インストラクターって必要なの?

インストラクター

VMDインストラクターの学校「売場塾」をつくってはや18年。
940人以上のVMDインストラクターを輩出していますが、今日は逆説的に「インストラクターってそもそも必要なの?」という観点からお話ししていきます。

まずは私の高校時代のエピソードから。

1.ひたすらリピートすれば成就する

それは、高校生の時でした。
映画研究同好会というサークルに入っていて映画を作っていたんですが、前々からスポーツ部にあこがれていました。
はつらつとした野球部員やバスケ部員を見ると、運動苦手な私はなぜか劣等感が。

そこで思いついたのは、「毎日ジョギングしたら、走ることだけはうまくなれるかも」ということでした。
校内で誰にも負けない長距ランナーになったら、「文化部でもスポーツダメ男にならないだろう」と単純に考えました。

思い立ったら吉日。その日から毎日20分位帰宅後に家の近くを走ることにしました。

ただ、「毎日20分走れば長距離で1位になれる」という単純な発想で、うまくいくかどうかまったくわかりませんでした。
しかしながら、なんとかなるだろう、と楽観的な気持ちでもくもくと雨の日も風の日も走っていました。
なんか映画のロッキーみたいで気持ちよかったです。

1年が経ち、体育祭のクラス対抗1500m走に出場してみたら、1位になれました。
ここで「なるほど毎日コツコツやれば成就できるんだ」と実感したんです。

次に思いついたのは、「みんなが苦手な歴史で学年で一番とれば目立つかも」でした。
そこで、中間試験も期末試験も数学や国語など他教科はあまりテスト準備はせず、ひたすら歴史のテキストや参考書を丸暗記してみました。

ジョギングと同じように、同じことをリピートして毎日やればなんとか1位になれるだろう、というシンプルな考えでした。

最初の中間試験の歴史テストの結果は2位でした。
次の旺文社試験は静岡県内で4位でした。
残念ながら1位ではありませんでした。

しかしながら、ここで、
●何かを目標に掲げひたすらリピートすれば、なんとか成就できる
という定義めいたものが生まれます。

2.足りなかったもの。それはインストラクター

この定義はもしかしたら、恋愛や将来の職業にも応用できるかも。
と、したたかな思惑がアタマを出します。

とはいえ、ウブで将来についてあまり興味なかった私は、そちらの方向に舵を取りませんでした。
とりあえず1月の10kmマラソン大会で1位を目指すことにしました。

相変わらず毎日走り続けていましたので、ある程度はいい成績を残せるだろうと高をくくっていました。
しかし結果は79位。
なぜかこの数字、今でも覚えています。
それは「泣く」と読めるからです。

この結末を友人に話すと、バレーボール部員の彼はこう言いました。
「そりゃあ、そうだよ。20分繰り返し走っているだけでは、10kmマラソンは持たないよ」
「距離を次第に長くしたトレーニングに変えなければいけない」
と諭してくれました。

私はこの時、「なるほど」と思いました。
そう、私に足りなかったのは彼のように指南してくれるインストラクターでした。

3.プチインストラクターとの出会い

他人に頼りたくない性格、自分のやり方でコツコツ続ける性格。
そんな私の性格にはメリットとデメリットがありました。

メリットは三日坊主で終わらないこと。
そしてある程度は成就するということ。

デメリットはある程度まで行ったらそれ以上は進化しないこと。
つまり壁にぶち当たること。

でした。

やがて社会人になり広告代理店に勤務しました。
その広告代理店もインストラクターはいませんでした。

商店やビル群を片っ端から飛び込み訪問するスタイルのその会社は、100軒飛び込み訪問・100件電話追い込み、ということを標語にしていました。
しかし、誰もそんなことをする人はいませんでした。
そう、上司でさえも。

中小広告代理店ではよくあることですが、億単位の売上のクライアントを持つ営業は、決して広告主を手離さない。
他人に譲ったり引継ぎせずに、ずっと社内商店経営している人が多いんです。

なので、飛び込み新規開拓する必要もなく、部下には「1日100軒飛び込め」というものの、自分は何もしない人が多かったです。

100軒飛び込み訪問・100件電追い込みが苦にならない私は、試しに毎日やってみました。
そのやりかたは誰も教えてくれないので、自己流で工夫を加えながらやっていくうちに、新規客が集まりだしてきました。

縁とは不思議なもので、私を見込みのある営業マンだと思ったクライアント1人が、「君は見込みがある」ということで、会うたびに「明日のための10か条」をメモして私に教えてくれたのです。

このプチインストラクターは「あしたのジョー」の丹部段平みたいな人でした。
「あしたのための10か条」は営業のトークの仕方がメインでした。
・値引き強要された時の会話
・お茶の飲み方
(あと、すみません。忘れました)

毎回、おもしろいように新規が開拓できると、ふと気がついたことは、小口クライアントはたくさん集まるけど、何千万や億のクライアントは集まらないということでした。
大手企業でも零細でも、静岡県をAからD地区に分けて自転車でルート営業していたのですが、それが限界でした。

私に足りなかったのは、数千万から1億の新規開拓を指南してくれるインストラクターでした。

4.パーソナルインストラクター時代

限界を知った私は人の推薦もあり、二社目の大手広告代理店に転職しました。

飛び込み営業がスタイルではないその会社では、直属の上司はつきませんでした。
その代わり、私を入れてくれた部門長が手取り足取り、新規客へのアプローチの仕方やプレゼンの仕方を教えてくれました。

そして飛び込み中心の面の新規開拓から、点の新規開拓に変わったのです。
つまり、クライアントターゲットを絞って、集中的にそこだけアタックするというやり方です。

その部門長はOJTで教えてくれるので、私のパーソナルインストラクターという感じでした。
前の会社と大きく違うところは「すべての仕事の成果は私に戻ってくる」ことでした。
前の会社は下働きの弟子みたなもので、上司のクライアントへの仕事を手伝っても給料に反映することはありませんでした。
前の会社では、上司のクライアントの売上はすべて上司の成果だったからです。

2軒目の会社では、新規はすべて私の客となり私の成果としてくれました。
もちろん、1社数千万から億のクライアントになりました。
おかげで、2度社長賞を取ることができました。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)という広告スタイルを身につけたのもこの会社でした。

その部門長が転勤した後、私に直属の上司がつき、その方も手取り足取り企画の仕方や書き方、プレゼンの仕方など教えてくれました。
プレゼンもすべて立会いしてくれたのでうまくいきました。
こちらも、前の上司と同様、手柄や成果を私に帰結してくれる上司でした。

こんな感じで、インストラクターとしてぴったり寄り添って仕事のノウハウを教えてくれる人がいたのはとても幸運でした。
20年もの間の広告代理店勤務の中で、合計3年くらいトレーニングいただいたのですが、これは貴重な価値となりました。

こんな感じで、仕事で自分を高めるためには、ノウハウを持っている社内の人材をうまくインストラクターにするとよいです。
もちろん、ただ利用するのではなく、下記の条件が必要です。

●自分のためになるし、会社のためになる

これを詳しく見ていきましょう。

5.社内で自分を高める条件とは

社員個人も含めて会社の持つノウハウって、さすがハンパじゃないですよね。
あなたはただがむしゃらに仕事をしているけど、実は会社の持っている知識資産をいただいているんです。

いただいていない方は、積極的にノウハウを掴みに行った方がいいです。
そして、

●自分のためになり、会社のためになることをする

これを私が会社に社員として居続ける理念にしました。
サラリーマンである以上、会社に貢献しなければいけないのは定めです。
そしてノウハウをいただいていることに感謝すべきです。
私の場合は新規開拓、売上で貢献しました。

それが

●会社のためになるけど、自分のためになっていない

場合は、ノウハウがあるワンランク上の会社を目指すか、ノウハウを持っている部門に移った方がいいと思います。
やっぱり仕事ってお互いにWIN WINじゃないと成り立たないからです。

私はそんな考えでサラリーマンをしてきました。
だから3回くらい転職、部門転換したんです。

で、もうひとつのパターンもありますよね。

●自分のためになるけど、会社のためにならない

そんな場合は、残念ながらリストラか左遷の憂き目に会うかもしれません。
私も一度経験ありました。

6.インストラクターはどこで探すか

さて、自分のためになるインストラクターはどこで探すか、なんですが、社内の「これだ」という人を頼るといいでしょう。
部が違っても、遠くの支店にいても会いに行くべきです。
私は新幹線を使って会いに行きました。
「弟子にしてくれ」ということではなくて、話を聞いてみるという目的です。
まずは話を聞いてみる、相談してみる事が肝心です。
その上で得るものはありました。
それが今後どうするか、の道しるべを描けます。

実は最初の会社で、「会ってみたい」という人がいました。
その方は、山のふもとに家があり、電話も通っていない家に住んでいました。
玄米を食べているというマクロビオテックな人ですが、快く会ってくれました。

その他、相撲の記者をやっている先輩に会いに国技館に行ったり、交流会で知り合った海外広告会社勤務の方に会いに行ったりと、「この人に会えば何か得られるかも」という気持ちで軽く行動に移していました。

メンターみたいな人を探していたかもしれません。
とにかく躊躇しないで即行動に移すといいです。
意外と人は初対面でも会ってくれるものです。

7.自らがインストラクターになる

月日は流れ、私はやがてVMDの会社をつくることになります。
しかし、VMDの知識はそれほどありません。
やはりここで、VMDを教えてくれるインストラクターが必要になります。

どうしたかというと、やはりパーソナルインストラクターを探していっしょに仕事をするようになりました。
2年くらいは、自ら新規開拓した仕事をインストラクターに頼んで、OJTしていただきながらVMDを実施させていきました。

VMDの仕事をすべてそのインストラクターとやりながら、VMDの極意を覚えていったのです。
仕事はすべてお渡しするので利益率は半分しかありませんでしたが、貴重な経験になりました。
今でもそのインストラクターに大変感謝しています。

そんなことで短期間でVMDのノウハウを身に着けた私は、アパレルや百貨店のVMDというよりも、電気や化粧品、車などいろいろな業種・業態のVMD理論構築が急務だと考えるようになりました。

そこで業界を絞ってクライアントを発掘し、頼みもしないのにいろいろな分析やプランを提出しては、その仕事を遂行してきました。
要は実験に実験を重ねていきました。そうしてノウハウを構築していったのです。

同時にビジネス誌の編集委員になり、新聞記事等でVMDに熱心な会社を選出、取材し論文を書いていきました。
その数100社くらいです。
そのおかげで、業種・業態・取り扱い商品を問わないVMD理論が構築でき、それを「55のフレームワーク」としてまとめました。

よかったら、どのくらいの論文を書いているか下記を見てください。

●深沢泰秀 論文

そして起業してから3年目で売場塾をつくったという次第です。
ニッポンにはインストラクターが少ないので、インストラクター自体を作りたいというのが、私の狙いでした。
VMDを教えてもらったけれど、逆に教える立場となり、今はインストラクターを育成している、ということです。

8.インストラクターはどこでも必要

私はそんなわけで、VMDインストラクターという資格制度をつくったんですが、実はこんなことはどこの業界でも当たり前になりました。

●鮨アカデミー
寿司職人になるには10年は親方の見習いにならなければいけないというのは昔の話。
いまや鮨アカデミーに通えば、2か月で寿司職人になれる。
インストラクターが仕込みから寿司の握り方や開店の仕方まで教えてくれる。

●ライザップ
これもう言わずもがな。
パーソナルトレーナーが筋トレだけでなく食事や生活管理まで教えてくれる。

●プログリット
英語のパーソナルトレーニング会社。
あなたに合った学習法で英語を教えてくれる。

上記のような授業料が高い学校に通わずとも、You Tubeでタダで勉強できる、とあなたは思うでしょう。
でも、やっぱり手っ取り早くノウハウを身につけるには、インストラクターに指導してもらうのが一番いいと思います。
究極はパーソナルインストラクターを起用するといいでしょう。

ということで、VMDインストラクターはいま全国に943名。
下記のような、いろいろな方がいます。

●VMDインストラクターにお聞きしました

またネットで「VMDインストラクター」と検索すると、たくさんの人が出てきます。
だれに依頼するか迷ったら、VMDインストラクター協会にお問い合わせください。
「VMDパートナー」という制度があり、VMDインストラクターを紹介したり、派遣することができます。

●VMDインストラクター協会 お問い合わせ

そしてもちろん、あなた自身がインストラクターになりたい場合は、ぜひ売場塾をご利用ください。(^^)

●売場塾

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

マーケティングしなきゃ会社は始まらない

グラフ分析

1.自宅開業できるVMDインストラクター

今回はマーケティングについて話しましょう。
もちろんVMDインストラクターとして会社をつくり経営を軌道に乗せるためのマーケティングです。(^^)

VMDインストラクターはコンサルタントの部類に入りますので、実質仕入れがなく、一人でもできます。
自宅で開業することもできますので、資本金がなくてもできます。

ただ、業務机やインターネットや電話など通信環境、パソコンやケータイなどのデバイスは最低限必要です。

そして下記の営業ツールは必要です。

  • ホームページ
  • 会社案内
  • サービス案内
  • 名刺
  • 封筒

売場塾でVMDインストラクターの資格を取って、すぐに起業する人は多いです。
なぜかというと資本がかからなく自宅で簡単に開業できるからです。

打合せのほとんどはクライアント先で行われます。
リモート会議も盛んになっているので、自宅開業の追い風になっています。

コンサルや研修もクライアントの会議室か研修室、リバイス(売場の改善)はお店で行われますので、VMDインストラクターは自宅から行けばいいのです。

女性の方でプライベートな家の所在地を教えたくない場合は、バーチャルオフィスを使えば、数千円後の家賃で済みます。
その利用金内で郵便ポスト代行もしてくれます。
例えばこちら。
https://www.gmo-office.com/

2.開業の落とし穴

簡単に開業できる反面、落とし穴もあります。
それは「営業しないとクライアントを獲得できない」ということです。

営業はどんな会社でも必要な営みです。
ホームページやブログを開設したからといって、仕事がバンバン舞い込むことはありません。
しかも独立したてのあなたは、知名度も認知度もなく、ただ電話を待っていても誰もかけてこないでしょう。

かといって、人材派遣会社やIT企業のように電話をかけまくったり、商店街を片っ端から飛び込みしたりしても、すぐに仕事に結びつくことはありません。
ましてや、多くの人は飛び込み営業や電話営業はできないでしょう。

ではどうすればいいか。
それはマーケティングをすればいいんです。
営業はマーケティングの一部なんです。

3.マーケティングとは

VMDインストラクターとして開業することだけが優先になってしまい、マーケティングをおろそかにしている人は案外いるのではないかと思います。

マーケティングとは、広告とか調査という意味合いがありますがそれだけではないんです。

会社を運営し、サービスをつくり、顧客をつくり永続的に売っていく。
そして最終的に利益をいただく。


という一連の流れがマーケティングなんです。
上記の文を分解すると下記になります。

  • 会社を運営する
  • サービスをつくる
  • 顧客をつくる
  • 永続的にサービスを売っていく
  • 利益をいただく

マーケティングをすると、現状や予測分析ができて、対策を打つことができます。
一番上のグラフは、あるリアル公開セミナーのグラフ分析です。
コロナ禍でセミナー集客が厳しかったとき、マーケティングをした結果、対策が立てることができ、立てなかった場合と比べると、格段に集客できています。
2020年を特に比較するとわかると思います。

マーケは事業維持・拡大の重要な武器になります。
ひとつひとつ、解説していきます。

4.会社を運営する

たとえ、株式会社でなくても何かしらの屋号は必要です。
もちろん、自分の名前がそのまま会社の看板になっても問題ありません。

ただ、自分がバラが好きだからといって、「ローズエレガント」みたいな社名にしないほうがいいです。
会社はブランドそのものですので、あまり軽く考えない方がよいと思います。

確かに「刀」「サムライ」のように単語をそのまま会社名にした会社もありますが、これらは創業者の意思が反映され、きちんとしたコンセプトも持っています。
しかも会社の存在意義やビジョンも併せ持っていて、ホームページを見るとそれがわかります。

オーバルリンクのロゴ

例えば、これは当社のマークです。

生活者と企業を「快場」で結ぶ

というキャッチがあります。
どういう意味かというと、中央の楕円が売場で、この周りを衛星のように回っているのが、生活者と企業です。

企業とは、売場を介して生活者に商品を提供する流通企業です。
メーカー、卸、小売店などがそう。

「快場」とは、買い物が心地よい売場という意味です。
流通企業が快場をつくることによって、製菓者の支持を得、円滑に売場を回すことができます。

そして、衛星同士が円滑な関係でいられるように、「快場」を中心に生活者と企業を公転させることがわが社の使命なんです。

それが、オーバル(楕円)リンクとわが社を命名した所以なんです。

その他、当社のブランドロゴの由来を知りたい方は下記を参考にどうぞ。
●ネーミングによるブランディング戦略

5.会社のコアコンピタンス(強み)をつくる

オーバルリンクのポジショニング

さて、社名は社名で終わってはいけません。
どんな会社なのかを定義しなければいけません。

上記チャートは当社の事業フレームです。
どんな事業を行っているかを定義したシートです。

VMD業界でオンリーワンとなるために創業したころ策定した事業計画書です。

あなたは

「ディスプレイができます」
「POPが書けます」
「デザインができます」

だけで営業してないですか。

そんな人はたくさんいます。
コアコンピタンスをつくりましょう。
コアコンピタンスとは、他社がまねできないあなたの魅力を定義したものです。
数あるVMD会社や自営業者の中で、自分だけしかできなものは何なのか、自問自答する必要があります。

100人の中で自社が選ばれるためにはどうしたらよいのか、じっくり考えるんです。

さて、オーバルリンクの事業フレームを見ていきましょう。
「PLAN DO SEE」を中心に実践と理論を回しており、その中からいろいろなサービスを開発している会社ということがわかります。

今度はチャート図の下部分に注目してください。

当社は売場づくりを販売促進の一手法としてノウハウ化している

とあります。
要するに当社は販促会社という立ち位置なんです。
実際に当社は広告会社として登記しています。

なぜ当社に衣料品店や雑貨店といったクライアントだけでなく、ドラッグストアや車ディーラーが多いのか。

なぜ、アパレルメーカーだけでなく、おもちゃメーカーやタイヤメーカーの売場づくり支援をしているのか。
その理由が上記チャートから見て取れるでしょう。

製紙メーカーや風邪薬メーカーから売場づくりのコンサルが来た時とします。
あなたはクリネッシュティッシュ売場やベンザエース売場のVMDを構築しなければいけません。
このように消費財の売場VMDを行って対価を得ているVMDコンサルは少ないでしょう。
そこが当社の強みなんです。

次は、

当社は、そのノウハウを、誰もが、わかりやすく学習できる、コンテンツに加工している

というところを説明します。

これはもう、売場塾というVMDの学校を運営している理由そのものです。

先にいったアパレルでもトイレットペーパーでも、車でもタイヤでも、すべての業種・業態・取扱商品に関わる方に共通のコンテンツを持っているということ。
これが強みです。

具体的に言うと、

・売場づくりの型を55型に分けて教えている
・論文を書くために取材した店やメーカーが100以上
・ワークショップの種類が60以上
・テキストが800ページ以上

などなど、当社はコンテンツメーカーと言っても過言ではありません。
こうした他社にマネできないコンテンツをたくさん持っていることが強みなんです。

最後は下記を説明します。

当社は、そのコンテンツを、伝授する専門スタッフを1000人以上育成・請負派遣している

これも当社をよく知っている方はご存じです。
ズバリVMDインストラクターのことです。
この構想、創業したころプランしたものなので、実際今VMDインストラクターは930名になっています。
企業は継続力がないといけません。

残念なことは、インストラクターの87%が企業に勤めていて、フリーランスの方は13%しかいません。
なので仕事を頼める方は、121名しかいません。

しかし、今までVMDインストラクターを活用して、全国チェーンの小売店に多数講師派遣したり、ディスプレイコンテストの作品を手分けして評価・採点してもらうなど「VMDインストラクターを生かしたビジネスモデル」を開発してきました。
商空間スタイリストFCもその一環です。

●商空間スタイリストFC

普通ならば、独立起業したVMDの方は「私がやります!」ということで他人に仕事を紹介しないでしょう。
本来ならライバルの方に、

・仕事を請負でやってもらう
・仕事を斡旋する
・仕事のノウハウを教える
・就職の手伝いをする

などはしないはずです。

「なんでライバルつくっているの?」
とよく聞かれますが、そこが他社にマネができないコアな部分なんです。

それは「売場塾」というVMDの先生を育成する学校をやっているから。
卒業生からVMDインストラクターとして

・VMDの仕事がもらえた
・会社でよい地位が得られた
・VMDとして転職できた

という声を聞くとやっぱり「売場塾」としてうれしいです。

多くのVMD学校が今まで出現しても長続きしないのは、このようなコアコンピタンスが欠けているからなんです。

御自分のコアコンピタンス持つと、面接でも強くなれます。
下記も参考になります。(^^)
●VMDで転職するときの経歴書の書き方

6.顧客をつくる

どんな客をターゲットにするか?
を言い換えると、「どんな市場があるか」ということなんてす。

市場がないところに物やサービスは売れません。
日本に炭鉱が栄えているころは、そこに市場が生まれます。
炭鉱労働者とその家族がこぞって住みますから、住宅や学校、商店街ができます。
クリーニング屋や居酒屋、床屋などの付随サービスもできます。

しかし、いったん炭鉱が衰え、人がいなくなるとそれら産業も衰退し、最後は市場自体がなくなります。

VMD市場がわからないまま、惰性で起業する方も多いと思います。
残念ながら、自分がやっていこうとする仕事に市場はあるのか考える人は少ないと思います。

  • →どんな業界が市場になるのか
  • →どんな会社の
  • →どんな部署の
  • →どんな職位の 人がターゲットになるのか?

考えてみてください。

次にその人たちにどんなサービスが必要か具体的に考えるんです。

  • →セミナーを売り込むのか
  • →コンサルを売り込むのか
  • →リバイスを売り込むのか
  • →デザインを売り込むのか

売り込むターゲットによってサービスは変わり、逆も真なりで、サービスによって売り込むターゲットが変わります。

例えば、当社のサービスを見てみましょう。

オーバルリンクのVMDサービス

当社のすべてのサービスの土台は、当社のVMDメソッド「フレームワーキング」です。
全てと言ってもサービスは売場塾・店舗診断・リバイスの3つしかありません。
それをターゲットにより刺さるようにするために6つのサービスに加工しているだけなんです。

6つそれぞれにターゲットが違うんです。
あまり細かくは言えませんが、例えばあるサービスでは下記のように設定しています。

●大企業向け
・メーカー系インショップブランド・ショップブランド
・担当者は販促部・商品部・販売支援部
・企業名

●中小企業向け
・中小小売系オーナー企業
・担当者は社長~常務
・企業名

コンタクトの仕方とPR方法、そして仕事を得るまでのフローを事業計画書に明記しています。

私は広告代理店時代、オール新規営業の「個人商店」でした。
オリジナルサービスをつくって営業したときは今と変わらず、ターゲットを設定していました。
ただ、営業の手段は変わりました。
昭和時代の新入社員時代は飛び込みと電話追い込みで獲得してきましたが、今は21世紀。
リアルとオンラインで囲みこまなければいけません。
このハイブリッド営業の方法に関しては別の機会にお話しします。

7.市場を把握しよう

といろいろ話してきましたが、最後に一つ。
自分の目指す市場はどんな市場か、具体的に数字や固有名詞で表すとぐっと現実味が出てきます。

例えば、皆さんはVMDの市場規模を数字で考えたことはありますか。
私は事業をするにあたって、狙った市場がどのくらいか数字で表記しました。
パワポで自社の3カ年計画をつくっていた時のことです。
下記のマーケットを抽出してみました。。

●VMDの法人市場は975社
・メーカー300社
・商社100社
・百貨店30社
・GMS5社
・HC10社
・DS30社 ・・・

●VMDの周辺業界は700社
・施工会社50社
・設計会社300社
・デザイン・ファッション学校50校
・コンサル会社100社
・広告・SP会社100社 ・・・

●女性ワークスタイル市場 5.64万人
・ワーキングシングル 37%
・DINKS 3.2%
・復職層 20%
・継続就業層 17% ・・・

●VMD資格市場 88,620人
・母数は明かせないですが、母数853,039人に変数を掛けています。

VMD学習市場を考えた場合、ある特定の層でどのくらいいるかな、といろいろ調べてざっくり計算したものです。

これを見てどう思いますか?
私はすごく少ない、という印象でした。

当時は
カラーコーディネーター56万人、
インテリアコーディネーター4万5千人

だったので他の資格と比較すると8万8千人は低く感じました。
しかし少ない市場だからこそ独占できるのだろうな、と逆の発想をしました。

これをもっと具体的なサービスレベルの市場に落とし込む場合、ペルソナを設定した方がいいです。
どんな人がわが社のお客さんになるのか、その人たちはどこに住んていてどんな職業について、どんな趣味と将来の希望を持っているのか・・・という感じにどんどん具体化していきます。

参考に、売場塾の受講生はどの企業のどの部署から来ている方が多いのか見てみましょう。上図がそうです。

販促部の方が35%と多いですよね。
これらは、先ほど言った「当社のVMDは販促である」ことを反映していることがわかります。
実際に売場塾の54%が会社清算で来ていますので、いかに当社と販促部が結びついているかというのがわかります。
下記をご覧ください。

売場塾生分析

さて、ここで余談です。(^^)
大企業の販促部はVMDだけでなく、日頃顧客調査やペルソナ設定、マーケット調査などしています。

そして自社商品を市場に出して効果測定もしています。
広告と連動したキャンペーンもお手の物でしょう。

なのに、販促プロの方がいざ会社をやめてVMDで起業するときに、市場規模を想定しないで事業を進めるのは面白い現象です。(^^)
あれほどマーケティングや広報やってきたのに・・・。

例えばあなたが地元にかえって広島県で開業するにしても、

・広島市に本社がある小売店やメーカーはどのくらいあるか
・広島から中国四国地方ではどのくらいか
・地元の菓子店で50億以上の売上企業はどのくらいあるか
・お好み焼き市場ともみじ饅頭の市場規模と、それを置いている小売りはどのくらいあるか

これは広島の老舗企業をターゲットにした場合なんですが、ざっくりでいいので数字を拾ってみましょう。
市場把握って意外と楽しいもんなんです。

最後に私が薦めるマーケティングの本を紹介します。
これ、ためになるので何回も読んでいます。

●ストーリーとしての競争戦略
著者/楠木健 出版社/東洋経済新報社 出版年/2010.5
●イシューからはじめよ
著者/安宅和人 出版社/英知出版 出版年/2010.12

ということで、起業してきちっとマーケティングしたい方、ぜひ下記の相談会にお越しください。
無料です。(^^)
●VMDインストラクターで起業・副業 相談会

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

あなたは資格にいくら投資する?

1.資格を取る動機

今回は「役に立つ資格とは」についてお話します。

皆さんは何のために資格を取るんでしょうか。
ざっと書くと、

  • 生活に役立てたい
  • 自分に専門分野が欲しい
  • もっと稼ぎたい
  • 昇進したい
  • 起業したい
  • 趣味を持ちたい
  • 趣味を生かしたい
  • 友達がほしい

などの動機があると思います。
それが自らの意思の場合もあるし、半強制的な場合もあります。

  • TOEIC650以上じゃないと社内で昇進できない
  • 親から英会話教室に行かされている
  • 会社からマウスの資格とるように言われている

もちろん、税理士や宅建、社労士などの国家資格は、それがなければ業務ができないので、必ず取得しなければいけません。

しかし法的な義務がない資格の場合は取るのが自由だし、取ってとても役に立ったこともあれば、何の役にも立たなかったというものもあるでしょう。
果たしてどんな資格が自分の役に立つのか?
それを振り返ってみたいと思います。

2.資格はどう人生に影響するか

それでは、私を振り返って過去資格を取って人生がどうなったかお話しします。
これ、オーバーな言い方なので、人生じゃなくて「ライフコース」くらいにしておきますか。
赤裸々に資格と私のライフコースの関係について話します。
資格を取りたい人の参考にしてください。

●書道

保育園のころから書道教室に「行かされて」いました。
習字はまったく興味がなく、あの墨が手や服についてしまうのも嫌でした。
しかし私も含め3兄弟、両親から「行かされて」いました。

10年後最後の5段まで行って高校入学と同時に書道塾通いは終わりました。
具体的には、毛筆5段、硬筆特級になりました。
それがどのようにライフコースに影響したかというと、どうなのかなという感じです。
だいたい下記くらいが影響あったことです。

・友達からラブレターの代筆を1回頼まれる
・知り合いの新店のあて名書きを1回頼まれる
・お歳暮のあて名書きを1回頼まれる
・ゴルフの景品の目録一覧を1回頼まれる

ほとんど無償なのでお金を儲けたことは一円もありません。
この資格、
電通の面接時に「書道5段持っているの?すごいね」
と言われて「そうなんだ」と気づきました。
知り合いの新店のあて名書きしてコーヒーおごってもらったと言うと、「安すぎる」と言っていました。(笑)

ちなみに売場塾で白板に書いている文字はどヘタで見る影もありません。
日常生活ではほとんどパソコンで書いているので、役に立っているということは皆無です。

で月謝いくらくらいだったのは定かではありません。
もちろん親に出してもらっていました。

今後の活用については、直筆のあて名書きがダイレクトメールで最近流行っているので、そのうちに自社の販促的に使おうと思っています。

●TOEIC

意外だったのが、英語を話せる人って社内に少ないということ。
もといた会社のフロアに200人以上はいると思いましたが、あんまり英語できる人っていないんですね。
かくういう私は今も勉強中でペラペラには程遠く、英語の勉強をするごとに絶望感を味わっています。
ただ会社在籍中になんとか750は取りました。
そこまでに至る経費はざっと100万くらい。
英会話学校はLADOとNOVAに行きましたがやっぱ時間も必要もかかります。

元いた会社ではTOEIC上記の人には月々5,000円補助金が出ていて、これは実感として儲けた気がしていました。
給料ベースアップしたような感じ。

TOEICが役に立ったのは2度くらい。
イギリスと韓国のクライアントのプレゼンに立ち会ったのと、アメリカの釣り具メーカーのデモンストレーションの通訳に立ち会ったくらい。
役に立ったのは私で、クライアントの役には立たなかったです。
私は英語の勉強として役に立ちました。

もうひとつ付け加えると、「フィリピン人の彼女に別れを英語で告げてほしい」という知り合いの依頼があり、パブに行った覚えがあります・・・・。

役に立つといえば、最近外国語の本やVMDセミナーをYou tubeで見ています。
世界のVMDを探るにはいい機会と思っています。

●マッキントッシュ

これはパソコン元年に大枚をはたいて買ったもので資格ではないのですが、新しものの私はまず家族に内緒で買いました。
けっこういい感じの値段でした。
その後も周辺機器やソフトを含めて、車1台軽く買える金額を投入。
デザイン会社はみなマックを使いだしていましたが、営業職でマックを使っている人は周りにいませんでした。

パソコンの使い方教室に通い、テキストと表計算位はできるようになりました。
正直最初の半年はワープロより使いづらかったので、かなり苦戦していて一時パソコンのおかけで仕事の生産性が落ちました。
企画書やレポート、見積もりもすべてマックで作っていたので時間がかかったんです。
年賀状もマックで作ったものの、できたイラストは小学生なみでした。

役に立ったのは、インターネットにいち早く着目できたことです。
当時は静岡にいて東京のインターネット関係者と通じることができたのはよかったです。
インターネットを使ったラジオ番組や雑誌制作の企画をつくって、パソコン店やパソコン専門学校の新規開拓ができました。

ただ、数年経つとウインドウズが世の中を席巻して、マックを使っているのは制作会社と医者くらいになりました。
マックは持っていてもクライアントや社内で互換性のないデバイスになってしまいました。
東京転勤の機会もあり、以後ウインドウズに転じました。

●商業施設士

これはオーバルリンクを設立してから取った資格。
今でこそ、コンサルの仕事がメインですが開業当時は内装や看板の仕事が多かったです。
とりあえず仕事を取らなければいけない私は何でも引き受け、設計会社や施工会社に外注していました。

すると利益はほとんどありません。
しかも内装後に修理あった場合はこちらが余分な経費を持たなければいけません。

そこで、企画設計とCADくらいはできるようになった方がいいと思い、この資格を取りました。
商業施設士は図面が描けるようになる資格です。
実技も図面です。

以後、設計図制作、パースデザインは社内でできるようになりました。
施工も分別発注形式にしたので、利益はほぼ100%になりました。

図面を自分で書きたい人には手っ取り早い資格だと思います。
受験料も22,000円と安いです。
それにプレセミナーとテキスト代などを入れて50,000円位でしょうか。

ただし、資格を取った後も年間の会費がかかります。

●照明士

これも上記のごとく内装で照明の知識がいたので、取った資格。
どんな意匠のライトを使って室内やディスプレイを演出したらいいのか、改装の時に必要だったからです。

照明設計も設計士や施工会社に外注していたのですが、やはりトントンでしたので自分でできるようにしました。
改装や新装の図面を書く時に役に立ちました。

ただし、施工会社とやりとりするのではなく、直接照明メーカーに照明率表や部屋指数を聞かないと照度計算ができないことがわかりました。
この計算ができないと照明器具が選べないからです。

一度計算しないで器具を選定したことがありました。
すると、ディスプレイに当たるライトが拡散してしまいました。
「うーん、ミステリアスな演出ができない」ということで、その後は照度計算するようになりました。
当時はカタログに記載されていないこともあって問い合わせ等面倒でしたが、今はネットで照明率を見ることができるのでラクではないでしょうか。

役に立ったことはもうひとつ。
VMDセミナーに照明を入れることができました。
特に商業施設のテナントは照度が暗くお化け屋敷になっている店があるので、こうした店の照明を改善することができます。

価格は通信講座受講料が37,400円。
テストと込みになっていますが初年度会費がかかります。

●色彩検定

これは私ではなく社員に1級を取ってもらいました。
カラー部分の理論づけをしっかりつけられたことと、服をコーデネートしたときの微妙な判定に役立っています。

微妙な判定というのは、

・対照色相で対照トーン同士の服のセットアップ
・類似色相で対照トーン同士の服のセットアップ
・クロスコーディネーションの判定

など彩度や明度が微妙な組み合わせの場合です。
これらの判定の理由付けが必要だったからです。
ワークショップでは、講師が理由を言いながら直すことが必要です。
たくさんの色がある売場の担当者は、この資格を持っていた方がいいと思います。

実際、売場塾に来る方はカラーの資格を持っている人が多いです。
カラー資格プラスαということで、VMDインストラクターになる人が多いです。

費用はどのくらいかというと、社員に任せたのでわかりません。
ネットだと1級で15,000円の検定料ですが、その前に2,3級を取るのと、参考図書などが必要なので数万円はかかっていると推測されます。

3.資格はどのように選ぶか

ということで、資格がどのように役に立つかを自分たちの経験に踏まえて話してきました。
資格は国家資格からカルチャーまで千差万別です。
そんな資格を選んで取るにはどうすればいいかを述べます。

それては、ある程度はこうなりたいという目的を設定することです。
そして、この程度にはなりたい、という目標が必要です。

英語にしても、海外旅行時に役立つ程度なのか、海外に出て仕事として話せるようになりたいのか、目的と目標が違います。
筋トレにしても、きんに君くらいになりたいのか、腹をひっこめる程度でいいのかで目的と目標が変わります。

私の場合は、書道は親からの指示、英語は教養程度ですが、他の資格は仕事や会社の足りないところを埋めるようにして取得しました。
今でも、足りないところは各種セミナーに参加するなどして補い、必要とあらば資格取得を考えています。

ほとんどの学校は資料請求、説明会、セミナーなど開いているのでそれを利用するといいでしょう。
そうしてある程度、よさそうだなと思ったら資格を受験したり、講座に通うといいです。
それには時間とお金がかかるので、やっぱり「資格を取ったらこうなりたい」という目的と目標をは持つことでしょう。

売場塾生徒でもMBAや中小企業診断士など難しい資格を取る方がいます。
そういう資格は数年かかりますので、さらに身構えは必要になります。
資格を習得した中には、大学教授になった人、大手会社の社長になった人、独立起業して数千万円稼いでいる人もいます。

まずは目的と目標を設定して見てください。
そして、目標に達するにはどうすればいいのか紙に書くとよいでしょう。
そのスケジュールの作り方は下記を参考にしてください。

●君たちはどう生かすか

4.VMDインストラクターはどんな資格か

ディスプレイうまくなりたい、という人よりも名前の通り、VMDの指導者になりたい、先生になりたいという目的の人の資格です。

・VMDの集合研修ができる
・VMDの現場研修ができる
・VMDのガイドラインをつくることができる

この3つができるようにする資格です。
確かに、ディスプレイの授業はあるけれど、それは基本講座では全体の1/3の時間のみ。
残りの2/3はショップデザイン、MDと展開、体験販促です。

基本コースはVMD基本講座・アパレル基本講座という名の通り、基本を学ぶためのコースですが、指導コースはその名の通り、指導者になりたい人のコースです。
このネーミング、応用コースとかプロコースでもよかったんですけどね。
目的を明確にするためにあえて「指導コース」にしました。

目的が明快だけあって、入塾する人の8割は本部のVMD担当かリーダーです。
13%は独立起業してVMDで食べていく目的で入塾しています。

とはいえ、「VMD初心者」「VMDを習ったこともない」という人でも対応していますので、ご安心ください。
詳しくは説明会や資料請求、セミナーなどにお越しください。(^^)
資格の活かし方、お教えします。

●売場塾&VMDインストラクター説明会・セミナー
●売場塾資料請求

最後はやっぱり広告でした。~
ご清聴ありがとうございました。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

ネーミングによるブランディング戦略

オーバルリンクのロゴ

今日はネーミングと商標によるブランド戦略についてお話しします。
例によって広告マン時代から今日に至るまで綿々と続いている活動です。
この話、販促部の方や宣伝部、営業企画部や独立起業した方にもばっちりためになるのでよく聞いてくださいね。(^^)

1.広告マン時代のネーミング戦略

今は小売店やメーカーを含めた流通業社をクライアントとしているオーバルリンクなんですが、広告マン時代はメーカーが主なクライアントでした。
静岡支店時代だったので、お茶メーカーや釣り具メーカーなど静岡ならではの商品のネーミングが多かったです。

ネーミング自体を依頼されたことはまったくなく、「どうしたら売れるのか」「どうしたら名前を消費者に覚えてもらえるのか」などを考える上で、浮かび上がったアイデアのひとつです。
それとは逆に、「こんな商品があったらいいな」という過程で浮かび上がった商品自主プレのネーミングもありました。

当時の私の広告スタイルはAE。
アカウントエグゼクティブ(責任広告代理店制)といい、広告だけでなく商品開発から販促企画までブランディングをトータルに行っていたため、商品の名前は重要でした。
主なものを紹介していきましょう。

A.釣り具パーツ

オモリやフックなど釣りにパーツは欠かせません。
パーツ商品のパッケージデザインを任されました。
釣具店の売場にはいろいろなメーカーのスイベルやオモリが並んでいました。

しかし、どのメーカーも似たような袋のパッケージ。
品番とアイテム名のみ、例えば「No154-5 スイベル」とか「No874-8 スピナー」という商品名でした。
これではどの商品を選んでいいかわかりません。

そこで、依頼されたメーカーの商品にあだ名を付けることにしました。

スピナーを「ピカイチスピナー」
スイベルを「サイクロンスイベル」
スナップを「イキイキスイベル」
リングを「手錠リング」・・・

そしてあだ名の横に1.2行の下記のようにキャッチコピーを入れました。

「ピカイチスピナー」
→「輝きが違う、回転が違う!キラメキバツグンだから遠くのバスにもアピールできる。

「イキイキスイベル」
→バスが追ってくる!ルアーをイキイキアクションさせるにはこのスイベルしかない!

あだ名とキャッチコピーを目立つようにパッケージにレイアウトしました。
黄色と青の目立つロックみたいなパッケージデザインは売場ですごく目立ちました。
思えば、このころからVMDを意識してパッケージ開発していたんです。

メーカーは最初、「卸からの注文が品番でなくてあだ名から入ってくるからわかりづらい」と言っていましたが、それでいいんです。

品番よりも名前を覚えてもらう。

それが何よりも広告効果だと思いました。

B.新茶物語

静岡では新茶の時期になると販売が活発になります。
いつも若い人向けに何かおもしろい商品が出来ないかなと思っていました。

新婚ほやほやだったわたくしは、新築の家に住み洋風リビングでお茶を飲んでいました。
リビングに置いたお茶缶はいかにも和風デザインで、板の間のリビングには合いませんでした。
かねがね、「新茶は季節の便りとして人に贈るもの」という意識あった私は「新茶はメディア」というコンセプトを考え、「新茶物語」というモダンな商品をお茶メーカーに提案してみました。

提案の直接のきっかけは下記でした。

橋本環奈似のモデルが和服を着てウォークマンを聞いているお茶カタログの表紙。
それは東京のデザイナーに依頼してつくってもらったカタログデザインでしたが、とても気に入りました。
それをヒントにストーリーを考えてみました。
ニューヨークに滞在している父に静岡にいる大学生の娘が新茶を送るという物語。

若い女の子だったらこういうお茶を送るんだろうな、というイメージでステンレスの丸い弁当箱のような缶にお茶を入れ、金平糖を白磁の皿に入れて箱にセットでつくってクライアントに提案しました。
名前は「新茶物語」
顧客が新茶を贈答する際はオリジナルの手紙を中に入れられる仕組みにしました。

娘の名前はみどりとし、書道五段の私が女の子っぽい手書きで広告用の手書きを書きました。
小売店にとっては代筆して先様に送るというかなり面倒くさい商品でしたが、話題性とクリエイティビティは確保できました。

C.新世紀

2000年を迎えようとししている時。
社内会議で「2000年という節目は広告チャンスだ。それをネタにみんなで企画を出し合おう」ということになりました。
そこで、私は「新世紀を商標登録してそれで商品づくりを企業に提案しよう」という案を出しました。

「新世紀」は梨で有名です。
ただ、梨は果物の部類に入っているため、他の部類の商標はされていませんでした。
これはチャンスです。
食品メーカーに持ち込めるように、砂糖・お茶・米などの部類で会社名義で商標登録しました。

先願権がないの弁理士に確認してもらい、いろいろな企業に企画を持ち込みました。
決まったのはやはりお茶店で、新世紀の祝いのお茶を出そうということになりました。
神社にお祓いしてもらったお茶を「新世紀」として通販で売り出すことになりました。
結果まずまずの売上と話題作りができました。

しかしこれ、落ちがあります。
後日、他のお茶店が商標を持っているのが判明し、販売の続きはできないという羽目になりました。
特許庁が間違えてダブル承認してしまったということでしたが、今でも腑に落ちません。

そのほかにも会社員時代には、

・マナ坊
・ラジオインターネットマニア
・アースデザイン・マインド・ミュージック
・よりどり緑
・オーシャン・リー

などいろいろなネーミングを考えて企画提案・実施しました。
こんな感じで、商品名はマーケティング、ひいてはブランディングの一環で、広告・販促を営む人なら誰でも必要なものでした。

さて、ここらでオーバルリンク時代のネーミングに移りたいと思います。

2.オーバルリンクの商標戦略

広告代理店を辞めてVMDの専門会社をつくってからも、VMDをどうやって商品化するか考えていました。
とはいえ当社はコンサル会社なので、商品は無形商品です。
サービス名というのが正しいです。

しかし、ネーミングの考え方は商品でもサービスでもテレビ番組でもタレント名でも、まったく同じなんです。

ましてや創業したての会社が「VMDいかがですか?」と企業に売り込んでも、相手はまったくわかりません。
実際のところ創業当時は、VMDという言葉も知らない企業がほとんどでした。
電機メーカーのクライアントが多かった私は、やっぱりVMDを分かりやすく企業に知ってもらうには、ネーミングが肝だと思いました。

・売場UP2サポート
・売場ドッと混む
・リモデルプラス
・ユニットVMD ・・・

など、いろいろ考えて提案・実施してきました。
VMDのコンサルが多くなり市場が大きくなった今、商品名を考えるのは差別化として不可欠になりました。

ここで、当社のメイン商品として商標登録し今でも続けているサービス、それらをいくつか紹介します。

「売場塾」

VMDの学校 売場塾ロゴ

VMDセミナーサービスをつくるにあたって、何かよい名前がないかなと思っていました。
「VMD大学」、「VMD道場」、「VMDスクール」などが考えられますが、どれもありきたり。
少人数の上、ビルの地下でセミナーをやっていたことから、塾という名前がしっくりきました。
うちの社員にデザインの原案を渡し、上記のようなロゴにしました。

リリース直前、私が少し横長文字に改良しました。
VMDという言葉が入っているのがとても気に入っています。
(気がつく人は少ないですが・・・)

次いでサブネームも考えました。

出張売場塾 →クライアント先で行う売場塾
オーダーメイド売場塾 →クライアントの業種・業態・取扱商品にカスタマイズする売場塾
オンライン売場塾 →オンライン講座

など。

地下で始まった売場塾

これは売場塾の初期の様子。
地下室で始めたので、やっぱり学校というより塾ですね。(^^)
売場塾の生い立ち、詳しくは下記をクリックしてください。

・売場塾アーカイブ

以後、どんなセミナー関係でもほぼ「売場塾」のロゴを入れています。
単なるVMDセミナーというよりも、売場塾という学校のベースがあり、その理論や教材を使ってセミナーをする、という特色が出るため、法人セミナーでもロゴを入れています。
by 売場塾 という感じですね。
インテル入っている、という使い方です。

「月刊VMD」

月刊vmdロゴ

これは最近開発した商標です。
普通に読んでみると「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」です。
VMDに関する雑誌ブランドと思ってください。

現在、VMD専門の雑誌は存在しません。
かといって当社が月刊誌を本屋で売る流通誌として出すとかなり労力がかかります。

時間も人材もない当社ができることは、まず月ごと送っているメルマガやブログに名前をつけるということでした。
そこでつけたのが、「ゲッカン・ブイ・エム・ディー」。

響きがいいんです。(^^)
これもネーミングの大事な要素。
すぐに覚えてもらえるんです。

かといって、それをすぐに販売して利益にするのは難しいので、しばらくホワイトペーパーの名前にしていました。
ホワイトペーパーとは広報用の雑誌みたいな意味で、MA(マーケティング・オートメーション)やっている会社がよくやっている販促ツールです。

もともと当社はビジネス誌や書籍にたくさんの論文を書いています。
それらをマッシュアップして記事化し、当社のVMD理論やレポートとして無料で配付していました。
毎月新しい情報を必ず2つは流しているので、ホワイトペーパーも「月刊VMD」と問う名前にしてクライアント等にお送りすることにしました。

その後、オンライン「センスアップセミナー」のテキストにもすることにしました。
2021年の9月から今でも続いています。

・センスアップセミナー

今年春からは「月刊VMDムック」として書籍発売もすることにしました。
ムック購入したい方は下記からお申込みください。
1冊から買うことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」

またキンドルのサブスク入っている方は無料で読むことができます。

・月刊VMDムック「商空間ディスプレイ」キンドル版

今年、月刊VMDをファミリーブランド化し、月刊VMDブログ、月刊VMDメルマガ、月刊VMDムック、月刊VMDレポートなどと、でサイン統一しました。

vmdメディアブランド戦略図

今まで述べて来たことを図にしたのが上記。
広報メディアもブランド化できることが分かったと思います。

「商空間スタイリスト」

商空間スタイリスト

VMDインストラクターがVMDの資格として確固たる地位を確立したころ、ディスプレイの資格は考えられないだろうか、考えていました。
そこで上記のような名前を考えました。

「商空間スタイリスト」を商標化したのは2017年ころ。
このディスプレイ資格の特徴を如実に図案化しました。

・陳列スタイリスト
・展示スタイリスト
・プロップPOPスタイリスト

「商空間スタイリスト」は上記3段階を経て取得する資格のため、このようなロゴになりました。

ロゴのしくみとして、上記3段階を入れた4段階の資格の色を決めています。

・陳列 →オレンジ
・展示 →パープル
・プロップPOP →グリーン
・商空間スタイリスト → スミ

色をベースにテキスト、認定証、案内書、広告に至るまでVIを決めてデザインしています。
四角いキラッとしているスクエアはシャイニングスクエアといい、デザイン要素のひとつです。
また、カードはSのイニシャルを透かしで入れています。
英名、Shop Space Stylistの頭文字ですが、私はスーパーマンのイニシャルと呼んでいます。

商空間スタイリストを取得した方、ぜひディスプレイ制作のスーパーマンになってほしいです。(^^)

「VMDインストラクター」

これはもう言わずもがなですね。
当社のビジネスモデルそのものです。

ただ、なんでインストラクターという言葉をつけたのか?というと、文字通りVMDのリーダーを育てたいという当社の方針があったからです。

売場塾を始めた2006年はVMDコンサルタントが市場にあまりいませんでした。
日本にVMDを広めたいと思って創業した当社なので、早くVMDを国内に広げるにはどうすればいいか、考えました。

そこで、私のようなVMDの先生を日本にたくさんつくると早くVMDを広められるのではないか?と思いつきました。

VMDを広める人をVMDインストラクターと名付け、日本の新しい職業にしようと考えたんです。
VMDインストラクターは、ただディスプレイがうまい人ではありません。

・ショップデザイン
・品揃えと展開
・ディスプレイ
・体験販促

この4分野のスキルを持つ人でないとVMDとは言えないと思い、VMDインストラクターを考案、商標化しました。
ヨガが広まった時にヨガインスタラクターがたくさん輩出したのと同じように、VMDもインストラクターが必要だったんです。

そしてVMDインストラクターの資格取得者は企業本部の方が多いという特徴を持っています。
チェーン店である小売店本部のVMD担当はチェーン店を指導しなければいけません。
メーカーや卸の本部の販促担当も、営業所やお得意先である小売店に提案活動、ミニコンサル活動をしなければいけません。
またVMDとして起業したい方は、VMDインストラクターそのものが仕事にならなければいけません。
つまりVMDの先生として収益を得るんです。

そういう意味で売場塾では、単にディスプレイがうまい人というよりは売場づくりを総合的に指南できる人材を育成していったのです。

詳しくは、VMDインストラクター協会のホームページをどうぞ。(^^)

・VMDインストラクター協会

この認定カードも社内で考えたシンプルなデザイン。
2006年はiPhoneが流行っていたので、iを用いた図案にしました。
すちなわちvmd-iです。

iPhoneのようにシンプルなデザイン、気に入っています。
シニアは下写真のように格調高い紫色にしています。

VMDインストラクターはただいま922名なのですが、シニアはまだ22名しかおらず非常に貴重な資格になっています。
シニアは実技試験があり、合格率もVMDインストラクターより低いです。
シニアは「VMDをコンサルサービスとして収益を上げられる人」が認定基準となっています。
そのため、シニアを取った方の半分以上が独立起業しています。
中にはVMDコンサル事務所として株式会社を立ち上げる方もいます。

VMDプロの皆さん、ぜひシニアVMDインストラクター目指して頑張ってくださいね。(^^)

3.社会意義的な商標

当社は上記の他にもたくさんの商標を持っています。
商標は当社のブランディングの一環として捉えています。

例えば「快場」はいろいろな企業が使っている、もう流通業界では馴染みの言葉なんですが、実はオーバルリンクの商標なんです。
快場のコンセプトは下記を参照ください。

・快場とは

フットマーク株式会社が「介護」という言葉を考えて商標登録したのと似ています。
フットマークの社長は、看護と介助という字を組み合わせて「介護」という文字にしました。
商標の権利は今でも保持しているんですが、みんなが知らずにフツーに使っています。
子供を守る学校の水泳帽は今では当たり前なんですが、これもフットマークが昭和時代に考案したもの。
以前社長の講演を聞きに行ったんですが、こうした活動はすばらしいと思いました。

「快場」も「介護」なみにフツーの言葉になりつつあります。
いや、コロナ禍後の売場づくりはますます「快場」が意識されています。
それは「リアルな売場は楽しい買い物体験を提供する場にしなければいけない」という機運が高まっているからです。

4.商標は戦略にする

最後に大事なことをひとつ。
ネーミングや商標は「おもしろい名前思いついたから、とりあえず登録する」だけじゃダメなんです。

あなたの商品、あなたのサービス、あなたの会社の戦略にしなければいけません。
名前を決めるきっかけは二つ。
●今ある商品やサービスに名前をつける ●名前から発想して新商品やサービスをつくる があります。

広告代理店時代は前者が多かったんですが、会社をつくった今は後者も多くなりました。
前者も後者も戦略が必要です。特に後者は入念に行っています。
私はいつも企画書を書いて、戦略の道筋を整理しています。
登録する商標の2.3年後、長いときは5年後の姿を描いています。

例えば、「商空間スタイリスト」という名前を考えたのは2014年6月。
パワポの企画書は24ページ。書き直し3回。
そして実際にスタートしたのは2017年12月。
今なお、企画書を更新しているんです。

「VMDインストラクター拡張戦略」を書いたのは2014年11月。
企画書ページ数は23ページ。
2016年10月で企画書更新6回目になっています。

そんなわけで、デスクトップの事業戦略ホルダーは、いろんな企画書でいっぱいなんです。
あたためているネーミング、たくさんありますよ。(^^)
商品やサービスの未来を考えるってなんだかワクワクします。

ということで、いいネーミング思いついたからと言って、安易に商標登録しないでくださいね。
どのように収益化するか練りに練ってから商標登録しましょう。

販促部の皆さん、VMDプロの皆さん、お店や会社、商品のブランド確立、ともにがんばりましょう~。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場塾生が1,000名になりました

0.地下室から始まった売場塾

売場塾の生徒もこの秋で1,000人になりました。

売場塾はいつからどこでやっているのか。
それは2006年4月春期からです。
そして場所は東京三田なのですが地下室から始まったということです。

このブログでは、社会人の皆さんに参考になる、ノウハウの生かし方についてお話しします。
すなわち「君たちはどう生かすか PART2」です。
PART1は下記をお読みください。

●君たちはどう生かすか

さて、VMDの会社を21年続けていて山あり谷ありだったエピソードに加え、私がサラリーマンだった20年間も振り返ってみたいと思います。

それは下記ではないでしょうか。

  1. 仮説を立てて行程表をつくる
  2. コツコツ続けて工夫を重ねていく
  3. 自分を貫く
  4. 他人と違っても気にしない

ひとつひとつお話しします。

1.仮説を立てて工程表をつくる

「これをやりたい」
「あれをやりたい」

なんて誰でもありますよね。
仕事では

「バリバリ新規開拓したい」
「VMDをうまくなりたい」
「プレゼンスキルを上達させたい」

でも、殆どの人はそう言っているだけでなかなか実行に移しません。
仕事が忙しいことを言い訳にしているからです。

本当に希望をかなえたいなら、まず何をやるかまとめ、時間をつくること。
そして、とりあえずのゴールを決めるといいです。

「バリバリ新規開拓したい」なら、ゴールは下記のように定めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」
「1年以内に1千万級のクライアントを1社とる」
「新聞広告のクライアントを毎期獲得する」

など、おぼろげでいいので決めます。
ノートにメモりましょう。書くと気持ちも整理できます。

次に工程を決めます。

「半年以内に100万以上のクライアントを5本開拓する」

だったら、

「1日5軒は学校関係の企業に飛び込み営業する」
「釣り具業界の有名な会社にプレゼンする」
「テレビ番組をつくってスポンサーを募る」

みたいに、どうやってクライアントを5本開拓するか方法を決め、動き出します。

上記は私が広告代理店のサラリーマンだった時、本当に行ったことです。
そして実際に新規開拓だけで3年でクライアントを獲得でき年計2億になりました。

2.コツコツ続けて工夫を重ねていく

私が大学卒業して入った広告会社は、1年以内に8割方の新人が辞めていくという過酷な会社でした。

飛び込みセールスで新規を取っていくというまさに昭和時代のスタイルでした。
ほとんどの人が喫茶店でコーヒーを飲んで一日をしのぎ、やがて辞めていきます。

「単純に飛び込みしても仕事は得られないだろうな」

大学出たばかりの私は、A,B,C,Dという静岡市内の営業ルートを考え、そのルート上にあるよさそうな広告主に月2回の頻度で飛び込みました。
「断られても4~5周回ればなんとかなるだろう」と思いました。

1週目は門前払いです。
2週目も門前払いです。

3週目は、広告主なら誰もが興味を持つ資料を自分で作り、持ち込みました。
すると話を聞いてくれる広告主ができました。
4週目に入ると、ひとつの広告主が「実はこんな悩みがある」などいう相談がきました。
5週目に入ると、わずかばかりの広告をいただけました。

こんな風に工夫に重ねていくとよいです。

あとは持続力です。
他の人は2週目に門前払いされたところで、もう3週目は行かないでしょう。
そこが普通の人なんですが、諦めずにコツコツ地道に実行するようにした人に門は開いて行くんです。

2006年に始め売場塾も山あり谷ありだったんですが、工夫を重ねてここまで来ました。
時間帯を工夫したりテキストやワークショップを変えたりと、コツコツ工夫を重ねているからこそ継続でき、今があるんです。

実際、起業した人で公開セミナーや学校を始める人は多いのですが、途中でやめてしまう人がほとんどです。
最初はよくても、そのうちに集まらなくなってくるからです。
もう少し頑張って工夫して継続していく努力をした方がいいと思います。

3.自分を貫く

時代はインターネット創世記になりました。

その時、インターネットの中から面白い音を見つけて、それと音楽をリミックスするという番組を思いつき、社内プレゼンしてみました。
しかし、誰からもあまり協力してもらえません。
それでも、出版社と音楽制作会社に掛け合って、自分でスポンサーを見つけて半年ラジオ番組としてオンエアしました。

何か新しいことをやろうとすると、周りから反対されたり、賛同が得られなかったりすることが多いと思います。

「やめた方がいい」
「そんなことやってどうなる」
「・・・(無関心)」

こんな感じで周りに冷たくあしらわれたら、あなたは辞めますか?
サラリーマン時代、私は自分がやりたいことはトコトンやりました。
よくいうセリフは下記でした。

「これでスポンサー集まらなかったらどうする?」
「責任を取ります」

今でも新規事業はしょっちゅう社員に反対されます。(笑)
しかし、やると決めたからにはある程度までやってみることが大事です。
事業というのは人の顔色伺いながらやるものではありません。

というか、広告代理店時代は、番組枠をテレビ局やラジオ局から事前に買うので、何が何でもスポンサーを見つけて実施しないといけません。
やるからにはリスクと覚悟が必要です。
会社もそうで、作ったからには何年も長続きさせないといけません。
創業後会社が20年続く確率はたったの0.4%なんです。

単に「おもしろそうだから」と思ってやるだけのあなたは長続きしないでしょう。

4.他人と違っても気にしない

東京本社に転勤したとき、ケータイキャリアの担当になり、店頭プロモーションやVMDの仕事をしていました。

VMDはケータイショップの売場づくりのコンサルでしたが、これ以外にもたくさん仕事はありました。
睡眠時間は毎日2~3時間。それが1年続いていました。

「死にますよ」

よく同僚に言われていました。
しかし、将来のためのノウハウを得るために睡眠は犠牲になりました。
浅草橋から隅田川を眺めながら、早く週末になることを願っていました。
しかし今だと、これ問題になりますね。。。。

前の会社はテレビや新聞などマス広告中心の会社です。
社内では店頭プロモーションやVMDなどはもう論外で、「どぶさらいみたいなことやっている」と、他の方から言われていました。
マス広告やっているとカッコいいのだろうか?
私も過去CM賞や新聞賞取りましたが、テレビも店頭も同じだと考えていました。

「ビジュアル・マーチャンダイジングってなんかかっこいい!!」

実は、この道に進んだのは名前からでした。(笑)

そして意外と売場づくりに困っているクライアントがたくさんいることも、この業務で知りました。

「売場づくりに特化した広告代理店なんてないだろうな」

こうしてVMDに特化した広告代理店「オーバルリンク」が誕生しました。
みなさーん、どんどん異端児になりましょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

スターバックスはマネできない

スターバックスがロシアから撤退後、ロシアは新しいコーヒー店をオープンさせました。
その名はスターコーヒー。
マークもやたら似ています。

●スターコーヒー

従業員はそのまま正規雇用となり、同じようなメニューを顧客に提供しスタバだった店舗を「スターコーヒー」として運用していくようです。
新オープンにはたくさんの客が並んだそう。

お店づくりという点に関しては、他店をマネするということはよくあること。
ただこの場合、商標が酷似しているのでほぼ違法でしょう。
スタバも静観を保っています。

クリティカルコアという言葉があります。
これは、「他社がマネできないほど非合理な核心」という意味です。

スターコーヒーがいくら店の外観・内観をまね、商品をまねても所詮はスターバックスになることはできないということです。
果たして、下記のスタバのクリティカルコアをまねできるでしょうか。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回せるのでしょうか。
  2. 顧客のメニューにない注文をスタッフがわざわざ受け入れてくれるでしょうか。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さずに運営していけるでしょうか。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくって展開できるのでしょうか。
  5. 従業員に自社株を持たせるというモチベーション維持はできるんでしょうか。
  6. タバコを吸う人を一切入れないという決まりを維持できるでしょうか。

上記を遂行するのはかなり難しいのではないでしょうか。
これがスターバックスの持つクリティカルコアだからです。
これをマネしても、あまりに不利なことが続いてしまいます。

普通のコーヒー店の経営者だったら以下のことを考えてしまいます。

  1. 売れなくなったコーヒーを2週間で破棄し、チャリティーに回すなんてもったいない。
    利益を出すために、半年はコーヒーは在庫として使うべきだ。
    お客は2週間の味でも1年の味でもわからないから大丈夫だ。
  2. 顧客のメニューにない注文をわざわざ受け入れるだと? 入れる氷の量を調整する? ホイップをコーヒー味にする? ココアパウダーを振りかける?
    そんな面倒なことはしたくない。今あるメニュー以外は提供なしだ。スタッフの効率化を考えればいい。
  3. コーヒー以外のランチやディナーを出さないだと? ゆったりコーヒーを飲める空間を保つのも理解できるが、うちは利益重視だ。
    ランチやディナーのメニューもたくさん出して客単価を上げないと。
    多少ワイガヤするけど、その方がにぎやかな空間になって逆にいいだろう。
  4. 店内のBGMや壁にかかった絵画をわざわざオリジナルでつくる?
    そんな非効率的なことはしたくない。絵画はそれらへんで売っているポスターでも貼っておけ!
    BGMは有線(ロシアにあるはわからないですが)を使え。それで十分だ。
  5. 従業員に自社株を持たせるだと。会社が儲けた利益は我々経営者のものだ。
    スタッフはバイトでいい。一番安い時給でいいぞ。
  6. タバコを吸う人を一切入れないだと。ロシア人は喫煙率が高いんだ。
    ロシアは喫煙者は男性6割の女性2割の、世界トップレベルの喫煙大国なんだぞ。
    最低でも喫煙ルームは確保しろ。

とまあ、こんな調子を続けると、うわべだけマネしても中身は全然スタバでなくなるでしょう。
そのうち、ウオッカも出して、フツーのコーヒー屋である上に居酒屋と化すでしょう。

これがクリティカルコアの「ライバルのうわべだけマネしても決して追いつくことはできない」理由なんです。
店が長く続き、お送りのファンを抱えているブランドにはクリティカルコアがあるんです。

2.日本の小売店のクリティカルコア

今までVMDの会社20年やってきましたが、よくあるのが、
「ユニクロのような店舗にしたい」
「ドン・キホーテのようにしたい」
「イケアみたいな家具屋にしたい」
と、うまくいっているブランドの売場をまねたい経営者の言葉です。

売場を詳しく分析すればある程度まねることはできと思います。
床・壁・天井・什器・照明などの構造や素材・意匠、ディスプレイの仕方、POPの作り方などを解析し、似せることはできるでしょう。

しかし、そこまでです。うわべは似ていても中身はマネすることはできないのです。
逆にマネをしてしまうと、ライバルである同店に客はどんどん流れてしまい、まねた自店は自滅の道をたどることになるでしょう。

ロシアみたいにスタバがなくなったので、仕方なくスターコーヒーに行く、という客は残るでしょうが、日本からユニクロやドン・キホーテの店がなくなるということは考えられません。

あるとき、「もちクリーム」という和菓子ブランドが話題になったことがありました。
デパ地下に出店すると週に数百万を売るブランドで、全国の百貨店で引く手あまた。
たちまち直営店も増えていきました。

ウインドウには色とりどりのおいしそうな大福が並んでいて、中身はあんこだけでなく、メロンやイチゴ、チョコなどいろいろなフレーバーのクリームがきっしり入った、大福のようなお菓子です。

数か月たち、従来の和菓子店の中で、似たような商品を出す店が出てきました。
デパ地下のその店のガラスケースには、もちクリームのような大福のサンプルが並びました。
しかし、その店は程なくして、もとの姿に戻りました。

もちクリームのクリティカルコアは、下記です。

  • それだけ販売している単商品のみの店である
  • 冷凍して販売し解凍して食べる商品である
  • 冷凍しても風味が変わらない独自のソースを自社工場で開発している
  • フランチャイズではなく直営店のみを出している
  • 短周期で新フレーバーを出し続けていく持続性がある

まだあるかもしれないですが、少なくても上記は決して一介の和菓子メーカーはマネをすることはできないでしょう。

冷凍でも風味を閉じ込める特許技術が必要な上に、単品売りだけで商品を売り続けていくというむずかしさ。大福を凍らせるだけでは餅と中身の風味が落ちしまう。
だいふくをイチゴの色をつけてピンクにしたとしても、その鮮度や風味はけた違いに違うものになるはずです。

しかも、冷凍庫をガラスケース下に設置しなければならない手間とコストがかかります。
餅クリームをGケースに置いた分、他の商品は置けなくなりますからリスクも半端ないでしょう。

次第に店の売上が下がっていき、耐えきれなくてもとに戻したのだと思います。
このような事例はよくあることだと思います。

クリティカルコアを持つことは、他店の追随を許さないどころか、模倣した他店を大きく引き離すことができます。

3.話題のものがうまくいっているとは限らない

24時間、世界中のあらゆる情報が自由に手に入るようになった今、表面的な判断でものごとを決めないほうがいいと思います。
特には、店舗DXですね。

コロナ禍の今、流通企業のすべてがDXを導入しています。
無人レジ、売らない店、ライブコマース、VR店舗、スマートショッピングカートなどなど、話題は事欠きません。
テレビCMもコロナ前よりIT会社の放映が多くなったような気がします。

しかし、DXの話題すべてがうまく行っているいるわけではありません。
例を見ていきましょう。

  • アメリカのb8ta(ベータ)が日本上陸し、売らない店として店舗を拡大
  • アマゾンがECサイトと連動したリアル書店をチェーン化推進
  • セブン&アイがセブンペイをリリース、オムニチャンネル加速

など、近年始まった華々しい話題も下記のようになりました。

  • コロナで来店客が伸びなくなり、b8taは全米すべての店舗を撤退
  • アマゾンは今年、英国と米国で始めたリアル書店68店をすべて閉鎖すると発表
  • セブンペイの撤退は一昨年ありました。みんなよく知っているから話すこともないでしょう

b8taは日本事業はうまくいっているようなので、日本は問題ないです。
日本は丸井がb8taに出資していて、丸井だけでなくSCにも出店しているのですが、これはまだ成功しているかどうかはわかりません。
なのに、この「売らない店」を救世主とばかりにわが店舗に導入しても、うまくいくかはわかりません。

このように、マスコミで話題に載っていることがすべてうまくいくとは限らないことに注意しましょう。
「他店がDX化しているのでヤバい!!乗り遅れないようにわが社も導入しよう」と決める前に、本当にその方向がよいのかPLANする必要があります。

新規の話題は多いものの、その後の経過についてはあまり話題に上がらないので注意しましょう。
または、企業が広告をたくさん打っているからといって、その商品やサービスが売れているとは限らないのです。

4.オリジナルVMDを開発しよう

そもそもVMDには4つの分野があり、これを相関させながらオリジナルなノウハウにしないと、店舗ブランド(メーカーの場合は売場ブランド)としてやっていけないと思います。

4つの分野とは

  • 品ぞろえと展開
  • ショップデザイン
  • ディスプレイ
  • 体験販促

です。

●VMD4つの分野とは

こんな話が昔ありました。お茶店の改装をすることになり、設計士を呼んで打合せしました。
すると設計士は「お茶店だから{「富士山と茶畑」の写真をどかんと壁に設置しますか」と言いました。
その後、設計士は交代、他の設計士によい店舗を作ってもらいました。

新しい設計士と茶店とお茶工場をつぶさに見学、歴史や社員の人柄などいろいろヒヤリングしながら、コンセプトを作り出しました。品ぞろえも変え、店舗も変え、2階で体験ができるように工夫し、ディスプレイも美術館と提携してその店でしかできないものをつくりました。

こういうのがオリジナルと言えるでしょう。そう、ブランドは他社にない独自のVMDを開発すべきだと思います。

店舗や売場にVMDを導入するとき、どこそこの店のVMDを研究するのはいいとして、そっくりそのまま導入しても、所詮二番煎じ、顧客は定着しないでしょう。
または衰退の一途をたどるかもしれません。
VMDのオリジナリティがないからです。

VMDをクリティカルコアまで昇華する必要はないけれど、やっぱりマネだとお客様はすぐにわかってしまいます。
ぜひ、あなたの店ならではのオリジナルVMDをつくってください。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

売場編集とはVMDインストラクターの仕事


1. 売場づくりにはいろいろなタイプがある

今回は、売場編集というVMD用語について触れます。

上記黒板を見てください。
売場づくりっていろいろな言葉があるんです。

売場づくりといっても「いろいろな売場づくり」があるんです。
売場づくりにエントリーしている人、専門家を例にとって、「売場をつくる」という動詞がどう変わるのか、お話ししましょう。

●動詞 → 専門家
という書き方にしています。
「売場」は「店」に置き換えてもOKです。

●売場を装飾する →デコレーター
百貨店や専門店等のウインドウのディスプレイをつくる人のこと。
プロップスというディスプレイ用品を使うのが特徴。
クリスマスやハロウインなどモチベーション期間に店内装飾をすることも多い。
造作と言って、クリスマスツリーや人形のオブジェを手作りすることもある。

●売場を施工する →施工会社
施工は、店の新装・改装をするときに使う言葉。
床・壁・天井・什器・照明等大道具の取り付け工事することを言う。
多くは施工会社が設計をし、什器メーカーが製作、大工・左官・板金・看板といった職人が取り付ける。

●売場を設計する →設計士
売場や店の設計図を書く人。企画設計と実施設計があり、企画設計は店主に見せる店舗の概略設計図。
実施設計は企画設計に材料の仕様など細部を書き込んだ設計図。

売場を制作する →SP会社
売場を制作するとは、デザインをするに近しい言葉。
SPとはセールスプロモーションの略で、販売促進という意味。
SP会社はデザイン会社、または社内デザイン部と連携して、什器・POP・電飾など販促物を制作する。
小売店の店頭をSP用スペースとして、そこで商品の体験キャンペーンなどを打つ。

●売場を製作する →什器メーカー
売場を製作するとは、機械や部品を使って売場の調度品をつくることを指す。
製作はオブジェの他、什器製作・家具製作が多い。
したがって、什器メーカーや家具メーカーがその役割を果たす。

●売場をデザインする →店舗デザイナー
店舗デザイナーという言葉は設計士とニュアンスが違う。
設計士は図面を書くことが主なのに対して、店舗デザイナーはパースで勝負する。
店舗や売場のイメージをわかりやすく店主に提案する人だ。

●売場を編集する →VMDインストラクター
売場を改善したり、商品の入れ替え等で売場を変更することを編集という。
売場編集はMDプラン、つまり売り物が主体になっている。
雑誌や新聞のように、打ち出し商品によってレイアウトを変えたり、ディスプレイや販促物を変えたりする。
売場の編集者とはVMDインストラクターなのである。

2. 売場編集の特徴

わかりましたでしょうか。
売場づくりとひとことで言っても、いろいろな売場づくりがあり、専門性で多方面の職業人がいるというわけです。
私がVMDインストラクターという職業を提唱するのは、「売場を編集する」という行為を広めたかったためです。
それは、店舗デザインをするのではなく、売場を装飾するのではなく、施工工事をするのでもありません。

専門店、百貨店、スーパー、ホームセンターなどほとんどの業態の売場は1年52週で動いています。
週ごとに打ち出し商品も違いますし、新商品も入ってきます。
さらに催事、キャンペーン、セールなどの機会もあります。
毎週変わる売場は、そのたびに施工したり、店舗デザインを変えたり、什器をつくるわけではないのは明らかです。

売場編集は他の売場づくりと比べて、コストがかからないという特徴があります。

ハードのコストは不要
施工や製作がなく、什器レイアウトや陳列・展示の変更、販促物の設置といった作業がメインになりますので、ほとんどハードのコストはかからない。

●人的販売からセルフ販売へ
店舗人員をプロ化したり、キャンペーン係を配置するなどの接客強化と違い、商品そのものの見え方を変えて売りやすくするのが、売場編集です。
打ち出し商品が明確になり、売場が魅力的に見えるので、接客は不要。
人件費もかからない。

POPなど販促物変更だけでOK
セルフが主体なので、説明POPや演出POPなどのPOPツール、ライザーやかごなどの商品陳列や展示をする道具のみで、売場を劇的に変身できる。

3. 売場編集の具体的な項目

編集は具体的には、下記の様な作業になります。

  • MD分類
  • VMD分類
  • ゾーニング
  • 什器レイアウト
  • 導線変更
  • リレーション
  • 色の絞り込み
  • MDテーマ設定
  • ディスプレイテーマ設定
  • VP・PP・IP
  • POP編集 etc

売場を編集する、とはどういうことかわかったと思います。
VMDインストラクターとは、売場を編集できる職業人。
売場の編集長と言ってもよいでしょう。
そして、実際に売場を編集する作業は店舗スタッフになります。
VMDインストラクターが店舗スタッフに売場の編集を教え、売場づくりを指揮することによって毎週、売場はいつも目新しいものになるのです。

売場の再編集「リバイス」についてはこちら。
売上を上げるには完全リバイス!

売場の再編集「リバイス」サービスについてはこちら。
リバイス

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)


改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスする

VMDインストラクターであるあなたは、自社の売場、またはクライアントの売場に赴いて売場改善アドバイスをされていると思います。
売場改善アドバイス、的確にされていますか。
的確にアドバイスしていないと、店やクライアントがVMDの本質を理解する機会を逸してしまいます。

では、的確なアドバイスとはなんでしょうか?クイズを出します。
下記のアドバイスはいいのでしょうか。それともダメでしょうか?
メガネ店に現場アドバイスすると仮定します。

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイ・ヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。
●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。
●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。
●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にすると、サングラス売場ぽくていいです。


答えを言います。上記のアドバイスは全部ダメでした。~
どこがダメかというと、ダメなタイプ、4つに分けられると思います。

1.単なるアイデア出しになっている
2.本部と協議しなければならないような課題を言っている
3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている
4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている



上記9つの間違ったアドバイスを、1から4に振り分けてみます。


1.単なるアイデア出しになっている

●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。


5.自分の好みを正当化している

●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。



当社は、売場塾で行っているVMDインストラクターの試験の他に、いろいろな企業のVMD社内資格と試験をつくっています。
VMDコーディネーター、VMDアドバイザーなど、すでに1,100名以上のVMDの試験問題をつくってきました。

記述式試験では、上記1~4の間違った解答が実に多いんです。
VMDを初めて習うので仕方がないと思いますが、にわかVMDコンサルタントとしての解答が多いんです。(^^)


アドバイス、どこがどのように悪いのか詳しく解説しましょう。
1から解説していきます。


1.単なるアイデア出しになっている

一番上の図を見てください。
私たちVMDインストラクターは店舗のどこが悪くてどう直せばいいのか、店舗関係者に話をします。
その時に、アイデアを盛り込んでしまうと、「本来あるべき店舗の姿」がぼやけてしまいます。

現在の店舗の状況が悪いのはマイナス部分があるということです。
VMDコンサルは、マイナスをどう直してゼロにするかをまず初めにアドバイスします。
「本来はこうあるべきだけど、ここがマイナスですね」と話します。

その時、それを飛び越えてアイデア部分、つまり「こうあるともっといいですね」を言ってしまうと、「本来あるべき姿」が相手に伝わらなくなります。

アイデアマンであること自体はとてもいいことなのですが、それは二の次。
まずは「あるべき姿」を伝えて、ゼロの状態に直してから、プラスのアドバイス提案をします。
図のように、VMDコンサルは二段階方式で行います。
単なるアイデア出しでは、何がよくて何が悪いのかがはっきりしません。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

コンセプトという言葉が独り歩きしているせいか、この言葉、みんな使いたがります。
コンセプトは、商品コンセプトとか企業コンセプト、ブランドコンセプトなどいろいろありますが、これはもう本部案件。
その場で考えるようなものではありません。
市場調査をして顧客像を決めて、競合とのポジショニングを決めて、社内で稟議をとって・・・などと慎重に決めるような案件です。
現場アドバイスでは、コンセプトという言葉はなくて、テーマとかテイストとかトーンアンドマナーとか、その場で対応できる言葉を使います。

また、PCグラスが流行っているからと言って、品ぞろえまで決めつけてしまうのもナンセンス。
これも本部の商品部や店長に確認、協議してから決めるようなことです。
なので、「流行りとしてPCグラスを置いている店舗が多いです」くらいにとどめておきましょう。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

教科書でPPを習ったからといって、「IPにはPPを入れなければいけない」というのは単なる決めつけです。
教科書とはオムニバスなものです。
つまり、いろいろな業種・業態・取扱商品、ブランドに対応すべくつくったものなので、教科書に書いてあることをそのまま鵜呑みにするのはナンセンス。

コンビニやドラッグストアに「PPがないとダメ」とアドバイスしても始まりません。
その業種・業態・取扱商品、ブランドに対応できそうなフレームワークを選択するか、加工しましょう。

また、「展開商品は少ない方がカッコよく売場が見える」というのも間違い。
2,000円のメガネフレームの展開数量を半分にすれば、高級そうに売場が見える・・・というのは、「定量」を間違って理解している影響からでしょう。
棚の商品点数を少なくすることが「定量」ではありません。
用語の本質を理解してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

「手書きPOPは恰好悪いからダメ」というアドバイスも多いです。
手書きPOPにする理由を相手に訊かずに、一方的にダメと決めつけるのはやめましょう。
手書きPOPにしている理由があるはずです。
まずそれを店やクライアントに訊いてください。

●手書きPOPにしている理由

訊いてみたら、「なんとなく」「流行りだから」などというあいまいな返答があったら、手書きPOPにするべき上記の理由を説いてから、パソコン文字にすることをお勧めするとよいです。


5.自分の好みを正当化している

これはもう論外。
ルイ・ヴィトンが好きなのはわかりますが、好みを押し付けてもお客様は納得しないでしょう。
たとえ、ルイ・ヴィトンで新しい什器を入れて成功した事例があっても、それは什器のデザインがよかったかどうかわかりません。
ましてやそれが貴社に充てはまるとは到底考えられません。
成功事例の本質が理解できていないと、いくらルイヴィトンみたいな什器デザインを提案してもそれは押し付け以外の何物でもありません。


全国のVMDインストラクター、VMDコンサルタントのみなさん、的確なアドバイスとは何か、わかりましたでしょうか。
改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスしてくださいね。
でないと、店舗側やクライアントはますますVMDの本質を理解できなくなります。


(VMDコンサルタント 深沢泰秀)