作っている私は、おいしいワインをツイッターにアップしている。
私はヴィノス山崎のレビュワーだった。

●成城石井
種類が豊富で、コスパのいいワインが多く、商品切れが少ない。
成城石井はスーパーだが、私の中ではワイン専門店の部類に入っている。
ただしこの店での接客はまったくなく、環境的にスーパー。
成城店や麻布十番店くらいに行かないと、接客する人はいないし、ワインを持ち込めるバーもない。(グローサラント形式)
私は自己満足客である。
私が麻布十番店の顧客だったら、レビュワーになったかもしれない。

●信濃屋
ここも種類が豊富で、コスパのいいワインが多く、商品切れが少ない。
ただ店内の雰囲気は昔の酒屋のよう。
販促用のマネキンスペースは大きく取られていて、いつも行くとワイン通でない人がマネキンや店員をしている。
10年の間、ここで店員と話したのは1回くらいしかない。(笑)
ただ、コスパのいいワインは8種類くらいあり、その常連客になっている。
私は店をレビューするよりも、商品をレビューする方が多いレビュワーである。

●柳屋
うちの日本橋オフィスの近くにあるワイン店。
カリフォルニアとニュージーランド産ワインに特化している。
定期的にワイン飲み会を2階で開いており、近くのOLもよく参加をしている。
売場塾の生徒になにかと話題にしているので、ここのレビュワーになっているかもしれない。
ただ一元さんの店ぽいので、ワイン飲み会に参加するのに勇気が必要で、まだ参加していない。

まとめです。
顧客を自己満足客からチューターまで進化させることによって、より顧客をつなぎとめることができ、店の売上も安泰になります。

どこの専門店も自己満足まではキープできているものの、レビュワーやチューターへ客を進化させるには、いろいろな策がいるということです。
そのためには、店内買い物体験を企画・実施することです。
企画の仕方はこちらを振り返ってみましょう。

●オリジナル買い物体験企画の仕方

いかがですか、インテリジェント・コンシューマー戦略。
今日はワイン店を例にとりましたが、ワインが紅茶・お茶・化粧品・時計・文具・メガネ・食器・・・などなど別の専門店になっても活用できます。
ぜひ考えてみてください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

オリジナルな店舗体験をつくろう

買い物体験のつくり方 バーチャルマーチャンダイジングの図

先々月は、リアル店内体験のタイプについてお話ししました。
さて、ここで皆さんが知りたいのは、店内体験ってどうやって企画すればいいのか。
お金かけずにできる体験はどのタイプか。
どのタイプの体験が自店に相性がいいのか、などだと思います。
順を追って話しましょう。

●●●● 体験は空間体験が前提 ●●●●

上図を見てください。
店舗の中には「空間体験」「ナレッジ体験」「コミュニティ体験」があります
「空間体験」というのは、店舗というハコで売っている小売店が顧客に提供する必須の体験です。

空間体験は、ハコをどのようにデザイン演出するかがキーとなります。
いくら商品に人気あるからと言って、蛍光灯の天井下に会議机を並べて売っているような店は気を付けた方がよいです。
自店のブランド感とは何なのか、いま一度考え直してみましょう。

ただ、勘違いしてはいけないのが「改装にカネをかけてハコをカッコよくつくればいい」という安直な考え方です。
それに、店舗デザイナーや施工会社に外注する金銭的余裕がない店舗もたくさんあります。

コストをかけずにハコを変えるにはどうすればいいか。
それは、ある程度のキレイさは保ちつつ、ディスプレイと組み合わせてハコのたたずまいをきれいにするということです。
床・壁・天井・什器・照明の5大大道具のうち、壁と什器に注目し、それにディスプレイを加えます。

  • 壁・・・壁紙を変える
  • 什器・・・什器デザインを変える
  • ディスプレイ・・・オーケストレーション(壁面の集合ディスプレイ)を設計する

これだけで空間は見違えるようになります。
かかるのは什器代くらいで、あとはDIYでできます。
オーケストレーション設計の仕方はこちらを読んでください。

●オーケストレーション設計

●●●● ナレッジ体験 ●●●●

再び上図を見てください。
「空間体験」がなんとかできたら、残りは「ナレッジ体験」「コミュニティ体験」です。
しかし、あとは「ナレッジ体験」だけを考えればけっこうです。

「コミュニティ体験」は顧客を店内に一堂に集めなければできないので、スペースが必要でコストがかかります。
しかも、前回言った通りデジタルと相性がいいので、バーチャルマーチャンダイジングに任せるといいです。

さて、「ナレッジ体験」とは、お酒やお茶、化粧品やカー用品など、暮らしや健康、趣味といった自己に役立つ知識を得られるという体験です。
特に専門店は商品を売るだけでなく、商品を通してどんな暮らしができるかというソリューションを提供する店なので重要です。

ナレッジ体験を推進するためには、ずばりプロフェッショナルプロモーターが必要です。
ただのプロでなくて、プロプロです。

化粧品は美容部員、お茶はお茶インストラクター、ワインはソムリエ、カー用品はエンジニア・・・とプロのプロモーターをお店に駐在、あるいは定期駐在させることが必要です。
これらの人がいないと、ナレッジ体験施策はできません。
ナレッジ体験を来店客にさせたい小売店の方は、自分か従業員をプロプロにすることが必要です。

例えばあなたが酒店店主でクラフトビールに関してのナレッジ体験を作りたかったら、最低一人のプロプロが必要です。
クラフトビールを100種飲んで自分なりに理屈をつくるとか、クラフトビールテイスターの資格を取るとか、プロプロになることが必要です。
単に「俺はビールを飲んでる」だけじゃダメなんです。

プロプロの例は前回の100社調査でもたくさんあって、例えば下記のような感じです。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●ヤマダ電機/LABI LIFE SELECT/立川/ヤマダ電機の体験型店舗業態。デジタルサポートステーションと称したカウンタがありデジタル機器の相談や修理を行う。近隣に訪問するコンシェルジュ訪問サービスも試験的に導入していて、電気に詳しいプロがコンサルしてくれる。
●ウイングドドウイール/ウイングドドウイール/表参道/1000種類ある紙を試すことができる。ガラスケースの中に標本のように紙が並ぶ。ウエディング需要が8割だったが、大切な手紙を書くという需要に応じている。
●東急ハンズ/東急ハンズ/新宿店4F/4階コーヒー器具売場に販促ブースを設置。向井さんというスタッフがコーヒーのプロプロになっていて、定期的にコーヒーの淹れ方を披露している。おいしいコーヒーも堪能できる。

ナレッジ体験のキーワードは、体験スペースをつくること、そして座らせることです。
店内の空いたスペース、例えば90cm幅の通路でスタッフと顧客が立ち話・・・というのでは、ナレッジを伝えることができません。
他の客の迷惑になるし、あまり長話になると「ここは一元さんだめなのかな」と他のお客様は思ってしまいます。

体験するのに、相談カウンタを置く、洗顔用シンクを設置する、ミニセミナーコーナーをつく・・・などのスペースの確保が必要ですし、パーテーションをつくる、やぐらを設置する、ブース化する・・・などの体験スペースらしい見た目の工夫が必要です。

例えばこんな感じです。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●ロフテー/ピローウイーカフェ/東武百貨店池袋店/スイーツみたいなピンク色の売場。まくらがさながらお菓子のように陳列されていて見るだけで楽しい。
●インク/インクのコーナー/港北TOKYUショッピングセンター/シャープペンやホチキス、消しゴム、紙などお試しできる。その数10万点。「各社のボールペン験し書き」などイベントも行う。
●ファンケル/ファンケル/銀座スクエア/血管測定で血管内の健康状況を教えてくれる。体力測定ができるフロアもあり、健康ドリンクも有料で飲むことができる休憩スペースもあり。

早い話が、体験を「見える化」するということです。
私が以前企画したインテリアショップは、「すわり心地」というテーマで体験できるスペースをつくりました。

●すわり心地体験

ラフィネリビングさんの場合は、座り心地のプロを店内に配置し、ソファの中身のバネや緩衝材、間取り、ファブリックのデザイン、足の種類を選べるようにオーケイストレーション設計しました。

さて、社内プロをつくって体験を見える化できるスペースをつくったら、あとはプロモーション化するだけです。
ナレッジ体験をなんとなく行うのではダメで、台本をつくらなければいけません。

●企画する ●シナリオをつくる ●セリフをつくる ●小道具を用意する ●回数と時間、参加人数などのKPIを決める

あなたが一商店主でも、企業のプロモーション部長のように企画書を作り、台本をつくってください。

●●●● オリジナルな体験のつくり方 ●●●●

ナレッジ体験のつくり方がわかったら、いよいよ貴店独自のナレッジ体験を立案する番です。
それには、ブランドの7ポジショニングを整理するといいです。
それは、
①企業 ②商品 ③販売チャネル ④サービス ⑤財務 ⑥人材 ⑦広告 です。

ブランドの7ポジショニングはショップコンセプトをつくる際のフレームワークなんですが、体験企画を考える時にも使えます。

早い話、これを自店オリジナル体験のリソース項目として使うんです。
自店の7つのリソースをまず書き出すといいでしょう。
そこが出発点になります。

この7つのリソースの活用例は、店ではなくホテルの例を挙げて話します。

「一泊二日でねぶた祭りを体験できる」というナレッジ体験を施している星野リゾート「青森屋」の例が一番わかりやすいと思います。

この体験企画のリソースは、7ポジショニングのうち、①企業 から来ています。
星野リゾートは、「その立地にある文化と伝承を使って旅人を魅了する」という企業ですから、当然発想は、青森にある立地からして「ねぶた祭」に行きつきます。
これは④のサービスにもリンクしていて、「文化を体験する」という星野リゾートのサービスに帰結しています。

次に⑤財務と⑥人材なんですが、「人件費をかけずにイベントを行う」ということから、当然ホテルスタッフが直接祭を執り行うこととなり、黒子としてではなく、自ら踊ったり唄ったりしています。
これは星野リゾートの⑤の人材の「マルチタスク」という理念がベースになっているからできることなんです。
他のホテルなら踊り子を雇うところなんでしょうが、星野リゾートは一人が複数の役割を兼務しています。

体験のつくり方、だいたいわかりましたか。
このように、ブランドの7ポジショニングを企画のリソースに使えばいいんです。
安易に、「縁日の金魚すくい」や「塗り絵をして遊ぼう」なんて企画しないでくださいね。
体験は、あなたのお店だからこそできるオリジナル企画ではないと意味はないですから。

今日は、店内体験を同企画するかについてお話ししました。
キーワードは下記です。

  • 空間体験
  • ナレッジ体験
  • プロモーション化
  • プロプロ
  • 体験7つのリソース

ぜひ、あなたのブランドならではの体験を企画してみてください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場づくりにおける多能工人材戦略とは

今日は、以前書いた未公開論文を披露します。
文体が論文調ですが、ぜひお読みください。

星のやに見る多能工型人材

多能工とは、早い話、歌って踊れる人材ということだ。
ひとつの役割だけでなく、二つ以上の役割を担う人材のことである。
この言葉を使っているのは(株)星野リゾートが有名で、星のやの人材育成イコール多能工型人材育成となっている。

従来の旅館業は、中居、料理人、掃除人、売店販売員など仕事によって人材も分けられていたが、非効率だった。
各人が専業だと稼働時間がそれぞれ違い、暇な時間ができてしまう。
時間が空いた人は、忙しい部門の仕事を手伝うことで、人材の時間効率がよくなり、作業もスムーズにいく。
しかも人的コストが浮く。
これが多能工の考え方だ。

私は毎年星のや軽井沢に泊まっているが、確かにそうだ。
中居が部屋に案内したと思ったら、夕食を持ってきたのは違う人だった。
ところが次の日にタクシーで近くのレストランまで送ってくれたのは、中居だった人だ。

星のやは確かに一人三役以上をこなしている。
星のやは、多能工制を取り入れて、時間を効率的に管理している。その中居らしき人は、毎日の私たちのスケジュールを詳しく私に訊く。いつ、部屋を留守にして、いつごろ戻るのか、夕食は何時ころかなど・・・。
このわけは、時間別人材配置をスケジュール化している表れである。
なるほどと思った。

さて、私の専門はVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)なので、今回は売場づくりの人材について話したい。
VMDとは、アメリカから来た売場づくりのノウハウのことだ。
VMDをプランしたり実施したりする人のことをビジュアルマーチャンダイザーという。
アパレルブランドに必要な専門職だが、最近は、雑貨店はもとより、惣菜店舗やカーディーラーなどVMDを担当する人は多くなってきている。

昔のビジュアル・マーチャンダイジング

もともと、日本のビジュアルマーチャンダイジングの仕事は、ディスプレイ制作業務が多かった。
VMDは1970年代に日本に入ってきて1980年に広まっていったのだが、これがデパート全盛の時代に合致する。
つまり、デパートのウインドウの演出の仕方にVMDの手法が生かされてきたわけであり、VMD担当はウインドウのディスプレイを作ったり、ショーケースの商品インスタレーションが主な業務だった。

ところがGAPやZARAなどのファストファッションが日本中に拡散していった1990年代、VMDはウインドウだけにとどまらず、店内のすべてのディスプレイ演出を行うスキルにグレードアップした。
ファストファッション各社は、社員が店内すべてのディスプレイ制作・管理を担うようになっていた。
店舗のVMDスペシャリストとして、本部の発信した売場づくりのガイドラインに従い、それを店内で実行するという職種が社内に出来上がった。
これが店舗VMDという担当者である。
(本部にいてガイドラインを作る係は本部VMDという)

もうひとつは、ウインドウ重視の時代は去り、ラックやパイプハンガー、テーブルやキャビネットなどのシステム什器を使った売場面積の効率化と、商品の展開と個性的な陳列方法によるブランドの世界観演出が重視され、ウインドウは売場構成の一部になった。
ウインドウで人を引き寄せるというよりも、店舗全体で人を引き寄せるトータルディスプレイ戦略が、ウインドウ需要を降下させたのである。
また、買い物の主軸が百貨店からショッピングモールに移ったため、ほとんどの店はそもそもウインドウがない。
雨が降っても大丈夫な全天候型フロアのテナントだからだ。

社内人材をVMD担当に仕立て上げる

そんなわけで、VMDの担い手はディスプレイをつくる専門職から一般社員に移ってきた。
いまや美大卒でも服飾専門学校卒でもない、普通のOLがアパレルメーカーに入社して、見よう見まねでVMD担当になっているのだ。
先輩社員の教える売場づくりのスキルを吸収して一人前になっていくのだが、手っ取り早く、VMD学校に行くケースも目立つ。
実際のところ、当社はVMD学校「売場塾」を開催しているのだが、多くのアパレルメーカーの指定校になっていて、毎年新人OLが当校の門をたたく。

もともとメーカーでも小売店でも、何かのノウハウの伝承というものは先輩社員が担ってきた。
営業、接客、企画、提案、そして売場づくり・・・と、会社のノウハウはベテラン社員が持っていて、それを新人に教えていくという流れだった。
ところが、終身雇用制の崩れた今、データ化、マニュアル化が進み、いつ何時誰が辞めても後任に支障がないような仕組みが社内に出来上がった。
そこで売場づくりのナレッジ化が各企業で推進され、VMDのガイドラインづくりが定型化した。
VMDの集合教育・現場教育は、ガイドラインを更新して教えるための役目をしている。

今やディスプレイだけ美しくしてもモノは売れないことは、昨今の百貨店から見て取れるだろう。
ディスプレイに加えて、ショップデザイン、品ぞろえ、店頭販促までも含めて日々調整し、ガイドライン化するのがVMD担当の役目になった。
VMD担当の多能工時代の始まりなのである

多能工型のVMD

日本のメーカーや小売店のVMD担当は多能工だ。
大抵のVMD担当は起業の販促部にいてVMDを兼業としている。
日々、販促活動をやりながら、VMDの仕事をこなしている。
企業の販促活動というのは、主に下記から成り立っている。

  • 新商品の年間販促・広告プランニングと実施
  • 新商品の展示会の企画立案、実施
  • 百貨店やGMSなど商業施設内店舗の営業支援

これに加えて、前述の集合教育・現場教育・ガイドラインの更新業務が加わる。
この3つを販促の立場から解釈するとエデュケーショナル販促ということになろう。

エデュケーションナル販促とは、売場づくりを教育すること自体をメーカーの販売促進にするということである。
どういうことかというと、メーカーのVMD担当が、お得意先である百貨店やGMS、専門店に対して売場づくりの研修を行うということである。
過去にいろいろなエデュケーションナル販促を事例として掲げてきたが、もう一度ひも解くと下記のようになる。

  • 家電メーカーのVMD担当はGMSや時計専門店などのチェーン店に時計の売場づくりを教えている。
  • スポーツ用品メーカーのVMD担当は、スポーツ用品専門店にお店づくりを教えている。
  • 学生服メーカーのVMD担当は、学生服専門店に対してお店づくりを教えている。

いずれも自社商品の売場づくりを兼ねて行う。

そうして、メーカーは店内の売場の拡大を図ることができるのだ。

VMDの教育を行う人のことをVMDインストラクターという。
VMDインストラクターは独立したフリーランスの人だけでなく、メーカーや小売店の社員に多い。
メーカーや小売店の社内先生をつくることにより、自社のガイドラインをもとにテキストが作れる。
または日々の売場改善報告書からケーススタディを作って、それを蓄積しガイドラインとして後輩に教えることができるのである。
このように、ここ15年の間で、VMD担当は販促やディスプレイ業務だけでなく、教育者としての業務もこなす多能工となってきたのである。

ますます増えていく多能工

多能工が増えていく原因に、IT化がある。
VMDを空間のデザインと捉えると、ITの進化で、平面と立体のデザインが取り崩されてきている。
平面はPOPやサイン、立体は床・壁・天井デザインであるが、POPが壁に組み込まれて壁紙になったり、床がPOPになったりしている。
POPデザイナーは立体デザインもやらないと自己を伸長することができなくなってきている。

事務職や管理作業がコンピュータで誰でもできるようになった今、事務職、管理職という人種もそれほどいらなくなっているに違いない。
だから、事務もできて営業もこなす人材がこれからは重宝されていくかもしれない。
会社は、社内人材を器用な人材に養成していく時代なのである。

当社もそんな歌って踊れるVMDの人材を育成することをサービスとしてやっていきたいと思っている。
今後の売場塾に期待してほしい。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

買い物体験のつくり方

今回はダブルVMDの続編です。
リアルな体験とバーチャルな体験はどうやってつくったらよいかについて触れます。

そもそも体験とは何でしょうか。

当社の保持している日経MJの2013年から今日までの記事スクラップの中で、個性的な体験施策をしている店舗を100社抜粋してみました。
そしてこれらを、空間体験・ナレッジ体験・コミュニティ体験・プロモーション体験という4タイプに分けてみました。
これは前回の買う・学ぶ・交わるという体験行為をより整理しやすくしたものです。

買い物体験4タイプ

それでは体験をタイプ別にみてみましょう。

●●●● 空間体験 ●●●●

100社の中ではこれが一番多く、全体の66%、つまり3/2でした。
店舗デザインやMDP(ディスプレイ)を変えることによって、ブランドの世界観に浸れたり、テーマパークのような楽しさを味わうことができます。

    ・店舗デザインを堪能する

床・壁・天井・什器・照明・通路などの大道具が店舗デザインの構成要因になる。
これが変わることによって、劇場的な効果を得られ非日常の世界を味わうことができる。

    ・MDPを楽しむ

カラフルな陳列や美しいショーイングなど、ディスプレイを楽しむことができる。
スーパーやコンビニなどで見慣れた陳列ではなくて、ディスプレイ自体を見て楽しむ。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●カインズ/スタイルファクトリー/ららぽーと海老名店/内装テーマは「ライフスタイルDIYショップ」。アイテム別ではなく、例えば「楽カジ」テーマの売場があり、家事を楽にできる道具が、リビングや庭を模したスペースに展開されている。同社のPB商品の見せ方を変えた店舗。
●Sparty/メデュラ/有楽町マルイ1階/オーダーメイドシャンプーブランド「メデュラ」が体験できる店舗をマルイ1階に設置。個人の髪に合ったシャンプーを配合してくれる。物販は二の次という。店内中央に大きなシンクがあり、モノトーンの店内と調和している。
●オートバックスセブン/A PIT/オートバックス東雲/オートバックスの、家族を対象としたトキ消費店。旅と車、スポーツと車、自然と車、家族と車、安心と車、キレイと車、ガレージと車のゾーンに分かれている。ウッディなラックとミドリの人工芝に囲まれたアウトドア的なスペースの中でお茶を飲むこともできる。

●●●● ナレッジ体験 ●●●●

ナレッジとは知識のことで、ナレッジ体験は知識を得る行為と定義します。
これは全体の49%の会社が行っていました。
ナレッジ体験の傾向としては接客の延長線上にあるのが大半で、下記二つの見方があります。

●店舗側からだと

    ・カウンセリング
    ・コンサルティング
    ・アドバイス
    ・レクチャー

●顧客側だと

    ・相談する
    ・質問する
    ・勉強する
    ・知識を得る
    ・商品を試す

などになります。
通常の接客と違うところは、単なるお客様の応対ではなく、会社としてシステム化・シナリオ化しているところです。
お客様が店内に入ってから出るまでをカスタマージャーニー設計していて、その中に組み込んでいます。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●ロフテー/ロフテー枕工房/本社/SF映画「コクーン」の宇宙船のような場所で1時間位いろいろな枕を試せる。睡眠改善インストラクターが最適の眠りを提案してくれる。
●そごう・西武/きれいステーション/池袋店/化粧品・化粧品雑貨・美容飲料・パナソニック美顔器などを置いた、美と健康の自主編集売場。THREEなど人気のブランドがセルフで試せる。予約をすればショートコースの無料カウンセリングやお験しを体験させてくれる。
●ヤオコー/クッキングサポート/東大和市/時短を求める主婦を対象に手軽に作れる料理法を提案。手作りギョーザキットを使った調理実演では、思わずギョーザを手に取る主婦がたくさん出現。

●●●● コミュニティ体験 ●●●●

顧客同士が店頭で交流するということです。
バイク店やディーラーの試乗会、酒店の試飲会は顧客同士を一堂に会するのでこれに当てはまります。
書店での作家のトークショーなどはファンは集まるのですが、ファン同士の交わる構成ではありません。
その場合はこれにあてはまらず、そういう意味での顧客交流は全体の6%しかなく、意外と少なかったです。
やはり見ず知らずの人といきなり店頭で交わるのは抵抗があるのでしょう。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●ル・クルーゼジャポン/ル・クルーゼ/ホーロー鍋をカレーで販促。カレー教室をスタジオ併設店舗で開く。参加者同士、楽しみながらクッキングできる。
●クラフティ/蔦屋書店・フライングタイガーなど/ものづくり体験サイトのクラフティが、工芸家に体験講師の場を提供。アクセサリー工芸や革小物工芸などが好きな人が集まり、ワークショップにいそしむ。
●ラッシュジャパン/LUSH/原宿表参道店/一人2.3千円のパーティ券を購入してグループで90分間、ソープ体験ができる。泡ぶろのつくり方や顔や手足の手入れ方法などをプランナーから受講できる。

このコミュニティ体験ですが、事例を見返してみてデジタルの方が適していると思いました。
一堂に顔が見られ、話をするのが恥ずかしい人もチャットは参加してくれるので、デジタルの方がよりコミュニティが深まりそうな気がします。
ただコミュニティ体験は、プロモーショナル体験やナレッジ体験とリンクできます。
トークショーが終わったら顧客同士の交流を促すとか、チームでワークショップをさせるとか、店側が積極的に他の店内体験に仕込めばよいでしょう。

●●●● プロモーショナル体験 ●●●●

店側が販促的に行う体験のことで、イベント、キャンペーン的な要素があるものととらえてください。
店側がイベントとして仕掛ける体験です。
これは全体の38%でした

    ・ディーラーで、家族で塗り絵をするなど、商品と関係ない参加型のワークショップ
    ・VRで工場での製造工程を見る、体験スペースで音と光を堪能する、などのエキビジョン
    ・クイズに答える、アンケートに答えるなどのアトラクション

などがあります。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●旭化成/へーベルハウス/展示場/アウトドアリビングフェア。展示場にアウトドアライフスタイルを提案。屋上のキャンプサイトでハンモックに揺られることもできる。
●ABCマート/グランドステージ/原宿店/スニーカーを試着し、そのまま記念写真が撮れる「Try On & Show It」。その場にない商品を取り寄せできるロッカー完備。ゾーンも「CENTER STAGE」「BACK STAGE」など個性的。
●イオン/イオンリカー/自由が丘/サイネージを駆使してワインの情報を発信する。ワインボトルをテーブルに置くと、持ち込み可能な付近の店を案内してくれる。

4つの体験をグラフにしてみました。

企業における買い物体験の企画頻度

頻度は空間体験→ナレッジ体験→プロモーショナル体験→コミュニティ体験の順でした。
やはりコミュニティ体験は少ないです。
店頭では限界あるのでしょう。

リアル体験はそのままバーチャル体験に応用できるか

次に、これらリアル体験はそのままバーチャル体験に移行できるか探ってみました。
すると、空間体験以外は33%がバーチャルでも移行可能ととらえました。
つまりリアル体験は、工夫すればデジタルで家にいながらも体験可能なのです。
例えば、下記の事例はデジタル化できるでしょう。

事例(企業名/店名/店舗名/内容) =========================

●サミット/総菜総選挙/「総菜総選挙」は各部門が開発したメニューを、選挙ポスターのようなスタイルで、部門担当者がチラシに登場して訴求する人気企画。
●GU/GUスタイルスタジオ/原宿店/サイネージを駆使して好きな服を試着できる。画面に自分のアバターを設定して着せ替えが可能。GU独自のVRサービス。
●JR東日本/のもの/上野店/地域の生産者が3週間店頭に立つ。新鮮な情報が得られる。方言で接客など臨場感のある面白いシーンに出くわせる。

確かに空間体験はそこに行かなくては体験できないけれど、残り3つの体験は工夫をすれば、オンラインでできそうです。
となると、今後はリアル体験を企画する際は、リアル・バーチャル2方向を見据えたほうが効率的と言えるでしょう。
実際に、ライブコマースやオンライン試飲会などはもう普通になってきています。
今行っている店内体験がデジタルでも可能かどうか、今後は企画しといた方がよさそうです。

空間体験はバーチャルに置き換えられない

さて、バーチャルに置き換えられない体験は、空間体験となりました。
空間体験は、床・壁・天井・什器・照明・通路などの舞台大道具が構成要因になるので、劇場の中にお客様はいるようなものです。

グーグルインドアビューという手がありますが、店内をパソコンで見たくらいでは臨場感がありません。
まあ、VRの精度がディズニーランドのスターツアーズ並みになったらそうではないかもしれませんが。

例えば、売場塾のグーグルインドアビューを見てみましょう。

●売場塾のインドアビュー

どうですか。そんなに臨場感はないですよね。(笑)

今日論じたことを図でまとめます。

買い物体験の4つのタイプの図式化

これからのVMDには二つのVMDがあり、それはビジュアルマーチャンダイジングとバーチャルマーチャンダイジングでした。
空間体験・ナレッジ体験・コミュニティ体験・プロモーショナル体験の4タイプはこんなポジションになります。
空間体験は店舗のみ。
コミュティ体験はバーチャルの方が効率がよさそう。
ナレッジ体験とプロモーショナル体験は工夫すれば、リアル・バーチャルどちらでもできそう、ということです。

VMD担当はどのように買い物体験に関わるべきか

ここであなたはこう思うでしょう。
なんだか面倒くさいな、VMD担当は店頭販促も考えなければいけないの?

もしあなたがVMD専門部署にいるなら、販促部か広告会社に任せてもよいでしよう。
VMD専門部署がやることは、体験スペースを店内に組み込むという作業です。
「店内の空いたところで何かイベントやる!」という業務ではないのです。
体験をショップデザインに組み込んで視覚化することがVMD担当の役目なのです。

ただ「店内の空いたところでイベントをやる」という店は多いです。
プロモーショナル体験を行った38社のうち19社が空間体験とリンクしていませんでした。
つまり、半分の会社が「店の空いたところで何かやる」という状況に陥ってました。
これではもったいないです。
施工会社に空間デザインを丸投げせずに、来店客を体験させる場所への導線を考え、場所もゾーンに組み込み、場所のデザインも特別なものにする・・・ということをVMD担当は考え、施工会社といっしょに行うべきです。

日本のVMD担当者はほとんど販促部の中にいるので、もしかしたら体験そのものを考えるのもVMDの役目でありましょう。
空間デザインを変えてその中に他の3つの体験、ナレッジ・コミュニティ・プロモーションを組み込んだ店舗の方がより私の印象に残りました。。
集計するとその数は37社あり、うまく体験をビジュアル化させて顧客を楽しませていました。

なぜ当社のVMDは、MDP、ショップデザイン、MD、販促体験の4分野になっているのか、これで分かったと思います。

●VMDの4つの分野

「体験自体をビジュアル化する」。
これについては、また機会ある時にお話ししまょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

コロナ後のVMDはバーチャルマーチャンダイジングとの併用

アフターコロナの新しい生活様式が模索される中、今日はコロナ後の売場づくりはどうなるかについてお話しします。

私が書いているVMDの書籍では冒頭で、「体験はリアルな売場でしかできない」と述べていました。
セミナーの冒頭でもよく口にする言葉でした。

●オーバルリンクのVMD書籍

最近は同じ様な体験が家でもバーチャルにできるようになってきました。
すなわち、バーチャルマーチャンダイジングの登場です。

体験はリアル、バーチャルどちらでしても顧客は「買う行為」はできるようになってきました。
今後は二つのVMDが両立するようになるでしょう。
買い物は下記のような構造になると考えます。

●VMD=ビジュアルマーチャンダイジング
場所/ 店舗
体験/ リアル体験
体験の3要素/
・買う
・交わる
・学ぶ

●VMD=バーチャルマーチャンダイジング
場所/ 店舗以外・主に家
体験/ バーチャル体験
体験の3要素/
・買う
・交わる
・学ぶ

チャートにすると上記になります。

ビジュアルマーチャンダイジング、バーチャルマーチャンダイジング、この二つのVMDを両立させることがこれからのVMDの在り方だといえます。
店舗で何かを買うことは体験そのものですが、体験はリアル体験とバーチャル体験のタイプがあり、両方とも3つの体験の要素があります。
まず、リアル体験から述べていきます。

●●●● リアル体験の買う・交わる・学ぶ ●●●●

買う Pharchase Experimece

買うというのは、単に金を払うだけでなく、店内を歩いていろいろな売場に接し、たくさんの種類の中から好きな商品を選ぶという行為で、それはまさに体験です。
例えば下記のようなものです。

  • 心地よいBGMをバックに店内をそぞろ歩く
  • 素敵なディスプレイに目を見張る。
  • いろいろな柄の中から自分の好きなものを選ぶ

交わる Communication Experience

交わるというのは、ショップスタッフの接客もありますし、顧客同士が交わるということもあります。
交わることによって商品のよさがわかったり、使い勝手も理解でき、ファンの育成・持続にもなります。

  • ショップスタッフから説明を聞く (通常の接客)
  • サロンに通されて話をじっくり聞く (VIPな接客)
  • 生産者・設計者から話を聞く (専門家のトークショー)
  • 顧客同士の交流 (ファンの集い・試食イベント)

例えば、酒店はワイン試飲会を店舗のカウンターで行っていて、たくさんの顧客の交流を促進しています。
バイク店は試乗会を開いてバイク好きなファンの交流と育成を行っています。

学ぶ Knowledge Experience

学ぶというのは、商品と商品を取り巻くものについて学ぶということです。
コーヒーひとつ、アロマひとつとっても、学ぶことによって知識を深め、商品を使ってよりよい生活に結び付けていくというのは現代人の買い方と言えます。
学ぶとは、StudyというよりもKnowledge、つまり知識を得るための行為と考えてみてください。

  • グローサラント化したスーパー店内の料理人からレシピを学べる
  • 美容部員を通じて自分の健康増進策を化粧品店美容カウンターで学べる
  • コーヒー淹れ方POPパネルで、コーヒーの抽出法を学べる

これらリアル体験の3要素、買う・交わる・学ぶは、コロナ下の昨今、店外のバーチャル空間に引っ張ることが必要になってきています。
今度はバーチャル体験の3要素を見ていきます。

●●●● バーチャル体験の買う・交わる・学ぶ ●●●●

買う Pharchase Experimece

アマゾンや楽天などを利用して最初からネットで買う行為とは別に、店とネットで連動する買い方とは下記のようなものがあります。

  • 店内で試着・試飲して、専門店サイトで後で買う (ショールーミング)
  • 持ち帰りのものと、重いもの・かさばるものは分けて買う (ネットスーパー)
  • 店頭で興味が沸いた商品のQRコードをスマホに記録して、後で検討して買う (家電店のQR・POP)

交わる Communication Experience

コロナ下で、ZoomやMeetsを使ってショップスタッフとやり取りしたり、ファン同士を集いが交わる機会が加速しています。

  • 店頭での肌のお手入れプロモーションをネットで中継する (ライブコマース)
  • ソムリエと顧客同士のワイン試飲会 (Zoomによるウエブミーティング)
  • 車メーカー設計者によるネット交流会 (Meetsによるウエビナー)

学ぶ Knowledge Experience

上記の「交わる」には「学ぶ」要素も含まれており、買う・交わる・学ぶはリンクするものと考えてください。
いろいろな業態のうち、専門店は特にこれら体験の3つの要素を深く用いていますが、コンビニでさえも、RFIDやQRコードで商品情報をゲットできるので、店を出た後でゆっくりスマホで閲覧して商品を学ぶことができます。
しかもわからないころがあれば、ライン等で店とすぐにつながり面と向かって質問もできるようになりました。

買う場は、リアル・バーチャルどちらでもよい

ビジュアルマーチャンダイジングでは、いかに通行人を店内に導きモノを買わせるかに重点を置いてきました。
買わせることがVMDの最終目的だったわけですが、必ずしも店内で買わなくてもよい時代になりつつあります。
これからは買うスペースはリアル・バーチャルどちらでもいいのです。
こんな時代、VMDインストラクターはどのように売場づくりを行えばよいのでしょうか。
デジタルの専門知識も携えなければダメなのでしょうか。

答えはNOです。
あくまでビジュアルマーチャンダイジングはリアル店舗のノウハウなので、バーチャルの方は別の担当・専門部署に任せればよいでしよう。
ただし、ある程度の知識を身につれることと、別の担当や専門部署との連携は必要です。

大事なのはバーチャル部署との連携

リアルはリアル部署、バーチャルはバーチャル部署だけで販売業務を行うよりも、それらをリンクさせた方が相乗効果が期待できます。
いわゆる、OMOやオムニチャネルの考え方ですが、二つのVMD理論は、二つの担当部署あるいは担当者の連携という、ヒューマンリソースを土台にした理論だと思ってください。

つまり、今まではオンラインはIT部、またはCRM部に任せきりで、店舗はそれの販促をちょっとやるというスタンスでしたが、リアルVMD←→バーチャルVMDは担当者同士、相互依存の形で進まないといけないです。
例えば、今後考えられる施策を二者がどのように連携したらよいか、下記に述べてみます。

例1 グーグルストリートビューによる連携
インドアビューで店内を見ることができる昨今、店舗に行く前または後で店内商品を吟味することができるようになります。
アプリFlic360を使用すれば、ビュー内の写真をクリックすればそのまま買うことが出ます。
この場合のリアルVMD・バーチャルVMD担当の連携の仕方は下記になります。

・リアルVMD担当は、インドアビュー店内の導線・マグネット売場・オーケストレーションをプランし、打ち出し商品に目が行くように店内インスタレーションを行う。
・バーチャルVMD担当は、画面の商品クリックから自社の購買サイトにシームレスに移行する軌道をつくり、効果測定をする。
ビュー内歩行距離とクリック数、コンバージョン数などの測定を図り、効果が薄い時はVMD担当と話し合い、導線や什器レイアウト、ディスプレイなどを変えていく。

例2 facebookとインスタグラムのShops機能による連携
アメリカでは今年、facebookとインスタグラムにて店舗オーナーが無料で販売サイトをつくることができるようになります。
機能アプリ「Shops」をダウンロードして、売りたい商品写真を画面上に自由にレイアウトし、そこから自社の販売サイトに導くことができます。
この場合のリアルVMD・バーチャルVMD担当の連携の仕方は下記になります。

・リアルVMD担当は、打ち出し商品をVP,PP,テーブルプレゼンテーションに展示し、そこに「Shops対応商品」という名目でShopsカタログ商品掲載ページののQRコードを設置する。
・バーチャルVMD担当は、自社のfacebook、インスタグラムで店の展示を紹介するとともに、画面下に「Shopsカタログボタン」を設置し、クリックすることにより商品ページにジャンプでき購入できるようにする。
店頭QRコードからの購買率とバーチャルのみの購買率を比較することによる効果測定をし検証する。

このように、コロナ後の世の中は、二つのVMD、ビジュアルマーチャンダイジングとバーチャルマーチャンダイジングをセットで考えて行くことが必要になってきます。
VMDインストラクターの皆さん~、そんな世の中に対応できるように情報武装していきましょう!!

来週行われる「オンライン大阪売場塾VMDなるため説明会」では、これからのビジュアルマーチャンダイザーはどうあるべきか?も語ります。
興味ある方はぜひご参加ください。

●オンライン大阪売場塾VMDなるため説明会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDの会社、創業18年目になりました!

明日から7月ですね。
当社は明日創業18年目に突入します。
クライアントの皆様、売場塾受講生の皆様、多大なるご支援誠にありがとうございます。
いまオーバルリンクがあるのも皆様のおかげと厚く御礼申し上げます。

VMDの専門会社として17年やってきました。
その核となったのはやっぱり「VMDインストラクター」です。

VMDインストラクターのビジネスモデルのいいところは何と言っても仕入れがないこと。
VMD会社を始めたころは、店やディスプレイを作ることが多く、仕入れがたくさんありました。
設計費、施工費、広告制作費などです。
このビジネスモデルはよくなかったです。(笑)

そこで3年後180度やり方を変えて、すべての仕事は仕入れなしにしました。
●店舗を作る時は、・設計会社に頼まずに、自らデザイン・設計をする。
クライアントに施工会社と当社とで分別発注してもらう。
当社は設計料、プランニング料のみいただく。
●ディスプレイ制作の際は、ディスプレイマニュアルとディスプレイ用品調達一覧をクライアントに渡して自ら購入していただく。

早い話が、プランニングとコンサルサービスに徹底したというわけです。
例えプロップスが100円かかるとしても、それもクライアントに購入いただいてます。
これは仕入れノウハウを教えるようなもので、
クライアントはどんな業社や店でディスプレイ用品を集めるのかわかるので、2回目からは自分たちでできるというわけです。

企画料やコンサル料だけで食べていけるの?
とお思いでしょうが問題ありません。

なんせ17年やってきて毎年きちっと収益を出し、ほぼ毎年株主に配当してきました。
借金は一切ありません。
VMDインストラクターという職業は仕入れなしでできるので、不況下でも強いです。
(とはいえ、今回のパンデミックは予想外でしたが・・・)

VMDインストラクターの皆さん、風雪に耐えて生き延びましょう~。
上記の写真は、今年のオーバルリンクのスローガンです。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDインストラクターとシニアVMDインストラクター、どう違う?

この度の第73期で、シニアVMDインストラクターは15名になりました。
合格された方、おめでとうございます。
現時点でVMDインストラクターは802名なんですが、シニアVMDインストラクターはまだ15名なんです。

VMDインストラクターとシニアVMDインストラクターって何が違うのでしょうか。
試験と資格の違いは以前述べました。
●数字で見る資格者数

今回は、よりわかりやすく解説します。

VMDインストラクターを直訳すると、「VMDの先生」ということです。
シニアVMDインストラクターは、それにシニアがついていますので文字通り、先輩VMDインストラクターということです。
では、先輩VMDインストラクターの定義は何か、それは下記です。

●シニアVMDインストラクターについて
VMDプロとして、VMD業務をより的確に高度に遂行できる人材です。
企業内におかれましては、VMDマネジャーを目指すことができる人、あるいはマネージャーとしてスタッフを指導することができる人です。
フリーランスの方におかれましては、クライアントに対してVMDサービスを提案でき、
その報酬を正当にいただき、サービスを発展拡張できる人です。

手っ取り早く言うと、企業においてはリーダー、フリーランスにおいてはお金を稼げる人、ということになります。

シニアVMDインストラクターのキーワードは、その方が企業人であれ個人であれ「報酬を正当にいただける人」です。
会社員として社内で仕事をしても、お金をもらえるほどの仕事をしているということ。
例えば、もしいきなりVMDとして独立してもクライアントの仕事をしっかりできて正当な報酬をもらえるということなんです。

VMDインストラクターとして取得できたら、すぐにみんながやっているのはセミナーの先生。
これで成功している方は会社員でもフリーランスでも多いです。
当協会も早く成功するにはVMD講師がおススメとは言っていますし、セミナーで活躍することはVMDインストラクターの面目躍如たるお仕事ではあります。

ただやはりそれ以上に実力がつき、企業で売場づくりのリーダーとして活躍でき、自営として収益をしっかり確保するには、店舗診断・臨店指導ができるといいでしょう。
特に店舗診断と臨店指導は当社のメソッド「フレームワーキング」をベースにしていた独自の方法で、クライアントに喜ばれています。

●フレームワーキング(R)

シニアVMDインストラクターの試験は、この店舗診断と臨店指導をベースにした実地試験になっています。
そして試験に合格しフレームワーキングがマスターできたならば、店舗診断と臨店指導を業務に入れることができ、VMDガイドライン制作、コンサルティング・・・とサービスも拡大していく、というわけです。

実際、シニアVMDインストラクター15名のうち、フリーランスと会社員の割合は半々です。
会社員全員は、プロジェクトリーダー・コンサルタント・役員のどれかです。
フリーランスの方は、VMDをメイン業務に据えて自営されている方が多く、中には株式会社化している人もいます。

すでにVMDインストラクター資格をお持ちの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクターにチャレンジしてください。
オンラインと実地テストなので、試験会場にくる必要はありません。
実地はフレームワークを駆使した店舗診断シート提出なので、時間がかかります。
今だからこそ時間があるうちに受験してください。~

また、初めの方はまずはVMDインストラクターからトライすることになります。
資格取得の詳しい流れは下記を参照ください。
リアルとオンラインの説明会も開いています。

●VMDインストラクター、シニアVMDインストラクター資格取得の流れ

●売場塾&VMDインストラクター説明会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMDインストラクター、800名突破しました

先月、VMDインストラクター資格取得者が800名突破しました。
合格された方、おめでとうございます。
そしてこの春、売場塾は創立15年目になりました。

●売場塾創立15周年

2020年はVMD専門資格として日本に定着してきた感がします。
いや世界かな?
というのはVMDインストラクター資格者のうち、外国の方の比率は5%だからです。

VMDインストラクターという言葉をブラウザで検索してみましょう。
画像表示で検索すると、いろいろな方が取得しているのがわかります。
(半分は当社の関連サイトでした。すみません)

VMDインストラクターの活躍は下記サイトをご覧ください。
いろいろな方がVMDインストラクターとして活躍しています。(^^)

●VMDインストラクター ワークスタイル
●売場塾卒業生インタビュー

とはいえ、喜んではいられないです。
新型コロナウイルスショックのためです。
当社も御多分に漏れず、この春の売場塾日程は延期しております。
そして私も自身も自粛中・・・。
夏期講座が始まる7月には終息しているといいんですが。

●売場塾夏期講座ご案内

全国のVMDインストラクターの皆さん、コロナに負けず頑張りましょう。
当社の今年の標語は、NO RAIN, NO RAINBOW です。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

VMD部の仕事の進め方

前回は、兼任VMDの仕事はどのようなものか解説しました。
今度は、専門部署としてのVMD部の業務はどうあるべきかをお話しします。
まず、専門部署としてのVMD業務を体系化すると下記になります。

●PDDC
・Plan
VMDをプランする。計数管理をしたり企画を練る。
・Design
棚割りをする。展示をする。POPをつくる。店舗デザインをする。
・Do
デザインされた空間でモノを販売してみる。
・See
VMD目標はどうだったのか振り返る

売場づくり、店づくりの順番から言うと、下記のPDDCになります。

  • コンセプト
  • MD分類&VMD分類
  • 定数・定量
  • ゾーニング
  • 什器レイアウト
  • VP,PP
  • IP
  • サイン
  • POP

その他、展示会やPOPアップショップなどプロジェクトの仕事もあります。
今回は上記レギュラー業務を中心に話していきます。
ただし、VP,PP,IPはどこかの誰かのブログでよく見ると思いますので、今回は省きました。
組織が大きい場合は他部署との共同になりますので、他部署との連携の仕方もお話しします。

●コンセプト

VMD部の業務としては、策定したコンセプトを店や売場のデザインに落とし込む作業です。
広告部主体だと、カッコいい言葉づくりに終わってしまいがちです。
VMD部はその言葉をデザインテイストに落とし込み、トーンアンドマナーに反映させます。
トーンアンドマナーはともすればテレビやネットなどのマス広告に傾倒しがちで、売場はノーマークということが多いです。
これはメーカーに顕著です。

VMD部の役目は、広告だけでなく空間もブランド化すること。店の床・壁・天井といった構造物、什器・照明・サインといった大道具、POPという販促物までコンセプトが反映されるようにトーンアンドマナーを決めていきます。
トーンアンドマナーとは、デザイナーが守らなければいけないデザインのルールです。

========= 他部署との連携の仕方

(経営企画部、マーケティング部、広告部などと連携)
コンセプトワードを決めるのが経営企画部や広告部の役目だとすると、VMD部はそれを空間デザインへ落とし込むのが業務となります。
プライスカードひとつに目を光らせて管理してください。

●MD分類&VMD分類

ほとんどの企業は分類をPOS管理していますが、何がいくつ売れた位の統計しか管理していないケースが多いです。
VMD部は、単なる仕入れ先別またはアイテム別のPOS分類を、顧客目線の分類にプランします。
すなわち、VMD分類です。

プランをするためのPOS売上分析は大きく分けて二つあり、グルーピング分析と時系列分析です。
(これに関しては後日お話しします)
分析によりVMD分類が確定したら、ゾーニング→什器レイアウト、棚割りを変えていきます。
これをリバイス(売場の再編集)と言います。

52週というリバイス時期においては、VMD分類の時系列売上曲線に同調するように売場の強弱を考えていきます。
強弱の施策は、什器レイアウト、フェイス、POP、ディスプレイ、棚割りに反映します。
例えばディスプレイにおいて、VMD分類グループが導入期の場合は、服はフェイスアウトにしコーディネート展開。
成熟期になったらフェイスアウトとスリーブアウトを多用してPPはリピテーションにする。
など時期にフィットするリバイスをしていきます。

========= 他部署との連携の仕方

(商品部、MD部、プロダクツ部などと連携)
仕様品を仕入れたり、作るのが商品部の役目だとすれば、VMD部は商品の売場展開を考えるのが業務となります。
売場展開は、ゾーニング、什器レイアウト、フェイス、POP、ディスプレイ、棚割りに影響していきます。

●定数・定量

商品部は自分たちの開発または調達した商品をなるべく多く店頭に置きたいでしょう。
販売部はなるべくたくさんの商品をどさっと並べて売りたいと思っています。
また、店舗開発部は商品をどのくらい置くのかを考えずに平面図をつくることが多いです。
平面図には商品展開数は表現されていないからです。

そこでVMD部が定数・定量を定めて、売場の佇まいをコントロールします。
「佇まい」とはスペースブランディングのことです。
空間の余裕があるなしで、お店の印象は変わるからです。
VMD部は定数・定量を設定し、どこに商品を何個置いて、什器数はどのくらいにする・・・という目安書、いわゆるデータシートを商品部や販売部、店舗開発部に提示します。
VMD部は、いわば店舗や売場のスペース・コントローラーと思っていただければよいです。

========= 他部署との連携の仕方

(商品部、MD部、販売部、店舗開発部などと連携)
売場・店舗のブランディングを重んじている会社は、定数・定量は必須です。商品部・販売部がたくさん売りたいという気持ちはわかりますが、VMD部はぐっとこらえて空間の大事さを訴えるしかありません。
私のVMDコンサル18年の経験から言うと、商品を少なくして売り上げが減った売場や店舗は1軒もありません。
むしろ商品を少なくして、売上が上がった事例が多いです。

●ゾーニング

VMD部の業務としてのゾーニングとは、フロアにおける大ざっぱな売場区分をプランすることです。

通常ですと、店舗開発部が店舗デザイン事務所や施工会社に丸投げしそうなところを、VMD部がゾーニングプランを行い、それを施工会社や社内デザイナーにオリエンします。ゾーニング図は、フロアの大分類、導線、主通路、リレーションを考えて書いたフロアの簡略図です。
例えば、化粧品店では、大分類を「美肌化粧品」「メイク・ヘアケア」「美容器具・雑貨」「サプリメント・健康食品」などと区分します。
これをフロアのどこに配置させるかを何パターンか考えて一番いいプランを選びます。。
どんなゾーンが隣同士だったらよいのか、レジ近くにはどのゾーンがよくて、エスカレーター近くはどのゾーンがいいのか、シミュレーションは尽きません。

フロアは一度できてしまうと、やり直すのが面倒です。
十分プランしてください。

========= 他部署との連携の仕方

(店舗開発部、店舗デザイン部)
通常、施工会社はいきなり平面図(什器を配置した図面)を持ってきます。
ゾーニング図とは、VMD分類のゾーン分類を図に示し、主導線を示した図のことで、平面図の前段階の図です。
VMD部はゾーン図を施工会社にオリエンすることによって、理想的なフロアレイアウトを完成させるのです。

●什器レイアウト

什器レイアウトの図面は2.3あり、什器デザインと平面図または立面図です。
店舗開発部は、施工会社から什器デザイン図、平面図・立面図などをいただきますが、そのままうのみにせずにVMD部と連携してください。

什器デザインは、商品や設置場所、ブランディング、PPの有無により変わります。
例えば、傘を売る什器とアイスクリームを売る什器は違いますし、島展開の什器と壁面什器は違います。
什器における展示スペースのありなし、壁面オーケストレーションの仕様によっても什器デザインは変わります。
これを知っているのはVMD部です。

平面図は什器の間取りのようなものですが、商品VMD分類・リレーション・導線のプランをベースに考えなければいけません。
VMD部の役割はそれをプランすることです。

立面図はオーケストレーション設計と言っても過言ではないです。
VMD部は棚の高さを決めたり、キャッピングという棚自体をデザインにするプランを立てます。
店舗デザイン部は什器の意匠、商品部は商品フェイス、販促部はPOPのみの作業に陥りがちですので、VMD部がそれらをしっかり監修しながら、什器の意匠・商品フェイス・POPなどの要素をオーケストレーションプランに落とし込んでいきます。

========= 他部署との連携の仕方

(店舗開発部、店舗デザイン部、販促、商品部)
単純な什器デザイン、平面図に陥りがちな図面を精度あるものにするのがVMD部の役目です。
什器は商品が入ってナンボです。
施工会社の平面図を見てOKというようにせずに、商品の入った什器をどのように運用していくか、MDカレンダーに合わせた商品VMD分類・リレーション・導線のプランをベースにした什器レイアウトを52期ごとに立案しなければいけません。

●サイン

サインとは、屋号や商品ブランドサイン、駐車場のサイン、レジのサインなどいわゆる看板のことです。

往々にしてブランド管理部が店に看板を納入して終わり。
ロゴをメールで送って後は任す・・・という単純作業で終わり勝ちのところを、VMD部がしっかり現場監督するわけです。

屋号回りにPOPが貼られていないか。
サインに店舗備品がひっかかっていないか。
デパ地下のテナント店舗の屋号が在庫品によって見えないのは、VMD部のサイン管理の足りなさでしょう。
VMD部はサイン設置のNG集などをつくってショップに配布するとベターです。

また分類サインは、「肉」「魚」「野菜」「練り物」「総菜」という大分類サイン、「ふりかけ」「お茶・コーヒー」「麺」「ジャム」といった中分類の仕様と設置場所の設計は商品部、店舗開発部などが行います。

ところが分類サインは場合によっては、「リラックスしたい方に」「体の中からキレイにした方に」「モチベーションを上げたい方に」など、悩み別サインというような従来のアイテム別以外の発想も求められてきます。このような展開分類サインはVMD部がアドバイスしたほうがよいでしょう。

========= 他部署との連携の仕方

(店舗開発部、店舗デザイン部、販促、商品部)
屋号、商品ブランドサインのロゴやマークの仕切りは主にブランド管理部や広告部が行いますが、VMD部はそのサインの置かれる環境美化を図ります。
また展開分類サインをつくるのもVMD部の勤めです。

●POP

ともすると販促部は販促用品を店に送って終わり。になっています。
そのため、店側が売場にベタベタ、バラパラにPOPを貼る風景が横行しています。
POPも売場の重要な構成要因ですので、それを設計するのがVMD部の役目です。

POP制作は販促部の仕事ですが、販促部は本当に販促部分のみしか見ていないケースがあります。
広告—広く告げる—というフェアやセールの告知POPだけではないのです。

空間ブランディングとしての演出POP、商品説明・ブランド説明といった説明POP、営業時間・ポイント割引といった案内POP、20歳以下厳禁・火気厳禁などといった注意POPなど、POPの種類に応じた仕様・設置場所の確認と実施を行わなければいけません。

========= 他部署との連携の仕方

(販促部、広告部、商品部)
POPをデザインするのは販促部の仕事ですが、POPを適正配置するのはVMD部の仕事です。
りPOPは作ってからが勝負で、配置されてナンボなのです。

と、ここまで一気にVMD作業の役目と他部署の連携の仕方をお話してきました。
VMD部ってディスプレイ制作係じゃないの?と思われた方は古いです。
VMD部は売場づくり全般を司り、その役目は多岐に渡るんです。

VMD部をつくりたい企業の皆さんはぜひ下記のサービス資料を請求してください。
●VMD導入プログラム

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

どんな部署がVMDを必要としているか

日本のVMD担当たちは組織のどこの部署にいるのか?
それについて今回は語ります。
ズバリ、下記の部署にいます。

  • 販促関係の部署
  • 販売関係の部署
  • 教育関係の部署
  • 商品関係の部署
  • 経営関係の部署
  • 店舗関係の部署
  • 人材関係の部署

もちろん、VMD専門部署もありますがアパレル以外はいたって少なく、上記部署の方が兼任しているのが現状です。

この中では販促関係の部署の割合が多く、売場塾に来校される流通企業の34%が所属しています。
さて、では部署別にどんな風にVMDが必要とされているのか見てみましょう。
部ではなくて、課としてとらえてもけっこうです。

●販促関係の部署
主に下記の部署が販促関係になります。

  • 販売促進部
  • 営業企画部
  • 営業管理部
  • 広告部
  • 広報部
  • 業務推進部
  • SP部
  • プロモーション部

この部署は、マス広告と店頭販促の企画・実施をしています。
小売店は時期や対象に合わせて品揃えを考え、品揃えに合わせた販促企画を毎週・毎月打ち出します。
それに合わせてテレビ・新聞・チラシ・Netのようなマス広告と、店頭のプロモーションを企画・実施します。

店頭のプロモーションはマスと連動するか、店独自で行われ、売場づくりもその一つとなります。
什器製作やPOPやビジョンなどの販促物を売場に設置して来店客を惹き付けます。
そこにVMDが使われているのです。
VMD作業のうち、什器デザイン・什器レイアウト、IP・PP・VP、POP制作・編集、ディスプレイ・プロップツール作成、顧客の体験シナリオ制作と実施などが活用されます。

メーカーの場合は、商品をつくり小売店に供給する側ですので、商品のマス広告投下と、それに連動した売場回りの販促企画をつくり、人や販促物を店に供給し売場づくりをし、時には自ら販売します。
VMD作業は小売店と変わりませんが、小売店への提案作業が加わります。

●販売関係の部署
主に下記の部署が販売関係になります。

  • 販売部
  • 営業部
  • リテール部
  • 店舗運営部
  • 店舗セールス部

この部署は小売店だったら店長や販売スタッフ、メーカーだったら営業スタッフが属します。
小売店の販売スタッフは自ら売場づくりをしなければいけません。
店舗自体は別部署が作ってくれるのですが、販売スタッフは店の中身の運営です。
毎日・毎週・毎月、売場の品揃えを変え、陳列・展示をつくってお客様に商品を販売しなければいけません。
特にVMD作業のうち、IP、PPと呼ばれるディスプレイスキルが求められます。
商品分類の知識も必要で、変化する品揃えに沿った什器レイアウトと壁面・島・テーブルなどの棚割りを考えなくてはいけません。
またPOP編集と言って、本社から供給される販促ツール、POPやリーフレットなども的確に配置しなければいけません。

●教育関係の部署
社員・スタッフの教育関係をしている専門部署です。
下記の2種類があります。

  • 小売チェーン店の教育部
  • メーカー、卸の教育部

大手スーパーやドラッグストア、百貨店などは、教育部署があり研修所も持っています。
と言ってもバックヤードやレジ回りの研修が主で、例えばスーパーでは魚のさばき方や盛り付け、レジやフロアでの接客と清算の流れが主な研修課目になっています。

一方、メーカーの教育部は、化粧品だったら美容部員の、下着メーカーだったら販売員の接客研修、商品・サービススキル研修が主になっています。
これらの商品はマンツーマンのコンサルティング販売がメインなので、そのような研修が必要です。
ただ近年、VMD研修をし始めている企業も多く、化粧品や下着の売場づくりに力を入れています。
主にディスプレイの研修が多いです。

●商品関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

小売においては
・商品部
・MD部

製造直販においては
・商品部
・MD部
・プロダクツ部
・商品開発部

メーカーにおいては
・商品部
・プロダクツ部
・商品開発部

小売の商品部は、バイヤーが商品構成を考えて仕入れます。
仕入れた商品をただポーンと小売店に送るだけではなくその後の展開分類を考えなくてはいけません。
商品は1つだけでは目だたなく、陳列が群れになった売場として初めて目立ちます。
これを展開分類といい、MDテーマを駆使して売場の塊に昇華しなければいけないのです。

メーカーの商品部はモノ自体を企画して作るのが仕事です。
ですが、その商品を小売店に置いてもらわなくてはいけません。
どんな売場にするか提案力が必要で、それがよくなければ小売店からいい売場をもらえないのです。
商品を棚に置くだけになってしまいます。
メーカーの商品部がVMDに長けていれば、売場のネーミング、什器デザイン・POP・ディスプレイツールによる空間の商品プランディングが提案できます。

製造直販においては、モノを作り売場に展開するという両刀使いですので、先ほど言った小売店とメーカーの商品部の二つの役割がVMD担当に求められます。

●経営関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

・ブランド管理部
ブランディングを考える部署です。CIやVIを管理しています。
・経営企画部
会社の方向性を決める戦略を練る部署です。
・マーケティング部
昔は調査部だったものの今では経営の中枢にかかわる部署です。
4P、つまり商品・価格・販売チャネル・販促全般の企画づくりを行っています。

経営企画部は、ブランドを統括する部署ですので、コンセプトメイキング、ターゲッティング、ポジショニングといったマーケ全般を司ります。
VMDとしては、ショップコンセプト、顧客ターゲット、競合対策など基本戦略を考え、ショップデザイン、体験、ディスプレイ、品ぞろえなどの方向性を決める部署と言えます。

●店舗関係の部署
主に下記の部署が商品関係になります。

  • 店舗デザイン部
  • 店舗開発部
  • 店舗部
  • 店舗総括部
  • 店舗事業部
  • 店舗設計部

ここの仕事はショップの統廃合、新しい業態開発、新店の新装、既存店の改装などです。
店舗デザイナーや設計士を有していることも多いです。
ここは店舗コンセプトに基づく店舗デザインを行う部署です。
床・壁・天井・什器・照明という大道具をデザインする以外にも、VMD要素である導線設計、ゾーニング、什器レイアウト、マグネット売場の設置、ディスプレイツールの開発、分類サインの企画と設置なども仕事です。

●人材関係の部署
主に下記の部署が人材関係になります。

  • 人事部
  • 人材開発部
  • 総務部
  • ヒューマンリプレースメント部
  • ヒューマンリソース部
  • マンパワー部
  • ヒューマンソリューション部

人材部は、社員募集、社員配置・転換、信賞必罰、適正報酬などを決める部署です。
VMD部・課・チームをつくるにはこの部が責任部署になります。
社内資格制度や進級テストをつくったり、外部のスペシャリストを入社させて既存社員に新しいノウハウやスキルを与えるという役割もあります。
そのため、VMDアドバイザー、VMDコーディネーターという社内資格をつくり、部により必須にしたりしています。
またVMDインストラクターのような外部資格も利用しています。

●VMDインストラクターとは

だいたいわかりましたでしょうか。
VMDはどの部署に有効かということが。

当社はVMD担当を育成し、社内にVMDを根付かせるためのサービスをしています。
詳しくは下記をご覧ください。

●VMD導入プログラム

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)