コロナ禍の売場づくりはマップラバーが有利

分類サイン

■マップラバーとヘイターとは

maploverは、地図を好む人と言う意味です。
お店に入ったら、店頭のフロアレイアウトでだいたい行く売場を決めて、お目当ての売場に行き、モノを買う。
時間をかけて店内を回遊するよりも、短時間で効率的に買い物したい人のことを言います。

maphaterとは、地図が嫌いな人、と書きます。
とりあえず、お店に入っていろいろな売場を物色し、ゆったりともの探しをして、買って帰る人のことを言います。



■マップラバーに対しての売場づくり

マップラバーに対しての売場づくりは、店内案内板や売場インデックスをしっかりつくることです。
天井から下がっている大分類サインや、什器上の中分類サイン、棚の中の仕切り版の小分類サインが文字通り、目的の売場への道しるべになりますので、これら案内POP・サインのフロア設置がとても重要になります。

什器レイアウトもわかりやすくします。
什器がまっすぐ整列されていて、主通路・副通路が見ただけでわかり、分類サインも高低差・前後のグリッドが合っていて、売場の番地を探しやすくします。

■マップヘイターに対しての売場づくり

一方、マップへイターは、店内案内板や売場の分類サイン・POPに目もくれずに我が道を行きます。サインやPOPを見るのが面倒で、カンや雰囲気で歩いているのですが、最後にはちゃんと目的のものを見つけます。

こういう人は、雑貨店やクラフトショップなど、売場がきれいに整列していないお店でも大丈夫です。なんとなく、行きたい方向に行ってなんとなくモノを探します。
マップへイターにとって重要なのはリレーションになります。

つまり、売場と売場のつながり、モノとモノのつながりです。ワイン売場の横に食器売り場がある、食器売り場の横にレシピ本やグルメ本がある・・・・そんな売場配置です。


■コロナ禍の売場づくりはマップラバーが有利か

さて、コロナ禍の今、お客様の店内滞在時間が下がっています。
凸版印刷の調査では、買い物客の滞在時間は下記の様に変化しています。

数値は コロナ前 → コロナ後
・20分未満の客の割合 ・・・32% → 46%
・30分以上の客の割合 ・・・32% → 21%
・毎日買い物する割合 ・・・22% → 12%

コロナ禍においては、なるべく買い物に行かない、行ってもあまり店内に長居したくないようです。

さっと店に入ってさっと帰るという購買形態では、やはりマップラバー型の売場づくりが有利。
当社のフレームワークでは下記を有効に活用するといいです。

・見通しの良い店内
・通路はまっすぐ
・PPや分類サインが目につく
・商品の陳列くくりが明確
・導線は単純に
・商品フェイスを多くする


などです。

あなたのお店の来店客はマップラバー、マップへイター、どちらですか?
買い物客を考察して、どちらを取りこんだら自店に有利か、一度考えてみましょう。

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスする

VMDインストラクターであるあなたは、自社の売場、またはクライアントの売場に赴いて売場改善アドバイスをされていると思います。
売場改善アドバイス、的確にされていますか。
的確にアドバイスしていないと、店やクライアントがVMDの本質を理解する機会を逸してしまいます。

では、的確なアドバイスとはなんでしょうか?クイズを出します。
下記のアドバイスはいいのでしょうか。それともダメでしょうか?
メガネ店に現場アドバイスすると仮定します。

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイ・ヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。
●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。
●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。
●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にすると、サングラス売場ぽくていいです。


答えを言います。上記のアドバイスは全部ダメでした。~
どこがダメかというと、ダメなタイプ、4つに分けられると思います。

1.単なるアイデア出しになっている
2.本部と協議しなければならないような課題を言っている
3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている
4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている



上記9つの間違ったアドバイスを、1から4に振り分けてみます。


1.単なるアイデア出しになっている

●テーブルディスプレイにお花を沿えると華やかになります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。
●子供メガネ売場はアニメーションを流しましょう。立ち止まる子供が多くなります。
●サングラスのVPに貝殻を置いてビーチみたいな雰囲気にするとサングラスぽくていいです。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

●店内の内装がイマイチなので、コンセプトを見直した方がいいでしょう。
最近ではナチュラルとかモダンな店舗が流行っています。
●今流行りのPCグラスもMDとして取りいれないと流行に乗り遅れている店になってしまいます。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

●この壁面はPPがないからダメですね。メガネのPP置いてください。
●2,000円のメガネフレーム、ボリュームありすぎるので棚から半分外してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

●手書きPOPはダメです。パソコンでPOPつくってください。


5.自分の好みを正当化している

●この什器、もっと格好いい什器に変えないとダメです。
ルイヴィトンみたいな格好いい什器にしましょう。



当社は、売場塾で行っているVMDインストラクターの試験の他に、いろいろな企業のVMD社内資格と試験をつくっています。
VMDコーディネーター、VMDアドバイザーなど、すでに1,100名以上のVMDの試験問題をつくってきました。

記述式試験では、上記1~4の間違った解答が実に多いんです。
VMDを初めて習うので仕方がないと思いますが、にわかVMDコンサルタントとしての解答が多いんです。(^^)


アドバイス、どこがどのように悪いのか詳しく解説しましょう。
1から解説していきます。


1.単なるアイデア出しになっている

一番上の図を見てください。
私たちVMDインストラクターは店舗のどこが悪くてどう直せばいいのか、店舗関係者に話をします。
その時に、アイデアを盛り込んでしまうと、「本来あるべき店舗の姿」がぼやけてしまいます。

現在の店舗の状況が悪いのはマイナス部分があるということです。
VMDコンサルは、マイナスをどう直してゼロにするかをまず初めにアドバイスします。
「本来はこうあるべきだけど、ここがマイナスですね」と話します。

その時、それを飛び越えてアイデア部分、つまり「こうあるともっといいですね」を言ってしまうと、「本来あるべき姿」が相手に伝わらなくなります。

アイデアマンであること自体はとてもいいことなのですが、それは二の次。
まずは「あるべき姿」を伝えて、ゼロの状態に直してから、プラスのアドバイス提案をします。
図のように、VMDコンサルは二段階方式で行います。
単なるアイデア出しでは、何がよくて何が悪いのかがはっきりしません。


2.本部と協議しなければならないような課題を言っている

コンセプトという言葉が独り歩きしているせいか、この言葉、みんな使いたがります。
コンセプトは、商品コンセプトとか企業コンセプト、ブランドコンセプトなどいろいろありますが、これはもう本部案件。
その場で考えるようなものではありません。
市場調査をして顧客像を決めて、競合とのポジショニングを決めて、社内で稟議をとって・・・などと慎重に決めるような案件です。
現場アドバイスでは、コンセプトという言葉はなくて、テーマとかテイストとかトーンアンドマナーとか、その場で対応できる言葉を使います。

また、PCグラスが流行っているからと言って、品ぞろえまで決めつけてしまうのもナンセンス。
これも本部の商品部や店長に確認、協議してから決めるようなことです。
なので、「流行りとしてPCグラスを置いている店舗が多いです」くらいにとどめておきましょう。


3.教科書理論を必要十分条件にすり替えている

教科書でPPを習ったからといって、「IPにはPPを入れなければいけない」というのは単なる決めつけです。
教科書とはオムニバスなものです。
つまり、いろいろな業種・業態・取扱商品、ブランドに対応すべくつくったものなので、教科書に書いてあることをそのまま鵜呑みにするのはナンセンス。

コンビニやドラッグストアに「PPがないとダメ」とアドバイスしても始まりません。
その業種・業態・取扱商品、ブランドに対応できそうなフレームワークを選択するか、加工しましょう。

また、「展開商品は少ない方がカッコよく売場が見える」というのも間違い。
2,000円のメガネフレームの展開数量を半分にすれば、高級そうに売場が見える・・・というのは、「定量」を間違って理解している影響からでしょう。
棚の商品点数を少なくすることが「定量」ではありません。
用語の本質を理解してください。


4.特定の店舗環境の理論をすべてに当てはめている

「手書きPOPは恰好悪いからダメ」というアドバイスも多いです。
手書きPOPにする理由を相手に訊かずに、一方的にダメと決めつけるのはやめましょう。
手書きPOPにしている理由があるはずです。
まずそれを店やクライアントに訊いてください。

●手書きPOPにしている理由

訊いてみたら、「なんとなく」「流行りだから」などというあいまいな返答があったら、手書きPOPにするべき上記の理由を説いてから、パソコン文字にすることをお勧めするとよいです。


5.自分の好みを正当化している

これはもう論外。
ルイ・ヴィトンが好きなのはわかりますが、好みを押し付けてもお客様は納得しないでしょう。
たとえ、ルイ・ヴィトンで新しい什器を入れて成功した事例があっても、それは什器のデザインがよかったかどうかわかりません。
ましてやそれが貴社に充てはまるとは到底考えられません。
成功事例の本質が理解できていないと、いくらルイヴィトンみたいな什器デザインを提案してもそれは押し付け以外の何物でもありません。


全国のVMDインストラクター、VMDコンサルタントのみなさん、的確なアドバイスとは何か、わかりましたでしょうか。
改善アドバイスは、「本来あるべき姿」でアドバイスしてくださいね。
でないと、店舗側やクライアントはますますVMDの本質を理解できなくなります。


(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

PPとインテリアディスプレイの見分け方


この写真をみてください。
ABCストアの酒売場です。
すごくきれいですね。

くくりはわかりやすいし、ハーモニゼーションもいいです。
(くくりとハーモニゼーション、忘れた方はこちら)

さて、クエスチョンです。

●最上段のディスプレイは、AまたはBのどちらでしょう。
A PP
B インテリアディスプレイ

答えは、「B」。

そう、最上段のボトルは単なるインテリアディスプレイなんです
PPと言っても間違いではないのですが、厳密に言うと、インテリアディスプレイなんです。

改めて、PPとインテリアディスプレイの定義を振り返りましょう。

●PP
ポイント・プレゼンテーションと言い、売場の商品ディスプレイのこと。
IP(陳列のこと)の商品を紹介するための展示物で、IPの上部の棚につくることが多い。
役割は、店内のお客様を回遊させるためにある。


●インテリアディスプレイ
店舗・売場・商品の世界観を醸成するために設えたディスプレイ。
商品や店舗ブランドのイメージを増幅させる働きがある。


もうひとつ、別のABCストアを見てみます。
この最上段にあるディスプレイは、PPでしょうか。

いいえ違います。
これもインテリアディスプレイなんです。

PPのルールを振り返ってみましょう。
IP(陳列のこと)の商品を紹介するための展示物で、IPの近くにつくる。
特に売場の最上部につくることが多い。

あなたはこう思うかもしれません。

いいや確かに、PPだ。
最上段のボトルはIP部分にもあるよ。
しかも什器の最上段にあるし。
だからこれはPPだ。

でも、PPの定義を振り返りましょう。
「役割は、店内のお客様を回遊させるためにある」

そう、PPは店内を歩いているお客様を売場に引き寄せる力がないとダメなんです。
さっきのお酒売場から8mは離れて撮影した写真を見てみましょう。

離れてPPを見てみると・・・。
そうだな~、びんがあるのはわかるけど、何が置いているかわからない・・・。
酒を売っている売場というのはわかるけど。

そう、このPPは遠くから見てもわからないんです。
原因は、商品が小さすぎることにありました。
だから、このPPはPP足りえないんです。

下の写真を見てください。
今度はこのPPをズームアップしました。

これでも何の商品を訴求しているか、わからないですよね。
それでいいんです。
これはインテリアディスプレイなので、お酒を飲んでいる楽しいシーンが感じられればいいんです。

このように、小さな商品はPPにそもそも不向きなんです。
8m離れてPPを見ても商品がよくわからないので。
酒、メガネ、スマホ、ジュエリー、目覚まし時計、カメラ、ワイングラス、化粧品・・・。
このような商品は小さいのでPPに不向きな商品なんです。

じゃあ、PPに向いている大きな商品て何なの?
その質問にお答えします。
今度は、別のABCストアのTシャツ売場のPPを見てみましょう。


このPPを6m離れてみてみます。

こちらはTシャツのPPが6m離れても、デザインとか色はわかりやいですよね。

わかりましたか。
ボトルとTシャツの違いは、商品の大きさです。
Tシャツの方がボトルより断然大きいので、遠目から見ても商品がわかりやすいんです。

なので、ボトルをPPとして最上段においても、遠目から何が置いてあるのかわからないため、インテリアディスプレイにしているんです。

今度はインテリアディスプレイの利点を見てみましょう。

1. 売場の商品の世界観を醸成する
2. 店舗デザインの一部にすることができる


ひとつひとつ、事例を挙げて説明します。

1. 売場の商品の世界観を醸成するインテリアディススプレイ

例えば、このお菓子のガラスケースのディスプレイ。
「ショコラ・オ・ウィスキー 」という、ウイスキーが素材として入っている生チョコのインテリアディスプレイです。


ガラスケースの中に、ショコラ・オ・ウィスキーの商品が展示されています。
でも目立つのは、商品よりも本とウイスキーボトル。
ジャムのびんのようなものが「ショコラ・オ・ウィスキー」なのですが、ほとんどディスプレイの主役になっていません。

そう、これはインテリアディスプレイなので、商品が目立たなくてもいいんです。
書斎でひとりゆっくり読書を飲みながらウイスキーを飲むシーンのような世界観を醸し出しています。
大人男子のチョコと言うことですね。

もしこの商品のPPを正しく作るならば、生チョコを主役にし、下記の商品特徴をディスプレイ表現しなければいけません。

●アルコール分の高いガナッシュ(生チョコ)
●世界の有名ウイスキーが素材として入っている
●スプーンですくって食べる


そのために、ガナッシュのソフトなペースト感が感じられるサンプル展示、または演出POPが必要ですし、商品が主役になるように、たくさん並べて商品ボリュームを出すことが必要でしょう。

しかし、この展示を見る限りでは、前出した3つの特徴はまったくわかりません。
「ウイスキーを販売しているのかな」「ウイスキー会社とタイアップしているのかな」
と思ってしまうのがオチです。

しかし、インテリアディスプレイと捉えるならば、これでよいのです。
なぜならインテリアディスプレイはイメージ訴求のためにあるからです。



これは「ファウンドリー」というお菓子屋さんですが、りんごが並んでいますよね
その下にフルーツを漬けてあるびんが並んでいます。

これは別にりんごを売っているわけではないです。
フルーツポンチを売っているわけでもないです。
そう、アップルパイをイメージしたインテリアディスプレイなんです。
このお店、この時期はアップルパイを看板商品にしているんですね。

このりんごとびんは、文字通り店内インテリアディスプレイになっています。


2. 店舗デザインの一部にすることができるインテリアディススプレイ


これは、タリーズコーヒーのインテリアディスプレイ。
これならインテリアディスプレイとわかると思います。
喫茶スペースの落ち着いていてノーブルなイメージを醸し出しているインテリア的なディスプレイです。

文字通り、店舗デザインの一部になっています。
店内の販売商品は絡んでいないので、純粋なインテリアディスプレイですね。


これはPP、それてもインテリアディスプレイ??



これはハワイのディーンアンドデルーカですが、このディスプレイ、微妙ですね。
一見、インテリアディスプレイぽいのですが、しっかりハワイ特製のオリジナルバックを訴求しています。

そう、これはPPなんです。
商品が主役になっていて、「HAWAII DEAN & DELUCA」という文字がばっちりわかります。
これはトートーバックのPPでした。

私もハワイに行ったときに、これゲットしました。
このトートー、お土産として人気高いです。


今回はインテリアディスプレイとPPの違いをお話ししました。
PPをつくる前に、本当にPPにするのか、インテリアディスプレイをつくるのか、はっきり決めて制作してくださいね。
あやふやなディスプレイは、お客様にその意図が伝わりにくいです。

関連ブログはこちら

●PPの役割

●PPは写真で代用もできる


(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

センスってどうやれば高められるの?

ゴジラ

私ってセンスない~と嘆いているあなた、センスアップするコツを伝授します。
センスがないということは、あなたの中に基準というものがないということだと思ってください。

基準を0ゼロと仮定すると、プラスはいい方向、マイナスは悪い方向になります。
当然、センスはいいというのはプラス、センスは悪いというのはマイナスです。

だから歌のセンスがないというのは、歌を歌う基準に到達していない。
少なくともマイナスということになります。
料理のセンスがないというのは、料理をおいしく作る基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

だから、「ディスプレイのセンスがない」というのは、うまいディスプレイをつくる基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

ちょっとこのディスプレイを見てください。
網にかかったゴジラです。

罠にはまったゴジラ1

ディスプレイテーマは「罠にはまったゴジラ」です。(^^)
軍艦みたいなコーヒーカップがゴジラを包囲しています。

で、このテーブルディスプレイは「センスがあるなー」と感じるところは2つあります。

●ひとつは、ゴジラを中心にテーブルが3つに割れているという点
●二つ目は、すべての「軍艦」が放射状にゴジラに向かっている点

つまりこのディスプレイをつくった人は、少なくとも「うまいディスプレイ」の基準を二つ知っているということになります。
その基準とは下記です。

●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っている
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構図を知っている
→だから、「軍艦」を放射状にゴジラに向けた

なーるほど、そうなっていますね。

罠にはまったゴジラ1-2

今度はこの基準以下の「罠にはまったゴジラ」を見てみましょう。

罠にはまったゴジラ2

ただゴジラが網にかかっているだけですよね。
言われてみれば、確かに「罠にはまったゴジラ」にはなっているけど、センスはないなあ・・・ということになります。

今度は「罠にはまったゴジラを一斉砲撃」というテーマでつくってみましょう。
例えば、あなたの子供にディスプレイ材料を渡して「「罠にはまったゴジラを一斉砲撃」という感じでディスプレイをつくってごらん」と指示してみます。

男の子は喜んでディスプレイをつくるでしょう。
でも出来上がったディスプレイはこんな感じ。
うーーん。センスがいいとは言えないかな・・・。

罠にはまったゴジラ一斉砲撃1

センスのいい子供なら、「できた!!」と言ってこんな感じに作ります。

罠にはまったゴジラ一斉砲撃2

コーヒーカップ軍艦から、一斉砲撃している感じはしますよね。
そう、この子供はセンスがあるんです。

改めてセンスある「ゴジラを一斉砲撃」とセンスない「ゴジラを一斉砲撃」を見てみましょう。

罠にかかったゴジラ対比

一目瞭然です。
センスのあるなしは、今回も下記になります。


●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っている
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構図を知っている
→だから、「軍艦」を放射状にゴジラに向けた

ゴジラさん、実験お疲れさまでした。(^^)

だいたいわかりましたか。
センスがある人は、基準を知っている人です。

基準はどこにでもあります。
料理をつくる基準、ヨガをする基準、歩く基準、プレゼンをする基準・・・。

で、「基準を掴むにはどうすればよいのか」なんですが、答えは簡単。
「型」を学べばいいんです。
料理の型、ヨガをする型、歩く型、プレゼンをする型・・・。

例えば、歩く型をあなたが学ぶとします。
「今までウォーキングしてきたけど、なんか歩き方センスないなあ」というあなたは、本読んでもいいし、ウォーキングの先生についてもいいし、とにかく歩く型を学ぶことが先決です。

型がわかって、毎日型に沿った歩き方をまじめに重ねていくと・・・・3か月たてば上手に歩くことができるんです。
そこで、他人からも「なんか最近カッコよくなったね、スタイルもよくなったよ」と言われます。

あなたは、歩く型を身に着けることで、歩きのセンス以上のものを得たのです

もうわかりますよね。
そう、ディスプレイのセンスを磨くには、ディスプレイの型を学ぶことです。


売場塾が伝授しているディスプレイの方はなんと、107あるんです。
107覚えれば、もう鬼に金棒。
ディスプレイのセンスある人になって、VMDインストラクターになって他の人もプラスにすることができます。
最後は売場塾の宣伝でした~。(笑)

●売場塾の講座

宣伝次いでですが、ディスプレイの型を少しでも知りたい方は、5/20のディスプレイセミナーに気軽に来てください。
お待ちしております。(^^)

●ディスプレイセミナー

(VMDコンサルタント 深沢泰秀)

オーケストレーション設計の仕方

壁面ディスプレイの作り方
今日は、オーケストレーション設計の仕方について論じます。

銀座の東急プラザに行ってきたのですが、オーケストレーション設計がうまい店が何軒もありました。
売場塾卒業生が関わっている店も何軒かあり、とてもうれしく思いました。

まず、オーケストレーションとは何かということですが、
わかりやすく言えば、「壁面の集合陳列」のことです。

お店で何が一番目立つか知っていますか。
それは壁なんです。
建築用語で鉛直面といい、お客様は売場を見渡すときに
鉛直面、つまり垂直の面に目が行くんです。
垂直の面とはまさに壁なんです。

さて、このオーケストレーションですが、ただ商品を陳列してしまうと、倉庫の在庫置き場になってしまうんです。
「あのお店、なにかごちゃごちゃしているな」と思う理由は、壁の陳列が雑になっていることが多いです。

オーケストレーションをプランすることをオーケストレーション設計といい、VMDインストラクターの重要な仕事でもあります。
ショップデザインの要になりますので、しっかりした棚割りとスケッチで企画書をつくります。

オーケストレーションは下記の3つの要素を企画します。
それは、くくり、ハーモニゼーション、フェイシングです。

○くくり・・・陳列の分類のことです。
これがしっかりしていないと、お客様は商品が選びにくくなります。
くくりにはネガティブスペースとグリッドラインという要素があり、これをつくらないと、くくりがわかりにくくなります。

○ハーモニゼーション・・・商品をどのように置いていくかいうことです。
かっこいい置き方があり、下記の方法に分けられます。

  1. リピート陳列
  2. シンメトリー陳列
  3. ウエーブ型陳列
  4. タイト陳列
  5. 等間隔陳列

このうち、等間隔陳列は必須です。

○フェイシング・・・これは商品のフェイスをどうつくるかというプランです。
シェルビング、スリーブアウト、フェイスアウトがあり、ユニットフェイシングというやり方があります。
日本人が不得意でアメリカ人が得意なのは、このフェイシングという技術です。
アメリカの売場にいくとフェイスが優れているのがよくわかります。

この4つの要素に付け加えるのが、PPやインテリアディスプレイです。
PPは展示のことですが、PP固定棚方式にするかキャッピング方式にするか、決めなくてはいけません。
もしくはまったくPPやインテリアディスプレイを使わない、
ウオーターフォール陳列という方法もあります。

インテリアディスプレイとは、プロップスのみを使用した展示のことです。
プロップスとは小道具のことで、マテリアル(布のようなもの)、オーナメント(ガーランドのようなもの)、オブジェ(置物)があります。
これらは、商品やお店の世界感を醸成する役目があります。

ちょっと今日はVMD用語が多いのですが、お許しください。

オーケストレーションはかなりシステム化できるので、VMD担当の方はMDの期ごとに企画してみてください。
システム化できるということは、指示書にして全店に指導ができるということです。

VMD担当の方は、ぜひ壁面の集合陳列であるオーケストレーションをマスターしてくださいね。